スーパー架神大戦ダンゲロス
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開戦前日;side 生徒会
残ったのは十人か。
生徒会長、友釣香魚は数えた。
想定外の少なさだが、強力な能力の持ち主が揃っているのでまあ戦うことは出来るはずだ。
「あなたが残るとは意外です。副会長」
「あら。私だって生徒会の皆さんを助けたい、と常日頃から思っているんですよ」
と、どこかのお嬢様のような口調で話すのは十二歳くらいのロリ魔人。名を猟子という。
頭にケモ耳を生やし、お尻にはちゃんと尻尾も生えている。何の動物の耳と尻尾なのかはよくわからないが、恐らくネコ科だと思われる。
「‥‥そうですか。まあ、あなたがいてくれると心強いですが」
能力は強力とは言いがたいが、猟子の本質は魔人であることではない。
策士であること。参謀であること。残忍であること。人心掌握に長けていること。人の心理を知り尽くしていること。そして、狩る者であること。
優秀な補佐であり、友釣の右腕と言っても過言ではない。だが、時として残虐で、非道で、非情で、極悪とすら言える所業を行っているのを友釣は何度も目にしている。
コイツいざとなったら裏切るんじゃね? と思った時も数多い。実際今喋っている言葉遣いも若干演技臭い。
「裏切ったりはしませんよ」
と、友釣の心を読んだように猟子は言った。
「番長グループについた所で、私に利益なんかありませんし」
‥‥今のところは、だろ。
友釣は心の内で突っ込んだ。
理事長の命令に従わなかったところは別に怪しくない。猟子を常日頃から見ている友釣は彼女が理事長に素直に従うような性格ではないと知っているし、番長グループに人並み以上の注意を向けていたことも気付いていた。
おそらく、彼女の胸の内にある目的の中には番長グループの殲滅も含まれていたのだろう。
「‥‥作戦会議の前に相手の戦力予想ですね。誰がどのくらい残っているのでしょうか?」
番長グループにもハルマゲドン中止を知らせる紙は届いているはずだ。
だとすれば、向こうも参加するかしないかで揉めただろうし、最終的に参加するという結論が出たとしても戦力は大幅に減ったはずだ。
「向こうも生徒会と同じくらいだと思いますが」
大銀河超一郎は当然出てくるとして、アンチ生徒会の夜魔口悪夢の参戦も決まったようなものだ。彼女ならたとえ一人でも立ち向かってくるだろう。
そしてその二人に賛同する魔人の数を考えると結構な数になる。しかし理事長の通達と大銀河超一郎の性格も考慮に入れた場合、その数値は大幅に減る。
大銀河を支持する魔人は大銀河に止めろと言われたら止めるだろうし、夜魔口を支持する過激派魔人達も理事長と事を構える度胸のある者ばかりではない。
故に、集まっても精々十数人ぐらいと判断できる。
「ただ、参戦するであろう魔人は予測出来ても、能力がわからないんですよね」
「‥‥ですね」
猟子の鋭い指摘には同意せざるを得ない。
「しかし、能力以外のことはそれなりに情報が揃っています。"彼女達"の情報提供のお陰です」
筋力とか、速さとか、体の頑丈さなどは観察するだけでおおよそ検討はつく。
能力についてもまったく予想が出来ないわけではない。
例えば、夜魔口悪夢。
①過激派で幼女な夜魔口は色々な意味で狙われやすいのだが、未だに前後の処女は無事だし一度として戦いに敗れたことはない。
②襲いかかった者は皆、消えてしまった。どこに行ったかもわからない。生死も不明な状況だ。
③夜魔口の実家がヤクザであるという噂と何か関係があるのかもしれないと言われているが、それ以上の情報はない。
以上の情報だけでも仮説は立てられる。
襲撃者を全て返り討ちにしたことから発動に面倒な手順や条件は無いと考えられる。死体を残さないとなると消滅系能力で、ヤクザの家の出身ならば近接戦闘には長けているだろうし接触型能力と考えるのが妥当。
「まあ、決めつけてかかるのは危険ですが」
そうですね、と猟子が頷いた所で部屋の電話が鳴った。友釣が取り、通話を始める。
「はい、はい。‥‥そうですか、ありがとうございます。依頼金は部下に持っていかせます。また宜しくお願いしますね」
社交辞令で締めて受話器を置く。
その直後にまた電話は鳴った。友釣が再び受話器を持ち上げる。
「はい、友釣です。上手くいきましたか?‥‥よかったです。ありがとうございます。くれぐれも気を付けてください」
受話器を置き、猟子に向き直る。
「準備は整いました。秘密兵器は二つとも用意出来たみたいですね。これで出だしは私達が圧倒的に有利になります」
「ふふ。会長も中々覇道を身に付けてきましたね」
猟子と友釣は不敵に笑う。
ハルマゲドン開催まで、残り十二時間を切った。
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