逆襲のアムロ
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1話 ガンダム起動 サイド7~UC79.9.18
前書き
書き物が初めてであまり得意ではないので。ただ純粋にわかりやすく表現していこうと思っています。
ちょっとユニコーンぐらいまでの人を出さないとと考え少し幅を持たせました。
* サイド7 1バンチ 民家内
「ハッ」
アムロ・レイは驚いて目覚めた。何故かベッドの上にいる。
アムロは混乱した。自分はアクシズでシャアと戦い、アクシズを押し返していたはずだ。
しかし、白い光に包まれた直後見知らぬ天井を見上げている。
否、アムロはこの天井に見覚えがあった。
「・・・ここは、昔のオレの家だ・・・オレは死んだのか・・・」
アムロはゆっくりと体を起こし、周囲を見回した。
その後少し笑みを浮かべてこう思った。
「何故こんな景色を、ここに連れてきたのかな死んで尚・・・」
アムロは自分が死んだと思い込んでいた。再び周囲を見渡すと、
デジタルの年月日入りの時計に目が入った。
「79年の9月18日朝6時・・・この日って、サイド7にホワイトベースが
入港した日。そしてザクが襲来した日、ガンダムに乗った日だ」
アムロは昔の酷い思い出を少しずつ思い出していた。
そして、こう思った。もし過去をやり直せたらなんてどれだけ思ったことか。
あの日の出来事、あの日の選択を。
「ひとつ、ひとつが積み重ね、悲劇を生んではあのようなアクシズの決着となったんだよな」
そして、これは神様がくれた一つの機会なのかもしれない。
アムロはそう思った。
まして自分は既に死んでいてこの目に入るものが現実でないとすれば、成仏するための、自分の未練が今こうさせていると考えた。
アムロはバスルームに下り、シャワーを浴び、洗面所の鏡に映る自分を見つめた。
「なるほど、これは15歳のオレだ。いろいろ鍛え直さなくてはな」
14年後連邦のエースパイロットのアムロの体はあらゆる戦いにも状況にも耐えうるほどの強靭な肉体を持っていた。しかし、今のアムロはただの内気でひ弱なメカオタクだった。
アムロは身支度を整えるとサイレンが聞こえた。時間は午前7時半だった。
このサイレンは確かホワイトベースが入港するときに発した避難警報だ。
「ホワイトベースが入港した。そして、ザクも来た」
アムロは軍港へ向けて走り出した。その姿を途中家族とともに避難しているフラウ・ボウに見つかった。
「アムロ!あなたどこに行くの!シェルターは逆よ!」
「フラウ!君は先に避難して。オレは後から向うから」
フラウはちょっと待ちなさいよと大声でアムロに叫んだが、アムロは軍港に向けてひたすら走った。
* サイド7 軍港
ホワイトベースは無事にジオンの襲撃を振り切り入港をしていた。
ブライト・ノアは19歳にして実験用新型戦艦に搭乗していた。
自らは誇りと自覚を持ってこの連邦の軍事機密の作戦に参加できたことを栄誉に思っていたが、伝令を受け取る側のテム・レイ大尉はこんな若者が戦場に出なければならない状況にこの闘いの過酷さを感じていた。
「レイ大尉、伝令であります。サイド7に無事入港しましたので艦橋までいらしてください」
「わかった。ブライト君と言ったね。君は入隊してどのぐらいかね」
「ハッ、半年であります」
「そうか。私はもちろん他の多くの大人たちが若者が戦争に行くのは感心せんのでな。だから私はこのV作戦を成功させなければならない」
「自分がまだ未熟だからでありますか」
「そうだ。人生は普通が一番だよ。もっとも平時ならばな。兵士として未熟もさることながら、10代ではどうしても若さが出てしまうのでな。それが妙に危ない」
「自分は確かに未熟者ですが、志はあります。ジオンに勝利し、平和を取り戻すために」
「それが未熟なんだよ。まあ、若い者は元気が取り柄だから。年寄はそれをフォローすることを考えよう。では、行こうかブライト少尉」
「はっ」
* ホワイトベース艦橋
艦長席にいるはずの艦長のパオロはジオンの襲撃による負傷で簡易ストレッチャーに横たわっていた。
テムがブライトと到着するとパオロはストレッチャーのリクライニングを起こした。
「レイ大尉。ご苦労かけた。」
「いえ、あまり無理せずそのままで。結局振り切れなかったみたいですね」
「ああ。襲撃してきた敵はいささか手ごわい。我々が出港したところを叩くつもりなのかもしれん」
パオロが言い終わると、苦しそうに胸を押さえむせ返った。
テムは傍によりリクライニングを倒し、パオロを再び横たわせた。
「このサイド7の1バンチで行われているテスト機を回収後、ルナツーに救援を要請します」
「そうか。しかし、ルナツーは動くかのう」
パオロが不安視していたことはテムにも理解できた。
元々のテストは結果を文書にしたため、通信でジャブローへ報告できれば最低限良いことだった。
なぜなら、V作戦とはザクに対抗するための作戦。未だに物量で凌駕する連邦はザクに匹敵するものを用意さえすれば戦争に勝てると上層部も踏んでいた。
それまでは如何なる戦力も出し惜しみ、温存して期に備えることが既定路線だった。
「しないよりはマシでしょう艦長。友軍を見捨てるほど連邦は腐ってはいないはずです」
とテムは自分にも言い聞かせた。不安に思う自分に対しても。
「では艦長、私は実験機と試験資材の搬入指揮をとって参ります」
「ああ、任せる」
テムは艦橋を後にし、軍港入口へむかった。
* 軍港前
アムロは軍港に到着した。同時刻ジオンのザク2体が軍港内の施設に向けて攻撃を開始していた。
「ぐわっ」
アムロはザクの襲撃による周囲の建物の引火、爆発による爆風から身をかがめていた。
「もう、襲撃が始まったのか。急がなくては」
アムロは襲撃により手薄になった軍港のセキュリテイを掻い潜り、ガンダムの元へ駆け寄った。
「ザクはまだこちらには気づいていないな。よし」
幸いガンダムの周囲には連邦兵士、スタッフも不在だった。テムの命令で順番にホワイトベースに試験資材を搬入していたため、軍港入口に殺到していた。
アムロは慣れた手つきでコックピットに乗り込んだ。慣れた360度リアルモニターシステムと違い5面モニターだった。
「懐かしい。行くぞガンダム!オレの未練を断ち切るために」
ガンダムに火が入り、それに気がついたスタッフ、そしてテムは驚き、慌てた。
「誰がガンダムを動かしているのだ!まさか敵に奪われたのか・・・」
テムが動揺して、悲観的になっているところをガンダムがモニターによりとらえていた。
「親父か。懐かしい。この頃はまだしっかりしていたのにな」
アムロは昔を思い出し、その後ガンダムのバーニアを吹かしてザクの元へ飛んで行った。
そしてテムは茫然自失していた。
* サイド7 研究・実験施設区
ザクはあたりを砲撃により火の海としていた。その場にガンダムが降り立った。
ザクは見慣れないMSに臨戦態勢を整えた。
「なんだ、あの白いMSは曹長」
ザクのパイロットのジーンは新兵でデニムが教官として偵察任務に携わっていた。
はずだった。
「ジーンよ。偵察が任務だ。これ以上は命令違反だぞ」
「もう、命令違反でしょ曹長。この際だ戦果をあげて少佐に報告しないと」
ジーンは規律を軽視している。軍はそれを重視して動くものだとデニムは思っている。
そしてもはや2人とも軍法会議は免れないということも。
しかし、ジーンはそれを知らない。
上官としての責務は無事に部下を連れて撤退することにあると心に決めていた。
「馬鹿者!ジーン。上官命令じゃ。撤収するぞ」
しかし、ジーンは高揚しガンダムに襲い掛かった。デニムはジーンを止めることができなかった。代わりに白いMSがジーンを無力化した。
「へっ」
ジーンは拍子抜けした。ザクが一瞬で両腕を失ったのだ。ガンダムはバックパックからビームサーベルを取り出し、打ち上げて打ち下ろしてザクの両腕を切断した。デニムのその画見て戸惑ったが、平静になり片手にマシンガン、もう片方にヒートホークを構えた。
「この白いのは早い。。。少佐並みか」
デニムは死を覚悟してマシンガンを連射しながらガンダムに突進した。しかし、ガンダムは側面移動して弾を避け、デニムの後ろに回り込み、ヒートホークの持つ腕を切断し、マシンガンも切断した。
ジーンのザクは足・胴体と頭、デニムのザクは足・胴体・頭と片腕が残った。あれだけ暴れたザクを2体とも無力化したのだった。
「くっ、これまでだ。引くぞジーン」
デニムはジーンのザクを抱えて侵入してきたハッチの方へ撤退していった。
* 軍港内 ホワイトベース
軍港に戻ったガンダムはホワイトベースに搭乗した。アムロはホワイトベースの艦橋に呼び出されていた。
「この馬鹿者が」
ぴしゃりと顔をはたく音が艦橋に響いた。テムが息子であるアムロを殴ったのだ。
「親父が叩いたのは初めてだな。感慨深いよ」
アムロは冷静に感想を述べた。各オペレーターやリサーチャーがガンダムの記録をフィードバックしていた。すると最新の情報で一番の成績、良質なデータがアムロが搭乗した時だとコンピューターが計算した。そのデータを見てテムは驚愕した。
「なぜ、お前が、最新技術を扱えるのだ。。。偶然か・・・」
アムロは黙っていた。しかし、テムは科学者である。奇蹟や偶然など信奉しない。起きた事象のみ信用する。
つまりはアムロがこのMSを最大限活用できるという話だ。V作戦には良質なデータが必要なのだ。そう解釈すると冷徹な判断を息子に下した。
「アムロ、お前は今日から軍籍に入れ。私が推薦する」
それを聞いたパオロとブライトはテムに反対した。
「大尉!こんな子供を戦場に出すのですか!」
「そうだ大尉。いくらなんでもご子息を率先して戦場にとは。しかも実験体としてなどと人道的に・・・」
テムは2人の言を封じ込めた。
「有事だからこそです。私は科学士官だが、皆と同じ軍人です。私だけ何も犠牲にしないとはあってはならない。たとえ人道的に誤っていたとしても、人から後ろ指さされようがこれが私の覚悟だ」
その言葉を聞いたアムロは最低だなとつぶやき、了承した。
「元よりそのつもりだったからよろしく頼むよ父さん」
「わかった。それからこれよりレイ大尉と呼びなさい。軍では規律が大切なのだアムロ」
「はっ、レイ大尉」
アムロは慣れた姿勢で敬礼した。その姿を見た3人は新兵のはずなのにそうは見えない雰囲気に違和感を禁じ得なかった。
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