ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
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出会いは偶然に
「「負けた」」
パチパチと観客の拍手に包まれながら勝負は幕を閉じた。
「僕のテールナーがやられるなんて……」
「炎技なのにゲコガシラが一撃……」
敗北のショックからか二人はorz状態でフリーズしている。うん、ちょっと初めて見た。びっくりした。
そんな二人を他所にジムを貸してくれたフクジさんが俺に話しかけてきた。
「いやはや、流石チャンピオン。流れるような試合捌きでしたのう」
「まあでも厳しいものはありましたけどね」
いつもバシャーモにはきあいのタスキをもたせている俺だが、少々それだけでは心もとなかった。若干賭けだったが成功してよかった。
「謙遜しなくとも十分見事でしたよ。どうです? 宜しければ私とも一戦」
【ジムリーダーフクジさんがおれにしょうぶをいどんできた】
どうする?
たたかう▽
そんなコマンドを頭に思い浮かべながら、
「そちらから誘って頂けるとは光栄です。よろしくお願いします」
俺はジムリーダー・フクジさんからの挑戦を受けた。
***
結果を先に言おう。取り敢えず試合には勝った。でも、
ジムリーダーの本気を垣間見た。
あいつらやっぱり挑戦者に合わせてポケモン変えてたのか!
それなら今のは対バッチ8個。つまりジムリーダーの本気モードじゃねえか!
「いやー、お強いですな。私のポケモンが圧倒されるとは」
「いやいやーそれほどでもないですよ」
……ワタッコにコットンガード積ませてやどりぎのたねとみがわりで耐える戦法を使うアンタより鬼畜な人はいませんよ。
「ではこれジムバッジです」
「え?いや正式なジム戦じゃないし受け取れませんよ」
「ジムバッジとは我々ジムリーダーが強さを認めた者に授ける証のようなものです。私に勝ったのですから受け取って良いと思いますがね。……まあこう考えるとチャンピオンに渡すのも変な話ですが」
朗らかに笑うフクジさんに負け、渋々俺はバッジを受け取った。
なんだ?某サ○シくん見たいに『ジムバッジゲットだぜ!』ってやったほうが良いって?
……やんないけど。
「見た?」
「うん。私達と戦った時より凄かったわね」
「手加減、されてたのかな」
確かに手加減していないと言えば嘘になる。二対一で賭けも含めて紙耐久のポケモンを使うとか何考えてんだっていう。
「俺、あの人に弟子にしてくださいって頼んでみようかな」
「抜け駆けは良くないわよ」
「分かってるって」
セレナにカルム。お前らさっきから当人に聞こえてるのわかってるか?
「あ……そうだ。フクジさん、聞きたいことがあるんですけど」
「何ですかな?」
「ヒヨクシティって海に面してますよね。ホウエン地方に行く船って出ますか?」
「うーん、どうですかな? あぁ、丁度今私の知り合いが丁度ホウエンから来ていましたね。聞いてみましょうか」
「ありがとうございます!」
「では連絡して置くので、港に行ってみてください」
「ご丁寧にどうも」
という訳で何がどうなって俺がポケモンの世界に来たのか。『ユウキ』は本当に俺なのか。様々な謎を探るため、一先ずホウエンに行って自分の情報を集めることにした。
「じゃあ俺はこれで。ありがとうございました」
「あ、ちょっと待って!」
「どうした?セレナ」
俺が行こうとするとセレナに止められた。
「ホロキャスター交換しない?」
ホロキャ……何だそれ。
「その様子だとやっぱり知らないんだ」
「まあな……説明頼む」
「うーんと、平たく言うと立体映像で相手の姿を見ながら会話できる機械だよ」
ポケナビやらライブキャスター的なやつか。つか立体映像て……この世界科学技術進みすぎだろ。やっぱりポケモンがいるだけで違うもんなのかね。
「……その様子だと持ってないんでしょうね。じゃあ電話番号だけでも教えてくれれば連絡はできるけど、それって少し前に流行った『ポケナビ』でしょ? 番号教えてよ」
セレナが指差す先、俺の腰部分を見るとモンスターボールの脇に黄色主体の丸みを帯びた機械、ポケナビがあった。……というかこんなに目立つ位置にあって何故気づかないんだ俺。
「どれどれ……ええっと、番号は……****-****-****だな」
「ん……分かった」
え?何故*印かって?いやいや、本当の載せちゃうと危ないでしょ。今は情報化社会なんだから。
「……やっぱりホウエンに帰っちゃうみたいだけど、たまには遊びに来てよね」
「ああ。次会う時までにもっと強くなっとけよ」
「勿論そのつもりよ。次は負けないから」
あと、それとな……俺は付け足す。
「セレナのお陰で助かった。何から何までありがとう」
ふふっと笑い、セレナは俺に軽く手を挙げ友達の元に戻って行った。
***
「おいおい。嘘だろ」
「嘘ってぇ、それはひどいなあ」
俺は港に付いた。そこまでは良かった。
フクジさんの知り合いとは言ってもどんな人なのか全く分からなかった……という事実を今更思い出し、周りをキョロキョロする。
ふと、観光客で賑わう露店を見た俺はとんでもないモノを目の当たりにした。
アロハシャツに天然パーマ。中年の少々小太りな姿。そしてサングラス。個性的なその人物はこちらに向かって手を大きく振っていた。
……そして冒頭に繋がる。
「ん?どうしたんだい?フクジさんに言われてここで待っていたんだけど……」
「何でアンタがここに……ーー《《エニシダ》》」
エニシダ。その男はRSEにおけるバトルの最前線《バトルフロンティア》という施設のオーナーだ。BPくれたりレアきのみくれたりするキャラだが、何故そんなはずの奴がこんなところにいるんだ。
「アンタって……いやまあいいんだけどね。というか君こそ一体何処にいるのかと思ったら、わざわざカロスに来た甲斐あったね」
カロス……はこの地方の名前か。
「全く。君の知り合い共々どれだけ心配かけたと思っているんだ。……おかげでポケモンリーグ協会は大慌て、ホウエン中に指名手配風のビラが撒かれたのは記憶に新しいよ。しーかーも! 僕のバトルフロンティアも大損害だった! なんせ《《フロンティアブレーン》》の一人が行方不明なんだからね!」
フロンティアブレーンの一人が行方不明?
リラとかコゴミ?あいつら活発そうだしなー。でも大穴でジンダイさんとか? レジ系持ってたし、今頃ギガスとか捕まえに行ってんじゃないか?
一応エメラルドを知らない世代のために説明しておくと、バトルフロンティアは様々なバトル施設の統合施設で、各種施設ごとに長、即ちリーダーがいる。そのリーダーをバトルフロンティアではフロンティアブレーンと呼ぶのだ。
にしたってブレーンが行方不明ってどういうことだ?
「ん?いやだーかーらー、『バトルデュエル』フロンティアブレーン・ユウキ、他ならぬ君自身のことだよ!」
いや、あの。そういう設定は別にいらないかなって……。
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