FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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海戦
前書き
大魔闘演舞最終日の構想がいまだに3つほどあって困る・・・大魔闘演舞編って魅力的な分やりたいことが多すぎるんですよねぇ・・・
翌日・・・
『大魔闘演舞4日目!!本日の競技パートがまもなく始まろうとしています』
太陽がギラギラと照りつける中、ドムス・フラウの中心にはその太陽のように真ん丸の巨大な水の球体が用意されている。
『本日の競技は『ナバルバトル』!!海戦、海の戦いという意味です』
本日の競技名が発表される。ちなみにすでに各チーム参加者は決まっているみたいである。
『球状の水中競技場から外に出てしまったら負け!!最後まで残った者が勝者です!!ただし、最後に2人だけ残った時に特殊なルールが追加されます。それは『5分間ルール』。最後の2人になって5分、5分の内に場外に出てしまったチームは最下位になるというルールです』
つまり最後2位の8ポイントなんかに満足せずに上をより目指してほしいってことなんだろうな。見てる側からすれば盛り上がるけど、やってる側としては5分間は長い。
『言わば水中相撲っていったとこかね』
解説のヤジマさんがそう言う。
『楽しみですね、ありがとうございます』
『本日のゲストはシェラザード劇団団長、ラビアンさんです』
ラビアンさんは7年前にウェンディが初めての大仕事をした時の依頼主だった人。話したあとにかならず「ありがとうございます」をつけるのが特徴の人だな。
ザブンッ
チャパティさんたちが話をしていると、各チームの競技参加者たちが次々に水中競技場へと入っていく。
『各チーム着水していきます。蛇姫の鱗からはシェリア!!』
「昨日引き分けちゃった分、頑張るぞ!!」
昨日のバトルパートから引き続き出場のシェリア。昨夜のリュウゼツランドでの時と同じ青とオレンジのボーダー柄のビキニを身に纏っての参加である。
ザブンッ
『青い天馬からはジェニー!!』
「絶対に負けないわよ」
天馬からはニチヤさんのリザーブ枠としてジェニーさんが参加する模様。紫と黒の2色を使った豹柄のビキニを身に付けている。
ザブンッ
『人魚の踵からはソフィア!!』
「水って言ったら水着だもんね!!」ワクワク
人魚の踵からは昨日と同じくピンクのフリルのついたビキニを着ているソフィア。ただし髪型は変わっており、ウェンディのようなツーサイドアップになっている。
ザブンッ
『妖精の尻尾Bのジュビアも着水しました!!』
「水と言えばジュビア。これはジュビアの独壇場」
紫色を主とした水玉模様のミニスカビキニのジュビアさん。水の魔導士である彼女が一番有利かもしれない。
ザブンッ
「フフフッ、剣咬の虎ミネルバ、参るぞ」
青色の陸上のユニフォームみたいな水着を着た黒髪の女の人が着水すると会場の観客たちが一気に湧く。
『出ましたミネルバ!!この大歓声!!』
『剣咬の虎最強の6人が揃ったわけだね』
『ありがとうございます!!』
あの女の人がユキノさんが以前言っていたミネルバさんか。濃い目の化粧をしているからか、なんだか威圧感が他の参加者よりある・・・気がする。
『そして、妖精の尻尾Aからはルーシィ!!』
「あたしも負けられない。1日目の失態、挽回しなきゃ!!」
昨日破れたビキニと同じものを持っていたのか、ピンクの生地に星が散りばめられたビキニに星霊の鍵の入ったショルダーを腰に巻いているルーシィさん。1日目以来の参戦とあって気合い十分だ。
『これはまた華やかな絵になった!!各チーム女性陣が水着で登場!!』
『ありがとうございます!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!』
テンションアゲアゲのチャパティさんとラビアンさん。だけど1人忘れてますよ。
「あの・・・俺もいるんスけど。ワイルドに」
そう言ったのは赤いブリーフのような海パンを履いた四つ首の仔犬のロッカーさん。
『チッ、男かよ』
「って、舌打ちかよ!!」
ラビアンさんの豹変した態度に驚くロッカーさん。なんか扱いが可哀想だな。
『ルールは簡単!!水中から出たら負け!!まもなく海戦開始です!!』
参加者たちが互いを見据え、緊張感が高まってくる。
「ルーシィ!!頑張れよ!!」
「ファイトです!!ルーシィさん!!」
ナツさんと俺は自チームのルーシィさんに声援を送る。
「水中ならアクエリアスが使えるからな」
「いけるぞ、この勝負」
「はい!!」
グレイさん、エルザさん、ウェンディがそう言う。ちなみに余談だが今現在誰1人としてチームカラーの服を着ているものがいなかったりする。理由は昨日までの戦いでボロボロになってしまったから。
ナツさんやグレイさん、エルザさんはいつも通りの服を着てるしウェンディは昨日の帰り際に着ていた黄色のノースリーブのシャツと短パン。そして俺は白のパーカーに灰色のチェック柄のズボンを着ている。
というか他のチームはチームカラーの服とか着てなかったし、最初から必要なかったんじゃないのか?本当にマスターの趣味だったんじゃないかと疑問が残る・・・
ゴーン
試合開始を告げる銅鑼が鳴り響く。
『それでは、海戦開始です!!』
それと同時にルーシィさんが動き出す。
「早速だけど、みんなごめんね!!」
そういってルーシィさんが取り出したのはもちろんあの人の鍵。
「開け!!宝瓶宮の扉!!アクエリアス!!」
出てきたのは人魚のような星霊アクエリアスさん。水と言えばやっぱりこの人だよね。
「えぇっ!?」
「星霊!?」
シェリアとジェニーさんがルーシィさんの召喚したアクエリアスさんを見て驚いている。
「オオオオオッ!!水中は私の庭よ!!」
アクエリアスさんは持っている瓶を頭の上に置き、水の攻撃を放とうとした。
キラッ
突然アクエリアスさんの後ろで何かが光る。俺たちは忘れていた。とんでもない変態がこの競技に出ていることを。
「キャッチ!!」
ムニュッ
「きゃっ!!」
いきなり後ろからソフィアに胸を捕まれ思わず女性らしい声を上げるアクエリアスさん。思わぬハプニングに観客たちは大歓声。特に男性陣だが・・・
「今「キャッ」っつったぞ!!」
「か・・・かわいいな・・・」
アクエリアスさんなら絶対に言わないと思っていたことを言われ、ナツさんとグレイさんはそう言う。
「何すんだこのガキッ!!」
「ウニャッ!!」
アクエリアスさんはソフィアの手を払い持ってる瓶から至近距離でソフィアに水を放つ。あまりに距離が近かったため、ソフィアは返し魔法を発動することが出来ずに飛ばされていく。
そのまま場外に出るかと思われたソフィア。しかし・・・
「とぉっ!!」
「うおっ!!」
ソフィアが飛ばされたところにはロッカーさんがおり、その顔を踏み台にしてソフィアは場外に出るのを免れる。
ドスッ
『四つ首の仔犬脱落!!アクエリアスの攻撃を受けたソフィアに踏み台にされ、そのまま場外へと押し出されてしまった!!』
なんとソフィアの踏み台にされたロッカーさんはいきなりの脱落。それを見て四つ首の仔犬のメンバーたちは全員ガッカリしている。だけど・・・
『しかし!!残念がっているのは四つ首の仔犬だけ!!観客は女の子だけになって喜んでいる!!』
『ありがとうございます!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!』
ソフィアのアクエリアスさんへのセクハラとこの競技唯一の男性参加者であるロッカーさんの脱落により会場は大喜び。もちろん男性たちがだけどね。
「俺の存在って・・・なんだったんだ・・・」
ロッカーさんはソフィアに踏み台にされるわ脱落すると観客に喜ばれるわ、まさしく踏んだり蹴ったりである。
「やった!!これで誰に抱きついても大丈V!!」
ソフィアはそう言い次のターゲットに移ろうとした。しかし、そのソフィアに向かってジュビアさんか攻撃する。
「水流台風!!」
「おぉっ!?」
ジュビアさんの渦を巻きながら迫る水をソフィアは咄嗟に弾き、ジュビアさんの水とぶつけ合う。
「さすがに水の魔導士!!すごいパワーだね!!」
そういってジュビアさんを褒めるソフィア。しかしジュビアさんは怒った表情でさらに力を上げていく。
「昨日はよくもやってくれましたね・・・」
「ん?」
「ジュビアにあんなことやこんなことして!!絶対に許しません!!」
どうやらジュビアさんは昨日『ラブラブスライダー』でソフィアと一緒になった時にセクハラされまくったことに相当お怒りの様子。
「私もやってやるよ!!」
それに追加してアクエリアスさんもセクハラしてきたソフィアに向かって瓶から水を放出して攻撃する。
「甘い甘い!!」
しかしソフィアは左手でジュビアさんの水を、右手でアクエリアスさんの水を器用に返す。ソフィアが跳ね返した水と2人の放つ水が激しくぶつかり合う。
「あたしも頑張らなくちゃ!!」
力と力の戦いを繰り広げる3人とは別のところで、シェリアが両手に風を纏い、3人の様子を伺っているジェニーさんへとばた足で近づいていく。
「フッ!!」
「!!」
シェリアはアッパーの要領でジェニーさんを襲うがそれに気づいていたジェニーさんが寸でのところで攻撃を避ける。
「フフッ、私を甘く見ないことね」
ジェニーさんとシェリアはそのまま互いに攻撃を繰り出し交戦していく。
「このままじゃ埒が開かない・・・一旦戻るよ!!」
ソフィアに向かって攻撃し続けているアクエリアスさんが突然そんなことを言う。
「え!?なんでよ!?水中じゃアンタが一番頼りになるんだから!!」
ルーシィさんがそう言うとアクエリアスさんは頬を赤らめながらこう言った。
「デートだ♪」
「ちょっと!!」
慌てるルーシィさん。アクエリアスさんは何か言われる前にとすぐさま星霊界に帰っていく。
『なんと!!星霊のアクエリアス、デートに帰ってしまいました!!』
『女の子だねぇ』
『つまらん、チッ』
驚くチャパティさんとなぜか嬉しそうなヤジマさん、そして不満さを露にしているラビアンさん。
「あはははは・・・」
頼りのアクエリアスさんがいなくなってしまい、頭に手をやり笑って誤魔化そうとするルーシィさん。
「チャーンス!!」
ソフィアは左手の角度を変化させ、ジュビアさんの水をルーシィさんへと飛ばしていく。
「うわわわわ!!」
ルーシィさんは手足をバタバタとバタつかせ、その水から懸命に逃げようとする。
「バルゴ!!アリエス!!」
ルーシィさんは腰に着けた鍵を取りだし、2体の星霊を召喚する。
「お!!」
するとルーシィさんを誰かが抱えて上方へと逃げ、迫ってきていた水に対してモコモコの綿のようなシールドが引かれる。
「モコモコですみませぇん!!」
ガードしているアリエスさんはいつものモコモコ衣装が水着のような形になっており、その容姿と衣装に会場中が沸き上がる。
「セクシーガードです、姫」
「はぁ・・・危なぁ」
バルゴさんに持ち上げられ一安心のルーシィさん。ついでにバルゴさんも周りの人たちに毒されたのか、黒の水着で登場し男の観客たちが新たな美女たちの登場に目をハートにしていた。
『ありがとうございます!!』
アクエリアスさんがいなくなって不機嫌だったラビアンさんもこれには大喜び。手を合わせて拝んでいたりする。
「おぉっ!?また可愛い娘たちが増えたぁ!!」
男性客同様に目をハートにしたソフィアはジュビアさんの水を返すことをやめ、アリエスさんたちの方へと突っ込んでいく。
「ソフィアさん!!待ちなさい!!」
「ヤダよぉ♪」
ジュビアさんが泳いでいるソフィアを狙い水流台風を繰り出すが、アリエスさんたちの姿を見つけたソフィアは水の中とは思えぬ速度で泳ぎ、攻撃を全て避けている。
「アリエス!!ソフィアだけは近づけさせないで!!」
「は・・・はい!!わかりました!!」
猛スピードで突っ込んでくるソフィア。アリエスさんはそれに向かってウールボムを使ったシールドを作る。
「ワプッ!!」
スピードがつきすぎていたソフィアはシールドへと頭から突っ込み動けなくなってしまう。
「隙あり!!」
ジュビアさんはそのソフィアに向かって攻撃をし、動けないソフィアのお尻に水が当たり続けている。
「いたたたたっ!!赤くなる!!赤くなっちゃうから!!」
ウールボムで動けない上にお尻に放水が当たり続けて悲痛の叫びを上げるソフィア。なんだろう、日頃の行いのせいとしか思えないのだが。
「あたしもいいとこ見せないと!!」
「やれるものならやってみなさい!!」
一方そのことは別のところでは、シェリアとジェニーさんの一騎討ちの構図になっている。
「シェリア!!」
ウェンディが友人であるシェリアを心配し名前を叫ぶと妙な反応を見せた奴がいた。
『妖精の尻尾のウェンディたん!!』
「ん?」
『自分も戦いたそうです!!』
「「「??」」」
いきなりのチャパティさんの実況に訝しげな表情を浮かべる俺とエルザさんとグレイさん。
『昨日引き分けとるからね』
『今度こそ!!この手でシェリアたんを倒したいと言わんばかり!!』
「そんなこと思ってません!!」
チャパティさんの妙な解説に顔を赤くしてウェンディが反論する。今は純粋に友達の応援をしてるのであってそんな考えは微塵もなかったと思うぞ。
『ウェンディたんの戦いを私も見たかった。前にうちの劇団を助けてもらった節はありがとうございます』
前というと7年前のあれしかないよな。倒れて動けなくなったナツさんたちを運んだあの件しか。
『妖精の尻尾Aよ、なぜウェンディたんを出さなかったのかぁ!!』
『今からでも交代しろ!!ありがとうございます』
「うるさい!!」
ロリコンと思われるチャパティさんとラビアンさんに理不尽に責められるルーシィさんかなんだか可哀想な気がする。というかあんな奴等がいるのに俺のウェンディをこんな水着になるためのような競技に出すわけないじゃん。
「ぷはっ!!やっと脱出できた」
おかしな解説で盛り上がっていた間、ずっと動けなくなっていたソフィアがようやくウールボムから抜け出すことに成功する。
「昨日の分は返しましたし、全員まとめて倒します」
ジュビアさんはソフィアに対する仕返しも気が済んだのか、はたまたソフィアがウールボムから抜け出したからかは知らないが一度攻撃をやめる。
「水中でジュビアに勝てる者など・・・いない!!」
そう言い掌を上に掲げるジュビアさん。
「第二魔法源の解放により身につけた新必殺技!!」
上に向けられた掌に魔力が集中し、その周辺が渦を巻き始めている。
「届け!!愛の翼!!グレイ様・LOVE!!」
そういって振るわれたジュビアさんの腕。そこからは渦を巻く水とピンクのハートが放出される。
「やめろぉ!!」
ジュビアさんの新必殺技のあまりにストレートすぎる名前に顔を赤くして叫ぶグレイさん。しかしジュビアさんの必殺技は他の競技参加者たちを見事に捉えていた。
「きゃああああっ!!」
「わあああああっ!!」
渦に飲み込まれ外に飛ばされそうになっているジェニーさんとシェリア。
「フフッ、甘いよジュビアさん!!」
ソフィアは得意の返し魔法でジュビアさんの魔法を返そうとした・・・だが、
「ありゃ?なんだこれ?」
ソフィアの手にはたくさんの薄ピンク色の綿がくっついていた。さっきアリエスさんのウールボムに突っ込み逃げようとしていた際についたものだろう。
「ひゃあああああっ!!」
手についた綿のせいで魔法が使えずにシェリアたち同様に吹き飛ばされるソフィア。
「きゃー!!」
「痛っ!!」
「あう!!」
ジェニーさん、ソフィア、シェリアの順番で水中競技場から出て地面に叩きつけられる。
「フフッ」
3人が脱落した中、剣咬の虎のミネルバさんは全く動じることなく魔法を退けていた。
「モコモコガード全開です!!」
「姫、しっかり」
ルーシィさんもアリエスさんとバルゴさんの援護によりジュビアさんの『届け!!愛の翼!!グレイ様・LOVE!!』の攻撃をなんとか耐えていた。
『なんと!!ジュビアがまとめて3人も倒してしまった!!水中戦では無敵の強さだジュビア!!』
シェリアたちをまとめて倒したジュビアさんは両手を広げ、観客たちの大きな歓声に答えている。水中戦なら俺ぐらいしかジュビアさんへの対抗馬はいないだろう。でも前日出てしまった俺は見ていることしかできないのが残念だ。
「あ~あ・・・水中じゃ思ったように力出せないなぁ・・・」
「シェリアも頑張ったよ」
負けてしまいしょんぼりしているシェリアにウェンディが待機場所から優しい声をかける。
「むぅ・・・まさかこれのせいで負けるなんて・・・」
一方ソフィアは自身の手についている綿を見て頬を膨らませている。アリエスさんに抱きつこうとしなければそんなことにはならなかったぞ。
そして3人も倒したジュビアさんは自分の頑張る姿にグレイさんがどんな反応をしたのか気になり視線をこちらに向ける。
「・・・・・・」
グレイさんはジュビアさんの重すぎる愛に白くなり、ドン引きしているようだった。
そのグレイさんを見てジュビアさんは驚き呆けてしまう。すると・・・
「え?」
なぜかよくわからないが、ジュビアさんが水中競技場の外へと出てしまう。
「ジュビア!?」
「きゃうん!!」
突然場外に出たジュビアに驚くルーシィさん。ジュビアさんは胸から地面へと落下してしまった。
『大活躍でしたが残念!!場外!!しかしそれでも3位、6ポイント確定です!!』
ジュビアさんが脱落したことにより残るはルーシィさんといまだに目立った動きのないミネルバさんだけとなる。
だけどなんでジュビアさんは場外に出ちゃったのかな?特にこれといったミスをしたようには見えなかったけど。
『残るはミネルバとルーシィ!!ルーシィは一旦星霊を戻しました!!』
『魔力と体力の消耗を避けるためだね』
ヤジマさんの言う通り、星霊魔法は星霊を人間界に顕在させている間は魔導士の魔力をみるみる奪っていく。いくら第二魔法源を身に付けたとは言え、ここから導入されるルールを考えると長期戦が予想されるため、余計な消耗は避けなければならない。
『さぁ!!勝つのは剣咬の虎か!?それとも妖精の尻尾か!?』
チャパティさんがそう言うと、闘技場にセッティングされたタイマーのカウントダウンと砂時計の砂が徐々に下へと落ちていく。
『ここで5分間ルールの適用です。今から5分の間に場外になってしまった方は最下位となってしまいます』
『何のためのルールかね?』
『最後まで緊張感を持って見るためですよ、ありがとうございます』
長期戦が予想される理由はこの5分間ルール。ルーシィさんもミネルバさんも最下位になりたくないからこの5分間は絶対に耐えなければならない。
「妾の魔法なら一瞬で場外にすることもできるが、それでは興が削がれるというもの」
ミネルバさんは右手を体の前へと持ってきて、ルーシィさんに向かってかざす。
「耐えてみよ、妖精の尻尾」
ミネルバさんの手が光る。それと同時にルーシィさんの右横に同じような光の球体が姿を現す。
「何?これ・・・」
次第に大きくなっていく光。そしてその球体は大爆発を起こした。
「あああああ!!」
爆発によってダメージを受け叫ぶルーシィさん。
「熱!?水の中で」
「どういうことだ?」
水の中で熱が発生したことに驚くエルザさんと俺。
ドガッ
「うああっ!!」
「ルーシィ!!」
「なんだ!?あいつの魔法は!!」
次々とルーシィさんの周辺で爆発が起き、悲痛の叫びを上げるルーシィさん。
「今度は重い・・・鉛のような・・・やっぱり星霊を出さないと・・・」
頭を押さえていたルーシィさんは、ミネルバさんに対抗するためにと星霊を呼び出すための鍵を取ろうとする。
「あ・・・あれ?あたしの鍵が・・・」
しかしさっきまでルーシィさんの腰についていたはずのホルダーがなくなっている。
ジャラッ
複数の鍵が擦れ合う音が聞こえる。ルーシィさんはその音の方を見ると、そこには自分のホルダーを持ったミネルバさんがいた。
「いつの間に!?」
どのタイミングで鍵を取られたのか俺たちにもわからなかった。ミネルバさんはルーシィさんこ疑問に答えることなく、再び魔法を繰り出す。
ドガッ
「きゃああああ!!」
ミネルバさんの魔法により後方へと飛ばされるルーシィさん。
『ルーシィ!!このまま場外に出ると最下位だー!!』
ルーシィさんは手足をバタつかせ、なんとか最下位になるのをを避けようする。
ピタッ
その頑張りによるものなのか、ルーシィさんの背中が出かけたところで止まることができ、脱落を免れる。
「ほう」
競技場内に止まったルーシィさんに感心しているミネルバさん。
ドム
「あう!!」
今度は背中側から爆発が起き、ルーシィさんはダメージを受けてしまう。
「また熱い・・・やけどしそう・・・」
「「ルーシィさん!!」」
「鍵を取られちまったら、魔法が使えねぇ」
傷だらけのルーシィさんを見て俺とウェンディが叫び、グレイさんが心配そうにそう呟く。
「あたしは・・・どんな攻撃も・・・」
ドッドッ
水中競技場の中心部に移動するルーシィさんにまたも爆発が襲いかかる。しかし、
「耐えてみせる!!」
ルーシィさんはそれをものともせず、安全圏内である中心部に少しずつ足を進めていく。残り時間はあと1分と5秒。
「そろそろ場外に出してやろうか?」
余裕な様子のミネルバさん。ルーシィさんはすでにフラフラのため、今攻撃されたらとてもじゃないが耐えられそうにない。
「こんなところで負けたら・・・」
「ん?」
「ここまで繋いでくれたみんなに合わせる顔がない!!」
ルーシィさんは血が出ている左腕を押さえ、痛みに顔を歪ませている。そんな中でも、彼女は決して俺たち仲間のことを忘れることなく、むしろ第一に考えてくれているのだった。
「あたしはみんなの気持ちを裏切れない!!だから絶対・・・諦めないんだ!!」
闘技場に響くルーシィさんの声。それと同時に、猛攻を仕掛けていたミネルバさんの手が止まる。
何も起こらないまま時間は流れ、いよいよ30秒を切った。
『ど・・・どうしたのでしょう?ミネルバの攻撃が止まった?そして・・・そのまま・・・』
0:00
『5分経過!!』
砂時計の砂が全て落ち、タイマーも5分ルール終了を告げる。
「よしっ!!」
「やった!!」
ナツさんと俺はルーシィさんが頑張って耐えたおかげで最下位を脱したことに小さくガッツポーズする。
『あとは順位をつけるだけとなった!!』
チャパティさんがそう言うと、ミネルバさんが突然右手を引き魔力を溜める。
ズガガガガガガ
「うああああああああ!!」
「ルーシィ!!」
さっきまでとは比べ物にならないほどの爆発がルーシィさんのボロボロの体を強襲する。
しかしミネルバさんの攻撃は止まることを知らず、次から次へと圧倒的なまでの爆発がルーシィさんへと襲いかかる。
「頭が高いぞ!!妖精の尻尾!!我々を何と心得るか!?我らこそ天下一のギルド!!剣咬の虎ぞ!!」
何がミネルバさんに火をつけたのか、よくわからないまま彼女の怒濤の攻撃は続いていく。
「きゃああああ!!」
ルーシィさんはついに耐えきれなくなり、水中競技場の場外に向かって落ちていく。
『これはさすがに場外・・・』
ぎゅるん
『消えた!?』
場外に出るはずだったルーシィさん。だがその体は場外に出る直前で消え、
「ああああ!!」
ミネルバさんの前へと現れ、背中にキックを入れられている。
『場外へ吹っ飛ばされたルーシィ!!なぜかミネルバの前に!!』
「奴の魔法か?」
「なんでわざわざ戻したんでしょうか?」
困惑しているチャパティさん。エルザさんとウェンディも何がなんだかわかってないようだ。
「痛め付けるつもりですか・・・」
「もう勝負はついてんだろうが・・・」
俺とグレイさんが明らかに決したはずの戦いをあくまで続行し続けるミネルバさんに怒りを覚え始める。
『今度はボティブロー!!魔力を使わなくてもすごいパワーだミネルバ!!』
『あまりひどいことはしないでください。ありがとうございます』
ゲストのラビアンさんもミネルバさんの行為に恐怖を感じたのか、さすがに声が震えているように聞こえる。
『水中なのでダウンがありません!!ただただやられ続けるだけ!!』
「やめろぉー!!!!」
叫ぶナツさん。慌てる俺たちを見てこちらを見ながら笑っている連中がいる。
「「「「セイバートゥースゥゥ!!」」」」
その連中とは言わずと知れた剣咬の虎。スティングさんは歯を見せながら笑みを浮かべ、ルーファスさんは口元を押さえ、オルガさんは嘲笑うかのごとくこちらを見ている。
「剣咬の虎に歯向かうということがどういうことか、その体に教え込んでやろう!!」
なおも続くルーシィさんに対する一方的な暴力。それを見かねたマトー君は右手を上げ、競技の強制終了を行う。
『ここでレフリーストップ!!競技終了!!』
終わりを告げるゴングが鳴り響くと、ミネルバさんは動かなくなったルーシィさんの頭を鷲掴みにし、水中競技場から外へと出す。
『勝者ミネルバ!!剣咬の虎やはり強し!!ルーシィ、先程から動いていませんが大丈夫でしょうか?』
「「「「「ルーシィ(さん)!!」」」」」
闘技場へと急いで飛び降りる俺たち。他の競技参加者たちも全身アザだらけになっているルーシィさんを心配そうに見上げている。
「ルーシィ!!」
誰よりも大きな声でルーシィさんの下へと駆けていくナツさん。ルーシィさんは果たして大丈夫なのだろうか・・・
後書き
いかがだったでしょうか?
いよいよバトルオブドラゴンスレイヤーが近づいてきました。
うまくできるか不安しかない・・・(笑)
次回もよろしくお願いします。
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