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オズのポリクローム

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第六幕その十

「こうして造ることが出来てよかったよ」
「人の役に立つから」
「魔法は人の役に立たないとね」
 その魔法を使える人の言葉です、そうしたお話をしつつです。
 皆はその建てものまで来ました、そして魔法使いが声をかけるとです。
 小さな女の子が出て来ました、淡い緑色の髪の毛にです。赤や青、黄色や緑といった雷の色が奇麗に配色された丈の長い生地の薄い服を着た可愛らしい娘です。目の色はライトブルーで唇は赤です。その娘がでて来て挨拶をしてきました。
「どなたですか?」
「ええ、私達はね」
 ポリクロームがです、その女の子に自分達のことをお話しました。そしてそのお話を聞いてからでした。女の子も自分のことをお話しました、雷の精霊の女の子だとです。
 そしてです、皆にあらためて言うのでした。
「それでポリクロームさん達がですか」
「ええ、雷があまりにも鳴るからね」
「気になって来てくれたんですね」
「普段よりずっと凄いけれど」
 こう女の子に言うのでした。
「どうかしたの?」
「そのことなんですけれど」
 少し考えてからです、女の子は答えました。
「お家の中に来てくれますか」
「入っていいのかしら」
「はい、どうぞ」
 女の子はポリクロームにすぐに答えました。
「中に」
「ええ、それじゃあね」
「実は困ったことになっていまして」
「この雷のことで」
「普段はこんなことはないんです」
 女の子はポリクロームにこのことを断るのでした。
「こんなに雷が荒れ狂うことは」
「そうよね、それがどうしてかしら」
「ですから」
「そのことをなのね」
「聞いてくれますか?」
 またポリクロームに言いました。
「お父さんのお話を」
「雷の精霊さん達の」
「そう、そして」
「どうしてこんな風になっているのか」
「お願いします」
 聞いて欲しいというのです。
「是非」
「やっぱり困ってるよね」
「はい、実は」
 女の子はジョージにも答えました。
「この状況には」
「普段はこんなに鳴らないから」
「というか詳しいことはお父さんからですが」
 それでもというのです。
「私達は普段雷を操ることが出来ます」
「私達と同じよね」
 女の子の言葉を受けてです、ポリクロームが言ってきました。
「そのことは」
「はい、ポリクロームさんは虹の精霊ですから」
「虹を自由に操れるわ」
「そうですよね、それと同じで」
「貴女達も雷を操れるわね」
「はい」
 そうだというのです。
「操れます、ですが」
「それでもなのね」
「今はそれが出来なくなっています」
「そのことがおかしいね」
 トトは女の子のお話を聞いて言いました。
「だから是非ね」
「はい、聞いて下さい」
 こう答えたのでした。
「お父さんのお話を」
「今からね」
「頼むわ。それにしても」
 ここで女の子はトトを見ました、その小さくて黒い長い毛を持つ犬を。 
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