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ドラゴンクエストⅤ〜イレギュラーな冒険譚〜

作者:むぎちゃ
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第四十八話 新たなる戦いへ 後編

 
前書き
雑魚戦の描写が苦手な作者です。
ボスも雑魚の戦闘も上手く書ける小説ドラクエ7の作者さんマジリスペクト。 

 
 何とか襲いかかってくる魔物を倒して、レックスとタバサの部屋にアベルとビアンカは辿り着いた。
 我が子の顔を見ると2人ともスヤスヤと安らかに眠っていて、それを見たアベルとビアンカはひとまず安心する。

「取り敢えず、2人を連れて皆と合流しよう」
「ええ、あなた」

 アベルがレックスを、ビアンカがタバサを連れ出すために抱き抱えようとしたその時、窓が破壊され外から新たにホークマンが5匹入ってきた。
 ホークマン達は真っ先にアベルとビアンカめがけて襲いかかる。
 アベルはホークマンを狙って、バギマを唱えた。荒れ狂う竜巻がホークマンに襲いかかるが、ホークマンもバギマを唱えることで相殺する。続いてホークマンの1匹がビアンカに斬りかかるがビアンカがメラミを放ち、そのホークマンを吹き飛ばした。
 残りの4匹は吹き飛ばされた仲間を全く気にせずに戦闘を続ける。ホークマンの2匹がアベルに向かい、後の2匹はビアンカに向かった。
 ホークマンはレイピアをビアンカに向けて振り下ろすがビアンカはこれを回避すると、ホークマン達にベギラマを放った。金色の火炎に包まれ、ホークマンは崩れ落ちる。
 それとほぼ同時に、アベルのバギマがホークマンを薙ぎ払った。

「最初出てきた時危ないって思ったけど、倒せて良かったわね。さ、早く子供達を連れてーー」

 ビアンカが後ろを向いた瞬間、ビアンカの口がホークマンに防がれた。
 ホークマンは深手を負いながらも不敵な笑みを浮かべ、ビアンカの喉元にレイピアを当てている。
 その意味はただ一つ、自分が下手な事をしたらすぐにビアンカは殺される。
 アベルが妻の命を握られて、何も出来ないでいるのを見てホークマンは醜悪な笑みを浮かべると、そのまま割れた窓からビアンカを連れさらった。
 何の抵抗も出来なかった自分をアベルは呪った。強く。強く。



 私達がレックスとタバサの寝室に着いた時には、ビアンカの姿はなくアベルがボロボロになった絨毯にひたすら拳を叩きつけていた。

「ねぇ、アベル。……ビアンカはどうしたの?」

 恐る恐るアベルに尋ねると、アベルは絞り出すようにして言葉を出した。

「ビアンカは……、ビアンカは魔物に連れ去れた……。僕は……ビアンカを人質に取られて……何も……何も出来なかった!」

 アベルはより一層強く、拳を叩きつけた。

「俺のせいだ……。俺が、もっと魔物を倒していれば……。本当に倒しているか確認していれば……」

 自分を責め続けるアベルを見ていられなくなった私はアベルの傍にしゃがんで言った。

「ねぇ、アベル。自分を責め続けても、何にもならないよ。だから、ビアンカを私達で助け出そうよ」

 アベルは拳を叩きつけるのをやめると、小さく頷いた。



 ビアンカを連れ去った手負いのホークマンの目の前には巨大な馬の魔物ーージャミが鎮座していた。
 
「俺が命じたのは、グランバニアの王子・王女だった。だがお前が攫ってきたのは王妃だった」

 ジャミは自分が腰かけている玉座の横をチラリと見る。
 そこには魔物によって拘束されたビアンカがいた。身動きは取れず、呪文も詠唱出来ないもののそれでも尚闘志を失うことなく馬の魔物を睨みつけている。

「予想外の事だったが、単に赤子を攫うよりもこちらの方が都合がいいな。では、ご苦労だった」

 ジャミはそう言って手負いの部下に、退出を促す。
 ホークマンが去った後にジャミは再びビアンカを見遣り、呟いた。

「さて、お前の夫や仲間がどうするか見物だなぁ?麗しきグランバニア王妃よ」

 

 

 




 
 
  
 
 

 
 

 

 
 
 

 
  
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