転生とらぶる
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Fate/stay night
1140話
目の前の光景を見て、納得したような、納得出来ないような、そんな思いを抱く。
確かに俺達の前に存在しているのは、担任の葛木だった。
結局、俺が念動力で感知したのは、この葛木がマスターだった事が原因らしい。
となると、柳洞の方はどうなんだって感じではあるが……
実は、アサシンとキャスターのマスタがー、葛木と柳洞じゃないかと一瞬思った事もあったんだけどな。
ただ、疑問も残る。それは……
「葛木先生、貴方は魔術師ではなかった筈ですが、何故聖杯戦争に参加をしているのですか?」
凛がそう尋ねる。
そう、凛の言葉通りに葛木は魔術師じゃない筈だ。
……まぁ、衛宮のように実は隠れて魔術師だったとか、あるいはワカメみたいにかつて魔術師の家系だったという可能性はあるが……けど、そうなるとこの冬木のセカンドオーナーでもある凛の面目丸潰れだな。
何人モグリの魔術師が潜んでいることやら。
「キャスターが困っていて、参加して欲しいと頼まれたからだ」
「なるほど。ではお聞きしますが、魔術師ではない葛木先生が無理にサーヴァントと契約した事により、キャスターはその身体を維持出来る魔力を得られていません。その結果、一般の人達から強制的に魔力を集めることにより、それが街中で幾つも起きているガス漏れ事故という形で被害が広まっているのですが、その事についてはどう思いますか?」
ビクリ、と。一瞬前まで俺に対して殺気を叩きつけていたのが一瞬にして消え失せ、自分の隣に立っている葛木へと、どこか伺うような視線を向ける。
……にしても、こうして見る限りだとキャスターの様子に変わったところはない。
いや、確かに俺に対して強烈な殺気を叩きつけてきてはいたが、あくまでもそれだけだ。
俺が奪った、あのルールブレイカーとかいう妙な短剣は結局なんだったんだ?
「ふむ、そんな事をしたのか?」
「それは、その……はい」
葛木の言葉に不承不承認めるキャスター。
これは意外と、話して分かるタイプか?
そう思ったのだが……
「どうせなら、命まで全てを奪い尽くせば良かったものを。何故そうしなかった?」
「葛木先生っ!?」
葛木の口から出たのが予想外の言葉だった為だろう。凛……ではなく、当然俺でもなく、綾子の口から信じられないといった声が出る。
綾子にしてみれば、葛木は真面目な性格をした担任だって印象が強かったんだろうな。
だからこそ、とてもではないが教育者とは思えない台詞に我慢が出来なかった。
「なるほど、こうして見る限りだと確かに魔女のマスターに相応しいな」
「っ!? 貴方、また!」
今の一言で頭に血が上ったのか、先程は収まっていた殺気が再び俺に叩きつけられる。
『さて。挑発してみたのはいいが、どうする? 無難に俺がキャスターを、凛が葛木を、綾子はここで様子を見ているって感じで行くか?』
『待ってくれ。……あたしも遠坂の方に入れて欲しい。幸い武器はあるし』
念話で言葉を交わしながら、アサシンが持っていた長刀を手に持つ。
『いいの? ここで手を出せば、完全に聖杯戦争に巻き込まれるわよ?』
『構わない。教師の癖に、あんな……何故殺さなかった、だなんて。とてもじゃいけど許せない。何より、あんな言葉を平気で言える人を教師にしておきたくなんかないんだ』
決意の籠もった表情で言い切る綾子。
まぁ、半サーヴァントと化している今の綾子なら、マスターの1人くらいはどうとでもなるだろう。
長刀は使いにくいだろうが、元々が色々な武術を習ってきている綾子だから、使えない事もないだろいうし。
葛木が魔術師ではない以上、凛が出てきた時点で終わっていると言ってもいいが。
『……分かった、ならそれで行こう。凛、いいな?』
『ええ』
短く言葉を交わし、それぞれが自分のやるべき事を確認すると、俺達が念話で話している間に、向こうも準備を整えたのだろう。何らかの魔術で強化したのか、拳を光らせた葛木が俺達の方へと向き直る。
「ふむ、どうやらそちらも準備が出来たようだな。では、そろそろ始めようか」
呟き、それと同時に地を蹴り、凛を守るように前に出た綾子の方に……速いっ!?
とてもではないが人間とは思えない程の踏み込み。
それを迎え撃とうとしていた綾子だったが、葛木の踏み込みの鋭さは完全に予想を超えていたんだろう。
更に、振るわれた左拳は真っ直ぐに綾子へと向かうのではなく、奇妙な……まるで鞭のようなしなりを持ち、拳の軌道が途中でグニャリと曲がる、円弧を描くとでもいうような、そんな拳。
その動きは予想外だったのだろう。綾子に出来るのは、咄嗟に長刀を盾のように使うだけだった。
だがキャスターに強化された拳だからか、長刀で受け止めたのはいいものの、次の瞬間には長刀その物が綾子の手から弾き飛ばされる。
そして、再び拳が綾子目掛けて振るわれようとして……そこに凛の放ったガンドがマシンガンの如く放たれ、葛木がそれをことごとく拳で迎撃する。
その隙を突くかのように綾子は一旦葛木の前から離れ、先程吹き飛ばされた長刀を拾い上げる。
「そんな……私のガンドを素手で弾いた? 人間なの? 幾らキャスターの魔術で強化されているとしても、こんな……」
呆然と呟く凛。
確かにこのまま凛と綾子の2人だと葛木を相手にするのは危ないか。
となると、俺が出るのが最善策なんだが……
「宗一郎様の邪魔はさせないわよ」
先程まではマスターと呼んでいたキャスターだったが、今は既にその正体が知られたからだろう。堂々とその名前を口にする。
「貴方は正直危険よ。宗一郎様であっても、貴方を相手にすればあっさりと沈むでしょう。ですから……悪いけど、ここで大人しくしていて貰うわ」
「さて、簡単にそっちの言う事を聞くと思うか?」
視線の端で、葛木を相手にして凛と綾子の2人が戦っているのを見ながら、言葉を交わす。
半サーヴァントと言える身体能力を得た綾子だが、幾らスペックが優れていようとも経験の差はどうにもならない。長刀で何とか戦ってはいるが、防戦一方だ。
凛の魔術で牽制しているからこそ、何とか互角に近い状況に持ち込めてはいるが、それでも7:3、あるいは6:4くらいの割合で凛達の方がピンチだ。
……そう、信じられないことに、見て分かる程に葛木が実戦慣れをしているのだ。
幾らキャスターの魔力で強化されているとしても、あの強さはどう考えてもただの教師のものではない。
このまま戦闘が続けば、葛木に軍配が上がるのは間違いないだろう。
「ふふっ、馬鹿ね。わざわざこちらの手札を教えると思う? けど、そうね。私に降るのであれば貴方のマスターの命を見逃してあげてもいいわよ?」
葛木の強さに対して絶対の信頼を寄せているのだろう。笑みすら浮かべてそう告げてくるキャスター。
ちっ、これなら俺が葛木を相手にして、凛と綾子がキャスターを相手にするのが最善だったな。
けど、そうと分かった以上……
「そんな馬鹿な真似をすると思うか? やるべき事が、お前を倒してから葛木を倒すという事に変わっただけだ。それに……俺が、お前と葛木の2人を相手にしてどうにか出来ないとでも思ったか!」
その言葉と共に地を蹴り、一気にキャスターの懐へと飛び込む。
だが、向こうもそれは読んでいたのだろう。以前のようにローブを広げながら空中へと浮かび上がる。
同時に放たれる無数の魔力弾。
雨霰と降り注ぐ魔力弾だが、本当の意味で雨の如く無数に降り注いでいる訳じゃない。
その大きさは当然雨粒のように小さくもなければ、回避する事が出来ない空間的な余裕がない訳じゃない。
そのほんの少しの隙間を敏捷性の高さを活かして回避し、あるいは念動力で危険のない場所を察知しては、そこへと移動していく。
もっとも、幾ら回避出来てもこちらの攻撃は格闘である以上は届かない訳で……
「スライムッ!」
俺が叫ぶと同時に、空間に穴が開き、そこからスライムが姿を現す。
「出たわね。けど、私がそう簡単にやられると思って貰っては困るわ!」
キャスターの叫びと共に、今までと比べてもより一層濃密な数の魔力弾が放たれる。
一撃一撃の威力も高いその攻撃は、確かに制圧射撃として考えれば相当の効果を持つのだろう。
だが、例え一撃で地面を陥没させる程の攻撃力を持っていようとも、液体金属に近い性質を持つスライムにはほぼ無意味でしかない。
確かに魔力弾の一撃を食らえば、スライムは飛び散る。
だが、その飛び散ったスライムが落ちる地面は、既にスライムが存在している。
つまり、スライムの上にスライムの破片を飛び散らせているのと同様であり、その飛び散った破片はすぐさまスライムに吸収して元に戻る。
キャスターがやっている攻撃は、一見すると有効に見えるかもしれない。
しかし実際のところはただの時間稼ぎでしかなく、無駄に魔力を消費しているだけに過ぎない。
「無駄だ。そんな攻撃は幾ら食らっても、こちらのダメージにはならない。それより、そんなに悠長な攻撃をしていてもいいのか?」
その言葉と共に、後ろからキャスターへと斬り掛かるスライム。
境内に多くのスライムが既に広がっている以上、そのままキャスターの後ろに回り込ませるのは、そう難しい話ではない。
「させないわ!」
右手を背後へと突き出して魔力弾を放つキャスターだが、その分前や横に対する攻撃の密度が薄くなり……
「惜しかったな。スライム」
その言葉と共に、キャスターの下に存在していたスライムが刃となり、全方位からキャスターへと襲い掛かる。
「させないって、言ったでしょう!」
その言葉と共に、その場から瞬時にキャスターの姿が消える。
ちっ、転移魔術か。けどな……
「甘いんだよ!」
スライムの能力の1つでもある、探知能力。
熱探知や振動探知を使えば、キャスターがどこに姿を現したのかくらいは即座に判明する。
結果……
「けふっ」
俺の背後へと転移してきたキャスターは、空中に転移した瞬間に地面に存在したスライムが刃となって突き刺さり、キャスターの足から胴体に掛けて無数の肉片と化して地面へと散らばる。
ばしゃり、と。血を撒き散らかしながら地面へと落下したキャスターは、自分に何が起きたのか分からなかったのだろう。
周囲を見回し、それでようやく自分の下半身が斬り刻まれ、既に自分が上半身しかないことに気が付き、振り向いた先にいる俺へと視線を向け、次に凛と綾子を相手に戦っている葛木へと視線を向ける。
「そう……いち……ろう……さま」
その一言を最後に、キャスターの身体が霞のように消え去っていく。
散らばった下半身の肉片と同時に、やがてそれが徐々に上半身へと上ってきて……葛木の方へと伸ばした手すらも消えていき……そして、次の瞬間には数秒前までここにキャスターという人物がいたというのが嘘のように消え去っていた。
「ぐっ!」
同時に聞こえてきた苦痛の呻き。
そちらへと視線を向けると、そこでは凛の拳を打ち込まれてその場に埋まっている葛木の姿。
キャスターが死んだ事により、恐らく強化魔術が消えてしまったのだろう。
それでもあの動きを見る限りでは、元々かなりの強さを持っていた筈だが……
凛の強さは確かにある程度のものがあるが、それでもある程度のものでしかない。
少なくても、葛木をどうこう出来るような相手ではなかったのは事実。
「……手を抜いたな?」
「そうだな。……キャスターが死んだ今、私がやるべき事は既にない」
なんだか、中身が空っぽな……そんな感じがする男だ。
「どうした? 殺さないのか? 聖杯戦争というのは、マスターを残しておいてはいけないのだろう?」
視線をこっちに向けてくる葛木に視線を返し、改めて凛の方へと視線を向ける。
「どうするんだ? このまま放って置くわけにもいかないだろうし、始末するのか?」
「……この男はキャスターのマスターであっても、結局魔術師でもなんでもない人間に過ぎないわ」
「けど、遠坂! さっきのこいつの言葉を聞いただろ!?」
「ええ。冬木のセカンドオーナーとしては許せない。けれども、令呪の類も存在しないマスター、しかも魔力のないマスターがどうこう出来る筈もない。……この冬木の地のセカンドオーナーとして命じます。葛木宗一郎、貴方はこの冬木の地から去りなさい。2度と戻ってくる事は許しません。もし次に冬木に足を踏み入れた場合。その命を以て償って貰います」
「……承知した」
短く答える葛木を一瞥すると、凛の視線は俺と綾子の方へと向けられる。
「さ、帰るわよ。何はともあれ、今日でサーヴァント2人を倒したのは事実。これはかなり大きな収穫なんだから」
そう告げる凛と共に、俺は階段を下りていく。
一瞬葛木の方を見た綾子も、複雑な表情を浮かべつつも俺達の後を追ってきた。
……山門の付近には既にアサシンの姿はなく、どこか念動力に感じるものがあったが、周囲を見回しても特にこれといったものはなく、結局俺達はそのまま家へと帰るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:380
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1185
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