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SAO<風を操る剣士>

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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第三章 成長
  第16話 気づいた恋心

 
前書き
前回遅れたので、早めに更新です!

※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。 

 



 十層のボスとの戦い、あたしはシュウさんに言われて他のプレイヤー達をキリトさんと一緒に逃がしていた。

 そして、あたし達以外の全員が外に出て、一回迷宮から出るために帰って行った。
 キリトさんとあたしはシュウさんに全員が逃げ終わった事を伝えようとした。

「シュウ! 全員逃げ終わったぞ!!」
 キリトさんがシュウさんに向かって叫びながら伝える…けど、シュウさんは戦いに集中しすぎて聞こえていないらしい…

「シュウの奴、全然聞いてないな…」
「そうですね…でもあの戦いに途中から入る事って出来るんですか?」
 キリトさんの呟きにあたしは返事をして聞いてみた。

『聞いてみた』というのは今、シュウさんはあたしが見てきた中で今までに無いくらいの速さでドラゴンの攻撃を避けていた…まるで、ドラゴンのどう動くのか分かっているように…
 なのでとてもじゃないが、あたしにはあの戦いに入ってシュウさんと一緒に戦う事はできなかった。

 そして、あたしの言葉の意味を当然分かったキリトさんは、頭を()きながらあたしに言った。
「う~ん……多分、俺なら入れるかもしれないけど…シュウの邪魔にならない自信はないな~」
「そう…ですか…」
「それと、シリカ…一つ聞いて良いか?」
「はい? なんですか?」
 キリトさんが、あたしにシュウさんの方を見ながら聞いてきた。

「シュウって《筋力値》そんなに上げてたのか? あのドラゴンにソードスキルなしでダメージ与えるためには、結構な《筋力値》必要だ。なのにあの攻撃を避ける、あの速さは《敏捷力》も結構高いはずだ……どういうことなんだ、シリカ?」
「それは……」
 あたしはキリトさんに話すかどうか迷った…キリトさんが言っているのは、シュウさんが今
《体重移動》をずっと使いながら攻撃している事に疑問を感じたのだろう…
 あたしだって知らなかったら分からないと思う…

 しかし、シュウさんはまだキリトさんに《体重移動》などの話をしていないのも知っていたので、あたしはキリトさんに言った。
「その理由は、シュウさん本人に聞いてください」
「……分かった」

 それからしばらく、あたし達はシュウさんの戦いを見ていた…



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 それからシュウさんの戦いを見てから5分くらいがたった。
 すると、シュウさんの攻撃でドラゴンが急に声をあげながら動きを止めた。
 その隙にシュウさんに、あたし達はシュウさんにもう一度声をかける。
「シュウ!」「シュウさん!!」

「バカ! さっきから声かけてるのに!!」
「あ! 悪……」
「グォーーー」
 シュウさんはあたし達の声にやっと気が付いたのか、こっちを向いて返事をしようしたが……
 その隙にドラゴンがシュウさんの後ろで《ブレス》を放とうとしていた。

 そしてらシュウさんは凄い速さでドラゴンに近づき、ドラゴンに攻撃して口を閉じた。
 すると、ドラゴンの口が爆発して、シュウさんもそれに巻き込まれて吹き飛ばされる。
 あたしは自分のHPゲージの下にある、シュウさんのHPゲージを確認すると赤くなっていた。

 あたしがHPゲージを確認が終わる頃、ドラゴンは声をあげて四散して消滅していった。



==========================



 あたしはしばらくドラゴンのいた所を見ていたシュウさんに、キリトさんと一緒にシュウさんの元へ歩き出した……けれどあたしは、歩いてる途中でシュウさんの上の岩の様子がおかしい事に気づいた…

(シュウさんの上の岩が、砕けてシュウさんに!!)
 あたしは慌ててこっちに振り返ったシュウさんに、同じことを気が付いたキリトさんと一緒に叫んだ。
「シュウ!」「シュウさん! 上!」

 あたし達の声で自分の状況(じょうきょう)が分かったのか、急いで岩を避けた。
 しかし、岩はシュウさんに(かす)ったらしく

 ……あたしの下にあるHPゲージが0になった…

 そしてシュウさんは、一言「ごめんな…」と言った。

 その後シュウさんは、あたしのボス攻略完了のウィンドウが出ると同時に…

 …ガラスの砕けるように四散して、消滅した……



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 あたしは今、目の前に起こった事が(いま)だに分からなかった…
 目の前の誰もいない光景が信じられないまま、レベルアップの音だけがあたしの耳に聞こえる…

(シュウさんが……死んだ?)

 そんな事、あるはず無い……だって、いつだってシュウさんは無茶はするけど…それでもいつも最後は笑ってあたしの所に帰って来て…そして守ってくれた…

「そんな……嘘…ですよね…シュウさん……またいつも冗談ですよね?」
 あたしはシュウさんが消えた場所に向かいながら、見えないシュウさんに向けて言った。
(そうだ…これはいつものシュウさんの冗談かイタズラだ…)
 あたしはそう思いながら、シュウさんの返事を待った…

 …しかしシュウさんが姿を消した前に着いても、返事も姿も見えない…

「シリカ…」
 あたしの後ろにキリトさんが立っていた。
(そうだ…キリトさんなら…)
「…あの、キリトさん……シュウさんは何所にいるか知りませんか? もしかしてあたしを置いて先に……」
「シリカ! 正気に戻れ!!」
 キリトさんがあたしの肩を掴み、あたしに必死に言ってきた……正気?

「何言ってるんですか、キリトさん? あたしは正気ですよ……それよりシュウさんは……」
「シリカ! 目をそらしたい気持ちも分かる!! でも現実を見ろ!!!」
「な、何のことですか? キリトさん、もしかしてシュウさんにそう言わ……」
「シュウは……シュウは……今ココで死んだんだよ!!!」
 あたしの言葉を(さえぎ)るように、キリトさんはあたしに大声で言う。

 そして、あたしも大声で言葉を返す…
「そんなはずありません!! だってシュウさんは……」
「おれだって…信じたくないよ!!! でも…でも…現実なんだ……」
 キリトさんは一言話すごとに、だんだん力が抜けていき…最後に膝をついた…

「そんな……そんな事……」
 あたしは信じたくなかった……あのシュウさんが死ぬなんて…

 でも…あたしの目の前で今もキリトさんが泣いている……
 そのキリトさんの姿が、あたしを現実へ…そして、実感を分からせる…

 …そう…シュウさんが死んだ実感…

「シュウ…さん……シュウさん!! う…うう……シュウさーーん!!!」
あたしはキリトさんと同じように膝をつき、シュウさんのながら泣いた…

 そんなあたしを(なぐさ)める為か、肩の上から舌で顔の涙を《ピナ》がずっと()めてくれていた…



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 ……真っ暗だ…
 俺はついさっき、SAOでゲームオーバーになりHPが0になった…つまり死んだのだ…

 俺が死んだあの後、視界が真っ暗になってからまだ俺の頭に脳を焼くほどの痛みがない…
(もしかしてデスゲームの話は嘘か? ……でもログアウトしたならそろそろ目を覚ますよな…)
 俺はβテストの時の感覚から、そんな事を考えた。

 そしてさらに時間が経ち。
(…もしかして…すでに死んでる?)
 そう思うほどの時間は経っていた…もう3,4分は経っただろう…

 そしてそんな事を考えていると……突然アナウンスみたいな、機械声が聞こえ始めた…

[エラー発生!! プレイヤー《シュウ》が約3分37秒前にゲームオーバー…しかし、原因をより詳しく確認した結果、レベルアップによるHP加算にバグが応じていることが判明……よってこれより、プレイヤー《シュウ》をゲームオーバーした地点に蘇生します]

 ……は? なんだ? どういう事だ? ……つまり俺は生き返れる…のか?

 俺は必死に今聞いたことを理解する為に頭を働かせた。

 …今の機械声の通りなら、俺は生き返ることが出来るらしい…でもなんで? HP加算によるバグってなんだ……しかもレベルアップって…

 そうやって少し考えていた俺は、死ぬ直前の事を思い出し始めた。
 …あの時は確か、シリカの顔を見ていた他にはたしか………あ!

 俺はあの時、レベルアップした時の音が聞こえたのを思い出した。
(なるほど…やっと状況が分かった!)
 俺はようやく頭がすっきりした……つまりはこういう事だ。

 SAOはレベルアップの際にHPが加算される、例を出すと

<レベル:1 HP:250/250 ⇒ レベル:2 HP:500/500>となる。

 しかしダメージを受けた状態でレベルアップすると

<レベル:1 HP:100/250 ⇒ レベル:2 HP:350/500>となる。

 つまりこのような事が俺が死ぬ時に起こったのだ……まだ次のレベルアップが出来るほど経験値は溜まってないと思っていたが、どうやら他のプレイヤーがいなくなったお陰で、あのボスの経験値をかなり多く貰えたらしい…多分、シリカ達にもかなり多く貰えている筈だ…

 ということは、この待ち時間は俺が死んでからシステムがおかしいとすぐに思い確認して、その確認の残り時間か……今思うと我ながら運が良いのか悪いのか…
(どちらにしても、生き返ったらシリカに何か奢ったりしてあげよう……キリトにも何かしなきゃな…)

俺がそんな事を考えていると、また声が聞こえ始めた。

[蘇生を開始します!! カウント、5秒前,4,3,2,1,0……]



=========================



 あれからどれ位泣いていただろう……あたしはやっと心が少しマシになってきていた…
「シリカ」
 すると、近くにいたキリトさんが、あたしに話しかけてきた。

「俺はこれから先に次の層に行くよ……シリカはどうする?」
「あたしは……もう少し…ここにいます…」
「…分かった。じゃあな…死ぬなよ」
「……はい」
 そう言ってキリトさんは次の層に向かった。


「シュウさん…」
 あたしはキリトさんがいなくなった後、シュウさんの名前を呟き、また泣いてしまった……キリトさんには『死ぬなよ』と言われて『はい』と答えたが、あたしにはそんな自信が無かった…

 さっき気持ちが落ち着いてきた時に、シュウさんがあたしの中でどれだけ大切だったのか…そして大きかったのかが、よく分かった…

 なぜなら、あたしはシュウさんがいなくなっただけで、胸の痛みと怖さで震えながら泣き、動く事も出来ないからだ…

 怖い理由は、あたしは(シュウさんがいれば大丈夫)と心のどこかで思って、そして支えにしてきたらしい……なので、シュウさんがいなくなって急にデスゲームに実感が沸いてきて、このゲームが始まってから結構経った、今になって怖くてたまらない…

 そして怖さの振るえとは別に、もっと酷くて消えない痛みがある…
 …その痛みの原因は分かる……それは、シュウさんともう会えない事だ…

 シュウさんの顔や寝顔などがもう見られなく、そして声も聞くことも話すことも出来ない……
 そのことがあたしの胸を痛め、ポッカリと何かが足らなくなった気持ちになる…

 どうしてこんな気持ちになるのか…その理由が今泣きながら、シュウさんの事を考えてやっと分かった。

 それは、何度も何度も否定してきた気持ち……今になってみればなんであんなに否定していたんだろう?

(あたしは…シュウさんの事が……好きなんだ!!)

 ……あたしはシュウさんの事が好きで、シュウさんに恋をしていた…
 一回でもそう考えると胸の中にすっとその気持ちが入り、顔も熱くなり実感がわく。

(今はシュウさんの声や何もかもが、(いと)しくてたまらない…)
 そう思い、何度も何度もシュウさんの名前を呟いた……そして…

「シュウさん…なんで死んじゃったんですか…シュウさんの…シュウさんの……バカーーーーッ!!!!」
 名前を呟いていたら、だんだん勝手にいなくなったシュウさんに腹が立って、叫んだ……そしたら…


「えーと…その……何かゴメン、シリカ…」
「へっ!?]
 突然シュウさんの声が聞こえて、そしてシュウさんが消えた場所の上が光りだした。

 そして光が納まると……シュウさんがいた…
「シュウ……さん?」
「ああ、ただいま……そしてゴメン」
「本当の本当にシュウさんなんですね!?」
「そうだよ」
「幽霊じゃなくて?」
「ゲームの中に幽霊がいるか!!」
 あたしは信じられなくて何度の確認をした。その確認一つ一つにシュウさんは返事をしてくれた。
 けど、この声や姿、話し方などすべてがシュウさんだった…

「シュウさん!!」
「うわっ! シ、シリカ!?」
 そしてあたしは、シュウさんに我慢できずに抱きついてしまった…



==========================



「……落ち着いたか、シリカ」
 シュウさんは、そう言いながらあたしの背中を(さす)り、あたしが落ち着くのを待っていてくれた…
「……はい」
「それは良かったよ」
「それにしても、どうやって生き返ったんですか?」
「あ~それはな、実はな……」
 やっと落ち着いたあたしがシュウさんに疑問を聞いた。そしてその後にシュウさんがポーションを飲みながら説明する。その説明を聞いてあまりの事にあたしは呆れてしまった。

「…なんかさすがシュウさんと言うべきなんでしょうか? 凄すぎて言葉が出ません……それ、エラーが見つからなかったらそのまま死んでたんですよね?」
「いや~その通りなんだけど、でもエラーが無かったら俺は一度も死なずにすんだんじゃないか?」
「確かに…その通りですね」
「だろ? まぁ、生きてたんだから良いんだけどさ……それにしても死ぬ時ってあんなカンジなんだな…
やっぱりエラーのせいとはいえ、このSAOで一度死んで生き返れた俺の自分の運の良さにさすがに驚きだよ……それと気になるんだけど…シリカは俺が消えた時…心配した?」

 シュウさんが、あたしに真面目な顔で言ってきた。
「なっ!! 心配したに決まってるじゃないですか!! それに悲しかったですよ!!」
 あたしはシュウさんの言葉に大声で返してしまった。

「そ、そっか。心配してくれたのか……まぁ、泣きついてきてくれたしな……」
 そう言ってシュウさんは、顔を赤くしてあたしから目を少しそらした…
 そのシュウさんの仕草であたしは気が付いた。
(そういえば、さっきから顔が近いと思ったいたら、あたしシュウさんに抱きついたままだ!!)

「す、すいません、シュウさん!!」
「い、いやいいよ。ありがとな、シリカ…俺が死んで悲しんでくれたんだろだろ?」
「それは、するに決まってます!! だってあたしはシュウさんの事が……ッハ!」
 シュウさんの言葉に同意するのと同時に、あたしはついさっき気づいた気持ちを言ってしまいそうな事に気が付いた。

「ん? 俺のことが……何?」
「ッ!! な、なんでもありません!!」
「?……まぁ無理には聞かないけどさ…でも悲しんでくれた事は、素直に嬉しいよ…ありがとな//」
「……はい」
 シュウさんはあたしが悲しんだ事に笑ってお礼をしてきた……あたしはなんでお礼を言ってきたのか分からなかったか、その笑顔を見て再確認する…
(やっぱり……あたしはシュウさんが好きだ)

「あの~それよりそろそろ…この体勢(たいせい)をどうにかしたいんだけど…いいか?」
「え!? あ! す、すいません…今すぐ立ちま……あれ?」
 あたしが、シュウさんの事を考えていたら、シュウさんにそう言いわれて…立ち上がろうとしたのだが…でも…

「あの…シュウさん、ごめんなさい…」
「ん?」
「……腰が抜けて、立てません……」
「……は?」

 その後、恥かしいけどシュウさんが、あたしを背中に背負って次の層に向かい始めた。



=======================



 俺はシリカを背負いながら、ある事を考えていた。そしてその事を歩きながらシリカに言う。
「なぁ、シリカ」
「はい、なんですか?」
 シリカは俺の言葉に、俺の背中で返事をしてくれた。

「前にさ…俺が言った事覚えてるか……ほら、一緒に行動するかどうのって話だよ…」
「……はい…覚えてます…」
 シリカの声が小さくなった、けれど俺はそのまま言葉を続ける。

「十一層の攻略からは、どうするか後で考えようって話だったんだけどさ……その…これからはさ…」
「……ッ」
 俺の言葉を聞いているシリカは、俺に首に組んでいる腕に力が入った…

「…その…シリカが良かったらだけどさ……この先の層だけどさ……このままコンビで行かないか?」
「え!?」
 シリカは俺の言葉が予想外だったのか、おどろいた声が後ろから聞こえた…

 俺はそのままそう思った理由をシリカに言う。
「いや…その…やっぱりコンビネーションとか取りやすいし、これからソロになるのもな~…って思ってさ」
 俺の言葉を聞いて、その後シリカは
「…ここで降ろしててください、もう大丈夫ですから」
 と、言ってきた。

 シリカは降りると俺の前に立ち、不安そうな顔で言った。
「シュウさん…本当にまだ、あたしが一緒にいて良いんですか?」
「ああ、それに俺がいなくなっただけで泣いてるような女の子を一人に出来ないよ……」
「っ!! そ、そうですね……恥かしいですけど、こっこれからもよろしくお願いします!!」
 俺の返事で急に顔の表情が明るくなったシリカは、俺のOKと返事をしてくれた。

「こちらこそヨロシクな!!」
「はい、こちらこそ!!」
 俺は手を前に出してシリカ握手した……その時のシリカの笑顔は何故か顔が赤かった。


 その後十一層でキリトと会い、キリトに説明するのと同時に二人にご飯を奢ったのは言うまでも無かった。(ちなみにこの時《システム外スキル》をキリトに聞いたら、『俺はスタイルが崩れるから遠慮するよ』と言われて、キリトには結局スキルは教えないことになった)





 
 

 
後書き
すみませんが、テスト勉強の為、少しの間更新が遅れます..
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