その手で引き金を引け!!
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第五話 太刀川慶
私は走る。
ただただ走る。
理由?それはただひとつ。
太刀川さんが30本勝負をねだるのが怖いから!!
私じゃなくて他人でやれよ。
風間さんや風間さんや風間さんで。
「今から歌川くんと10本なんです!!」
「ならそのあと!!」
「そのあとは菊地原くんで、風間さんです!!それからは宇佐美ちゃんとデートだ!!」
宇佐美ちゃんと出かける方が大事。
本当なら他の男性陣は捨てたい。
私は苛立ち、つい足を振り上げた。
クリティカルヒット・・・
太刀川さんが吹っ飛んだ。
よかった、互いにトリオン体で。
口より手足が出る癖、治さないと。
この人、一人では済まなくなる。
「あ、あはは・・・歌川くんとこ、いこ~」
仕方がないから放置しよう。
ある意味一本勝負なら私の勝ちね・・・
~~~~
「また7対3か。4勝には壁があるな」
「ま、まぐれで一本だけです」
「やーい、怪力メスゴリラ」
「はぁ!?あんたなんか一本もとれてないじゃん、菊地原」
菊地原、歌川より反射神経ない。
歌川が副作用持ちなら強いんだろうな。
まぁだからこそ歌菊が成り立つ訳だ。
太刀川さんはあくまでも風間さんだからね~
「如月先輩、最近狙撃の方はどうですか。」
「うわ、歌川くん聞くね・・・一応当たるよ。実戦では使えるレベル。でもあまり合わないみたい。」
「だろうね。ただの怪力だから」
言うね~緊急脱出させてやろうか?もれなく今なら瞬殺で。
でもそこに歌川のチョップが入るから、全て癒される。
帳消しにされる破壊力。
「可憐ちゃ~ん。終わったかな?行ける?」
「うさみん、行けるよ」
「よーし、可憐ちゃんに似合いそうな服を買いに行こう!!」
え?
そ、そうなのか。かなり初耳。
私は宇佐美ちゃんの好きな場所に遊びにいくつもりでいた。
正直嬉しくない。
「風間さんのお古もらう予定だからいいかな・・・」
「可憐ちゃん、女物の服を見に行くの。」
「服なんか着れれば同じだよ、うさみん・・・」
実は服に興味がない。
服を買いに行くときは、いつも店の外で待つ彼氏役。
体隠せれば服なんか別にどうでもいい。
「女子力ないね。本当に女子?」
「おい・・・如月先輩はしゃべり方と声が女子力高いですよ」
「ありがとう、歌川くん」
「歌川はお世辞上手いから」
「・・・」
菊地原を見ていたら、宇佐美ちゃんに脇腹をつかれた。
どうやら殺気が酷かったのか、怯まれた・・・
元の世界での癖だ。殺気は簡単に出せてしまわないように気をつけよう。
「いた~!!」
「あれは太刀川か。うるさいな」
「あ、風間さんが太刀川と勝負してください。私、逃げるという急用がありますので・・・」
風間さんは冷静に私の襟をつかみ、ブースに放り込んだ。
いじめだ!!私は戦いたくないのだ。
仕方がない。私が勝ったら・・・
焼肉奢らせるか。
~~~~
現在11対12で私が負けている。
残る戦闘に私は負けてられない。
A級にはまだなっていないし、ポイントはあまり取られないが、勝てば取れる。
弧月二本が厄介。正直言えば邪魔。
私はあることを思い付き、自分の弧月を地面に刺し、持ち手を握る。
「まともな持ち方どうした?」
「・・・来なよ、太刀川」
太刀川さんが弧月を振り下げるタイミングを狙え。
その時、私は弧月を思いきり地面から抜くより斬りながら、振り上げた。
「・・・!?」
弧月を真っ二つに斬る。
地面に刺したことで、振り上げる際の抵抗が増える。
その分加える力もあがるし、地面から抜け出した際の反動もでかい。
その二つの力があれば、弧月は斬れる。
「はい、私の勝ちね」
これで同点。
あとは勝つだけ。
~~~~
「・・・ちっ。引き分けかよ。やっぱり射撃手の練習しよ~変化弾リアルタイムで射てたら圧勝してやろ~」
「くわ~やっぱり噂通り強い!!風間、面白いな」
「面白くない、全然面白くない。」
それそうだ。風間さんは如月さんを妹に近い目で見てるからね。
ぼくは三人を眺めながら、内心舌打ち。
歌川にはまるで聞こえているかのような対応をされる。
「やっぱり可憐ちゃんは戦闘経験豊富だね。見てて飽きない戦い方だよ」
「あれだってぼくにもやれる」
「菊地原・・・一本取れてから言う台詞だな」
歌川、うるさいな、余計だよ。
ぼくだってあれぐらいやってみせる。
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