| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQNじゃなくてDQMね

作者:PEI
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

いざ異世界へ!

転生してから14年。
現代となんら変わらない世界へと生まれ落ち、3歳で記憶を取り戻した俺は、何時しか異世界へ行ったとき、魔物に襲われて死なないようにするため特訓を開始することにした。
筋力トレーニングも宛ら、特技、呪文の練習など、兎に角がむしゃらにやってきた。
そして約一年前。自分自身のステータスが見れることに気付き、見てみたらビックリした。

門増(かどます)賢人(けんと)

職業 中学生

HP 999 MP999

力 999
身の守り 999
素早さ 999
器用さ 999
賢さ 127

特技
せいけんづき
しっぷうづき
ばくれつけん
まじんぎり
さみだれぎり
つるぎのまい
ギガスラッシュ
ジゴスラッシュ

呪文
メラ系
ギラ系
バギ系
イオ系
ヒャド系
ディン系
ホイミ系
マホヤル系
スカラ系
インテ系
ピオラ系
その他フィールド系

………………うん。
取り合えずやり過ぎた。
何故か知らないけど熱中し過ぎたんだと思われる。賢さが低いのはしょうがないと思うけど。
まぁこのステータスで何かを壊してしまうと言うのは無い。
防御とかはともかくとして、力とかは意識しなければ日常生活に異常をきたさない。
ぶっちゃけ俺一人で行けるんじゃないかと思ったわけだが、モンスターマスターになるわけだから気にしない方向でいくことにした。
ともあれこうしてバリバリなチートになったわけだが――――

「やあ」

現在、俺の目の前に不思議生物もとい、わたぼうらしき生き物がいる。

「えー、どうも?」

「うん。ボクの言葉は分かるみたいだね。
ところで君の名前は?」

「門増 賢人だけど…」

「ケント、だね。
ボクはわたぼう。モンスターマスターを探しているんだ」

テリーはどうした?
まぁ聞くと不振だろうし、取り合えず流れに乗るか?

「モンスターマスターって?」

「僕たちのような魔物と仲良くなれる職業だよ」

超大雑把なんですけども。

「……俺が、モンスターマスターになれるのか?」

「うん。君からは才能を感じる。ボクと一緒に来てくれるかい?」

「…分かった。ちょっと待っててくれる?」

そう言うと用意しておいた制服と道具袋、修行で愛用していた木刀を持つ。

「準備完了。で、どうやっていくの?
落とし穴からあぼーんはやめてくれよ?」

正直2度と体験したくない。

「あぼーん?良くわからないけど、ついてくるといいよ」

そう言うとわたぼうは俺の部屋にある押し入れを開き、その中へとダイブした。

「……まさかの押し入れ………そこから来たのかよ…」

眠ってたら顔前に鎮座してやがったからな…あれはビビったぜ。

「じゃあ…行きますか!」

俺は意を決して押し入れに入り込んだ。











ほしふりのほこら。
その聖なるほこらの扉の前に、青い服装の少年と老人が立っていた。

「もうすぐじゃのう…テリー」

「そうだね。
ボクの後輩か…どんな子なんだろう?」

「ほっほっほ。楽しみにしとるがよいぞ」

「うん。楽しみだなぁ」

少年はこれから来るであろう後輩を待ち望みながら、そして老人はそんな少年をほほえましく見つめながら――――

”ドシャアッ!!”

――扉の奥から聞こえた痛そうな音を聞いたのだった。









”ドシャアッ!!”

「痛ってぇ……顔面から飛び込むんじゃなかったぜ…」

俺はぶつけた鼻を擦りながら立ち上がる。
押し入れに入った瞬間にこの場所へダイブしていた。
もっとこう、ワープしてますよーみたいな景色を想像していたんだが、違ったようだ。

「おお、大丈夫かね?」

「ええ、へいきっす……誰?」

声をかけられ、振り向いてみれば老人と少年がいた。
つーか少年の方が見たところテリーにしか見えないんだけど。
つーことはこのじいさんがモンスターじいさんか?

「ワシはモンスターじいさん。皆からはモンじいと呼ばれとる。
こっちの子はテリー。わたぼうに導かれた君の先輩になる」

「テリーです。えっと、同い年だと思うけど宜しくね?」

やっぱりテリーとモンスターじいさんだったか。

「ああ、よろしく頼む。
ところで、俺は何をすれば?」

「おお、そうじゃった。
先ずは王に会いに行かねばならんのう。ついてきてくれるかの?」

「モンじい。僕が案内するよ」

「そうかの?なら、頼むとしよう」

「まかせて!」

何だろう。
何かじいちゃんとその孫の風景を見ているようで居心地悪い。

「じゃあついてきて!案内するから!」

「あ、ああ」

つーかテリーがいるなら俺って必要なくないか?








で、あっという間に王の前へ。

「そなたが今代のモンスターマスターじゃな。
ワシはタイジュの国の王じゃ。そなたの名はなんと申す?」

「門増賢人です」

「ふむ。ケントか。
ではケントよ。お主に頼みがある。
今年のほしふりの大会にて、優勝を果たしてくれぬか?」

………は?

「…あの、新人である俺よりもテリーの方が適任なのでは?」

「ごめん…前年度優勝者は参加できないことになったんだ。
だからボクの代わりになる人が居ないかわたぼうが探しに行ったんだけど…聞いてなかった?」

聞いてねぇよスカポンタン。
話省きすぎだろあの精霊。

「それで、どうじゃケントよ。
ワシの望、叶えてはくれまいか?」

「……わかりました。
俺でよければその大会に参加します」

「おお!よかったよかった!
しかし、手持ちがおらねば始まるものも始められん。
誰か、プリオをここへ!」

プリオ…モンスター牧場の管理人だったか。
懐かしいなぁ。テリーの場合だとモンスターを逃がして大目玉食らうんだっけか。

「すみませんだ王様ー!
用意していた魔物、逃げ出しちゃっただー!」

………おやぁ?

「なんじゃと!?またか貴様!
いったい何度逃がせば気がすむのじゃ!ええい!貴様なんぞ打ち首にしてくれるわ!」

戦国かよ。

「王様、落ち着いて…」

「いくらテリーの頼みでも今回ばかりは聞いてやれん!
あの魔物はテリーが連れてきた見所のある魔物じゃぞ!?」

「勘弁してほしいだ!」

「因みに何の魔物だったの?」

「え?ベビーパンサーだよ」

獣系かよ。
しかも見所って…愛玩動物じゃねぇんだから…。

「王様、気にしなくて良いですよ」

「し、しかしじゃな…」

「俺、自分の魔物は自分で探しにいきます」

「それはいかん!野生の魔物は物凄く危険なのじゃ!
お供を連れていかねば何があるかわからんのじゃぞ!」

「現地調達は旅の基本でもあります。
俺は俺の手で、俺のパートナーを見つけたいんです」

「む、むぅ…」

まぁモンスターマスターが戦うなんてほぼ皆無なわけだし、論外といっても良いぐらいだよな。
でも確かDQM+で忍者がモンスターの役割してたはずだし、強ち禁止にはなってないと思うんだけど。

「えっと、ケント君。魔物はね?基本的に血気盛んなんだよ。
いや、大人しい魔物もいるけど、それでも数は少ないんだ。
だから一人でいくのはやめた方が…」

「テリー。旅の共ってのは信頼の上に成り立つ存在でなくちゃならない。
現代の日本ではあり得ないけど、信頼のあるやつに背中を預けるのはパートナーを勤めるものにとってかけがえのないものなんだ。
テリーも先輩なら分かるはずだ。
テリーの魔物がテリーに対してどれ程の信頼を持っているかぐらい。
俺は信頼しあえる魔物と出合い、共に歩んでいきたい」

「ケント君…」

何か長々と話してみたけど、ぶっちゃけ一人でいきたい為の言い訳だからね?
そんな感動してますって顔で見ないで!胸が痛い!

「ケントよ。そなたの言い分、実に感動した!
プリオよ!ここはケントに免じ、不問とする!」

「ははぁ~!
ケント…いや、ケントの兄貴!ありがとうだ!」

あ、兄貴?

「ケントよ。本来ならば一人でいかせるなど、王としてあってはならん異例なこと。
だが、おぬしの言い分はもっともじゃ。
だから必ず無事に戻って参れ」

「はい」

「それではワシはおいとましよう」

そう言うと王様はいそいそと裏口通路から去っていった。

「ケント君。頑張って、無事に帰ってきてね」

「ありがとう。でも、先輩だろうが何だろうが必ず追い越してやるからそのつもりでいろよな」

「あはは!うん!楽しみにしてるよ!」

さーて、旅の扉へと向かいますかね。









で、来たわけだが。

「旅の扉が一つしかない件」

知識的には間違いないはず。
入り口から向かって左の階段を降り、そのすぐの扉を開けば真っ正面に旅の扉があった。
ここへ来る前には他に通路はなかったし、ここで間違いないはずなんだけど…。

「あ、新しいモンスターマスターですか?
私はここの管理を勤めています、トビーラと申します。
王様から承っております。先ずは旅の門出と言うことで、『旅立ち』を起源とした行き先を指定させてもらいます」

……ああ。そう言うことか。
要は旅の扉は一つだけど、この管理人さんが行き先を指定できるわけだ。
しかしトビーラとは…安易な名前だな。

「よろしくお願いします」

「では、この中へ飛び込んでください。
帰ってくる際は精霊、わたぼうが導きますので、ご心配には及びませんので」

「わかりました。では、行ってきます」

俺は「また穴か…」と呟きながら、光の渦巻く穴へと身を投げ入れるのだった。
そして帰ってきたとき、物語の+を思わせる大事になっているとは思いもよらなかった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧