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ドリトル先生の水族館

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第五幕その二

「イギリスでも食べないことはないけれど特に日本人生牡蠣どんどん食べるから」
「お刺身と同じでね」
「あれが信じられなかったんだ」
「けれど食べてみたら」
「これが美味しいんだよね、お刺身もカルパッチョも生牡蠣も」
 魚介類をそのまま食べることがというのです。
「とてもね。それにね」
「しかもだね」
「うん、身体にもいいんだよね」
「そうだよ、牡蠣もね」
「一度食べたら」
 それこそとです、また言った王子でした。
「その美味しさに病みつきになるね」
「そうだよね、僕もだよ」
「先生もなんだ」
「日本に来るまで魚介類はそんなに食べていなかったからね」
「お刺身も」
「そうなんだ、だから日本に来てよく食べる様になったけれど」
「それがなんだ」
「いいね」
 とても、というのです。
「お魚は。お刺身と天麩羅、焼いても煮ても蒸してもね」
「つまりどのお料理でもなんだ」
「好きになったよ」
「先生最近中華でもフレンチでもイタリアンでも召し上がられますよね」
 トミーは納豆を掻き混ぜて御飯の上に乗せています。納豆のその中には葱を細かく刻んだものも入れています。
「魚介類を」
「美味しいからね」
「だからですね」
「今じゃお肉よりよく食べているかな」
 そこまでというのです。
「食べているかもね」
「そうかも知れないですね」
「海のものが多いけれど」
「鯉もお好きですよね」
「鯉のお刺身いいよね」
「鯉こくとかも」
「鯉もいいよ」
 つまり美味しいというのです。
「海のお魚もいいけれどね」
「それで時々召し上がられてますね」
「イギリスじゃこんなに鯉は食べられないよ」
「殆ど食べないですよね」
「鱈や鮭ばかりでね」
「フィッシュアンドチップスはありますけれど」
「料理のメニューも多くなくてね」
 その問題もあるのでした、イギリスでは。
「日本程じゃなくて」
「ここまで充実していないよ。例えば滋賀のね」
「鮒寿司ですね」
「あれをご馳走になって驚いたよ」
「鮒ってあの川魚だよね」
 王子は鮒と聞いて言いました。
「鯉に比べて小さい」
「そう、あのお魚だよ」
「あれも食べるんだね、日本では」
「今はあまり食べないけれどね」
「それでもお寿司にして食べるんだ」
「とはいっても普通のお寿司とは違うよ」
 握り寿司や巻き寿司、ちらし寿司といった今あるお寿司とはというのです。
「馴れ寿司といって昔の作り方のお寿司なんだ」
「その鮒寿司は」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「昔ながらのお寿司で。じっくりと時間をかけて作るもので」
「そのお寿司を先生も食べたんだ」
「変わった味だったけれど美味しかったよ」
 先生は微笑んで王子にお話しました、その鮒寿司のことを。
「中々ね」
「滋賀のお料理だね」
「名物だよ」
「わかったよ、滋賀だね」
 王子は頷いて先生に応えました。 
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