恋姫†袁紹♂伝
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第29話
前書き
~前回までのあらすじ~
村人A「なんだあれは、たまげたなぁ……」
村人B「あのさぁ……」
迷族「全速前進DA!」
☆
軍師×2「「お! 両膝開いてんじゃーん(歓喜)」
名族「止めてくれよ(絶望)」
☆
金髪覇王「もう来たの、はやくなぁ~い?(歓喜)」
良心&軍師「あっ…(察し)」
大体あってる
第29話
「貴方達は荷を降ろして頂戴。そこの人たちは各隊の天幕の準備を、それから――」
「程昱隊はごはんの準備です~。はやくしないとお腹を空かせた野獣呂布・文醜に食べられるですよー」
「麗覇様、他にご入用な物はありますか?」
「うむ、我が天幕とは別に大き目の物を用意して欲しい」
「大き目の天幕……畏まりました」
連合の陣地に到着した袁紹は、逸る気持ちを抑えつつ桂花達と共に指示を飛ばしていた。本来ならすぐにでも妹の顔を見に行きたいところだが、彼には総大将としての仕事がある。
「失礼します。曹操様とその家臣達が来ておりますが、いかが致しましょう?」
「真か!? あ、いや……此処に案内を」
「ハッ!」
華琳の到着を知らされ、数瞬顔を輝かせ――引き締める。
家臣の目の前では、名族として威厳をもった当主でありたいと願っている。最も、ほとんどの家臣達は彼の二面性を知っているので、今更肩に力を入れたところで余り意味は無かった。
「お久しぶりで御座います袁本初様、多忙の中私達のために時間を割いて頂き――」
「や、止めよ華琳! お主のその言葉使い、何処か恐怖を感じるぞ!!」
袖口を引きながら「見よ、鳥肌が立っておる!」と訴えかけてくる袁紹を見て、華琳は満足そうに微笑む。
奇襲は成功である。
「あら、『親しき仲にも礼儀あり』でしょう?」
「それは社交界の場だけでよい。此処には我とお主、その家臣しか居らんのだぞ……」
「ふふふ、冗談よ」
「華琳の冗談は心の臓に悪いものばかりだ……とは言え」
袁紹は両腕を大きく広げる。
「良く来た華琳! 我はお主を歓迎する!!」
「ありがとう……それで? その格好には何か意味があるのかしら?」
両腕を広げたまま制止している袁紹に華琳は訝しげに尋ねた。始めは大げさに歓迎を表現するためかと思っていたが、何か意図があるようだ。
「歓迎の抱擁である! 我が友華琳なら、これを受けるに値するぞ!!」
「…………」
案山子のような格好の理由がわかった華琳は、一瞬目を丸くし、素の表情に戻る。
「結構よ、私はそこまで安くないの。それに――」
袁紹の背後に視線を移し、口を開く。
「……命が惜しいもの」
「む?」
その言葉に袁紹は、今まで華琳に向けていた意識を自身の背後に向けた。背後、袁家自慢の将達である。
――後ろを振り向けん!
彼の背後から漂ってくるのは、殺気に近い怒気であった。誰が発しているかなど考えている余裕も無い。袁紹は冷や汗を垂らしながら、事態を収束させようと口を開いた。
「ふ、フハハ! 我が名族冗談を見切るとは、流石華琳であるな!!」
「冗談……なのね」
「!?」
両手を胸の前で合わせ俯く華琳。『乙女心を傷つけた名族の図』完成である。
ここまでくると冷や汗を通り越し、脂汗が流れ始める。先程とは違い、今は前方からも怒気が溢れている。
前方――春蘭、秋蘭を始めとした華琳の家臣達だ。
「お、おい華琳……早く誤解を解かねば我が身が――!?」
ついに自分の手に負えなくなったこの状況を打開するため、それが出来るであろう華琳に袁紹は話しかけ――気が付いた。
彼女の肩が小刻みに震えている。笑いを堪えているのだ!
そして、傍から見れば主が涙を流しているようなその構図に、彼女を最も敬愛していると自負していた春蘭が――弾けた。
「何はともあれ久しぶりだな華琳。元気そうでなによりだ」
「ええ貴方も……とは言えないわね」
ボロッという擬音が聞こえてきそうな袁紹の姿を見て、華琳は楽しそうに笑う。
先程は大変だった。臨界点を突破した春蘭が掴みかかることに始まり、それを止めようと、彼女と掴み合いを始める猪々子。二人をみかねて参戦した斗詩と秋蘭。
その騒ぎの渦中にいた袁紹は、豪華な服や自慢の髪に埃をつけ。見た目のギャップもあり、間抜けな格好になっていた。
「フム、何のことかな?」
「……え?」
そんな袁紹の『らしくない』姿を笑っていた華琳は。次の瞬間、目を見開いた。
何と袁紹の姿が元通りになっていたのだ。先程まで埃を被っていた迷族の姿は無く、そこにいるのは紛れも無い袁家の現当主。威風堂々とした名族であった。
「貴方、いつのまに妖術を使えるようになったの?」
「フハハハハ! 名族の威光があれば、埃のほうから離れるのだ!!」
――答えになってない。そう華琳は胸中でツッコミを入れる。
「おそろしく速い動作、アタイでなきゃ見逃しちゃうね」
大刀を背負っている娘がしたり顔で呟いているが。袁紹軍の面々は、覇王の娘が首を傾げている答えを知っていた。
その答えの前に一旦話しは逸れるが、袁紹の能力が高いことはもはや語るまでも無い。
その袁紹がさらに能力を飛躍的に上げる事象があった。彼の『こだわり』である。
顕著な例を挙げるとするならば、彼の理想。『満たされる世』実現の為にこれまで行ってきた政策の数々や、黄巾の乱における、人命を優先した大計略などである。
その他にも人材勧誘、南皮の拡張、魚醤とそれにまつわる商売など、彼が『こだわり』を持って行うことは、ことごとく成功させてきた。
上記だけを見れば万能な能力だが、実は無駄に発揮される事のほうが多かった。
その代表的な例は『御輿』だろう。なんの変哲も無い御輿とその担ぎ手達も、袁紹が上に乗ると一変。ありえない速度や俊敏な動きを可能にし、その力たるや、かの王佐の才を苦戦させるほどである。
このように袁紹が『こだわり』を持って行うことは、常人には真似できないものになるのだが、その中の一つに『身嗜み』も含まれていた。
名族として内も外もそうあろうとする彼は、見格好を整えることに余念がない。
特に髪にはこだわりがあるようで、手入れは一日も欠かさず。少しの乱れも許さない。
※止む終えない場合を除く(意味深)
そして話しは戻り、何故瞬時に見格好が整えられたかだが―――なんてことはない。ただ埃を叩き落としただけである。ただし『恐ろしく速い速度』で。
「はぁ……まあいいわ。貴方の規格外は、今に始まったことではないもの」
溜息を洩らしながら『麗覇ならしょうがない』と、華琳は無理やり自分を納得させる。
思考停止しているかのような安直な考え方は、彼女の苦手とするところだが。奇想天外な名族を友とし、私塾を過ごしていく上で身に付けていた。
袁紹のやる事なすこと全てに驚いていては、身体がもたないのだ。
「む、良く見ると新顔が多いではないか?」
「自慢の娘達よ、皆、挨拶なさい」
「華琳様の親衛隊隊長の一人で、秋蘭様の補佐を務めてます。典韋です! よろしくお願いします!!」
元気良く口火を切ったのは、短髪で淡い青髪の少女、典韋だ。
音々音の二回り年上といった感じだが。その瞳は理知的で、将来が楽しみな娘である。
「……華琳。いくら同姓とは言え、限度というものが――グフッ!?」
※無言の腹パン
「彼女は閨要員ではないわ」
「っ~~……とか言いながら、十分育ったら美味しく頂こうとか――おい華琳、何故目を逸らす」
やはり何か後ろめたい企みがあるのか、袁紹の言及に華琳は答えなかった。
(まだ……まだよ、あの娘達はまだ青すぎるわ。穢れを知らない少女もまた一興だけど、どうせ頂くなら期を見てから――つまり、あの娘達が性に興味を持ち始めた頃あたりで――)
そして何かを呟きながら自分の世界に入ってしまう。こうなるといくら聞いても反応は無いだろう。袁紹は渋々追求を諦める。
「流琉、自己紹介の時に真名では駄目だぞ?」
「あ!? そうでした!!」
「フフ……だが、聞き取りやすく丁寧な良い自己紹介だった」
「秋蘭様……ありがとうございます!」
妙なやり取りをしている袁紹達を他所に、秋蘭と典韋の二人は微笑ましい光景を作り上げていた。彼女達の様子を見るに、姉妹のような仲なのだろう。
面倒見が良く、褒めて伸ばす秋蘭。そんな彼女を尊敬し、多才に慢心せず己を磨き続ける典韋。
春蘭が聞けば嫉妬するだろうが、似合いの姉妹である。
「はいはーい、次はボク! 同じく曹操様の親衛隊隊長の一人で、春……夏侯惇様の補佐。許緒と言います!」
次に前に出たのは、典韋よりも長めな桃色の髪を頭上で束ねた。二つのお団子が特徴的な許緒だ。
典韋と変わらぬ年齢で、二人は幼馴染だとのこと。
元気良く自己紹介する姿は愛らしく、こちらも成長が楽しみである。
「へへーん、流琉より上手に挨拶出来たもんね」
余程嬉しかったのか、許緒は典韋に絡むような言葉を発した。
それを聞いた典韋は、頬を僅かに膨らませ反論する。
「む、季衣も春蘭様の真名を言いかけたじゃない!」
「でもボクは言わなかったよーん」
「私の言葉を真似て自己紹介したくせに」
「なにおー!」
「何よ!」
売り言葉に買い言葉。そんな調子で口論していた二人は、気がつくとポカポカと可愛らしく殴り合いを始めていた。
同い年で幼馴染、同じ陣営で同じ役割。互いに思うところがあるのかもしれない。
きっとこの二人は良き友であると同時に、高みを目指しあう好敵手ライバルでもあるんだろう。
見かねた夏侯姉妹が止めに入り、華琳が袁紹に謝罪を口にしたが。
彼は特に不快感を抱かず、むしろこの空気を好んだ。
袁紹が普段良く口にする名族の名は伊達ではない。彼と対面するほとんどの者は袁の名に萎縮し、何を話そうにも世辞や建前が前提になる。
内を晒しながら彼と会話できる者は少ない。名族に生まれ落ちた定めと、当の昔に受け入れてはいるが、寂しくもある。
故に、斗詩や猪々子を始めとした彼の家臣達。華琳や白蓮などの、萎縮することなく同じ目線で会話出来る者は貴重である。
そして二人の少女は、袁紹に萎縮することなく自己を表現した。彼はそれが嬉しいのだ。
最も、華琳と袁紹のやり取りで緊張が薄れただけなのだが――……。
少しして、二人の少女がお互いの姉貴分に取り押さえられると。まだ紹介を済ませていない三人が袁紹の前に出る。
ふと、先程まで騒いでいた少女達が気になり耳を澄ますと、離れた所で説教ほする声が聞こえてきた。
『駄目だぞ流琉。売り言葉に買い言葉になることは、流琉なら予想出来たはずだ』
『はい……、ごめんなさい秋蘭様』
『駄目だぞ季衣、徒手空拳の場合は相手の動きを良く見てこう。ダー! ズバッ!って感じだ』
『はい春蘭様!』
軽く諌める秋蘭の言葉に紛れ、妙なモノが聞こえた気がするが――きっと気のせいだろう。
「三羽鳥が一人、楽進。曹操様に見出され、末席に据えて頂きました。お見知りおきを」
袁紹が軽く現実逃避していると、残った三人の内一人、楽進が名乗りを上げた。
銀髪で前髪が短く、長い後ろ髪を編みこんでいる。鎧も最低限なもので、動きやすさを重視したものだ。
そして注目すべきは彼女の身体、そこに刻み込まれている無数の傷である。
それは女の命とも呼べる顔にまで達しており、彼女がこれまでどれほどの鍛練を積み、実戦で鍛えてきたかが窺える。
通常、身体の傷は奇異の目で見られるものだが、袁紹とその家臣達にそんな様子は無く。どこか不安に思っていたのだろう、楽進は後ろに下がりながら小さく息を吐いていた。
「同じく三羽鳥の一人、于禁! 阿蘇阿蘇あそあそでも有名な袁紹様に会えて光栄なのー!」
次に前に出たのは于禁。彼女も栗色の髪を編みこんでいるが、楽進が後ろに流しているのに対し、于禁は横に結びつけてある。
服装も、周りの者達の中で袁紹の次に派手であり、眼鏡の縁に至るまで彼女のこだわりが見える。
阿蘇阿蘇の愛読者ということもあり、お洒落さんだ。
※阿蘇阿蘇……この時代のファッション雑誌、良く袁紹が扉絵を飾る。
実物の袁紹に会えたのが余程嬉しかったのか、于禁は黄色い声を上げながら握手を求めた。
彼女の突飛な行動に袁紹は面を食らったものの、最終的には笑顔で応じた。
「最後は私やな! 三羽鳥の一の出世株、李典といいます。以後よろしゅう!!」
唐突に聞こえてきた関西弁、袁紹は特に驚きを見せない。理由は二つ。
一つは、感覚が麻痺していること。斗詩や猪々子を始めとした英傑達が女性だったり、黄巾を率いた張角達がアイドルだったりと、時代錯誤かつ『知識』と違うそれは。袁紹の感覚を麻痺させるには十分で、今となっては大抵のことに驚かなかった。
そして二つ目だが――それは袁紹の目線の先に理由がある。
(たわわな果実が実っている!)
何が、とは言うまい。李典の可愛らしい顔立ちや、髪留めでツインテールにしている薄紫の髪形など、彼女を客観的に評価する部分は他にもあるはずだが。彼女が持つ豊かなそれは、他の印象を鈍らせるほどに破壊力を――
袁紹はかろうじて李典の顔から目を動かさなかった。少しでも油断すれば目線が下がるため、必要以上に目力が入り、李典が首を傾げている。
(さすが麗覇。彼女の才を見抜いたようね)
そんな袁紹を見て勘違いしている娘がいるが――触れないでおこう。
「ちょっと麗覇様」
華琳達を目力で誤魔化した袁紹だが、流石に付き合いの長い家臣達は騙せず。頬を引き攣らせた桂花が顔を覗き込むように、語りかけてきたが――
「あら、貴方が荀彧ね。噂は色々聞いているわ」
「え!?」
華琳に声を掛けられ動きを止める。ただ話しかけられたようだが、実は違う。
「な、何故私の名を?!」
別に桂花は自分の名を低く見ているわけではない。やる事なすこと全てが派手で豪快な袁家の軍師なのだ、桂花の名は嫌でも大陸中に広がる。華琳がそれを知っているのも当然である。
しかし二人は初対面だ。互いに面識が無く、名と活躍を知るだけなのに、他にも袁紹の家臣である娘達がいるなか、迷う事無く名を言い当てたのだ。
「……袁家の知、荀彧は有名だもの。知らないほうが可笑しいわ」
「そんな、光栄ですぅ」
かつての憧れ、曹孟徳に賞賛の言葉を掛けられた桂花は、顔を蕩けさせ喜んだ。
彼女の反応に華琳は満足そうに微笑む、荀彧と言い当てることなど簡単である。
袁紹には有名な二つの知がある。一人は桂花、二人目が風だ。
華琳と風はすでに面識がある。ならばもう一人、風と同等かそれ以上の知の空気を纏う者など、袁紹の周りには一人しか居ない。簡単な消去法である。
当の桂花は感激しているので、タネをばらすまでもあるまい。
「……フフ」
「む!?」
華琳が蠱惑的な笑みを浮かべると、袁紹が身体を強張らせた。
あの表情には見覚えがある。私塾いた頃の話だ、袁紹に比べ優等生だった華琳だが、何か悪巧みするときには顔に出る。それがこの蠱惑的な笑みだ。彼女にとっては可愛い悪戯の心算らしいが、華琳の冗談や悪戯は心臓に悪いものばかりである。
その被害に遭うのは白蓮が多かったが、袁紹も幾度が標的にされていた。
今その笑顔を華琳が浮かべている。警戒するのも無理は無い。
「いい娘ね気に入ったわ、私の所に来ない?」
「……え?」
「勢力としては見劣りするかもしれないけど、優遇するわ。それに私達――相性が良いと思うの」
呆ける桂花の頬を撫でながらとんでもない発言をする。なんと大勢力の軍師を勧誘しているのだ。
しかも、その主の目の前で。
「……」
「どうかしら、悪くない条件だと思うけど?」
顔を伏せた桂花の耳元で、何やら囁いた後言葉を続ける。『条件』と言う最後の言葉から、曹操軍での待遇でも言われたのだろう。
桂花の表情は袁紹から見えない。
「お断り致します」
「……何故かしら?」
少しの間をおいて断りの言葉を口にする桂花。ここまではっきりと断られるとは思わなかったのか、華琳は眉を僅かに吊り上げ不機嫌そうな顔をしている。
「私の主は後にも先にも袁本初ただ一人です。それに――」
「それに?」
「待遇で誓いを反故にする者など、曹操様が求める人材に値しない――と愚考致しました」
「…………フフフ、アハハハハ!」
「か、華琳様!?」
桂花の言葉を聞いた華琳は笑い声を上げる。それも、今までに見たことが無いほど豪快な声だ。
その証拠に、彼女の家臣達が目を丸くしている。
(見事、ますます気に入ったわ荀文若!)
先程の桂花の言葉、あれはただ断りを入れただけではない。
『待遇で誓いを反故にする者など、曹孟徳には値しない』この言葉によって、断られた華琳の面目は守られ、これ以上の勧誘を縛ったのだ。
勧誘を続ければ華琳の名に傷が付くだろう。待遇で鞍替えする『程度』の者を望むのかと、それは彼女の誇りが許さない。
桂花はあの短いやり取りで、自分の意思を伝え、華琳の顔を立て、次に来る勧誘の言葉を断ち切ってみせた。
「貴女の意思は良くわかったわ。確かに、その『程度』の者など私の軍には相応しくないわね」
ここまで見事に切り返されたのだから、『今回』は諦めよう。しかし、やられてばかりなのも曹孟徳の名が許さない。
「それにしても冷たい主ね。家臣が勧誘されていると言うのに、何も口にしないなんて」
「……」
それは桂花にも気がかりだった事だ。彼女が以前斗詩や猪々子に聞いた話しでは、二人を欲した華琳に食って掛かったという。
(でも、私には……)
桂花は主に心酔している、もしやこの想いは一方通行なのだろうか。聡いだけに考え出すと思考が止まらず、桂花の表情は暗くなっていった。
それを確認して華琳は口角を上げる。これで袁紹が慌てればそれで良し、その惨めな姿に免じて仲を取り持ってやろう。我ながらやり過ぎた気がするし……と、反省しているのか良くわからない事を考え――目を見開いた。
袁紹が不敵な笑みを浮かべている。それは華琳の予想していた表情ではない。
「桂花の答えは始めからわかっていた。我が口を出すまでもあるまい」
「麗覇様……」
「……」
その言葉に顔を蕩けさせる軍師、内心舌打ちする覇王。
私塾にいた頃の袁紹なら慌てふためいたかもしれない。しかし彼も華琳と同じく多くを学び、育んできた。
此処に居るのは華琳の良く知る袁本初未熟者に在らず。数多の奇跡を成し遂げてきた袁本初袁家現当主だ。
(まあいいわ、いずれ貴方も含めて私のモノに――)
確かな信頼と絆で結ばれている、袁紹と桂花の姿に苛立ちが収まらない。
華琳はそれを自分の悪戯を利用されたから――と自己分析したが、実は別の感情であることを、この時の彼女はまだ知らなかった――
後書き
NEW!獣に大剣 夏侯惇
好感度 10%
猫度 「フシャー!」
状態 警戒
備考 主に近づく悪い虫と認識している
昔なら即座に斬りかかっただけに、成長している?
NEW!曹軍の精神安定剤 夏侯淵
好感度 20%
猫度 「私が懐く鳴くのはあの方だけだ」
状態 普通
備考 主の盟友と認識している
斗詩の相談に良く乗っていた
NEW!将来有望 典韋
好感度 10%
猫度 「え? え?」
状態 普通
備考 袁紹の雰囲気に好感を抱く
まだまだ未熟(意味深)
NEW!天真爛漫 許緒
好感度 10%
猫度 「ニャー!」
状態 普通
備考 名族は美味しい物食べているんだろうなぁ、程度の関心
まだまだ未熟(意味深)
NEW!生真面目武人 楽進
好感度 10%
猫度 「ハッ! ニャー……っ~~」
状態 普通
備考 袁紹軍の規律が気になる
傷に嫌悪感を出さなかった彼らを高く見る
NEW!今時の武人 于禁
好感度 40%
猫度 「ニャーなの!」
状態 尊敬
備考 阿蘇阿蘇の表紙を飾る袁紹に憧れを抱く
単純に高収入イケメンってだけでポイントが高い
NEW!カラクリ娘 李典
好感度 10%
猫度 「出資してくれるなら鳴いたるで!」
状態 普通
備考 カラクリには目が無い
袁紹の折りたたみ式御輿が気になる
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