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DQNじゃなくてDQMね

作者:PEI
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戦闘訓練と帰還

「じゃあ先ずは強くなってみようか?」

あの後シャインを連れてスライム広場(仮)から離れ、誰もいない更地に出た。
そこでシャインの育成を考えたが、要は強くなれれば問題ないと結論付けた。
そもそも経験値って言うのは戦わなくても訓練するだけで入ってくるものだと言うことが実証済なので、シャインには戦闘による経験を積んでもらおうと言うことになる。

「ぼ、僕…強くなれるの?」

「当たり前だ。俺がシャインを強くして見せる。
何せこれから一緒のパートナーなんだからな!」

しかしながらこの性格は直しておきたい。
臆病者と言ったところだろうが…さて、どうしたものか?

「そういや勇敢な本とかあったよな…」

「?」

性格を変える本シリーズ。
魔物の性格を変えるだけでなく、売れば高いと言う貴重なものなのだが、
実際に本読むだけで性格が変わるとか言うのなら話を聞かせれば変わるんじゃないのか?
と言うのが俺の持論。と言うわけで早速試してみよう――


「僕、強くなるよ!
大切なものを守るために!」


――大成功と言うべきであろうか?
話して聞かせたのは皆大好き仮面ライダー。
俺が好きなのはア○トだが、聞かせたのはディ○イドである。
つーか色んなライダーに変身できるとか強くね?

「じゃあやるか!」

「おー!」

こうして俺とシャインの修行が始まった。







そして終わった。

「えっと…」

「…終わったな」

うん。
一度戦うだけで経験値MAXを忘れてた。
俺には対応してないけど魔物にはバリ3対応。
何かね?戦い方を俺なりに教えたんだけども、スポンジとか比喩にならんくらいに吸収して行くんですわ。
もう特技とか呪文とか俺と比べ物にならんくらいに覚えちゃったし、もう可笑しいとかの話じゃない。
やってて俺も強くなったけどそれ以上に強くなりすぎ。
もう魔王とか余裕のよっちゃんなシャインさんでした。

「ケント、ケント!僕、ケントを守るよ!」

「おう。俺もシャインを守るぞ!」

たった一時間程度の間柄なのに戦友感覚の芽生えた俺達。
つーかもうやること無くなったんだけど。

「ところでドラこうは何してんの?」

「今更っすか!?」

俺達の修行を遠目に見ていたドラキーことドラこうに訊ねる。
そう言えば案内してもらったことすっかり忘れてた。

「えっと、僕も強くなりたいなぁなんて…」

「強くなってどうするんだよ」

「それは…僕……えっと…」

何か急にもじもじし出すドラこう。
黒いのに赤みが差している…不思議だ。

「別に笑ったりしねぇから言ってみろよ」

「は、はい。
実は僕、仲間の中では最弱でして…」

お前もかブルータス。

「皆からは『そんなんじゃ嫁も出来ねぇな!』なんて馬鹿にされる毎日でして…」

ほうほう

「だから、強くなってお嫁さん欲しいんです!」

「よし採用」

「はい…ってえええええ!?良いんですか!?」

良いもなにも、名前着けちゃったし。
まぁ強くなれば嫁ができると言うのは知らんけども。

「まぁ頑張っていこうぜ」

「はい!よろしくお願いします!」

こうして正式に俺の仲間に加わったドラこうだった。




「――で、こうなるわけだな」

「ドルマ!」

チュドォォォオン!

何か30分もしないうちに強くなりやがったよコノヤロー。
嬉しくて受かれているのか先程からドルマを連発しまくっている。
正直飛んでるやつのレクチャーなんて出来るわけがないのだから、高いところからぶっぱなしとけって言う教えをした結果、皆さんの常識をぶち壊してくれる脳筋型ドラキーが出来上がりました。
で言うか初級呪文のドルマが上級のドルオーラに匹敵してるんですけども…これ、ドルオーラ放ったらどうなるんでせうか?

「…まぁ気にしない方向でいこう」

取り合えずこれで本当に目的は無くなった。
仲間も出来たし、さっさと帰るために先に進むことにしよう。

「レミラーマ」

俺は地形を把握する呪文、レミラーマを使用し、一直線に出口となる場所(ホイミスライムがいたところ)を目指した。














「うわぁぁぁぁあ!!」

「クリオくん!」

扉の間にて、魔王の一角として君臨する魔物、りゅうおうが少年や女性、王様や家臣達を圧倒していた。

「どうしたM.Mども。その程度か」

「くっ…スラお!」

「やべぇぞクリオ!全然歯が立たねぇ!」

スライムを連れた少年、クリオもまた、ケントと同じく先程モンスターマスターになったばかりの少年だった。

「くっそ!モンじいのしんりゅうを返せ!」

「ふははは!あの竜なら既にワシの中だ。
しかし気が乗らん…口ほどにもないやつらばかりだ。
本当にテリー様がいた場所なのか?」

「テリーじゃと!」

「お前、テリーを知ってるのか!」

「矮小な貴様らに語る口などは持っていない。
さて…そろそろ消えてもらおうか…《ベギラゴン》!」

りゅうおうは右手をかざし、燃え盛る炎を具現化させる。

「危ねぇ!クリオ!」

「死ねぇ!」

「ドルマ!」

ジュアァァァッ!

「…え?一体何が……?」

クリオは困惑する。
自身に向けて放たれた炎の塊が、黒き光によって掻き消されたのだ。

「貴様は…」

「お、お主は…」

りゅうおうは決め手とした呪文を掻き消されたのだ為に青筋を浮かべて、王様は3年ぶりにみる懐かしさに駆られて、いきなり現れた少年に目を奪われた。

「ケッホ…えぇー何でこここんなボロボロなんだよ…ってうわっ!りゅうおうがいる!
ぇ!?何で!?つーかここ扉の間じゃねぇ!?」

当の本人は実にあっけらかんとしているのだが。

 
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