オズのポリクローム
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第九幕その三
「見たらそれだけでね」
「いいことが起こるんですね」
「幸福がもたらされてね」
そのうえでというのです。
「だから凄くいいのよ」
「そうですね、あと青い鳥もですね」
「あの鳥さんもオズの国にいるから」
「見られたらですね」
「いいことがあるわよ」
こちらの鳥さんもというのです。
「とてもね」
「そうですか、じゃあ見られた時は」
「その幸運を楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
是非にとです、笑顔で答えたジョージでした。そうして皆で鵬を見ていますと。
不意にです、腹ペコタイガーがこんなことを言いました。
「あの鳥さんを食べようとは思わないけれど」
「どうかしたの?」
臆病ライオンが親友に応えます。
「鵬さんを食べたいとか言うと思ってたけれど」
「いや、それはないから」
「大き過ぎて」
「そう、だからね」
それはないというのです。
「ただね、鵬さんが食べる量は」
「ああ、そのことを言うんだ」
「うん、さっき神宝が言ってたけれど」
「相当に多いよね」
「そうだよね」
「どれだけ食べるのかな」
「鯨を何匹もとか?」
臆病ライオンはこんなことを言いました。
「やっぱり」
「鯨をなの」
「うん、あの大きさだとね」
その羽根を広げた姿を見つつです、臆病ライオンは腹ペコタイガーにお話しました。
「それ位はね」
「食べるかな」
「君も鯨一頭とか無理だよね」
「そんなの一度にはとても食べられないよ」
それこそと答えた腹ペコタイガーでした。
「僕でもね」
「そうだよね、けれどね」
「あの鳥さんなら」
「それ位はね」
それこそというのです。
「何頭でもだと思うよ」
「それは凄いね」
「身体が大きいからね」
「それだけ食べるんだね」
「そうだと思うよ。そういえば鯨も」
お空を見ればです、鯨も飛んでいます。二十メートル位はあるザトウクジラもお空を普通に飛んでいます。
「いるね」
「そうだね」
「君は鯨は食べたことある?」
「ないよ」
腹ペコタイガーは臆病ライオンに答えました。
「お魚は食べるけれどね」
「鯨はだよね」
「うん、鯨はないよ」
食べたことがないというのです。
「日本では食べるらしいけれどね」
「鯨?たまにあるけれど」
その日本人の恵梨香が腹ペコタイガーに答えます。
「私たこ焼きの方が好きよ」
「そこでまたたこ焼きなんだ」
「だってたこ焼きの方が美味しいから」
恵梨香にしてみればです。
「それにいつも食べられるでしょ」
「日本でなら」
「そう、だからね」
「恵梨香はたこ焼きの方がいいんだ」
「ずっとね」
そうだというのです。
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