イナズマイレブン~クロスライジング~
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夢の中の敗北
前書き
お待たせしました!
「くそっ!これでどうだぁぁ!!ライトニングアロォォォー!!」
ズガァァァァァ!!
俺の渾身のシュートが相手キーパーに向かい、唸りを上げて襲いかかる。
「いっけぇぇ!!」
パシッ!!
「えっ!?」
俺のライトニングアローが片手一本で止められると、相手キーパーはボールを蹴り、FWに回した。
パシッ!
ギュォォォォ!!
相手のシュートは唸りを上げながら、円堂が守るゴールに向かう。
「次は決めさせないッ!!ゴッドハンドォォ!!」
グワシャァァァン!!
「ぐあぁぁぁぁぁ!!」
ピ─────!!
《雷門中またしても世宇子に点を取られてしまったぁ!これで50対0…!!》
「う、嘘だろ…」
俺は地面に崩れながら呟いた。
俺以外誰も立っていない。
世宇子の選手が俺に近寄り俺にシュートを放った。
シュートはどんどん俺に向かってきて、俺の頭にボールが当たろうとした…。
───────────
「うわあああああーっ!!…あ…!?はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
次の日の朝、俺は悪夢にうなされ汗だくで飛び起きてしまった。
内容とは、世宇子との試合に50対0でボロ負けするというものだった。
悪夢とはいえなんという点差だろうか…。
そんな夢の中で俺達のシュートは世宇子相手に全く通用せず、そして世宇子のシュートに成す術もなく俺達は蹴散らされていった…。
「強くならなきゃ…今よりもっと…もっと…!」
俺は急いで支度をすると、雷門中へ向かった。すると途中で円堂とばったり会ってしまい、2人で学校に向かった。
なんと奇遇にも円堂も似たような夢を見ていたようで、俺達がボロボロにやられ、円堂のゴッドハンドも通用しないという夢だったらしい。
俺と円堂が正門を潜ると、木野が
走ってきてすぐに、俺達に向かい言葉を掛けた。
「ど、どうしたのその顔…?」
「…ダメなんだ…なあ俺、ゴッドハンドで世宇子のシュート止められるのかな…」
「同じく…、俺のシュートは世宇子に通用するんだろうか…」
俺達はまるでこの世の終わりみたいな表情で学校に登校したらしい。
「らしくないぞ。いつものお前達ならやってみなくちゃ分からないって、真正面からぶつかって行くじゃないか」
鬼道が俺達に向かい、そう呼び掛けるが円堂は真剣な顔で声を上げた。
「…この決勝は絶対に負けられないんだ!!やってみなくちゃ分からないじゃダメなんだ!!分かるだろ!?」
「…あ、ああ…」
円堂の剣幕に少し驚きを見せる鬼道。相当テンパっているようにも見える。
──すると同じ頃
「円堂君と雷藤君が…?」
「ええ…」
「まずいわね、みんなの士気に関わるわ…」
そんな円堂と雷藤の異変を夏未へ教えに理事長室を訪れた秋。
確かに円堂と雷藤はチームの精神的な柱である以上、落ち込んでいられるとサッカー部全体の士気に関わってしまうからだ。
「どんな言葉をかけたらいいか分からないの…」
「私なら見守るけどな…決勝戦に出るなんて、最初の弱小サッカー部の頃に比べたら、ありえないくらい凄いこと。緊張するなって言う方が無理よ、だから私からあなたにお願い」
「お願い…?」
「私、これから父のところに行かなければいけないの。円堂君と雷藤くんを見守っていて、お願い」
───────────
「ごめん、遅くな…わっ」
「め、珍しい空気だな…」
その日の放課後、練習を風丸たちに任せた俺達、円堂、雷藤、豪炎寺、鬼道の4人組は部室で思いっきり落ち込んでいた。
「鬼道、雷門で世宇子の力を目の当たりにしているのはお前だけだ。奴らのシュートにゴッドハンドは通用すると思うか…?」
「分からないとしか言えない…今はな。世宇子の力だって俺は完全に把握してるわけじゃない、ただ…世宇子のシュートは武方3兄弟のトライアングルZより、遥かに強く恐ろしい。それだけはハッキリと言える…」
あのトライアングルZを超える威力…。やはり世宇子のシュートはトライアングルZと比べ物にならないほど強力なようだ。
ゴッドハンドはトライアングルZ相手でも圧倒されてしまったことを考えると、もはや世宇子のシュートには通用しないかもしれない。
「…トライアングルZは栗松と壁山に支えられてどうにか止めることが出来たけど…きっと世宇子戦は今までにない激しい試合になる。壁山たちだって、俺のフォローにばかり入ってはいられないよ」
「確かにいつも3人でキーパーをやるわけにはいかないよな…」
「お前のお祖父さんの特訓ノートは…?ゴッドハンドより凄いキーパー技のヒントはないのか?」
木戸川戦で習得したトリプルディフェンス、あれならゴッドハンドより強力だが円堂は世宇子戦ではほとんど使う余裕はないと考えているようだった。確かに準決勝まで勝ち上がったカリビアン中が10分持たずに世宇子に全員病院送りにされたことを考えると、世宇子との戦いでは雷門中もケガ人が続出することが想定される。3人のうち1人でも欠けたら使えないトリプルディフェンスは、誰か1人ケガしたら使うのが難しいからな。
俺は鬼道の言葉を聞いて、俺は円堂から借りていた、円堂のおじいさんのノートを開き指を指した。
「これだ、マジン・ザ・ハンド…円堂のおじいさんによれば最強のキーパー技を編み出したんだって。ここがポイントって書いてあるんだ」
俺はそして書いてある絵の胸部分をさらに指で指した。
「ここ…?胸?」
「心臓ってことじゃないのか?」
ゴッドハンドより強力なキーパー技を書き残していた円堂のおじいさん。しかしその技の説明は「胸がポイント」というたった一言だけだった。
「よくこんなキーパー技を見ていたな雷藤」
鬼道が俺にそう言うと俺は鬼道に向かい言った。
「マジン・ザ・ハンドを見ていたのは理由があるんだ。この魔神?みたいなものはキーパー技だけではなく、シュートにも応用出来るんじゃないかって、そう思ったからこのページを見ていたんだ」
鬼道はそう聞くと何も言わず頷いた。
俺が円堂を見ると少し吹っ切れたのか、顔を上げた。
(くよくよ考えたって何も変わらない…とにかく動く!動けば何か掴めるかもしれない…!)
決勝までに残された貴重な時間を、これ以上悩んでいるだけで消費してはダメだと思った円堂。
とにかく特訓に特訓を重ねて何かを掴もうとするが、それは先の見えない暗闇でひたすらもがき続けるようなものだった。
─────────
「前にパパの手紙を読んでから思っていたことだけど…影山が今までやってきたことを考えると、サッカーを憎んでいるとしか思えないの」
「ああ、私もそう思う…そしてその理由を調べていてこのザマさ」
「そのケガ、影山の仕業ってこと…?」
「事故には不審な点が多すぎる…影山が絡んでいることは間違いない。だからこそお前に注意して欲しい、みんなにも十分警戒するよう伝えてくれ」
その頃理事長の病室を訪れていた夏未は理事長の巻き込まれた自動車事故は影山の仕業であることを知らされていた。
「それからな…円堂君のことなんだが…」
「えっ…?」
─────────
「お嬢さん、話っていうのは?」
「いつも父と話していると伺いまして…」
「ああ、お互い追いかけているものが同じですからね…ちょっと情報をね」
「円堂君の話も出ていると聞きましたが…」
そして理事長から円堂の話を聞いた夏未は、その情報を確かなものにするために鬼瓦刑事を呼び出していた。
「……正確には祖父、円堂大介の話ですよ。聞いたんですか…?」
「はい…それは本当なんでしょうか…」
「証拠も何もありゃしませんよ、まことしやかに囁かれる話なんですがね…、大介の死に…影山の姿がちらつくんです」
なんとそれは円堂祖父は影山に殺された可能性があるという疑惑の話だった。
後書き
雷藤「マジン・ザ・ハンドか…、シュートにも応用出来るだろうか…」
円堂「ゴッドハンドを超える、マジン・ザ・ハンド習得してみせる!」
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