転生とらぶる
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Fate/stay night
1116話
「これは……慎二!? 何でお前がここに!? ……もしかして、お前もマスターだったのか!?」
「そんな……だって、間桐の魔術回路はもう……」
林に現れた衛宮と凛の2人が、現状を見て呟く。
2人の顔に浮かんでいるのは共に驚愕。ただし、その意味は大きく違っている。
衛宮の顔に浮かんでいるのは、純粋な驚き。
それに対し、凛の顔に浮かんでいるのは有り得ないものを見たという、それこそ幽霊でも見たかのような、そんな表情。
分からないでもない。ワカメの家……間桐という家は、確かに以前は魔術師の家系だったらしいが、今は既に枯れてしまっている……つまりワカメは魔術師の証ともいえる魔術刻印どころか、魔術回路そのものを持っていないのだ。
本来ならそんな人物が聖杯戦争にマスターとして参加する事は有り得ないのだが……まぁ、何らかの裏技、あるいはズルといったものがあるんだろう。
ともあれ、このワカメが聖杯戦争の参加者であるのは変わりがない。
そうである以上大人しく倒されて貰うとしよう。
チラリとセイバーの方を見るが、セイバーは自分の獲物でもある見えない剣を手に、俺とライダーの2人が自分達に敵対的な動きをしたらすぐにでも対処出来るように準備を整えている。
ま、今回はセイバーを相手にする訳じゃない。とにかくワカメとライダーのコンビが聖杯戦争から脱落するだけである以上、セイバーが動く要素はないだろう。
そう判断し、俺の前で倒れているワカメへと手を伸ばし……
「待てアークエネミー! 何をするつもりだ!?」
唐突に聞こえてきた声に、そちらを振り向く。
声の主は、当然ながら衛宮。
何故か、あるいは当然ながらか、俺を強い視線で睨み付けていた。
「何だ?」
「だから、お前は慎二に何をするつもりなのかって聞いてるんだ!」
「何って……言わなくても分かるだろ? 俺は聖杯戦争に参加しているサーヴァント。そしてこいつはライダーのマスターだ。で、戦って俺が勝った」
正確にはまだライダーとの勝負は付いておらず、このワカメが俺の挑発に乗って飛び出してきた挙げ句、殺気に腰を抜かしたってのが正しい。
……自分のマスターが命の危機だってのに、ライダーが行動を見せる様子がないのは気になるが、元々このワカメの性格を考えれば、サーヴァントと上手くいっていないのは簡単に予想出来る。
「だから……だから、殺すってのか!?」
「当然だろ。前にも言ったと思うが、こいつはそれを承知の上で聖杯戦争に参加しているんだ。まさか何のリスクもなく俺達みたいなサーヴァントが従う筈がないだろ? 聖杯を求めているが為にこうして戦っているんだから」
一般的には、という条件は付くが。
俺としても聖杯が願いを叶えてくれるのなら、記憶を取り戻すというのはありかもしれないな。
いや、英霊ってのは座にいる英霊の分霊って形だったか?
なら、その座とやらに戻れば、俺の記憶喪失も治るのかもしれないな。
「ふざけるな! 俺は絶対に認めないぞ!」
俺の考えを、衛宮の怒声が遮る。
「いや、認めないと言われてもな。俺とこいつらが戦って、その結果このワカメが負けた。お前がこの戦いに割り込めると思っているのか?」
「はっ、ははっ! そ、そうだよ。衛宮。俺は聖杯戦争に参加なんかしたくなかったんだ! なのに、無理矢理……」
ちっ、どう考えても分かりやすい嘘を。
お前の言動を見て、それを信じろって方が……
「アークエネミー、聞いての通りだ。慎二は元々聖杯戦争には参加したくないって言ってるぞ」
いたよ、あんなあからさまな話を信じるような奴が。
「それを信じろと? このワカメの態度を考えれば、それを信じられるかどうかなんてのは分かると思うが?」
「慎二の言う事だし、俺は信じる。……けど、アークエネミーと慎二が戦ったってのが事実だというのも分かる。だから、ここは俺に任せてくれないか? 慎二の件は俺が何とかする」
「シロウ!」
衛宮の言葉に非難の声を上げたのは、俺ではなくセイバーだった。
「アークエネミーの言う事に賛成するのは業腹ですが、彼の言っている事は間違っていません。今は聖杯戦争の真っ最中であり、シロウの友人は聖杯戦争の参加者です。なのに、それを倒さずに見逃せとは到底承服出来ません!」
まぁ、普通のサーヴァントならそう言うよな。
ライダーの方は事の成り行きを見守る体勢に入っているし。
「けど、慎二は俺の友達なんだよ、セイバー。その友達をどうこうするなんて俺には出来ない」
「……シロウ。何度も言うようですが、これは聖杯戦争なのです。甘い事を言っているだけでは、いずれ命を落としかねません」
セイバーを説得している衛宮を見ながら、俺は凛へと念話を送る。
『凛、ここにマスターとサーヴァントが3組いる訳だが……どうする? お前もあのワカメと戦うのは反対か?』
『……そう、ね。本心を言えばここでライダーを倒して、慎二を失格にしてしまいたいところだけど……この状況を見る限りでは難しいでしょう?』
『どうだろうな。確かに下手をすればライダーとセイバーの2人を相手にしなければならなくなりそうだけど、セイバーの態度を見る限りはそんな事になりそうもないぞ?』
『衛宮君の性格を考えると、令呪を使う可能性も否定出来ないわ』
『何? ただでさえさっき1回使ったのに、また使うのか?』
『ええ。これまでの衛宮君の言動を思い出せば、そのくらいの事は有り得ると思わない?』
凛の言葉に、まさかそんな……とは思わない。
聖杯戦争に参加している割りには、何故か極端に人死にを嫌がるという衛宮の性格を考えれば、自分の友人を助ける為に令呪を1つ使うのを躊躇うとは思えないのも事実なのだから。
お人好しと言えばそれまでだが……
未だに言い争いをしているセイバーと衛宮を見ながら、そう考える。
尚、当然の事ながらライダーとワカメの方もこの機会を逃すのは惜しいと、隙を見ては逃げ出そうとしているのだが、その度に俺が視線を向けているので動けていない。
セイバーの方も、聖杯戦争には積極的なのでライダーをここで逃すという考えはないようだし。
『なら、この場をどうやって収拾する? いつまでもこの茶番を見ているというのは面白くないし、何より折角ライダーのマスターをこうして倒せる場所に引きずり出したんだ。このままはいさよなら、っていくのは惜しすぎるぞ?』
『確かに惜しいけど、セイバーとライダーの2人を相手にして勝てる?』
再度同じ事を聞かれるが、それに答える事は出来ない。
1対1であれば、互角にやり合えるだけの実力はあると思っている。
1対2でも、ステータスという意味では対英雄の効果もあって俺の方が圧倒しているだろう。
だが……記憶喪失の影響でスキルが2つと、何より宝具が1つも使えない状態になっている以上、サーヴァント2人を相手にどうにか出来るかと言われれば……
『難しい、としか言えないな』
そう答えるしかない。
宝具によっては、ステータスの差は大して意味がなくなるという話を聞いている以上、やはり俺が宝具を使えないというのは決定的なまでに痛い。
『なら、ここで強攻策を採る事が出来ないのは理解出来るでしょ』
凛の言葉に、仕方がないと溜息を吐く。
実際、このままの状態で俺達が戦い合った場合、最も利益を得るのはここにいないだろうサーヴァントとそのマスターなのは間違いがないのだから。
俺とワカメの前に立ち塞がっている衛宮に向け、改めて口を開く。
「ここでそのワカメを見逃して、その上でそいつが何か騒動を起こしたら、その責任はお前が取ると考えていいんだな?」
「ああ」
「シロウ!?」
衛宮の言葉に、セイバーが冗談ではないと叫ぶ。
正直、その気持ちは分かる。分かり過ぎるくらいに分かる。
聖杯戦争というのは、サーヴァントが最後の1人になるまで勝ち抜いた者が聖杯を手にする事が出来るという代物だ。
つまり、サーヴァントが2人いる時点で聖杯戦争の決着がつかなくなる。
それでなくても、あのワカメだ。どんな騒動を巻き起こすのかは、考えるまでもない。
「そのワカメを守るだけなら、サーヴァントとの契約を破棄させるという手段もあるが、それも選ばないと?」
「……その辺に関しては、後で慎二と話し合ってから決める」
チラリ、と凛の方へと視線を向けると、微かに眉を顰めながらも頷いてくる。
これ以上ここで粘っても、下手をすればサーヴァント2人を相手にすることになるだけ、か。
「最後に改めて確認しておく。今後、そのワカメが何かやらかしたとしても、衛宮がその責任を持つということでいいんだな? もしその責任を持てないようなら、大人しくここでリタイアさせておいた方がいいと思うが」
「俺が責任を持つ」
「シロウ!」
きっぱりと言い切った衛宮に、セイバーが再び非難の声を上げる。
うん、まぁ、セイバーにとっては色々と不本意な結果なんだろうけど、そんなマスターに召喚されたのを不幸に思って貰うしかない。
「分かった、ならそのワカメの事は衛宮に任せる。自分の言葉を忘れるような真似はするなよ」
そう告げ、セイバーとライダーをそのまま林に残して凛と共にその場を去る……前に、足を止め、ワカメの方に視線を向ける。
「ああ、聞くのを忘れていたな。おい、ワカメ。この学校に張られている魂喰いの結界、お前じゃないだろうな?」
殺気を込めて睨み付けると、地面に水たまりを作りながらワカメは必死に首を振る。
「ひっ、ひぃっ! ち、違う! 違う違う違う! 僕じゃないし、ライダーにもやらせてもいない!」
「……その言葉が嘘か本当かは分からないが、衛宮。お前がそのワカメの行動には責任を持つんだったな? その言葉を信じてるからな」
そう告げ、今度こそ衛宮やセイバー達をその場に残して立ち去る。
「もう少し来るのが遅ければ、ライダー陣営は脱落してたのにな」
林から離れ、少ししてから凛に向かって話し掛けるが……
「……そう、ね」
「凛?」
俺の言葉に戻ってきたのは、どこか腑に落ちないといった表情の凛。
それを疑問に思って視線を向けるが、凛は改めてこっちに視線を向けてくる。
「ねぇ、アークエネミー。間桐の家は既に魔術師として枯れている筈なのよ。なのに、なんでサーヴァントを召喚出来たと思う? それに、慎二。アイツにも令呪はなかった。いえ、もしかしたら腕じゃなくて服に隠されているところにあるのかもしれないけど」
「その辺は分からないな。けど、実際にマスターになっている以上は何らかの裏技が合ったんじゃないのか?」
「だと、いいんだけど」
何か心配そうな表情を浮かべている凛だが、珍しいな。
いつもは自信たっぷりといった感じなのに。……まぁ、うっかりとかやらかすけど。
「結局今日は衛宮との決着も付けられず、更には新たなマスターと判明したワカメにも何も出来ず、か。収穫があったのかどうか、正直微妙な結果になってしまったな」
「そうでもないわよ? どういう手段を使ったのかは不明だけど、それでもライダーのマスターが判明したのは大きな収穫だわ。それに、衛宮君が慎二の行動に責任を持つと言ったのを考えると、迂闊な動きをする事も出来なくなるでしょうし」
「そうか? あのワカメ、口だけは達者に見えたからな。寧ろ俺は衛宮をあっさりと丸め込むようにしか思えないぞ?」
そう、下手をすればあのワカメと衛宮が手を組んで、ライダーとセイバーを一緒に相手にする可能性もない訳ではない。
正直、その辺を考えるのなら今日のうちに一気にセイバーもライダーも倒してしまえばよかったんだろうけど……あの2人が手を組むかどうかってのは、あくまでもまだ可能性だからな。
上手くいけばライダーとセイバーが潰し合うという可能性もある。
その辺を考えると、ここで退いたのが吉と出るか、凶と出るか。
「とにかく、暗くなってきたし一度家に戻りましょ。食事を済ませたら、サーヴァントを探しに行くわよ」
「分かった。凛の手料理は美味いからな。期待してるよ」
「ふっ、ふんっ! 当然でしょ? 私の料理を食べる事が出来るなんてサーヴァント冥利に尽きるんだからね」
口では文句を言いつつも、凛の頬が少し嬉しげに緩んでいるのは……言わない方がいいんだろうな。
「さ、行くわよアークエネミー!」
夕食と食休みを済ませると、凛は戦闘態勢万全といった様子で宣言する。
実際に凛は既にいつでも戦闘が出来るようになっているのだろう。
聖杯戦争の本番は夜であり、つまりこれからなのだから。
2月の夜の冷たい空気に身を浸しながら口を開く。
「それで、どこに行く? 新都か、それとも深山町か」
「うーん、そうね。サーヴァント同士の戦いがあるとすれば深山町の方が怪しいんだけど……ここは意表を突いて新都の方に行ってみましょうか。正直、柳洞寺の方を調べておきたいって気持ちもあるんだけど」
「別に意表を突く必要とかはないと思うが?」
そう言うが、凛は特に意見を曲げることがないままに新都へと向かう。
まぁ、俺にしてもどうしても深山町じゃないと駄目だって理由がある訳でもないんだから、それならそれで構わないんだが。
そう思いつつ、俺達は新都へと向かう。
「こんな寒い夜なのに、随分と人が多いわね」
「それを言うなら俺達もだろ」
言葉を交わしつつ、新都の中を歩いて行く。
時々凛をナンパしようとしてくる奴もいたが、俺がいるのを見るとそのまま去って行く。
サーヴァントを探そうとしているより、どちらかというとデートとでも表現すべき行動。
そんな風に街中を歩いている、ふと何かの感覚に触れるものがあった。
これは……サーヴァント?
覚えのある気配。
その気配を察した瞬間、凛の方へと視線を向ける。
それだけで俺が何を言いたいのか理解したのだろう。小さく頷き、そのまま凛よりも先行してサーヴァントの気配のする方へと向かう。
入り組んだ街中を縫うように移動し……やがて到着した俺が見たのは、袋小路になっている場所でライダーの手で動きを押さえ込まれている美綴の姿だった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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