オズのポリクローム
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第九幕その四
「好きよ」
「ううん、まあ恵梨香も鯨は滅多に食べないんだ」
「高いしね。お家でも滅多に買わないから」
「だからなんだ」
「私も滅多に食べないの」
そうだというのです。
「それに食べてもね」
「たこ焼きの方がだね」
「美味しいと思うわ」
「というか恵梨香ってたこ焼き好き過ぎだね」
「鯨じゃなくて、だから」
「うん、まあ鯨はね」
それこそというのです。
「僕は食べたことはないよ」
「食べてみようとは思わないの?」
「あまりね」
実際にとです、腹ペコタイガーは恵梨香に答えました。
「鯨より牛肉の方がいいよ」
「そうなのね」
「うん、まあとにかく」
「鵬さんは鯨も食べるかもね」
「そうだろうね、あれだけ大きいと」
ジョージも言うのでした。
「普通に食べるかもね」
「そうだよね、あの大きさだと」
「まあ僕は別に捕鯨がどうとか言わないから」
思ってもいないというのです。
「気にしないけれどね」
「それとだけれど」
トトは鵬さんを見ながらこんなことを言いました。
「あの大きさだと雷玉も飲み込めるよね」
「そうね、お口の中に入ってもね」
ポリクロームがトトの言葉を聞いてこんなことを言いました。
「鵬さんの方もわからないと思うわ」
「あそこまで大きいとね」
「何が入ったのかもね」
「わからないよね」
「ひょっとしたら」
ポリクロームはこんなことも言いました。
「お腹の中に入ったままかしら」
「えっ、若しお腹の中に入っていたら」
トトはポリクロームの言葉を聞いて驚いた様子になって言いました。
「大変だよ、どうしよう」
「ううん、そういえば飲み込まれていても不思議じゃないね」
魔法使いも言います。
「雷玉を」
「本当にそうだったらどうするの?」
「少し鵬さんに近付こうか」
「それでお話を聞くの?」
「いや、近付いたらね」
それでというのです。
「避雷針が反応してね」
「わかるんだ」
「あと鵬さんの中にあってもね」
その雷玉がというのです。
「避雷針が反応して玉を引き寄せてくれるから」
「手に入れることは出来るんだ」
「そう、鵬さんのお口から出してね」
「そこまで強い引き寄せる力があるんだ」
「魔法の避雷針だよ、だからね」
それだけにというのです。
「それも出来るんだ」
「それは凄いね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「まずは近寄ろう」
「今から」
「そうしようね」
こうしてでした、そのうえで。
魔法使いは飛行船を鵬さんに近寄せました、するとです。
避雷針には反応はありませんでした。魔法使いはその避雷針を見て言いました。
「うん、鵬さんの中にはね」
「雷玉はなかったのね」
「そう、なかったよ」
それでというのです。
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