戦国異伝
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第二百二十七話 荒木謀反その十一
「ではじゃな」
「はい、これよりです」
「上様の軍勢をじゃな」
「城の中に案内しましょう」
「上様にもお伝えするか」
「はい、荒木殿が戻られ」
「そして城の中にいる賊共を討つとな」
その浪人達をというのだ。
「伝えるぞ」
「はい、では」
「これよりな」
「攻めてそうして」
「勝つぞ」
こう話してだ、そのうえで。
荒木の軍勢は城の門を開けてだ、こう言ったのだった。
「これより我等織田家に戻ります!」
「殿よりのお伝えです!」
「共に城の中にいる賊達を攻めましょうぞ!」
「浪人達を!」
「よし、ではな」
信長も頷いてだ、そのうえで。
全軍にだ、笑みを浮かべて言った。
「敵は浪人達じゃ」
「青い具足の者達ではなく」
「あの暗い服の者達をですか」
「これより攻めて」
「そしてですか」
「勝とうぞ」
是非にというのだった。
「これよりな」
「あの、一体」
「これはどういうことなのか」
織田の兵達もだ、信長の言葉に戸惑っていた。
そしてだ、こう信長に問うた。
「我等の敵は荒木殿では」
「それが違うのですか」
「浪人達ですか」
「あの暗い服の者達ですか」
「そうじゃ、実は十二郎は謀反を起こしてはおらぬ」
ここでだ、信長は兵達にこうも言った。
「これは仕組んだことじゃ」
「何と、そうでしたか」
「左様でしたか」
「そうじゃ、ではよいな」
「はい、荒木殿は攻めず」
「浪人達を」
まさにその彼等をというのだ。
「攻めましょう」
「それでは」
「これより」
「ではな」
こうしてだった、信長もまた城の中の浪人達を攻めさせた、荒木の軍勢と共に。
それを見てだ、当の浪人達はというと。
「何っ、荒木村重の軍勢が攻めてきてか」
「そしてか」
「今度は織田の軍勢も来たぞ」
「あの軍勢も攻めてきたぞ」
「これはどういうことじゃ」
「何故こうなったのじゃ」
彼等は驚くばかりだった、そして。
密かに城に入っていた石川もだ、楯岡と音羽に問うた。
「どう思う」
「まさかと思うが」
「これはな」
二人も石川に言う。
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