オズのポリクローム
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第八幕その十
「ウミガメや烏賊、蛸もね」
「いるんだね」
「それで泳いでるんだね」
「このオズの国では」
「そうなんだね」
「恵梨香もお風呂場で見てるだろうけれど」
ここでジョージは言うのでした。
「恵梨香絶対に今食べられるかしらとか言ってるよ」
「そうそう、恵梨香ってね」
「烏賊や蛸好きだからね」
「特にたこ焼きが好きだよね」
「明石焼きとかも」
「恵梨香って蛸っていったらね」
この娘の場合はそれこそなのです。
「たこ焼きなんだよね」
「蛸イコール食べるもの」
「そう確信してるよね」
「もうたこ焼きに目がなくて」
「蛸を見ても言うんだよね」
「多分朝御飯の時に絶対に言うよ」
笑ってです、ジョージは二人に言いました。
「朝はたこ焼きにしようって」
「絶対に言うね、恵梨香」
「それでナターシャがお風呂に入ってる時とか言うね」
「あの二人のやり取りってパターンあるから」
「そうなるね」
「僕もそう思うよ、じゃあ身体も奇麗にしたしすっきりとなったし」
そのお風呂に入ってです。
「あがろうか」
「それで恵梨香のお話をね」
「聞こうね」
こうしたこととお話してでした、そしてです。
三人は朝御飯の場に出ました、すると実際にでした。お風呂上がりで奇麗な香りを出している恵梨香がテーブル掛けの傍に座っていて言っていました。
「たこ焼き出しましょう」
「貴女お風呂に入ってる時も言ってたわよ」
ナターシャがその恵梨香に横から言います。
「お空を蛸が飛んでるの見てから」
「だって蛸だったらね」
「たこ焼きっていうのね」
「たこ焼き美味しいでしょ」
「日本に来てはじめて食べたわよ」
「それで美味しかったわよね」
「けれどね」
ナターシャは微妙な声で恵梨香に返しました。
「貴女程じゃないわよ」
「私程じゃないって?」
「何でそうたこ焼きが好きなのよ」
「美味しいから」
これが恵梨香の返事でした。
「だからね」
「たこ焼きだっていうのね」
「ええ、いいでしょ」
「朝からたこ焼きなの?」
「駄目?」
「そんなお話聞いたことないわよ」
「昨日買ったのが残ってたら食べるでしょ」
恵梨香はナターシャにあっさりと返しました。
「そうでしょ」
「それは日本だけでしょ、それも関西」
「そうかしら」
「そうよ、恵梨香はね」
そもそもというのです。
「蛸は食べものとしか思ってないでしょ」
「あれっ、違うの?」
「怖いとか思わないの?」
「怖いの?蛸が」
そう言われてもです、恵梨香はぴんとこない感じです。首を傾げさせてそのうえで言うのでした。
「私は別に」
「私最初テレビで観て気持ち悪かったわよ」
「そうなの」
「そうも思わないのね」
「可愛いじゃない」
恵梨香から見ればです。
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