ドリトル先生の水族館
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第九幕その五
「子供達には僕が注意するから」
「うん、先生がいるからね」
「僕達は安心出来るね」
「ああした子供達がちょっかいかけて来ても」
「それでも」
「そう、何かあっても」
それでもというのです。
「僕に任せてね」
「僕達もね」
「ちょっかいかけられるの嫌だから」
「その時はお願いするね」
「子供達が来た時は」
「任せてね」
こう皆に言うのでした、そしてです。
先生は皆を安心させました、そのうえで診察の場に向かおうとしましたが。
そのはしゃいでいる子供達がです、オシツオサレツを見て言いました。
「あれっ、あの山羊って」
「頭二つあるわ」
「じゃあまさか」
「あの山羊がね」
「オシツオサレツ?」
「噂の」
こう言うのでした、そしてです。
オシツオサレツだけでなくです、他の皆も見て言うのでした。
「他の子達もね」
「可愛いわよね」
「うん、豚さんもね」
「犬さんだって」
「うわ、こっちに来る?」
「ひょっとて」
「まさかと思ったけれど」
動物の皆は子供達の言葉を聞いてぎょっとしました、ですが。
先生はその皆の前に無言で、微笑んだままそっと出ました。そして子供達のご両親もでした。その子供達に注意しました。
「あの子達のところに行っちゃ駄目だ」
「あの人の家族なのよ」
「他の人の家族に悪いことをしない」
「お母さん達いつも言ってるでしょ」
こう子供達に言うのでした。
「この水族館の生きものにもな」
「悪いことしたら駄目って言ってるでしょ」
「だからあの子達にもだ」
「何もしたら駄目よ」
「さもないとさっきよりずっと怒るぞ」
「はしゃいでいた時よりもね」
強い顔で子供達に言うのでした。
「わかったな、それじゃあな」
「あの動物さん達に近寄ったら駄目よ」
「ちぇっ、面白くないな」
「折角珍しい生きものを見たのに」
「僕もっと近くに寄りたいのに」
「私も」
子供達はご両親の言葉に不満なお顔になりました、ですが。
お父さんもお母さんも許しません、それで子供達に言うのでした。
「言うことを聞かないと本当に怒るぞ」
「後でアイスも買ってあげないわよ」
「わかったらいいな」
「わかったらあっちでシャチを観に行くわよ」
「えっ、シャチ!?」
「シャチ観に行くの!?」
シャチはこの水族館でも人気の生きものです、だから子供達もシャチを観に行くと聞いてすぐにそちらに関心を向けました。
「じゃあ行こう」
「今からね」
「いい子にしていたらな」
「じゃあこれからは悪いことをしないのよ」
「運、僕そうするよ」
「私も」
子供達もすぐに応えました、そしてです。
ご両親と一緒にシャチのコーナーの方に歩いていきました。その一部始終を見てでした、動物の皆は言いました。
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