ピウピウ
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第三章
そのマオリ族の服の話を聞いた、するとクラッドは彼等に明るく笑って言った。
「うん、皆がよく見るのと同じだよ」
「同じっていうと」
「俺達が思っている通りのですか」
「そのままの服ですか」
「そうだよ」
何でもないといった口調での言葉だった。
「上は幾何学の模様でね」
「それで下もですね」
トーマスはクラッドに尋ねた、皆で彼が出してくれた紅茶を飲みつつくつろぎながら。
「スカートで」
「うん、ニュージーランドフラックスで作った」
「ええと、ニュージーランド?」
「フラックスだよ、この国の植物だよ」
「あれその植物から作ってるんですね」
「そうだよ、ピウピウというんだ」
クラッドはトーマスにそのスカートの名前も話した。
「あのスカートはね」
「僕男の娘になるんです」
「バンドの中でだね」
「はい、それでそのピウピウを着るんですが」
「あれはそうした服だよ」
「上は幾何学模様で」
「黒と赤、白のね」
クラッドはその模様を作る色も話した。
「タミタ編みのトップス。ピウピウは感想させてそれから染めたものだよ」
そのニュージーランドフラックスをというのだ。
「それで腰には白い先に玉の付いた紐を付けるんだ」
「あれも絶対ですか」
「ポイっていうんだけれどね」
クラッドはその玉の名前も話した。
「あれも着けてね」
「それで完璧ですね」
「まあそうだね、髪は左右で三つ編みにして頭に飾りも付けて」
先生はさらに話した。
「あとはモコだね」
「モコ?」
「刺青だよ」
クラッドはモコについても説明した。
「それも入れるんだ、本当はね」
「へえ、マオリ族の人は」
「ポリネシアでは普通だね」
刺青は、というのだ。
「そうだね」
「そういえばそうだよな」
「ああ、ポリネシアとかミクロネシアとかな」
メンバーもここでだ、その刺青の話をした。
「普通に民族の習慣として入れるな」
「魔除けとか海での鮫除けとかにな」
「身体に入れるな」
「それでマオリ族の人もか」
「身体に刺青入れるか」
「そのモコっていうのを」
「顎に入れるんだよ」
クラッドは自分のその先が割れた顎を指し示して話した
「ここにね」
「そうなんですね」
「マオリ族の人も」
「それでそれもですか」
「ファッションのうちなんですね」
「今は入れている人は殆どいないね」
クラッドはトーマス達にこうも言った。
「流石にね」
「そうですね、俺達もです」
「マオリ族の服は見たことありますし」
「詳しいことは知らなくてもおおよそは知ってました」
「それは」
「そうだね、けれどね」
それでもだというのだった。
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