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歌集「春雪花」

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 吹く風に

  散りしもみじ葉

   くくりなむ

 水面に恋ぞ

    写したりける



 紅く染まったもみじの葉がそよぐ風に舞い落ち、まるで川を染めるかのようだ…。

 そんな水面を見つめると…まるで激しく切ない恋心を写し出しているかのように思え…少し胸が痛んだ…。



 嶺に掛かる

  白妙見なば

    冬ぞ来む

 想いし影に

   落つる日溜まり



 山を眺めると、その頂に雪がうっすらと積り始めていた。
 それを見ると、あぁ…もう冬になってしまうのだなと、沁々思うのだ。

 秋は色鮮やかに世界を染め上げていたが…冬は銀色の雪景色となる…。

 彼は雪が消え掛かる頃に去った…。しかし、再び雪が降り始めても、彼は戻らない…。

 そんなことを考えていた私に、晩秋の陽射しはなぜか…彼を思い出させるような切ない日溜まりを作り出していた…。

 暖かく…どことなく物悲しい日溜まりを…。



 
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