転生とらぶる
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Fate/stay night
1139話
「きゃあああああああああああああああああああっ!」
周囲に響くキャスターの悲鳴。
その理由は、キャスター自身の武器でもある奇妙な短剣。
刀身が曲がりくねったその短剣は、どう考えても実戦用のものではない。
だが、キャスターはその短剣を迷いなく俺に突き刺そうとした。
つまり実際に戦闘に使えるような実用品ではないが、それでも何らかの効果を持つ短剣という事になる。
そして……事実、短剣が突き刺さったキャスターからは赤い光が周囲へと放たれていた。
あの短剣がどんな効果があるのか分からないが、念の為と、再び念動力を使用して短剣を引き抜き、再度キャスターへと突き刺す。
赤い光を放った影響で動けずにいるのだろうキャスターは、その短剣の切っ先を避ける事も出来ずにその身で受け止める。
2度、3度、4度。
……ただし、赤い光が放たれたのは最初の1回だけであり、それ以後は特に何がある訳でもない。
純粋に武器としての使い勝手は悪そうだが……
そんな風に疑問に思いつつ、それでもこの短剣をキャスターの側に置いておくのは色々と都合が悪いと判断し、先程アサシンの長刀や右手首を吹き飛ばした場所へと念動力で寄せておく。
他にも綾子の身体も凛の隣へと移動させる。
すると、短剣を引き抜かれるのを待っていたかのように、キャスターは俺を睨み付けてきた。
いや、フードを被っている以上顔は下半分くらいしか見えないが、俺に向けられている殺気から考えれば、まず間違いなく睨み付けている筈だ。
「貴方……よくも、よくもこんな真似を! 許さない、私とマスターの絆を切る者は、誰が相手でも絶対に許さない!」
その言葉を聞く限り、ここで一戦を交えるのか?
そんな風に考え、未だに無言で俺を押さえつけているアサシンの様子を窺うが、ふと気が付けば、既にキャスターの姿はこの山門前から消えていた。
……転移魔術か。さすがにキャスターってところだ。
「……で、お前はいつまで俺にくっついているつもりなんだ?」
「ふむ、そうだな。確かにキャスターからの命令も既に終えた。こうして男にくっついていても面白くも何ともない……な」
呟きながら、よろけるように後ろへと移動し、山門の柱へと背を預けながら座り込む。
何だ? 妙に弱っている。……まさか、サーヴァントが片手を失ったくらいで死ぬとも思えないんだが。
「どうした? 俺達を通してもいいのか?」
「ふむ、出来ればもう1度お主と立ち会いたかったのだが……残念ながら、既にこの身をこれ以上現世に留めておく事は出来ぬらしい」
「何でだ? 確かに右手を失ったが、言ってしまえばそれだけだろう?」
「……お主も既に知っているだろうが、私のマスターはあの女狐だ」
その言葉に、綾子を抱き起こしていた凛が一瞬驚愕の表情を浮かべるが、先程の令呪を使った光景を思い出したのだろう。すぐに納得して言葉を発さない。
「キャスターは魔術師。つまり、サーヴァントを召喚出来る前提条件は揃っている訳だ」
「うむ。お主の言う通りだ。もっとも、色々と裏技的な真似をしているらしいが。その代償として、本来のサーヴァントではなく私のような亡霊が呼び出され、更にはこの山門から移動する事が出来ず、そして極めつけにサーヴァントとしての私の存在感は些か薄い」
何だか色々と聞き逃せないような情報やら単語が入っていたが、それを聞く事はどうやら出来そうにない。
「つまり、お前はここで死ぬと?」
「うむ。死ぬというのはサーヴァントの場合は正しくないのだろうが、その認識で間違っておらん。今の私ではお主をどうにかするのは不可能だろう」
「……そうか。介錯はいるか?」
「ふっ、いらんよ。せめて風流に、冬の月に見送られて消えさせて貰おう。……ただ、出来ればでいいが、私に勝ったお主にあの長刀、物干し竿を貰って欲しい」
「いいのか?」
アサシンの予想外の頼みだったが、特に貰っておいて不都合もないだろうって事でそう尋ねる。
自分の武器を、自分を殺した相手……正確には死ぬ羽目になった相手に持っていって欲しいというのは疑問に思うが、元々アサシンは風流が云々とか、色々と突飛な性格をしていた。
それを思えば、この展開に思いつくのはそれ程おかしな話じゃないだろう。
「うむ。私の愛刀ではあるが、このまま私と共に消えていくのは忍びない」
「……言っておくけど、俺は刀を使えないぞ? つまり、持っていっても使う事はまずないと思ってくれ」
実際、あの長刀は確かに優れものではあるが、宝具の類ではなく、普通の長刀に過ぎない。
そんな長刀を武器として使うのなら、俺はいつも通りに格闘をメインに……念動力とスライムを使った戦闘の方がやりやすい。
「構わん。この戦いを最後まで見届けさせてやりたいだけだ。もっとも、武器は使ってこそ武器。出来れば戦闘で使って欲しいという思いはあるが、無理は言わぬよ」
「そこまで言うのなら、預かろう」
とは言ってもな。あれだけ長い刀身を持つ長刀だ。どう考えても普通に持ち歩くには邪魔でしかない。
そんな風に考えていると……
「ん……んん……」
気絶から覚めるだけだというのに、微妙に艶っぽい声を上げながら綾子が目を覚ます。
……なるほど。俺は戦闘をするから長刀を持ち歩けない。凛の方もいざとなればマスターとして戦闘に参加しなければならないからこそ、長刀を持ち歩けない。
であれば、それ以外の第3者にあの長刀を持っていて貰うのがベストか。
あれだけの大きさの武器は普通の女には持てないだろうが、幸い綾子は半サーヴァント。通常の人間よりも高い力を発揮出来る。
ただ、あの奇妙な形の短剣。あれは間違いなく何らかの宝具だろうから、綾子に持たせない方がいいだろうな。
「綾子、目が覚めたか?」
凛に頭を抱えられている状態で目を覚ました綾子。
何が起きたのか、自分がどこにいるのかも分からない様子の綾子に、声を掛ける。
「え? ……あ、うん。あたしは確か……変なマント? ローブ? とにかくそんなのがいきなり部屋の中に現れて……」
「そう。やっぱり家の結界を破られたのね。それとも単純にすり抜けられたのかしら。どのみち、幾らキャスター相手ではあっても、そのままにはしておけないわね。家に帰ったらどうにかしないと」
綾子の言葉を聞き、悔しげに呟く凛。
自分の本拠地にあっさりと侵入されたんだから、それも当然だろうが。
「とにかく、綾子をこのままここに置いておく訳にもいかないし、まさかこの状況で1人で帰す訳にもいかない。何しろ、キャスターの最大の切り札であるアサシンが敗れたんだからな。更に本人もあの短剣で妙な影響を受けているようだし、追い詰められている以上、また綾子を人質に取らないとは限らない」
「……なるほど」
俺の説明で大体の事情は理解したのだろう。少し嫌そうにではあるが、すぐに納得した表情を浮かべる。
まぁ、綾子の場合は色々と特殊だし、戦いに巻き込まれる可能性というのは間違いなくあるんだよな。
「つまり、あたしはこのままここにいればいいのか?」
「いえ、ここに残っても危ないわ」
ここに残ればいいのか、と尋ねる綾子に凛が首を横に振る。
「何でだ?」
「キャスターは空間転移という魔術を使うの。本来は限りなく魔法に近い魔術なんだけど、それを使いこなす以上は綾子1人をここに残しておけば、また人質に取られる可能性が高いわ。幾ら綾子が半サーヴァントではあっても、本物のサーヴァントであるキャスターには敵わないでしょうね。……筋力とかなら勝ってるかもしれないけど」
「遠坂、それは女に言う台詞じゃないと思うぞ」
筋力はサーヴァントより上と言われた綾子が、不服そうに告げる。
まぁ、そうだよな。サーヴァントって言ったら、普通は人より何倍、下手をすれば何十倍って力の強さを持ってる奴なんだから、そのサーヴァントよりも筋力が上とか言われれば、綾子としては嬉しい筈がないか。
まぁ、今回の場合は筋力が最低に近いキャスターだからこそだろうけど。
だが、凛はそんな綾子の言葉にそう? と首を傾げてから話を戻す。
「とにかく、後はキャスターとマスターが1人ずつと判明した以上、向こうだって形振り構ってないでしょ。さっきのアークエネミーが使った短剣にどんな効果があったのかは分からないけど、少なくてもアークエネミーに使おうとした以上は何らかの影響があるのは間違いないんだから。そんな状況で綾子が1人でいてみなさい、これ幸いと人質にしようとしてくるわよ」
「……なるほど」
事実、結界が張られていた凛の家にいたのに、その結界を突破されて人質になってしまっているのだから、綾子にしても慎重になるだろう。
少し緊張している綾子の肩を軽く叩いてやる。
「俺達と一緒に来ても、キャスターが綾子を狙うかもしれないが……心配するな。俺と一緒にいる以上はキャスターだろうが、バーサーカーだろうが、お前の事は絶対に俺が守ってやるよ」
「アーク……」
潤んだ瞳でこっちに視線を向けてくる綾子だったが……
「はいはい、ラブロマンスとかラブコメをやってる暇はないでしょ。とにかく、ここに残っているのはキャスターとマスターだけなんだから、後はとっとと柳洞寺に向かいましょう。……アークエネミー、その短剣本当に大丈夫なのよね?」
俺が持っている短剣に視線を向けながら尋ねてくる凛。……何だか微妙に不機嫌だけど、もしかして嫉妬だったりするのか?
そんな風に思いながら、凛の言葉に頷く。
「ああ、どんな効果があるのかは分からないし、調べている暇もない。ただ、何らかの宝具である以上、これを捨てたり破壊したりするのは勿体ないだろ。なら、俺が持っておいた方が、キャスターに奪い返される心配もない」
「そう。……言っておくけど、そこまで言ったからには絶対に奪い返されないでよ?」
「分かっている。……さて、やるべき事も決まったし、そろそろ行くか」
俺の言葉に凛と綾子が頷き、綾子はその手にアサシンの長刀を持ったままこっちにやって来る。
重さ自体はそれ程でもないんだろうが、その長さが長さだけに、微妙に取り扱いがしにくいらしい。
綾子もそれなりに武術の経験があるって話だし、当然剣道の経験もあるんだろう。ただ、それでもこんな長刀を使った事があるとは思えない。
「じゃあ、アサシン。俺達は行く」
「うむ。お主との戦いは、剣士を相手にしたものではなかったが、それでも十分に心躍るものだった。この身はもうすぐ消えるだろうが、それでもお主のような相手と最後に戦えたのは嬉しく思う。……行け」
山門の柱に寄り掛かったまま告げられたアサシンの言葉に、頷く。
本来なら、ここで問答無用にスライムで吸収すればいいのかもしれないが、こいつ自身がもう長くないと言っている以上、最後くらいは好きにさせてやりたいと思う。
既にこいつに俺達に対抗する手段はなく、冬の月を見ながら大人しく消えていきたいというのは、こいつの本心だろうから。
「ああ。……じゃあ、な」
短くそれだけを告げ、凛と綾子の2人と共に山門を抜ける。
……以前来た時には逃げ帰ったあの山門を、こうして何でもないかのように通る事が出来る。それはどこか不思議な感覚だ。
まぁ、今更そんな事をどうこう思っていてもしょうがないけどな。
そんな風に考えていると、凛が周囲を見ながら口を開く。
「少し急ぐわよ。アサシンが倒されたことは、遅かれ早かれ他のサーヴァント達が知ることになってもおかしくないわ。私みたいに使い魔を使っている魔術師がいてもおかしくない……どころか当然だしね。ならアサシンが消えた今こそ、一気にキャスターを倒そうとして攻めてくる相手がいてもおかしくないし」
「せこいな」
「あのね、綾子。これは別に正々堂々と戦う決闘の類じゃないのよ? 聖杯を求めて戦う戦争なの。相手が弱った時に攻撃するなんて、ある意味当然よ?」
とか何とか言ってるけど、凛はそういうのをやらずに正々堂々と戦いを挑むタイプなんだよな。
この辺は偽悪的、というのはちょっと言い過ぎだけど、それに似た面がある。
あくまでも魔術師であろうとしている、というか。
そんな風にしなくても、十分に魔術師っぽい感じではあるんだけど。
とにかく、俺、凛、綾子の3人はそれぞれ階段を上って行く。
柳洞寺まで続く階段はそれなりに厳しく、生徒の方の柳洞はこの階段を毎日通っているのを思えば、普通に凄いと思う。
現に、俺達の中でも凛が嫌そうな表情を浮かべて階段を上っているし。
俺はサーヴァントだから問題ないし、綾子の方も半サーヴァントで体力とかはかなり上がっている。
普通なら、筋力の調整とかに苦労しそうだけど、半サーヴァントだからか、それとも俺の力か……最初から普通に身体を使いこなす事が出来てたからな。
で、凛の方も体力的には問題ない。
けど、この階段を上がるというのが精神的にうんざりするのか、微妙に嫌そうだ。
まぁ、ここに誰か知らない奴でもいれば猫を被ってそんな表情を見せないんだろうが、ここにいるのは身体で見ていない場所がないって存在の俺と綾子だし、猫を被る必要はないんだろう。
そして、ようやく階段を上りきると……
「ふむ、遠坂、アーク、美綴か。こんな時間にどうした?」
境内にいた葛木がそう尋ねてくる。
それは、普通に考えれば自分を尋ねてきたクラスの生徒に声を掛けたといったところだろう。
……隣に、殺気を放って俺を睨み付けているキャスターさえいなければ。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:375
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1184
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