オズのポリクローム
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第八幕その五
「一緒にいるのはね」
「私のことが好きだから」
「だからなのよ」
それでというのです。
「私達もそうしてるの」
「そう、僕達も魔法使いさんにお会い出来て」
「嬉しかったんですよ」
「オズの国の偉大な魔法使い」
「その人にお会い出来ましたから」
「そして今も一緒にいられて嬉しいですよ」
「私は所詮手品師だったんだけれどね」
アメリカにいた頃の魔法使いはそうでした。
「それでこんなに好いて貰えるのは冥利に尽きるよ」
「そんなに嬉しいのね」
「嬉しいよ」
本当にというのです。
「誰だって人気者でいたいね」
「はい、確かに」
「それは私もだよ」
「だからですね」
「皆に好いてもらってしかも頼りにされる」
「これ以上いいことはですね」
「ないよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「だからなんですね」
「今の私は幸せだよ」
心からの言葉でした。
「尚且つ何時までも健康でいられて美味しいものもこうして食べられるからね」
「うん、ただね」
ここで腹ペコタイガーが言うことはといいますと。
「何時までも健康でいられることはいいことだけれど」
「これ以上いいことはないと思うけれど」
「いやいや、健康だからこそね」
腹ペコタイガーはジョージにも言うのでした。
「お腹が空くんだよ」
「ああ、君の場合はね」
「僕も健康だよ、だからね」
「いつもなんだね」
「食べてもすぐになんだよ」
それことというのです。
「お腹が空いて大変なんだよ」
「そういうことなんだね」
「それが困るね」
サンドイッチをむしゃむしゃと食べながら言うのでした。
「だってこのサンドイッチもどれだけ食べてもすぐにお腹が空くんだから」
「だからといって僕達を食べないけれどね」
「そんなことはしないよ」
腹ペコタイガーはトトにも答えました。
「僕には良心があるからね」
「だからだね」
「誓ったんだ、オズマにも他の皆にも僕自身にもね」
その誓いはといいますと。
「テーブル掛けから出たもの以外は食べないって」
「そう決めたんだね」
「そうだよ」
こうトトにも言うのでした。
「だから僕は皆を食べたりしないよ」
「それはいいことだね」
「うん、それにテーブル掛けは幾らでもね」
「食べものを出せるから」
「いいんだよ」
それこそというのです。
「だから僕テーブル掛け大好きだよ」
「腹ペコタイガーにとっても素晴らしい魔法の道具だよね」
「そうだね、けれどね」
「いくら食べてもなんだ」
「そうなんだ、健康だからね」
それで、というのです。
「すぐにお腹が空くんだよ」
「だから困るんだね」
「それが困るね、ただ健康であること自体はいいことだよね」
腹ペコタイガーもこのこと自体は喜んでいます。
「そのことはいいことだよ」
「その通りだよ、それにお腹が空いたら」
ジョージがまた腹ペコタイガーに言いました。
「また食べればいいし」
「だからだね」
「そう、健康であることはね」
そのこと自体はというのです。ジョージも。
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