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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ソードアート・オンライン】編
  105 仲間を探そう! その1


SIDE 《Teach》

「≪Different(ディファレント) Dimensions(ディメンションズ) Dragoner(ドラグナー)≫の団長となったティーチだ。……第1層のボス戦から、漸く結成の折となったが──まぁ、堅苦しい話は無しにして、今日は飲むぞ! 無礼講だ! ……乾杯!」

「「「「「乾杯!!!!!」」」」」

第3層主街区の某所。漸くギルドを結成出来る様になった俺達は、直ぐ様ギルド結成クエストを受注──そして直ぐに達成し、ギルドを結成する事に成功した。……で、今は〝ギルド結成パーティー〟の敢行中である。

≪Different(ディファレント) Dimensions(ディメンションズ) Dragoner(ドラグナー)≫──訳すれば≪異界竜騎士団≫で、略称は頭文字を取って≪DDD≫となった。

……ちなみに、シンボルマークは3つの[D]の文字が、(さなが)ら〝龍の翼〟の様に重なっている様なマークになっていて、名付けやシンボルマークが誰のセンスなのかは内緒である。

閑話休題。

結成メンバーは今のところ団長のティーチ──俺を入れて6人しか居ない。団長な俺はもちろん、キリト、リーファ、アスナ、ユーノ、エギルと──俺が第1層のボス戦後に心中(しんちゅう)を吐露したメンバーと変化は無かった。

………。

……。

…。

この【ソードアート・オンライン】と云うゲームには、未成年がプレイすることも加味されているのか〝お(アルコール)…の様なもの〟は在れど、〝お(アルコール)そのもの〟は無かったりする。……もしも在ったとしても、(ゲーム)を進めなければならないだろう。

閑話休題。

〝お(アルコール)〟は無いが、どんちゃん騒ぎ的な雰囲気(ムード)に酔っていた皆も、(やが)ては落ち着きを取り戻し、テンションが自然体のソレになっていく。……宴も(たけなわ)な頃合いになった。

……そして話は〝これからの攻略について〟──みたいな話に移ろう。

「……やっぱり6人じゃあ足りないよな──かと云って数百とかは要らなよな…。そこんとこも煮詰めていかなきゃいけないとダメだし…。……ところで、βん時のギルドって、大体何人くらい居たんだ?」

「ピンキリだよ。クエストをやったから判る思うけど──てか俺達がそうなんだけどギルドって10人に満たない様な少人数でも、ギルド結成クエストさえクリアしてしまえばギルドは結成できるからな」

俺の独白染みた呟きに──誰に向けたでもない問い掛けに、律儀にキリトが教えてくれる。……このギルドは気心が互いに知れているので、今更〝β時の情報〟を持ち出しても変な空気にはならない。

閑話休題。

「あ、良いこと考えた。……明日あたりに2人組にでも分かれて【はじまりの町】に居る〝良さそうな人材〟でも発掘しない? ……まだまだ【はじまりの町】には〝良さそうな人材〟がいっぱい居ると思うんだよね」

ギルドメンバー全員でうんうん、と唸っているとユーノがいきなり挙手をしてそんな事を(のたま)い、「……上の層に行けば行くほど、〝それなり人数〟は必要になってくるだろうしね」──と締める。

……確かにユーノの言葉は理に敵っている気がしたし──素直に面白いと思った俺は、明日丸々1日を──ここ最近〝攻略三昧〟だったのもあり、息抜きがてら明日丸々1日を〝人材発掘〟に費やす事に決めた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

明くる日。【はじまりの町】の転移門前広場に集合していた俺達ギルドメンバーは前もって決めていたメンバーと組み、各々に散っていく。……アスナが地味に複雑そうな顔をしていたが、アスナのフォローはユーノがしていた様なので、アスナはユーノに任せておいた。

―……じゃあ、今日はユーノの言っていた通りに〝人材発掘〟に費やすと云うことで。……再集合は…午後の6時で良いか―

転移門前広場で解散した時そう言い含めてあるので再集合については安心している。時間にルーズなヤツは居なくて──むしろ時間に厳しい人間も居るので、そこら辺はあまり心配しなくて済んでいる。

「……さぁ、俺達も行こうかリーファ」

「うん。行こっか」

俺のパートナー(大袈裟な言い方だが)はリーファである。チーム分けは〝グーパー〟の3つバージョン──〝グーチョキパー〟で決める事にした。……したのは良かったのだが…

……7回のリトライに次ぐリトライ。そろそろダレ掛けた8回目にチーム分けが出来た。ちなみに他のチームは〝キリト・アスナ〟〝ユーノ・エギル〟──と、何とも言えない様な塩梅となっている。……特に、〝ユーノ・エギル〟ペアが何とも言えない。

閑話休題。

「ティーチ兄ぃ、〝アレ〟…」

「〝アレ〟は…」

リーファと協議した結果、アテも無くぶらぶらと──リーファに声を掛けようとしている〝ヤロー共〟に牽制をかけながら歩く事30分。メインストリートから1本外れた様な道を歩いているとリーファが何かに反応した様で──道と道を繋ぐ小さな路地への入り口を指差す。

……目を凝らせば2人の男が、年端のいかない──それこそリーファよりも年下とも思える少女を囲んでいるのが見えた。……更にその男達は少女の退路を両サイドから塞いでいるらしく、少女は退散出来ない様でいた。

「リーファ」

「うん」

正にそれは〝阿吽(あうん)の呼吸〟──または〝以心伝心〟だった。リーファに声を掛ければ直ぐに返事があった。……リーファも俺と一緒にその場所に向かっている事から、リーファも〝アレ〟に介入する事にしたらしい。

――「お嬢ちゃん、おじさん達と〝いいこと〟しようよぉ」

――「いや…っ! 誰か…っ、助けて…っ!」

――「ざぁんねん! 助けを呼んでも誰も来るわけ無いぜ!」

少女に擦り寄る2人の(ロリコン)。……我慢が出来なくなった俺と──俺に遅れてリーファはステータスにモノを云わせて跳躍し、少女を守る様に降り立つ。


「〝助けなんて来ない〟か──ところがギッチョンっ、来ちゃうんだよな、それが。……ところでこんな年端もいかない少女に這い寄ってて恥ずかしく無いのか? 何? 実はお前ら混沌だったりするの?」

男2人を適当に貶しながら──少女に2人の意識が向かない様にしながら、「大丈夫? クトゥグアとか喚ぶ?」や、「……それと、這い寄るなら〝ニヤニヤ〟じゃなくて〝ニコニコ〟にしろよ。発禁掛かるぞ」と謎理論を混ぜながら締める。

すると、男2人も漸く俺達の闖入(ちんにゅう)に──ひいては挑発に気付いたらしく顔を茹でダコみたいに赤くする。

「何モンだてめぇ!?」

「おいおい、邪魔されちゃあ困っちゃうよ、ぼくぅ」

(リーファ、ナイスだ)

リーファにアイコンタクトで少女を助ける様に示唆(しさ)しようとリーファを見れば、リーファは既に少女を連れて俺の後ろに回っていた。……ここまで来れば、後はすっきりきっかり撤退するなり、有耶無耶にしながらフェードアウトするなり──八つ当たり込みの罰則(きょうふ)を与えるなりすればいいだけである。

「あっ──じゃなくて、ソイツをこっちに渡せ」

「断る。……リーファ、先に行っててくれ」

「……了解。……ろ──あー、定時に〝あそこ〟だね。なんならメッセージを送るね。行こっか」

「は、はいっ!」

男からの──もはや横暴でしかない提案に、リーファと少女を背に隠しながら、にべつも無く断ってやる。リーファに先に行くように言えば、転移門前広場を〝あそこ〟と──男達に判らない様にぼやかし、そそくさ、と少女を連れて離れて行った。

「待ってよ──っ」

「残念だが行き止まりだ」

そこで背中の槍を抜き放ち、男2人をここに留まらせる為に男達の行く道を阻む。先程は少女を囲んでいた地形だが──こと殿(しんがり)を務めると云う点では優れている地形だった。

「……行きたいよな。追い掛けたいだろうな。その獣欲をあの2人に叩きつけたいだろうな──行かせる訳が無いけどな」

「ちょっとしつれ──がっ!?」

俺の脇を通って2人を追い掛けようとする男に容赦無しに突く。……しかし、当然のことながらここは〝圏内〟なのでHPバーは減らず不可視の障壁が出ずに多少のノックバックが起こるだけである。

……それが恐怖心を植え付ける要因になるのだろうが…。

「てめぇ──ぐぇっ!?」

「双月流…“牡丹(ぼたん)”。……だから行かせる訳がないだろう」

もう一人の男が、背負っていた斧を構えながら近寄ってきたので、相手の身中線…〝鼻〟〝顎〟〝(へそ)〟を結んだラインに沿って3連続の突撃を浴びせる技──〝双月流〟の初歩技である“牡丹”で、もう1人の男同様にノックバックさせてやる。

「……ちくしょう!」

「畜生? それはお前らだろう? 幼気(いたいけ)な少女になにをしようとしていたのか…。……ヘドが出るな」

いつの間にか口調が荒くなっているのに気づく──が、敢えてそのまま通す。……俺は〝性犯罪者〟が、〝大〟が付く程嫌いで、〝現実世界(あちら)〟でも〝それら〟を見つけた場合は、スキルでワニやらゴキブリやらにしか欲情出来ない様にしてやっておいた。……それくらいには嫌いだったりする。

……誠に遺憾ながら、ちょくちょくと〝そう云う輩〟は出没してくれるのだ。……こちとら出没して欲しくないのに──ドライグを宿している所為なのかだろう、トラブル&女性を引き寄せ易いのもあるのかもしれない。

閑話休題。

……その後は、お話──もとい、O☆HA☆NA☆SHI(物理)しても聞いてくれなかったので(HPバーが減らない事に高を括ったのか)、最もやりたくなかった方法──〝完全決着モード〟を持ち出して、男2人にはお引き取り願った。

さすがにデスゲームと化したこのゲームで、死亡が確定してしまう〝完全決着モード〟で戦ってまで──〝圏内〟に籠っているのに態々(わざわざ)〝命懸け〟の戦いをしてまで、ナンパ紛いの恐喝に身を(やつ)す馬鹿では無かった様である。

……それかひょっとしたら、俺が〝完全決着モード〟を定時した時の〝どこにも焦点が合ってない〟──〝人を〝人〟として見ていない様な目〟での、「知ってるか? 決闘(デュエル)じゃ〝もしもの事〟が起こってもオレンジマーカーは付かないらしいぜ」──とな科白(セリフ)が怖かったのかもしれない。

また閑話休題。

「……さて、どうしたかねぇ…。……リーファとも離れてしまったし…」

リーファと別れた今、手持ちぶさたとなった事に気付いた。……リーファからメッセージが届いたのはそれから10分が経過した頃だった。

SIDE END 
 

 
後書き

明日もう一話投稿します。 
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