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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。

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この世界のお話を少し

 その地図は黄ばんでおり、上ノ橋がボロボロになっている年代モノだった。
 描かれているものは大きな海と、それに浮かぶ三つの大陸、島々、そして森や山、町などである。
 その辺りは普通の地図であり、山の高さを表すような等高線はないがデフォルメされた山の絵などが描かれ、それらだけならば全体的には可愛い雰囲気の地図になっているきがする。

 そう僕は現実逃避をしながらその直ぐ側にある、ファンタジーの中から出てきたような生物を指さし、

「……これ、俺達の世界ではドラゴンて呼ばれているもののように見えるけれど」
「ああ、それはこの世界のドラゴンですよ。炎を口から吐く、火竜と呼ばれる巨大な炎の力を持つ危険なドラゴンの住処があります」
「火竜というと他にも種類が?」
「はい、水や氷、風を操るものなどたくさん種類がいますね。でもこの炎の龍が一番危険なのでこういった地図には記載されているのです」

 その説明を聞きながら僕は、ここに乗っている神話の時代か何かのような、元の世界ではファンタジックというよりは時代を間違えた感のある地図は、現実にそういった生物の生息地を表しているらしい。
 まさかドラゴンがいるとはと僕が思いつつふと気づく。

「そういえばどうして僕達の言語がレイアには通じるんだ?」
「この世界には生きるのにも魔力が必要なため、魔力が強い人間は特に学ばずとも言語などを理解できます。ただ難しい物、例えば高度な魔法は学ぶ必要がありますが」
「へぇ、この世界の魔法って便利なんだ」

 となると魔力さえあればある程度のことはなんでも出来てしまうようだ。
 ただそうなってくると、

「言葉が翻訳できたりするだけで理解が出来るかはまた別、ってことかな?」
「はい。呪文をその通りに唱えたり魔力と絡ませたりしていても、魔力量の関係もありますが威力といった質が人によって変わります。そこは経験を積んでいかないとどうにもならない部分でもありますから」
「そうなんだ。となると僕、魔力が強いだけで呼ばれたけれど大丈夫なのかな?」
「規格外に強いので、そういった意味で能力が底上げされているので大丈夫ですよ」

 レイアがおかしそうにくすくす笑う。
 この世界ってそんなに魔力によって変わってくるのかと僕が思いつつ、再び目を落とす。
 ちょうど海の部分の地図で、太平洋みたいに大きな区間がある。

 そこに点線で島のようなものが描かれている。
 結構大きな場所だなと思って見ながら僕は、

「ここには何が有るの?」
「……大昔に超古代魔法文明が栄えた、パンゲアと呼ばれる島があった場所です」
「そうなんだ」

 そう答えつつ僕はそれ以上聞くことは出来なかった。
 だってレイアがとても悲しそうな顔をしたから。
 その理由を出会ったばかりで聞くのも何となくいけない気がして僕は、話を変えるために、

「でも僕は今のままで魔法が使えるんだよね。魔法って僕達の世界では使えないから、使ってみたいかな」
「では、この部屋で練習は城のものにバレますので、秘密の場所にご案内します」

 そう、レイアは僕に告げたのだった。 
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