ドリトル先生の水族館
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第六幕その五
「だから僕にしてもね」
「興味があるんだよね」
「学者として」
「うん、論文も書いたよ」
そのバイカルアザラシさん達のそれをです。
「書いていて楽しかったよ」
「先生って色々と論文書いてるけれど」
「その中でこのアザラシさん達についてもなんだ」
「論文を書いたんだね」
「そうなんだね」
「そうだよ、じゃあアザラシ君達のお話も聞こう」
先生はお仕事のお話もしました。
「これからね」
「うん、じゃあね」
「これからね」
「アザラシさん達のところに行って」
「お話をしようね」
皆も先生のお言葉に応えてでした、そのうえで。
皆でアザラシさん達のところに入りました、まずは北極のアザラシさん達の方からでした。
お話を聞きました、その中の子供の真っ白なアザラシ君がです。
首を傾げさせてです、先生に訪ねて来ました。
「先生ちょっといいかな」
「何かな」
「僕今真っ白だよね」
その毛の色からのお話でした。
「そうだよね」
「うん、そうだよ」
「これっておかしくないの?」
アザラシ君は首を傾げさせて先生に尋ねます。
「お父さんとお母さんは違うのに」
「いや、君のお父さんとお母さんもね」
先生はアザラシ君に言います。
「そうだったんだよ」
「そうだったっていうと」
「そう、君の歳の頃はね」
「毛の色が真っ白だったんだ」
「君みたいにね」
「そうなの?」
アザラシ君はお父さんとお母さんにお顔を向けて尋ねました。
「お父さんとお母さんも子供の頃は真っ白だったの」
「そうだよ、ゴマフアザラシはね」
「子供の頃はそうだったのよ」
「昔はね」
「そうだったのよ」
「そうなんだ、じゃあ僕も」
「君も大人になったらね」
実際にとです、先生はまたアザラシ君にお話しました。
「お父さん達と同じ毛の色になるよ」
「今だけなんだ」
「絶対にそうなるから」
そのゴマフアザラシの毛の色にというのです。
「安心していいよ」
「じゃあ今の毛の色をから」
「変わっていくからね」
「よかった、普通にそうならね」
ゴマフアザラシ君は言うのでした。
「これからそうなっていくのを楽しみにしているよ」
「そういうことでね、他の皆は何かないかな」
先生は他のアザラシさん達にも尋ねました。
「困っていること、悩んでいることはないかな」
「この子程にはね」
「あまりないよ」
「これといってね」
「別にね」
アザラシさん達は先生に答えました。
「僕達も平和でね」
「天敵もいないし」
「ここは快適だし」
「食べるものもあるから」
それで、というのです。
「何もないよ」
「困ってることも悩んでることもね」
「だから安心してね」
「それは何より。じゃあ診察をさせてもらうよ」
先生はアザラシさん達の言葉に応えてでした、そのうえで。
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