デュラララ!! cross,world≠異世界の狂者達の宴
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不幸な不幸な幸せ
前書き
前回の続きです。
感想が聞きたいのでコメント下さい!
とあるヤクザの下っ端達の会話。
―――――あの話ってマジなのか?
――――――あの話って? あぁ~縁談の事か?
――――――マジらしいぜ。にわかに信じ難てぇけど。
――――――でも、なんで今頃《縁談》の話を受けたんだ? 何度も断って今回はOKっおかしくねぇか?
―――――そりゃあ―。まぁ、色々あるんだよ理由は。俺は知んねぇけど。
――――――んだよー。それじゃあ意味ねぇじゃん。
―――――――まぁ、そうなんだけどよ。
――――――――うちの組は更にでっかくなるなー。
―――――――そうだな。なんだって縁談相手の《マフィア》は日本でも有名なあの――――――。
―――――――あの、ボンゴレファミリーだからな。
包帯ぐるぐる巻き絶賛中の折原 臨也はパソコンの前でのんびりと時間を過ごしていた。
全治3ヶ月の怪我の治りは好調で若者は生命力で溢れてるわ~と病院の担当医師は言っていた。
あぁー。あの時、サイモンに殴られた時以上の痛みだ。
少し体を動かすだけで痛む体を無理矢理動かし慣れた手付きでノートパソコンのキーボードを打った。
受信メールの確認やらSkypeのチャットやら…………数えれば相当な量の文字を確認すると。
「暇だー」
暇だー。暇だ。暇だー。
全身を軋む様な痛覚は消えない。
でも、暇だ。知ってるかな? 兎は一人だと孤独死するって?
嘘か真実か? 知らないよ。重要なのは俺が暇って事さ。困ったねぇ~非常に困った。
最近は妙に街は静かだし暇だねー。俺は動物で例えると兎だから死んじゃうよ~。
火種は潰える。でもさぁー潰えたなら付け直せばいいじゃないか。
単純だろ? 合理的だろ? 至ってシンプルだろ? 消えたなら付ければOKだろ?
簡単な事さ。例えその火が憎しみの謳歌でも例えその火が人間の命を具現化した炎でもね。
折原 臨也は笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。笑う。
俺は蚊帳の外で構わない。
仲間外れでも構わないよ。
俺は蚊帳の外で羽音を鳴らしてやるのさ…………耳障りの様な雑音をね。
戻りたい。
戻りたい、あの一瞬。
手を伸ばせば戻れると信じたあの《頃》に。
池袋の治安を歪ませた殺人機『隻眼』は冬の寒気を耐え、標的の出方を待ち続ける。
懐のナイフを何度も何度も確認し隻眼の喰種は奴を待った。
顔の半分程度を覆ったマスクのチャックを締め直し奴を待った。
抑えられない衝動を抑え、懐のナイフを取り出し自分の足に突き刺し奴を待った。
時間感覚を失った脳味噌の思考は纏まっていた。
喰いたい。
ただ、それだけだ。
本能は人格を歪ませ普段の思考を掻き消す。
まるで誰かが、耳元で囁いてる様だ。
我慢するなよ。
食えよ、喰っちゃえよ。
食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。食え。喰え。喰え。喰え。食え。
涎が垂れる。
我慢する事を我慢する。
抑えろ、抑えるんだ。
僕は、人間なんだ…………人間なんだ。
人間なら死んでるよ?
君が仮に人間なら手元のナイフは君の足を腹部を貫通し大量出血で死ねるだろう。
でもさぁー。なんでナイフは君の体を貫通しないのかな? なんで逆にナイフが折れてるのかな?
認めろよ。認めちゃえよ、そうすれば楽に成れるし気分も良いぜ?
―――――――やだ…………食べたくない。
違うだろ。
食べたくないじゃなくて《喰べたくない》だろ?
認めれば楽なのにさー。なんで認めないんだよ。
割り切れよ、僕は喰種だ。人間じゃない《喰種》だってね。
君の選択肢は2つだ。
1つ 人間を喰らって生きる《喰種》を認め生き延びるか。
2つ 僕は人間だ、と主張し人間に《喰われるか》
さぁ、どちらを選ぶ? 僕なら迷わず最初の選択肢を選ぶけど君は往生際が悪いから《まだ》選べないのかな?
それでもいいよ。まだって事はいずれは変わるんだ。
その選択肢は仮初の選択肢だ。君が自分で望んで選択肢を選ぶのも一興だ。でも、選ぶなら急いだ方が良いよー。
君の我慢の限界を超えちゃ………………待てよ。
そうだ! なんなら君が新たな選択肢を作っちゃえば良いじゃん!
僕の作った選択肢なんて普通だしつまんないよね。ならさぁ~君の作った選択肢で君が自分の思考で選ぶんだ。
僕は君だ、君は僕だ。
君は白、僕は黒だ。
表裏一体だけど交わる事も出来る。君が望めば僕は、君は変われるんだ。
その変化は曖昧で君の思った通りじゃないかも知れない。それは僕も同じさ僕の望む僕なんて高望み過ぎて不可能だろうし。
でも、理想の僕に少しでも近付けるなら。
僕はどんな苦悩も惜しまない。僕はどんな試練でも乗り越えてやる。
だよね? 《白》金木君。
「オーイ銀さーん」
トントン・トントンとドアをノックする音。
うるせぇな~まだ朝の10時じゃぁねぇか。健全男子ならまだおねんねの時間だよ。
布団をかぶり直し耳栓を付け、天然パーマの青年は目を閉じた。
「銀さーん寝てんのか? 寝てんなら起きろよー」
うるせぇなー。睡眠学習の邪魔すんなよ。
昨日は飲みすぎて頭ガンガンするんだよ。マシでイライラすんだよ寝させろよコラ。
「しゃぁねぇなー」
ノックの音は止んだ。
やっと寝られるぜ…………待てよ。
嫌な予感が―――――――――――――
バキバキッゴキバキッ!!
予感は的中した。
木の割れる音だ、玄関のドアを折ったか割ったか穴開けたか…………ヤバイヤバイ!
銀髪天然パーマは瞬時に身の危険を察知し布団から脱出すると同時に枕元の仕事着を装着する。
ギシギシ…………アイツの足音だ!?
銀髪天然パーマはくるくると巻かれた髪の毛をセットする素振りで―――――――――。
「あれ? 起きてたんすか?」
「オッ、おぉー髪の手入れに時間が掛かってよ。
もうちょっとで終わるから待っててくれる?」
「解りました、外で待ってます」
そう言って平和島 静雄は部屋を出た。
た、助かった。髪の手入れをするふりをしながら心の中で呟いた。
数秒遅れてたら死んでた絶対死んでた…………危ねぇなオイ!
銀髪天然パーマは準備を整え死んだ魚の様な瞳で窓の外を眺めた。
今日も景色は変わらない。雨の日でも晴れの日でも曇の日でも雪の日でも池袋は変わんねぇな。
薄らと笑みを零し銀髪天然パーマの一日は始まる。
その偽りの当たり前を日常と感じながら。
上条 当麻は学生だ。
普通の高校生で学力は平均以下の《普通》の高校生だ。
喧嘩で鍛えられた筋肉とバイト先の先輩から教わった喧嘩殺法を除けば《普通》の高校生だ。
右手の存在を忘れ、自分は不幸な人間だと知りながらも異能の存在から忘れられ活用されない右手は喧嘩のみ活用される不幸な右手だ。
幻想殺しは平凡な日常だと無意味だ。
異能の力のみ無効化する右手は上条 当麻の記憶から消され存在自体を忘れている。
でも、それでも上条 当麻は今の生活に。
今の世界に満足感を覚えていた。
記憶から消えても刻まれた日々は上条 当麻の記憶から体から抜け出し残ったのは普通の高校生の普通の暮らし。
誰だって自分は特別な存在だと思ってる。でも、上条 当麻は自分を十分特別な存在だと自負する。
その理由は?
その根拠は?
簡単な事だ。
仲間達に囲まれ、皆、笑顔ならそれで良いじゃん。
金髪のバーテン男&金髪のスーツ姿の天然パーマは仕事の真っ最中だ。
仕事の内容は至ってシンプル!
借りた金を返さない奴に「金返せ(笑)」言って回る簡単な簡単なお仕事だ。
まぁ、後処理は困難だろうけど。
銀髪天然パーマは金髪バーテン男の後ろで待機する。
で、ヤバイ状況に陥ると助けるのが俺の仕事だ。
「ふざけんな!!!!!!!この野郎ッ!!!!!!!」
………………始まった。
まだ、大丈夫だと予想し銀髪天然パーマはアパート最上階からの景色を堪能する。
ホント変わんねぇな、人は変わっても街は変わんねぇ。
最近は街も大人しいし旅行するなら今がベストって感じたな。
あぁー最近、寿司食ってねぇな。仕事終わったら静雄を誘って露西亜寿司でも行くか~。
なら、賭けよう。もし、静雄が名前通りに静かに仕事を終わらしたら寿司を奢ってやろう。
大声はOKだ。仕事の関係上大声は見逃すぜ。でも、器物破損や怪我でもさせたら割り勘って事で。
まぁ、俺の勝ちだよね。
後ろを振り返ると空を舞っている青年の姿が見えた。
静雄の馬鹿力でぶん殴られたな~南無三南無三。一瞬の出来事でも慣れれば案外普通と感じてしまう。
「あのーすいません。救急車お願いします」
銀髪天然パーマも流れで救急車を呼び、静雄を落ち着かせる。
懐から煙草を取り出し静雄に与え、落ち着かせると同時に煙草の火を付けてやる。
そうすればものの数分で静雄の機嫌は良くなる。ニコチン切れてイライラしてんのか客の対応でイライラしてんのか知らんがもうちょっと手加減を覚えろって。
「今日のノルマまでもうちょっとだ、次の仕事終わったら寿司奢ってやっから頑張ろうぜ」
落ち着いた後の静雄は落ち込むので励ましの言葉を掛けてやる。
まぁ、静雄は静雄なりの苦悩が有るのさ。なら、それを支えてやんのが先輩ってもんだろ。
「よし、そろそろ行こうぜ」
若干…………照れた表情で静雄は。
「うっす」
改変された物語同士は微妙なパワーバランスで世界を構築している。
主体は《デュラララ!!》
池袋の舞台をベースに様々な物語が展開される。
ボンゴレファミリーは存在するがリボーンが存在しない世界。
そんな世界で沢田 綱吉は中指のリングを眺め、溜息を付いた。
変わらない世界だ、俺の日常だ。
彼の本質は知らず知らずの間、違和感を感じ今の日常を疑問を抱いている。
ボンゴレの血を受継ぐ者の定め《超直感》である程度の異変は気付いていた。でも、その異変は彼の平穏を脅かす物じゃないと判断できた。
握った拳の中身は《炎》大空の炎だ。
普通なら違和感で押し潰される筈の不自然に沢田 綱吉は笑顔を見せた。
死ぬ気の炎を灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。灯す。
灯された炎は暖かな優しい炎。
ズキズキ…………ズキズキッ。
先日から全身バキバキだ。
体中に無数の打撃痕から予測すると死ぬ気状態で喧嘩したって事だ。
脳のリミッタを外した状態での喧嘩は普通なら綱吉の圧勝だ。その筈なんだが…………この残った体の痛みはなんだろう?
想像するだけで気分が…………まぁ、相当な相手だったんだろう。
戦闘状態の時の記憶を忘れたのかな? 脳を揺らされて記憶障害を起こしたとか?
「ねぇ、獄寺君…………」
あれ? 獄寺君って誰だ?
謎の炎は世界を駆け巡った。その炎の色は黒、大空の属性では出せない色だ。
大地の属性でも不可能だ。なら、その炎は?
「逆転の炎【闇】」
「知ってるか? 俺の炎はマイナスエネルギーの塊だ」
「大空や大地の七属性は自然の加護を受けた神秘の炎。
でも、逆も然りさ。俺の炎は人間の『地球』の闇を具現化した象徴なんだよ」
「ほら、証拠のリングね」
「形はボンゴレリングと似てるかな?
先祖の………名前は忘れたけど。まぁー僕の先祖が似せて創ったって伝承で残ってるよ」
「俺の炎の特徴は《緩和》調和じゃないよ」
「特徴は全ての炎を吸収する、全ての炎の原点」
「黒炎って奴さ。全てをリセットする奇跡の炎」
「いや、奇跡の炎じゃ綺麗だな。撤回するよ」
「軌跡の炎――――――――あぁ、そうだね」
「原点は頂点、頂点は原点、最強は最凶なのさ」
「感謝するよ、次元の歪みを創った神様に」
如月 丐斗は割れた携帯の画面を嘆いていた。
機種変んしてまだ6日しか経ってないのに……当麻、ぶっ殺す!!
何故、新品だった携帯はひび割れ画面ピキピキなのか数分前を振り返る。
「最近バイトの給料アップしてさぁ~無茶苦茶嬉しい筈なんだけど…」
「なんだよ?」
「給料袋無くしちゃっちゃったテヘ」
「………」
「だからさぁ~親友の如月君にお金借りたいな~なんて」
「…………」
「今月厳しんです!マジ助けて!」
これで何度目だろうか? 呆れてため息も出ないよ。
まぁ、当麻は貸した金は1000円プラスで返す男だ。貸しても損はねぇし問題ねぇけど。
俺さ、最近パソコン買ったばっかりなんだよ空気読めよ。
財布の中身すっからかんなんですよ俺も今月厳しんですよって事で逃げますね、解ります。
「あー俺、バイトだったんだ。
いっけねー先帰るわー」
「おう、お疲れ~」
「って待ってッ!!!」
「待って逃げないでッ!」
「お前の事情は知らん!家帰って反省してろバカ野郎!」
全力疾走で走る。
だが、距離は離れない。
「お前、足速ぇな!」
「バイトで鍛えられた足腰舐めんな!フッはははははっははは」
「お前のバイトは知らんがグラック企業だろ!」
「否定はせん! だが、感謝する!」
「こっの~ドM野郎ッ!!!」
まぁ、そんなやり取りをしてればポケットから携帯はすり落ちる訳でして。
「テメェッ!俺の携帯壊れちゃったよ! 嘘だろ? マジか? マジなのか!?」
「現実見ろよ、手元の携帯は…………お前のだ」
肩をトンっと触りつつ上条は言った。
「如月……お前の携帯は今日、壊れる運命だったんだ。
だから壊れたんだよ。俺は神様は信じねぇが不幸って奴は信じるぜ」
「うるせぇ! 神様信じねぇのに運命は信じんのか!?ふざけんなよ!」
「あり? 俺、結構真面目な返答したつもりだけど?」
「………………」
返答する気力を失った。
まぁ、壊れたなら修理すれば………………って待てよ。
今回、保険入らず機種変したから修理するの結構金掛かるんじゃ…………。
「おワタ」
「おワタ? まだ終わってねぇぞ」
脳天気な奴だよ、お前は。画面割れてもスマホって使えるかな?
カチッと電源を入れると電源は付いた。なら使える! と思った矢先…………画面割れてて文字読めない。
一瞬、期待した俺の馬鹿!!
「ま、まぁ、携帯の件はバイト終わってからって事で。
ほら、バイトの時間に遅れるぞ!」
無理な笑顔で引きつった笑顔で場を和まそうと試みる上条…………余計腹立つわ。
まぁ、形ある物はいずれ壊れるのは自然の摂理だけど。あと数年は持って欲しかっな~俺のNewスマホ君。
「じゃぁ、俺は今日こっち方面だからじゃあなー」
「アッー! 俺も急がねぇと!」
2人の少年は別方向を走る。
如月のバイト先はパン屋。
上条のバイト先は?
「遅れましたッ!」
ヤベッ完全な遅刻だ!
殺される、殺されちゃうよ!?
「おー。減給なぁ」
「ちょっと待ってぇ!言い訳言わせてッ」
バイト先の社長は爪の手入れをしつつ呆れた表情で。
「俺はさぁー。上条、遅刻は良いんだよ。別に仕事をきっちりとしてくれりゃぁな。
まぁ、てめぇも学生だしあんま言えねぇけどよぉ。遅刻の常習犯は別だわな~」
「ギクッ」
「仕事の方は覚えたか?」
真剣な眼差しで社長は上条を見つめる。
まるでヤクザの様な…………あながち間違いじゃないけど。
「はいッ 覚えましたボス!」
軍隊の兵隊の構えで証明する様に言った。
「なら、今日は静雄と…………誰だったかな~最近雇った銀髪の天然パーマ?」
「あぁ、銀さんですね」
「おぉー。そいつだそいつ。
今日は3人で粟楠の糞ジジィの野郎の護衛だ」
――――――――――? ? ?――――――――護衛?
あれ? 俺のバイト先って借金取りじゃなかったけ?
平然と借金取りのバイトしてる俺の聞き間違いかな?
「本業と関係ねぇーって顔してんな」
俺の表情を読んで社長は言った。
ホント、人の考えてる事を当てるな。そんな表情で解るのか?
「今回は特別だ、特別。
なんでも今度、粟楠の糞ジジィの孫の…………名前は忘れたが結婚するとかなんとか」
「はぁ?」
「まぁ、その孫の結婚をあまりよく思ってねぇ奴らがいる訳よ、それで護衛込で使える人間を数日寄越せってよ。
静雄を送りゃぁ完璧だろ? アイツは人類最強の男だからな」
的を射えてる様な外れてる様な。
社長からの仕事なら断れないし受けるしかないよな。
「解りました、受けますよ」
「おぉ、頼むぜ。
仕事着ばっちり決めて行けよー」
上条 当麻のバイト先は世間から見れば悪質な商売だと。
悪徳業者やらヤクザやら…………懲り懲りだよ。
結構まともな正当な仕事だと思えるのは多分、上条は普通からズレ始めてるからだ。
最初のズレは小さな《小さな》きっかけだった。
何故か、俺は異質な非日常を驚かない体質だった。
何故か、普通を非日常だと思え、非日常を普通だと思えた。
多分、上条 当麻は変わった人間なんだと普通の人間なんだと…………上条は不幸な人間だ。
その不幸すら幸せなんだと笑顔で上条は認めた。不幸すら幸せなんだ、俺は幸せな人間なんだ。
懐かしい感覚を日々、感じ。彼は生きる。
あぁ、今考えれば何故、俺は借金取りのバイトをしてるのか解り始めた。
普通じゃない非日常を求める為なんだろうな。なら、納得できるかも知れない。
「上条ー。仕事の時間だ」
「遅せぇぞ~ボサボサ頭」
「アンタに言われたくねぇよ。銀髪天然パーマ」
平和島 静雄。
坂田 銀時。
上条 当麻。
異質な世界からの奇妙な巡り合わせは奇妙な物語を紡ぎ始め新たな世界の始まりを告げる。
異能から見放された。
異能から見離された。
世界から否定された。
とある世界から消えた上条 当麻は普通の高校生だ。
白夜叉と恐れられ現在は借金取を本業に生きる坂田 銀時。
元から異質な世界の住人 平和島 静雄。
交わると消え、消えると交わる存在達は。
餓えている。
飢えている。
血の乾き、普通じゃぁ味わえない異能って奴に。
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