千剣士と竜使い
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十話、アルゴの頼み
前書き
作者「其ではどうぞ!」
「「「「ギルドを作ってくれ!?」」」」
落ち込んだアルゴが復活し、キリト達に対して言ってきたお願いに驚きの声をあげるキリト達…
「いや、アルゴ…ギルド設立のクエストなんて発見されてないし、βテストの時もそれがあったのは3層だったはずだが?」
そう疑問を口にするキリト
「暫定でいいんダ。『ギルドを作る』っていう姿勢を保ってくれればナ」
「どういうことですか?私達には知名度なんてないですし、そんなことしても意味ないと思いますけど…」
「確かに…それこそ「ふーん」で流されて終わるような事…話のタネにもならない筈…」
シリカの言葉に同意するリュウ……
「まあ、メリットいろいろあるんだけどナ。とりあえずは一つ、勘違いを訂正しておくヨ」
「勘違い?」
「そうダ。知名度云々ってところのナ」
「「「「???」」」」
リュウ達はそろって頭に?を浮かべる
「アーちゃんはともかく、キー坊とリュー坊、そしてシーちゃんの三人は相当有名だゼ。アーちゃんも知る人ぞ知る、ってくらいには有名人ダ。あ、勿論悪い意味じゃなくナ」
「……マジで?」
そう聞くキリト
「? 嫌そうだな?」
「あまり目立ちたくないんだよ……」
アルゴの問いにそう答えるキリト……
だが……
「……ニュービーに私が掴んでいない情報を無料で教えたり、『余ったからやる』って言って武器を無償であげてるのにか?」
「グハッ!?」
アルゴの止めにキリトが倒れた……
「リュー坊、シーちゃんの二人も同じような理由だな」
「「え?」」
「行く先々で情報を無料で提供しているプレイヤーって事でな」
「あ、それあたしも聞いたことある」
「「ええっ!?」」
アルゴ、アスナの言葉に驚く二人
「あ、あははは。はじまりの街にいたころは、私いっぱいいっぱいで…。そういう噂があったなーってくらいにしか知らなかったから……」
そう苦笑するアスナ……
「ちなみに、どんな噂なんです?」
「えっと、確か…『情報提供してニュービーの手助けをするプレイヤー達がいる。情報源はβテスターとニュービーのペアらしい』って」
「まあ、大体そんなとこだナ。アーちゃんは名前で伝わってない方の噂を聞いたみたいだけどナ。他には『リュウとシリカってプレイヤーが率先して情報を集めてみんなの手助けをしている』とか、『その二人は、βテスターとニュービーの垣根を取り払うためにβテスターとニュービーでパーティを組んで、手を取り合えと示唆している』とかだナ。あとは、実際にリュー坊達に助けられたプレイヤー達が、体験談を広めてるらしいゾ」
「…マジか…」
そう言って頭を抱えるリュウ……
そんな深い理由で組んでいないので恥ずかしく感じる……
「まぁまぁ、キー坊達にはかなりのメリットな筈だゾ?」
「?どういうことだ?」
キリトが問う
「この話が広まれば、少なくともβテスターってだけで疎まれることはなくなるだロ?」
「あ…」
「成る程ね…」
アルゴの言葉に納得するキリトとリュウ
そこでアスナがおずおずと切り出した
「あ、あのー。キリト君達が有名人なのはわかったけど…それがギルド設立にどう関わってくるの?」
「「あ…」」
アスナの問いにキリトとシリカが思い出す
「恐らく二つの理由があるな」
リュウが自信の考えを話す
仕事モードになりながら
「一つは攻略の為。今聞いた通り、キリトとシリカ、そして俺の三人に対して好意的な前線プレイヤーは現在のところ割と多イ。ソイツらが無所属で放っておかれるよりも俺達がまとめちまった方が足並みが揃う……」
「「なるほど……」」
リュウの仕事モードを始めてアスナは驚きながらシリカと一緒に納得する
「それなら3層まで進んでからでも構わないんじゃないか?今から「ギルドを作る」なんて宣言しても…そりゃ、人員募集にはなるだろうが…」
キリトが疑問を出す
それに対してリュウが答える
「そこが一番の理由だな……
βテスターとニュービーのこれ以上の確執を防ぐ為だ」
●○●○
「えっと、どう言うこと…?」
「いくらだいぶ改善されたって言ってもまだまだβテスターを疎んでるやつは多いだろ?今のうちにギルドを設立する姿勢を見せておきたいんだろう」
「まぁな、でも理由は他にもあるんダ」
「? 其は?」
アルゴに聞くリュウ
「キー坊達の安全のためダ」
「? どういうことだ?」
キリトの質問
「聞かせてくれ。アルゴ」
「ああ。キー坊達が有名になった経緯はさっき話したロ?ようは、キー坊達に嫉妬するβテスターがいるんダ」
「は?嫉妬?なんで」
リュウが聞く
「『自分たちがニュービーに疎まれててやりにくいのに、一人だけ楽しやがって』みたいな感じだナ。ニュービーからも『所詮βテスターのくせにいい気になるな』って声があがってル」
「「まさかの逆恨みと八つ当たり!?」」
アスナとシリカが驚く
「成る程、ギルドを作れって言ったのかはわかった……アンタが警戒してるのは、反発するプレイヤー達による俺達の攻略阻害。あと、それに伴うプレイヤー間の確執。俺達の邪魔をすれば、逆にそれを快く思わないプレイヤーも出てくる。そうなったら泥沼になる……と」
「露骨に邪魔してくるかはまだわからないけど、少なくとも、俺達が評価されるのが気に入らないプレイヤーが、このまま最前線に俺達を置いておくことはしないと思う。なんらかの形で俺達の邪魔をしてくるはず」
「そうダ、それを防ぐには、今のうちにキー達を慕ってくれてるプレイヤーに声をかけて、ギルドができるまでの間所謂一つの勢力を作ること。そうすれば、それをまとめるキー坊たちは攻略のためにそれなりに重要なはずダ。確執を埋められるかはわからないけど、足を引っ張り合うようなことにはならなくなる…と、思いたいナ。それに一番問題なのが、それをしないと…」
「PKになりうる、か…」
リュウがそう呟く。アルゴもそれに頷く
プレイヤーが直接手を下さなくても、MPKなんて手段もあるし、確率は低くない……
アスナとシリカははよくわかっていないのか、首をかしげていた
二人にはには考えもしないことなのだろう…
HPが0になったら、現実でも死に至るこの世界で、同じプレイヤー同士で殺し合うということは……
リュウは暗殺任務を現実でやっていたので考えられたが……
「…お話を遮って申し訳ないんだけど」
「私も質問いいですか?」
「…うん。何だ?」
アスナとシリカの言葉にリュウが応える
「「…PKって、なに(なんですか)?」」
「「「そこから!?」」」
…どうやら説明はまだ長引きそうである…
後書き
シリカ「其では感想待ってます♪」
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