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4部分:第四章


第四章

 さしもの警官達も蒼白になった。そのバケツの中にあるものをだ。
 だがハールマンは目ざとく彼等の視線に気付いてだ。そのバケツを取ってだ。
 即座に窓の向こうに捨てた。彼の部屋は川のすぐ側にある。
 その側に捨てて何でもないようにした。さしあたっては。
 だが、だった。警官達はだ。蒼白になったままだ。
 彼に対してだ。こう告げたのであった。
「来い」
「署にだ」
 こうしてだった。彼は取り調べられることになった。その結果だ。 
 彼の意志薄弱と診察された精神科医の診察も少年に対する猥褻行為も細かくわかった。その生い立ちもだ。
 そしてそれ以上にだ。彼の異常な犯罪のことがだ。  
 何とだ。甘言で浮浪者の少年や男娼達をだ。犯した後でだ。
 喉笛を食い千切ったのだ。己の口でだ。
 それからだ。その骸をだ。
 捌き自分の店で売っていたのだ。余った分は他のルートに流す。遺品やそうしたものもだ。そうして濡れ手に粟の利を貪っていたのだ。
 そしてだ。彼はこんなことを言った。
「死体は幾つあっても足りなかったさ」
「おい、何人殺したんだ」
「一人や二人じゃないか」
 彼の話はどれもだ。警官達が聞くに耐えないものだった。
 それでだ。中には嘔吐する者もいた。
 少なくとも彼等は彼の話を聞くことにかなりの忍耐を必要としていた。
 しかしだ。彼だけは平然としてだ。
 それでだ。その殺した数についてはだ。
「五十人は殺してるだろうな」
「五十人も食い殺したのか」
「こいつは人間じゃない」
「化け物だ」
「おいおい、そんなこと言うのかよ」
 唖然とする警官達にだ。
 ハールマンは笑って返す。全く何でもないといった面持ちで。
 そしてだ。こんなことも言うのだった。
「まあ美味い奴は外見でわかるけれどな」
「くそっ、全然悪びれてないぞ」
「それだけの人間を食い殺してもか」
「全くか」
 誰もがだ。これには唖然となった。
 そしてだ。調べた結果だ。
 ハールマンが食い殺したと断定できるのは二十七人いた。つまり間違いなくそれだけの人間を殺しただけなく獣の様に食ったのだ。
 この事実は裁判席でも言われた。それを知ってだ。
 ドイツ中は大騒ぎになった。この頃はそうした事件が多いせいかだ。
 ドイツ人達はだ。こんなことを言った。
 
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