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氷の唐変木は何故◯◯る!?

作者:輝照
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プロローグ

 
前書き
ハーメルン様にて活動を始めましたが、暁様の方でもマルチ投稿させて頂きます。

 

 
ーーーー眩しい。
・・・・どうやらまだ目覚めていないようだ。これって明晰夢っていうんだっけ。
目に入ってきた光景は、とても現実味がないものだった。

現代ではとくと見かけない、名も知らぬ草花に囲まれている。耳を澄ませば、心地良い川のせせらぎが聴こえてくるようだ。

「綺麗だ。」

そう、思わず呟いてしまうくらいに。

ーーーーッ

突然、何の前触れもなく激しい突風が吹き荒れ"私"は吹き飛ばされてしまった。

呼吸をするのも儘ならず、私は意識を手放した。




・・・・騒がしい。




「気を失った途端、目覚めるなんてな。」
なんてことはない、移動中に眠ってしまっただけらしい。
座席横の小窓からは、眼下に広がる柔らかそうな雲海。光を反射してギラギラと輝き、黒煙を吹き散らす銀の翼。飛行機に乗ってたのか。
ーあぁ、そうだ。海外で有名なタイトルを複数獲得邁進中の"姉"に招待されて、今アメリカンな大陸を目指しているところだたった。
まだ、少々寝呆けているらしい。頭がぼんやりとしている。

くぁswでrftgyふじこlp

それにしても、騒がしいな。機内は凄まじい喧騒に包まれている。
日本人ってこんなに喧しい国民性だったかな?
国際便といえども、日本発のフライトだ。当然客席の人種最多を誇るのは言わずもがな。

ーー当機はエンジントラブルにより、近隣のターミナルへ向かいます。揺れが予想されますので、乗務員の指示に従って行動して下さい。ーー

ま、まぁ大丈夫だろ。景気良く、黒煙上げてたし?黒煙?・・

バゴンッ!

機内を照らし出す赤光。不意に訪れる浮遊感。上も下も分からなくなる程の回転。
あっという間に目の前が真っ暗になった・・・






気がつくと、夢で見た場所に戻っていた。

「俺は生きているのか?」

こんなに、短時間で目紛しく状況が変化すると全く頭が回らない。

「そしてここは何処なんだ・・」

とりあえず、仰向けの体勢から起き上がってみる。
うん?視線が低いような・・・

「体が小さくなってる・・」
なんてこった!アポトキシン飲んじまった!テンパってしまい思考がメチャクチャだ。ふぅ。
「KOOLになるんだ。こんな時は。松岡さんだって言ってたじゃないか。熱くなれよっ!て」
・・・違う。可笑しい。冷静なようで冷静じゃない。まともに考えられなくなっている。取り敢えず、自分の姿を確認したい。

「近くに川がありそうだし、行ってみようか。」

私は川に向かって歩き出した。
生い茂る木々の間を縫うように進んでいくと小さな川が見えてきた。

「結構上流の方なのかな。水がとても澄んでいる•••」

マイナスイオン?だったかとても癒されるシチェーションなのだが、如何せん都合が悪い。

「底まで透き通って、反射しない・・」

orzな体勢で覗き込んでみるが、自分の顔が確認出来ない。

ーーーバサッ!

背後で何か動く音が・・素早く後ろを振り返る。

「なんだこいつは・・」

4メートルはありそうなクマ擬き生物がこちらを睨んでいた。

「ッーー」
私は本能的に危険を悟り後ずさった。

「Guluuuuuu」
クマ擬きは危険な唸り声を上げながら、私を狩るべく構えを取っていく。

「逃げるしかない!」

180度綺麗にターンすると、私は脇目も振らずに駆け出した。背後から迫って来るクマ擬きの気配。クマには背を向けちゃダメなんだったか・・・。夢中で駆け出した為後の祭りだ。うん?背後は川だった筈・・・
ーーパリンッ!バシャーン!

「Gyuoooooo」

悲鳴?何が起こったんだ。危険を承知で後ろを振り向く。

クマ擬き生物が溺れかけてる!

何故か川が凍りつき、クマ?の重みで割れたのだろう。奴の近くだけ割れている。クマは泳げる動物だと記憶しているが・・・

「氷が塞がっていく・・・?」

ジワジワと穴が塞がるように、割れた周辺が氷出している。あれでは思うように動けないだろう。心なしか、動きが鈍くなっているようだ。程なくして寒さ?で動けなくなった謎生物は沈んでいった。ぶくぶく。

「なんか知らんが助かった〜。」

私は今川の中腹に立っている。何故か氷上だが。先程は寒さなど、微塵も感じなかった・・・のに。
私は初めて自分の身体の異常に気が付いた。

ーー異様に身軽な体躯。身体から漂う白い靄のような冷気。そして極め付きは、3対の鋭い氷の羽根。

「おいおい、なんだこれは?ついにファンタジーの物語に飛び込んでしまったか!?・・・向こう岸に渡りますか。」

・・取り敢えず、対岸に向かう事にした。

「ふぅ〜疲れたぁ。顔の確認も一応しとこうかね。」

何せアレだけの異常が起こった後だ。何があっても不思議ではない。拾ってきた氷の破片を鏡代わりに顔を見た。

「髪の長さは変わっちゃいないな。色がオカシイけど。眼の色も変わっちゃってる。相変わらず、女々しい顔だけど。忌々しい。」
肩に触る位に抑えられた髪の毛。青色。爛々と輝いていれば嘸可愛らしいこと請け合いの、残念だが眠そうな瞳。青色。服装も、飛行機に乗っていた時とは違っている。青いパーカーに膝丈の白いパンツ。

「こんな服買った覚えないなぁ。男物だからまぁいいけど。」

家庭でトラウマになっているので、女物は勘弁である。

ーーーガヤガヤーーー

「やべ、何か近づいてきてる。隠れよう!?」
森の中、大きな茂みに身を潜める。氷の羽根はいつの間にか消えていた。

「複数いるな・・あんな化け物がいるくらいだ。用心に越したことはない。臭い大丈夫かなぁ。」

木々が鬱蒼と生い茂る先は暗暗としていて、目を凝らしても様子を伺うことが難しい。
しかし、私の視力は2.5!数少ない自慢の長所だ。その視線の先、暗がりに蠢く人型の影を複数捉えていた。
先程は、よく分からない内に自滅?してくれたので助かったが、そう何度もホイホイ幸運が続くとも思えない。

ピリピリとした緊張感の中、"それら"は姿を現した。


 
 

 
後書き

読んで頂き、ありがとうございます。
よろしければ、次話も御覧下さい。 
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