ドリトル先生の水族館
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第二幕その七
「人間にとっては」
「海の深くは」
「案外行きにくいんだね」
「お空に上がるよりも」
「宇宙に行くよりも」
「そういえば僕達も」
「そうよね」
ここで動物の皆もあることに気付きました、その気付いたことはといいますと。
「月に行ったよね」
「お空どころかね」
「そういうことなんだ」
「月には行けても」
「海の奥深くになると」
「そうもいかないのね」
「技術的な問題でね。あと地球の奥深くにもね」
その場所にもと言う先生でした。
「人はまだ行っていないよ」
「じゃあ地球の奥深くも」
「実はまだよくわかっていない」
「そういなのね」
「そうだよ、科学的にはわかっているけれどね」
それでもというのです。
「その目ではね」
「よく、はなんだね」
「わかっていない」
「そちらも」
「人が知っていること、わかっていることは僅かだよ」
先生がいつも言っていることです。
「大海の中の小匙一杯でしかないんだよ」
「ううん、色々知っている様で」
「そうではないのね」
「ほんの些細な程度」
「それ位しか」
「知らないよ」
先生は皆に確かな声で言いました。
「そうしたものなんだよ」
「何でも知っている気にはならない」
「そうして学んでいく」
「それが大事なんだよね」
「人間には」
「そう思うよ、僕は」
確かな声ですが温厚な笑顔です、先生のいつもの。
「そのことを踏まえてね」
「学んでいく」
「そのことが大事だね」
「そう思うよ」
こうしたことを皆とお話するのでした、先生は決して天狗にならないところもまたいいところです。ただどうにも鈍感なのですが。
その鈍感な先生のところにです、日笠さんが来ました。先生は日笠さんに席を用意してからお茶を出して尋ねました。
「今日はどういったご用件で」
「はい、水族館からお願いがありまして」
「おや、水族館ですか」
水族館と聞いてはっと気付いた様に応えた先生でした。
「丁度ここ数日水族館のお話をしていまして」
「八条水族館のですね」
「そうです、そこのお話をです」
「されていたのですか」
「そうしたら丁度です」
「私が来たと」
「そうなんです」
このことを笑顔でお話するのでした。
「奇遇ですね」
「噂をすればですね」
「日本の諺ですね」
「そうです」
日笠さんも日笠さんで応えます。
「面白い諺ですね」
「日本の諺も面白いですね」
「どの国にもそれぞれあって」
「それを学ぶことも面白いですね」
「そうですね」
諺のお話でリラックスして、でした。
そこで日笠さんはあらためてでした、先生に言いました。
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