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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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本当の家族

 
前書き
ブレイブサーガデータを新しいデータで復活!!
あまり力は入れない予定だったのにウェンディが偶然にも当たってしまい結構ハマってしまっている状況です(笑)  

 
シリルside

「っざけんなよラクサス!!本気出せってーの!!」

俺が闘技場にある妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aの待機場所にようやくたどり着くと、ナツさんがラクサスさんに向かってそう叫んでいた。

「どうなってやがる・・・」
「あのラクサスが・・・」
「どうも気になるな・・・」
「アレクセイさんって人から気配とかそういうのを全く感じないんですけど・・・」

グレイさん、ルーシィさん、エルザさん、ウェンディがそう言う。

『ああっと!!あまりに一方的な展開、妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチーム、ラクサスの武勇伝もここまでか!?』
『圧倒的というか、凄まじい強さだねぇ』
『それなのにあまり魔力を感じないですね、まだ全力ではないということでしょうか?』

アレクセイがラクサスさんをあまりにも圧倒していることに対して実況のチャパティさんたちがそう言う。

「皆さん!!」
「シリル!!」

俺はウェンディたちの後ろから急いで待機場所に入るとすぐに闘技場が見える場所へと移動する。

「あんた、ケガ大丈夫なの?」
「休んでなくてもいいの?」

ルーシィさんとウェンディが俺を心配してそんな声をかけてくれる。

「大丈夫です、もう十分休みましたので」

俺は2人にそう答えると医務室の魔水晶(ラクリマ)ビジョンで感じた違和感を確認するために目を使ってラクサスさんとアレクセイの戦いを見る。

「やっぱり・・・」
「「「「「?」」」」」

俺は生で2人の姿を確認したことで感じていた違和感を確信に変えることができた。

「どうした?シリル」
「何がやっぱりなの?」

エルザさんとウェンディが闘技場を見ていた俺に対してそう言う。ナツさんたちも俺が何に気づいたのか気になっているようだ。

「今戦っているラクサスさんとアレクセイ、幻ですよ」
「「「「「何!?」」」」」

俺の言ったことに驚く皆さん。

「どういうことだ!?」
「つーかなんでそんなことがわかるんだ?」

興奮しているナツさんと冷静に状況を聞こうとしているグレイさん。

「以前ポーリュシカさんからもらった魔法書で『相手の魔力の流れを見る』というのがあったんですけど、そのやり方であの2人の魔力を見ようとしても全く見えない・・・ううん、覗けないんです」

以前もらった魔法書とはもちろんエドラスのヴァッサボーネが俺に渡すようにポーリュシカさんに預けた魔法書のこと。あれにあった魔水晶(ラクリマ)の使い方をそれなりに覚えたお陰で相手の魔力の流れを集中すれば見れるようになったんだ。

「なんで覗けないと幻ってことになるの?」
「えっと・・・」

ルーシィさんの質問になんて答えたらいいのかわからない・・・

「本来魔導士の体内には魔力が流れている。シリルはそれを見ることができるはずなんだが今戦っているラクサスとアレクセイの体内に流れているはずの魔力を見通すことができない。
それは私たちに見えているラクサスとアレクセイの体内に魔力が流れていないから。つまりあれは本物の人間ではない・・・ということだろ?」
「そ・・・そんな感じです!!」

俺が説明に困っているとエルザさんがわかりやすく教えてくれる。

「何かガードみたいなのがかかってて見えねぇっつうことはねぇのか?」
「それも考えたんですけど、あんなにボロボロなラクサスさんがそんなことやってる余裕はないでしょうし、まず間違いなく幻かと」

グレイさんの仮説を俺は否定する。アレクセイの魔力だけ覗けないならその考えもありだけど、ラクサスさんのも覗けないとなるとやっぱりあれは幻と考えるのが得策だろう。

「でもなんで幻なんか見せてるの?」
「そうだよ。アレクセイさんはそんなことして何か意味があるの?」

俺の推測にルーシィさんとウェンディが疑問を持つ。

「たぶん観客とか俺たちに見せられないものでもあるんじゃないですか?」
「見せられないものってなんだよ」
「さすがにそこまでは・・・」

俺の推測にナツさんが突っ込んでくるがさすがにそこまでは俺にはわからない。

「ちょっと待て、もしかしたら幻の中でレイヴンの奴等また汚ねぇマネしてんじゃねぇだろうな」
「考えられなくはないな」
「えぇー!?」

グレイさん、エルザさんがそう言い、ルーシィさんが驚いて声をあげる。

「だったらすぐにでも助けねぇと!!」
「待ってください!!」
「ナツさん落ち着いて」

ナツさんが闘技場に飛び降りようと体を乗り出したが俺とウェンディが腕をつかんでそれを止める。

「なんで止めんだよ!?」
「幻の中でイカサマしてるとは限りませんし、もし普通に戦っていたらそれを止めた俺たちが失格させられるかもしれませんよ」
「うっ・・・」

俺の説明でナツさんは飛び出すのをやめて元の位置へと戻る。

「今は信じましょう、ラクサスさんを」

俺たちは戦っているであろうラクサスさんを信じ、闘技場を静かに見つめることにした。






















第三者side

「対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルドだぁ?」

ラクサスはイワンの言葉を訝しげに繰り返す。

「その通り!」
「我々は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーそれぞれの苦手とする魔法の使い手のみで構成されている」
「僕たちはその中の精鋭4人だ」

フレアとイワン、クロヘビがそう言う。クロヘビの言う4人とはフレア、クロヘビ、オーブラ、ナルプディングのことをいっており、イワンとノーランは別枠なのだろうとラクサスは考える。

「その俺たちと戦争するつもりか?」

イワンがそう問うとラクサスは1つ溜め息を漏らす。

「お前たちの弱点は知り尽くしている。我がギルドの7年間溜めた力を解放しちゃうぜ?」

ラクサスはそこまで聞くと下げていた顔を上げ、口を開く。

「じじぃはあんたのことなんぞとっくに調査済みだ」
「ん?」

ラクサスの言葉にイワンが反応する。

「調査済みだと?」
「そう言ったろ。構成人数、ギルドの場所、活動資金、この7年間の動向・・・全て掴んでる」
「何!?」

イワンはあまりのことに驚きを隠せず目を見張る。

「ガジルだ!!あいつが謀ったんだ!!」
「ぬぅ~、イケすかねぇ奴でしたが、印象通りだったってわけでさ」

フレアとナルプディングがそう言う。実はガジルは幽鬼の支配者(ファントムロード)から妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入する際、マカロフから命じられ大鴉の尻尾(レイヴンテイル)にも加入し、イワンの動向を見張っていたのである。

「二重スパイだったのか」
「そういう細かいこと苦手そうだけど裏目に出ちゃったね」
「ま、俺ははっきり言って興味のカケラもないが」

イワン、クロヘビ、ノーランがそう言う。
その噂されているガジルはというと・・・

「っんだよ苦戦なんかしやがって。ラクサスの野郎風邪でもひいて・・・」

ガジルはそこまで言うと思いっきりくしゃみをする。

「くそが。俺の悪口でも言ってんのか?あいつら」

ガジルはくしゃみをしたのを大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔導士たちが自分のことを話しているからだと思い、視線を向けていた。

「でもおかしいんじゃないの?」
「筒抜けのわりには特にリアクションもなかったでさ」

フレアとナルプディングがそう言う。ラクサスの言う通り妖精の尻尾(フェアリーテイル)大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の情報が流れていたのならば、それなりの動きをしていても・・・いや、むしろ何か動きを見せていなければならないはずである。

「じじぃはそこまで掴んでいながら動かなかった」
「・・・」

マカロフはかつて息子であるイワンを妖精の尻尾(フェアリーテイル)から破門にした。その理由はギルドの仲間の命を危険に晒してきたからである。
イワンは破門された後大鴉の尻尾(レイヴンテイル)を立ち上げ妖精の尻尾(フェアリーテイル)と戦争するための準備を着々と進めていることは反抗期の頃のラクサス、そして二重スパイとして忍び込んでいたガジルから情報を得ていた。
さらにはイワンは妖精の尻尾(フェアリーテイル)にとって不利になる情報を持っている。マカロフはそれを重々承知の上でイワンは放置していた。
天狼組が不在の7年の間にその情報、メンバーへの危害がなかったことが大きな要因とマカロフは言っていたが、ラクサスにはそれは違う風に感じられていた。

「たぶん・・・じじぃは心のどこかで、あんたのことを信じていたんだろうな・・・親子だから」
「っ!!」

ラクサスのその言葉を聞くとあまりの苛立ちに力が入ったのか、イワンの歯軋りさせていた歯が軽く砕ける。

「黙れぇ!!」

イワンは自らの魔法である紙人形を大量に放出し、ラクサスに襲いかかる。

「くっ!!」

ラクサスは腕でガードしようとするがイワンの繰り出した大量の紙人形を全てガードすることはできずに攻撃を受けてしまう。

「俺はこの日のために、日陰で暮らしてきたんだよ!!全てはルーメン・イストワールを手に入れるため!!」
「ちっ!!」

ラクサスはイワンに自分の説得が届かなかったことに舌打ちする。

「7年間危害を加えなかっただぁ?当たり前だろ!!残ったカス共が“アレ”の情報を持ってるはずがねぇからな!!
ギルドの中も!!マグノリアも!!天狼島も!!ギルドゆかりの場所は全部探した!!それでも見つからねぇ!!」

イワンは自らの欲するものが見つけられない苛立ちを表現するかのように、ラクサスに紙人形を次々とぶつけていく。


「ルーメン・イストワールはどこだ!?どこにある!?言えラクサス!!俺の息子だろうが!!」

イワンの放った紙人形たちはラクサスの頭上で巨大な球体を作り出す。その球体からラクサスに向かって闇の波動が放出される。
その攻撃を受ける時、ラクサスの頭の中に2人の人物のある言葉が思い浮かんでいた。

『例え家族のためであっても、仲間の命を脅かす者は同じギルドにおいてはおけん。先代もそうやってこのギルドを守ってきた。それが妖精の尻尾(フェアリーテイル)じゃ』
『ギルドこそが俺たちの家族だ。俺たちの帰る場所だ』

マカロフとナツ、2人のギルドに対する想い。ラクサスはそれを思い出しながらイワンの攻撃を受ける。

「ふっ・・・!?」

イワンは攻撃を食らったラクサスの方を見て一瞬笑みを浮かべたが、爆風が晴れたところを見て驚愕の表情へと変わる。
闇の波動をまともに食らったはずのラクサスがほとんどキズを負うこともなく立っていたのである。

「ほう。道理で大人しく立ってると思ったら、俺の魔力を確かめたってことかよ」

イワンはそう言う。ラクサスは避けようと思えばイワンの攻撃を避けることなど容易いはずだった。しかし、あえて相手の力量を測るためにその魔法を受けたのであった。

「変わらねぇなそういうとこは。それともやっぱり、実の親は殴れねぇか?お優しいこったなぁラクサスちゃんよぉ」

イワンは挑発するようにラクサスに言う。その時のラクサスの表情にはどことなく迷いがあるように感じられる。

「ラクサス!!」

そんなラクサスに1人の老人が声をかけ、ラクサスはそちらを見上げる。
その老人とはラクサスの実の祖父マカロフ。マカロフは人差し指と親指を立てた右手を高々と掲げる。それは幼き日のラクサスからマカロフに、そして7年前ラクサスが一時破門された際に幻想曲(ファンタジア)でマカロフがラクサスに送ったメッセージである。
ラクサスはそれを見て小さくほくそ笑む。

「オーブラ!!やれ!!魔力を消せ!!今こそ対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルドの力を解放せよ!!」

イワンの指示を受け、オーブラが両手を大きく広げ魔法を繰り出そうとする。
オーブラが魔法を繰り出す直前、雷に身を包んだラクサスがその前に素早く現れる。

「こいつはシャルルとセシリーをやった奴か!!」

ラクサスは大魔闘演舞前日に奇襲にあい、魔力欠乏症となったシャルルとセシリーの無念さを込めた蹴りでオーブラの顎を蹴り上げる。

「っ!?」

イワンはラクサスの速度に目が追い付かず、驚くことしかできない。
オーブラを倒したラクサスに今度はフレアとナルプディングが襲いかかる。

「赤髪!!」

フレアは髪の毛を炎へと変換し、ラクサスを捉えようとするが雷の速度になっているラクサスを捕まえることができない。

「ニードルブラスト!!」

ナルプディングが無数のトゲが生えた腕でラクサスを殴ろうとする。しかしラクサスはそれを全て見切り、避ける。

「これは・・・グレイの分だ!!」
「ぐおおっ!!」

ラクサスは雷を拳に纏い、1日目の『隠密(ヒドゥン)』でグレイを徹底的に狙い打ちしたナルプディングを地面へと叩きつける。

シュルルル

ナルプディングをねじ伏せたラクサスの右腕に赤い髪の毛がまとわりつく。

「捕まえたぞ!!」

先程までラクサスの速度に髪の毛が追い付かず、捕まえることのできなかったフレア。ラクサスがナルプディングを相手にしている隙をついて接近していたのだった。
フレアは髪の毛を炎へと変え、ラクサスの腕を焼こうとする。

「こいつはルーシィの分!!」
「きゃあああああ!!」

ラクサスは焼かれている腕など気にすることなく、ブレス放ち1日目のバトルパートでルーシィをバカにし、違反行為までして勝ったフレアを吹き飛ばす。

「バカな!?」

イワンはラクサスの前に次々と倒される部下を前に思わず立ち尽くす。

「よっ」

ラクサスの背後からノーランが蹴りを入れようとする。だがラクサスはそれを片手で受け止める。

「こいつはシリルとウェンディの分だ!!」
「ぐっ!!」

ラクサスは掴んだノーランの顔面に大魔闘演舞前日に襲撃され、大切な友をひどい目に遭わされたシリルとウェンディ、それに1日目のバトルパートで苦痛を味わわされたシリルの分を追加した頭突きを食らわす。

「サンドフェイク」

闘技場の砂に擬態していたクロヘビが不意をつこうとその姿を現す。

「お前は・・・よくわからん!!」
「ぬあああ!!」

ラクサスは特に妖精の尻尾(フェアリーテイル)と関わりのなかったクロヘビを稲妻で一蹴する。

「わ・・・わが精鋭部隊が・・・おまけにノーランまで・・・」

イワンは自身が育て上げた4人の魔導士と元聖十大魔導にしてイシュガルの四天王に対抗できる最強の三人衆の一角、ノーランが倒されたことに動揺する。

「クソ親父!!アンタの目的がなんだか知らねぇが、やられた仲間のケジメはとらせてもらうぜ」

ラクサスは残る1人、イワンに向き直りそう言う。

「ま・・・待て!!俺はお前の父親だぞ?家族だ!!父を殴るというのか?」

イワンは先程とはうって変わり、ラクサスに命乞いをし始める。

「俺の家族は妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ!!」
「この親不孝者のクソ外道が!!消えろ!!」

イワンは近づいてくるラクサスに紙人形で応戦する。だが今のラクサスの前にそんなものが通用するはずもなく、すぐに弾き飛ばされ一息での接近を許してしまう。

「家族の敵は俺が潰す!!」

ラクサスはそう言い、雷を腕に帯びてイワンを殴り飛ばす・・・はずだった。だが・・・

ガシッ

「「!!」」

それを間に割って入ったある男に受け止められてしまう。

「お前・・・」
「いやぁ今のは割りと効いた。割りとな」

ラクサスの渾身の一撃を片手で受け止めたこの男、それは先程シリルとウェンディの悔しさを込めた頭突きで葬ったはずの男だった。

「ノーラン・・・お前・・・」
「勘違いしないでほしいな。俺はあんたを守ろうと思ってやったんじゃない」

腰を抜かし尻餅をつくイワンにノーランは背を向けたままそう言う。

「本当はもう大鴉の尻尾(このギルド)に潜入してた()()も昨日の段階で片付いたから今日は適当に流してこのまま消えるつもりだったんだが・・・お前のその意思を見て気が変わった」
「あぁ?」

ラクサスは拳を掴むノーランの腕を振り払う。

「俺は仲間など意味はないと思っている。お前は仲間を想う力でこいつらを圧倒した」
「何が言いたい」

ノーランは自分を睨むラクサスを見て笑みを浮かべる。

「どちらの考えがより正解に近いか、試してみようじゃないか」
「俺がお前なんかに負けると思ってんのか?」

ノーランの提案にラクサスはそう言う。ノーランは1日目のバトルで明らかに格下であるはずのルーシィとシリルに苦戦していた。怒濤の攻撃を見せたラクサスにそのノーランが勝てるとは恐らく誰も思えないだろう。

「残念だったな。今ここは幻の中。周りの人間には何も見えないんだよ」
「見えてようが見えていまいが関係ないだろ」
「それが大アリなんだ。俺が大魔闘演舞に出場している今に限っては」

ノーランがそういうと突然ノーランの右目が変色する。白かった部分は黒くなり、黒かった部分が赤くなり出したのだ。

「なっ・・・」
5()()リミットは今を持って終了だ!!ここからは幻が壊れない限界値、7()()リミットで勝負してやる」

最強の三人衆の一角、ノーランが隠していた力を解放し、家族のために戦おうとするラクサスへと襲い掛かる。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
今回の話は少し短めになっちゃいました。
ここに来てようやくノーランが頑張ります。
次回もよろしくお願いします。 
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