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歌集「春雪花」

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 来りしは

  待てど暮らせど

   流れゆく

 四季のうつろう

    時ばかりなり



 どれだけ彼を想い、待っていようとも…私のところへは、移ろい流れる四季を見せる時間だけしか遣ってはこない…。

 どれだけ彼を愛していようと、それは所詮…私の勝手なのだ…。
 この我が儘な想いは、四季の様をただただ…見つめては送るだけなのだ…。



 空 時雨

  恋に時雨て

   小夜更けて

 想いそぼ降る

     暗き山波



 仕事をしている最中、ふと外を見れば…また雨が降りだしていた…。
 こんな日は彼を恋しく想い…あれこれと思いを巡らせてしまう…。

 あの扉から彼がひょっこり顔を出したこと…他愛ない話をしていた時間…彼の些細な仕草や声、そして笑顔…。

 会えない今、どうして…こんなにも思い出すのか…。

 遠くには闇に隠れた山波がある…。
 ふと…見えないその山波を眺め、ただ取り留めもなく彼のことを…想う…。



 
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