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ドリトル先生の水族館

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第八幕その七

「だからね」
「さっきは言葉を濁したんだね」
「ノーコメントで通したのね」
「あえて答えなかった」
「そうしたのね」
「そうだよ、どうしてもね」
 食べたことがある手前、というのです。
「答えられないよ」
「先生色々食べてるからね」
「特に来日してからは」
「お魚はとりわけ」
「川にいるお魚もね」
「鯉も食べて」 
 そして、と言う先生でした。
「鮒も泥鰌も鯰もね」
「岩魚とかもね」
「一杯食べてるよね」
「うん、タキタロウはないけれどね」
 このお魚の名前を出すとです、皆は目を瞬かせて言いました。
「タキタロウっていうと」
「この水族館にも説明書いてたけれど」
「あれ本当にいるの?」
「東北の湖にいるのよね」
「いるって言われてるけれど」
「実際はどうなの?」
「いると言われてるけれどね」
 先生は腕を組んで考えるお顔になって答えました。
「まだわかっていないんだ」
「そうなんだね」
「いるかどうかはなの」
「はっきりしていない」
「そうなのね」
「そうなんだ、僕はそこにも行ってみたいと思ってるんだ」
 タキタロウがいるというその湖にというのです。
「いるかどうか調べる為に」
「タキタロウがいるか」
「実際にどうなのか」
「深海だけじゃなくてそこにも行って」
「それでその目で調べたいんだね」
「そう考えてるんだ」
 実際にというのです。
「何時かね」
「ううん、何か日本に来てから」
「先生の学問が凄くなってきてない?」
「あらゆることを調べたい」
「そうなってきてないかしら」
「そうかもね、僕も変わったよ」
 イギリスにいた時と、というのです。
「深海についてもそうで」
「タキタロウもだよね」
「実在するかどうか調べたい」
「実際にその目で」
「その場所まで行って」
「イギリスにいた時の僕は時々冒険に出ていたけれど」
 その頃の普段の先生はといいますと。
「誰も来ない病院でいただけだったね」
「それが今はね」
「色々なことを学んでいる学者さんだよね」
「そうだよね」
「今だとね」
「そうなったよ、日本に来て」
 そうなってからというのです。
「学問にさらに目覚めたよ」
「文学も歴史学もね」
「それと語学も」
「神学や哲学もだし」
「そして生物学もね」
「本当に色々とね」 
 それこそというのでした、先生も。
「学ぶことが増えたよ」
「興味が一層湧いて」
「色々な場所にも自分から行ってみたいってね」
「思うようにもなったわね」
「確かに変わったよ」
 ご自身でまた言った先生でした。 
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