戦国異伝
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第二百二十六話 徳川家の異変その二
「若しや」
「まさか、左道は」
「流石に朝廷にお仕えしている公家の方です」
「左道に手を染めておられるとは」
「流石に」
「わしもそう思うがな」
しかしというのだった。
「有り得ぬかというと」
「それは否定出来ぬ」
「そう仰るのですか」
「高田殿は左道をしておられる」
「その様に」
「若しやな。とにかくじゃ」
さらに言う家康だった。
「あの方には不思議に思った」
「ですか」
「あの方については」
「では、ですな」
「あの方のことは」
「少し見るか。しかしな」
柳生を見て言った言葉だ。
「御主でわからなかったか」
「申し訳ありませぬ」
「よい、それなら伊賀者も無理か」
今度は服部を見て言った。
「調べられぬか」
「やってみますが」
服部が申し出はした。
「殿のお言葉とあらば」
「よい、高田殿も気になるが今は領地を治めてじゃ」
そしてというのだ。
「江戸城の築城も進めばな」
「あの城の普請も命じられていますし」
「それで、ですな」
「あの城も大きい」
「安土城や大坂城の様に」
「実に」
「その為東国の大名が軒並み普請に出ている」
もっと言えば織田家に命じられてそうしている。
「特に当家はな」
「はい、竹千代様も赴かれ」
「天守を築きましたし」
「西の丸も築いています」
「我等の受け持ちが多いです」
「吉法師殿は江戸を拠点として東国を治められる」
これが信長の考えだ。
「あの地面には五つの不動も置き日光に社も置かれるとのことも」
「風水や結界もですな」
「築かれるのですな」
「そして江戸に人が寄る様にして」
「江戸を東国一の町にもされますか」
「その様じゃ。吉法師殿は関は基本設けられぬが」
楽市楽座の政だからだ、信長は人の行き来を自由にもさせている。
「箱根には築かれたな」
「手形で通れる様にされましたな」
「これまでの銭ではなく」
「手形は寺で簡単に手に入りますが」
「手形がないと通れぬ様になっていますな」
「うむ、あの関もじゃ」
それもというのだ。
「江戸を守る為でな」
「その江戸からですな」
「東国を治められるのですな」
「その為に江戸城は巨大なのですな」
「東国全体に睨みを利かせる為にも」
「東国一の城は小田原でしたが」
ここで言って来たのは酒井だった。
「しかし今や小田原の町を囲む城や掘は除かれました」
「そうなったな」
「あれでは小田原城もかなり弱くなりました」
「その通りじゃ、それにじゃ」
家康はさらに言った。
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