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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第三十一話 菊池中尉!金魚すくいはスポーツだ!!その十

「神聖な気持ちになっても仕方ねえぜ」
「やっぱり世の中金と女だろ」
「あと美味い食いものな」
「酒もだよ」
「わかったわ、じゃあこの神聖な伊勢において」
 正確に言えばおかげ横丁においてだ。
「あんた達を成敗するわ」
「へっ、やれるものならやってみやがれ」
「俺達は金魚すくいでも無敵だぜ」
「その無敵さをな」
「ここで見せてやるぜ」 
 完全に悪役の台詞を言う二人だった。
「そして勝つ!」
「後は若木萌さんで芸術鑑賞だ!」
「やってやるぜ!」
「煙出るまで右手を動かすぜ!」
「いい加減にしろ」
 騒ぐ二人をだ、後ろからハリセンではたいた人がクレームをつけた。
「全く、神聖な伊勢神宮で何を騒ぐんだ」
「おい、何するんだこの爺」
「まだ墓場に行ってないのかよ」
 伊勢在住の今年百歳になる米田さん(モブです)さんのそのハリセンを見つつだ、二人は怒った声で言い返した。
「さっさと死んで神様になりやがれ」
「神社だから成仏とは言わないからな」
「それで黄泉比良坂に行って来やがれ」
「蟹座の黄金聖闘士が待ってるぜ」
「ふん、わしはまだ生きるわ」
 米田さんは齢百歳にして矍鑠たるものだった。
「百十五歳までな」
「ってあんた天理教の人かよ」
「百十五歳てってことは」
「そうじゃ、ようぼくじゃ」
「ようぼくなら暴力なんて振るうな、おい」
「百歳超えてやけに元気だな」
「天理教でも怒るのはアウトだろ」
「りっぷくって言って戒められてるだろ」
 二人はこのことを何故か知っていた。
「わかったら精々長生きする様に努力してろ」
「精進料理とか食ってな」
「俺達は伊勢うどんとか伊勢海老とか松坂牛とか食うけれどな」
「美食の限りを尽くしてやるぜ」
「先週から全然変わってないな、貴様等」
 米田さんは二人に怒って返した。
「煩悩ばかり言いおって」
「悪いかよ、俺達は頭と下半身で生きてるんだよ」
「この二つに忠実に生きてるんだよ」
 二人は米田さんに悪びれずに反論した。
「酒も食いものも金もお姉ちゃんもな」
「どれも心ゆくまで楽しんでやるぜ」
「今回も勝ってな」
「そうしてやるぜ」
「とことん腐っておるな、しかし貴様等のその腐敗もじゃ」
 それこそとだ、米田さんは二人にまだ言うのだった。
「今回で終わりじゃ」
「ああ、俺達が負けてだな」
「だからっていうんだな」
「そうじゃ、世に悪が栄えた試しはない」
 米田さんもこの言葉を出した。
「貴様等の愚劣な悪行もこれまでじゃ」
「だから俺達は正義なんだよ」
「正義って言ってるだろ」
「吸血鬼でも巨人でも倒してやるぜ」
「どっちもな」
 米田さんに中指を立てながら言ってだ、二人は。
 何時の間にか用意されていた金魚すくいの台の前に立ってだ、そして言ったのだった。 
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