つまらない男
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第二章
「発言をよく検証しろ」
「しっかりとですね」
「その行動もだ」
「それもですか」
「よく検証してだ」
「どんな政治家か確かめるんですね」
「御前自身がな」
山本が自分で、というのだ。
「そうしろ」
「僕が検証してですね」
「どんな奴か確かめてだ」
「事実を検証するんですね」
「そうするんだ」
「枝野さんにしても」
「俺が思うあいつはだ」
その枝野はというと。
「政治家としても駄目で人間としてもだ」
「駄目ですか」
「最低と言ってもいい」
「そこまで酷いですか」
「調べればわかる」
「僕自身で」
「そうすればな」
「そうですか、じゃあ」
ここまで聞いてだ、山本は。
実際に枝野の発言や行動を調べてみた、そして。
枝野本人に取材する機会もあった、その枝野はというと。
ふんぞり返って出て来た、家鴨を思わせる顔も傲慢なもので。
少しぶつかったそこにいた自身の秘書にだ、怒鳴って言った。
「気をつけろ」
「す、すいません」
「髪の毛が乱れただろ」
セットしたその髪がというのだ。
「服に埃がついただろ」
「埃は取っておきます」
「当たり前だ、すぐに取れ」
頭ごなしに言うのだった。
「いいな」
「すいません」
「ふん」
枝野はふんぞり返ったままだった、秘書に埃を取らせてだった。そのうえで山本の主題を受けた。挨拶もそこそこに椅子に深々と座ってだ。
椅子に座ってもふんぞり返ってだ、彼は山本に尋ねた。
「今日は何の取材ですか」
「はい、実は」
山本は枝野と話した、取材はしたが。
しかしだ、その彼の態度は傲岸不遜でだ。しかも。
品がなくだ、下卑た笑みで与党の政治家の悪口を言い続けてだった。
その時にだ、彼はこうも言った。
「首相ですが」
「はい、首相は」
「強行採決ばかりしていますな」
「そのことについてですが」
山本は枝野にこのことに答えた。
「世論ではです」
「世論?」
「はい、野党が審議を拒否してです」
そして、というのだ。
「議論を妨害しデモ隊を扇動していると」
「デマですな」
枝野は不機嫌を露わにさせて答えた。
「それは」
「デマですか」
「そうです」
それに過ぎないと言うのだった。
「全てです」
「しかし先日です」
あえてだ、山本は枝野に話した。
「実際に野党は委員会室の前でバリケードを作り」
「与党議員の入室を妨害していたと」
「そうしていたのでは」
「あれは与党が悪いのです」
枝野は不機嫌な顔で答えた、脚を組み反り返らんばかりに座ったまま。
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