FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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返し魔法
第三者side
「アレクセイ様、バトルの対戦表でさ」
大鴉の尻尾のナルプディングが仮面を被った男、アレクセイにメモ用紙を手渡す。アレクセイはその紙を受け取り目を通す。
「この組合せ・・・ノーラン、指示通りやってきたのだな?」
「ああ。ま、ほとんど変化させてないからバレることもないだろう」
アレクセイの問いにノーランが答える。
「よくやった。では、始めるとしようか。我々の真の目的のために」
アレクセイがそう言うと他の大鴉の尻尾のメンバーは不敵な笑みを浮かべる。果たして彼らの目的とは何なのか?謎に包まれていた。
ウェンディside
『それではここで大魔闘演舞3日目の途中経過を発表します!!』
競技パートが一段落したところで実況のチャパティさんから現在の順位とポイントの発表が行われます。
『1位は変わらず大鴉の尻尾!!』
競技パートでこそ無得点だったものの昨日までの大量得点が幸いしトップを死守した大鴉の尻尾の得点は36ポイントとなっています。
『2位も変わらず蛇姫の鱗!!』
今日の競技パートで驚異の数値を出したジュラさん率いる蛇姫の鱗はさっきの得点を加算して合計26ポイントとなっています。
『3位はワンランクダウン!!剣咬の虎!!』
2日目終了時点では蛇姫の鱗と同点で2位だった剣咬の虎。だけどさっきの競技パートで蛇姫の鱗に先行を許し24ポイントとなっています。
ドムス・フラウに来ている皆さんは最強ギルドのまさかの順位にどよめいています。
『4位は人魚の踵!!』
昨日のカグラさんのバトルパートの勝利で1日目から大きく順位を上げている人魚の踵が22ポイントで現在4位となっています。
『そして同じく4位は2ランクアップで妖精の尻尾Aチーム!!』
エルザさんとシリルの活躍で最下位から脱出したのは私たち妖精の尻尾のAチーム!!人魚の踵ど同じ22ポイントで4位になっています。
「よっしゃー!!」
「まだまだランクアップしていくわよ!!」
「はい!!」
ナツさんがガッツポーズしルーシィさんの気合いを入れる声に私が返事をします。なんと言っても目指すはフィオーレ一!!まだまだここからです!!
『6位には妖精の尻尾Bチーム!!』
私たちに次いでカナさんやミラさんのいるBチームもポイントを獲得し現在20ポイントとなっています。
「俺たちも負けてらんねぇな」
ガジルさんもこれから上位を目指そうと気合いを入れているみたいです。
『以下はご覧の通りです』
時間が押しているのか、チャパティさんが7位と8位の発表は順位が映されている魔水晶ビションを見るように促します。
ちなみに7位と8位はこのようになっています。
7位 青い天馬 17ポイント
8位 四つ首の仔犬 14ポイント
「7位ともなるとコールもなしか・・・」
「ついに端所りましたね」
「屈辱の香り!!」
コールをしてもらえなかった青い天馬のヒビキさんとタクトさんは額を押さえながらそう言い、一夜さんは涙を流していました。
「くっ・・・四つ首の仔犬って名前なら、呼ばれない方がマシだぜ」
同じくコールされなかった四つ首の仔犬のロッカーさんが歯がゆそうにそう言い、他の人たちも悔しそうに表情を歪めています。
『それでは、大魔闘演舞3日目、バトルパートの始まりです!!』
ついにバトルパートが始まるとなり、待ちわびたと言わんばかりに歓声を上げる会場の皆さん。
『楽しみだねぇ、バトルパート』
『えぇ』
ヤジマさんとラハールさんも日に日に熱を帯びていく大魔闘演舞のバトルパートが始まるとなると楽しみでそのようなコメントをします。
『第一試合、人魚の踵ソフィア・バルザック!!』
まず登場したのは昨日の競技パートで3位という好成績を収めた人魚の踵のソフィアさん。ソフィアさんは会場の歓声に手を振りながら答えています。
『vs.四つ首の仔犬セムス!!』
ソフィアさんの対戦相手は今日の競技パートに出場した顔に青と白の仮面を被り、頭の先から腰までを黒い服で覆っている格好のセムスさんみたいです。
「魂はいつでもワイルドォ!?」
「「「「フォー!!」」」」
四つ首の仔犬の皆さんがセムスさんに激励としていつもの台詞を叫んでいます。
そんな中ソフィアさんは観客席の方をキョロキョロと見回し、時おり体を屈めたりするという謎の行動していますけど・・・何してるのかな?
「ん~・・・柵が高くて見えないかな?」
今度はソフィアさんは地面に頭をつけて観客席を見つめています。本当に何をしてるんでしょうか?
「ソフィアの奴、何やってるんだい?」
「昨日の競技パートの時に気づいたことを試しているらしい」
「気づいたこと?」
人魚の踵の待機場所ではリズリーさんとカグラさん、ミリアーナさんが何かを話しているみたいです。
「あぁ。闘技場は観客席から見えるように低いところに位置している。つまり女性客のスカートの中が見えるんじゃないかという実験らしい」
「「「「しょうもなっ!!」」」」
ソフィアさんのやろうとしていることを聞いたミリアーナさんたちはあまりのくだらなさに呆れてそう叫んでいます。ソフィアさんってもしかして危ない人なんでしょうか?
「あの~・・・始めていいですかカボ?」
「は~い♪」
マトー君に確認されたソフィアさんは観客席を覗くのを諦めて立ち上がります。私たちがいる待機場所には私の胸元付近まである高い塀があるので覗かれる心配はないと思います・・・たぶん・・・
『それでは、試合開始です!!』
ゴォーン
試合開始を告げるゴングが闘技場に鳴り響きます。それと同時に動き出したのは・・・
「先手必勝!!ワイルドスピン!!」
四つ首の仔犬のセムスさん。セムスさんは顔をガラスのようなもので覆うと体を回転させながらソフィアさんに向かっていきます。
「昨日も言ったけど、そういうのソフィアには効かないから」
両手を広げて高速スピンしながら向かってくるセムスさん。ソフィアさんはそれに対し体を屈めながら足元に向かって平手をぶつけます。
「ワイルドォ!?」
セムスさんの高速スピンによってソフィアさんが吹き飛ばされる・・・ようなことはなく、逆に回転していたセムスさんがさらに速度を上げてソフィアさんとは反対方向に飛ばされていきます。
トゴォンッ
セムスさんは回転したまま闘技場のフェンスへと激突してしまいます。
『おおっと!!四つ首の仔犬セムス!!巨体を生かした回転式のボディアタックをなんといとも簡単に返されました!!』
チャパティさんも体の小さなソフィアさんがその倍はあるであろうセムスさんを、しかもかなりの速度で突っ込んできたにも関わらず片手で楽に跳ね返したことに驚きを隠さない。
『そういえば2日目の『戦車』でも蛇姫の鱗のユウカくんの魔法をソフィアくんは弾いていたねぇ』
『そういえばそうでしたね』
『相手の魔法を跳ね返す魔法・・・と言ったところでしょうか』
ヤジマさん、チャパティさん、ラハールさんもソフィアさんの魔法を物珍しげに見つめているようです。
「まだまだ!!」
さっき壁に激突したセムスさんはなんとか立ち上がりソフィアさんに向かい合います。さすがはワイルドさを売りにしているギルド、気合いが違いますね。
「そうだぜセムス!!魂はいつでもワイルドォ!?」
「「「「フォー!!」」」」
立ち上がったセムスさんを見て四つ首の仔犬の皆さんは盛り上げようと必死に叫びます。
「もう一度!!ワイルドスピン!!」
セムスさんはまたしてもソフィアさんに高速スピン攻撃を仕掛けます。
「わぁっ!!すごい早い!!」
ソフィアさんはそう言いながら体を横にステップして動かしその攻撃を避けます。
避けられたセムスさんは回転したまま方向転換しソフィアさんへと突進していきます。
「やぁっ!!」
「フォー!!」
ソフィアさんは今度はキックでセムスさんを攻撃します。セムスさんはまたもや攻撃されたことで回転速度が上がりますが、そのせいで制御ができなくなりフェンスにめり込みます。
『ああっと!!四つ首の仔犬セムス大丈夫か!?』
さすがに二度目のクラッシュともなるとダメージも大きいはず。セムスさんは大丈夫なんでしょうか?
「なぁマスター?あの女の子の魔法って一体何なんだ?」
「う~む・・・」
ロメオくんがマスターにソフィアさんの魔法の正体を聞こうとしますがマスターも腕を組み唸ってしまっています。
「なるほど、返し魔法ですか」
マスターが頭を悩ませている中、その隣に座っている初代がそう呟きます。
「知っているのですか?初代」
「私も本で見たことがあるだけなのですが、主に手に魔力を集中させ、相手のいかなる魔法をも打ち返すことができる魔法です」
初代がソフィアさんの魔法についてそう説明します。
「どんな魔法でも返せるって・・・それって無敵じゃない!!」
「でも初代、そんなにすごい魔法ならなんで他に使い手がいないんだ?」
エバーグリーンさんとロメオくんがそう言います。
「あの魔法は確かにすごい魔法ではあります。しかし、それゆえに持てる者にも大きな制限があります」
「制限?」
「まず第一に、相手の魔法を受け止めるだけの力、さらにはその魔法を跳ね返すための強靭な体、そして相手の魔法の軌道を瞬時に把握し行動に移す洞察力と判断力も必要になります。
そして相手の魔法を跳ね返すということはそれだけの反動が加わり相手に飛んでいきます、つまり少しのミスで相手に大ケガをさせてしまいかねません。ゆえに力加減も難しくなってしまいます」
初代がソフィアさんの魔法を持つ上での必要な能力について説明します。
「それにあの魔法は相手が攻撃してこなければ発動させることができません。攻撃を返せれるという利点に対しデメリットがあまりにも多すぎるため、あの魔法を使う者は珍しいのです」
「へぇ~」
初代の説明に納得したロメオくんがそう言います。すると今度はレビィさんが新たな疑問を初代に投げ掛けます。
「でも初代、あのソフィアって子、どう見てもそんなに強靭な体とか持ってるようには見えないんだけど・・・」
ソフィアさんは昨日のバトルパートに参加していたカグラさんより頭1つ分くらい小さいです。おまけに体も私やシリルと似た感じでスラッとしています。お胸はちょっとあるみたいですけど・・・
「それは私も疑問に思っていました。あのソフィアという者があの魔法を放つには体の成長度も筋肉の量も全く足りていないのです。本来ならそんな体であの魔法を放てばすぐに壊れてしまうのですが・・・」
どうやら初代もソフィアさんが返し魔法を使える理由はわからないみたいです。一体どういう方法でソフィアさんはあの魔法を使っているんでしょうか?すごく気になります。
第三者side
「あのセムスって奴、まだやる気みたいだね」
先ほど壁に衝突したセムスはフラフラになりながらもなんとか立ち上がる。それを見ていた人魚の踵のリズリーは思わずそう言う。
「そう簡単に諦めるわけにはいかないってことだね」
「でも気合いだけで勝てるほどソフィアは甘くないよ」
待機場所にいるアラーニャとベスがそう言う。
「でも本当すごいよね、ソフィアって」
「そうだよね!!まさかあの魔法を使える人がいるなんてソフィアに会うまで思わなかったもん」
ミリアーナとベスがソフィアの使う魔法を見てそんなことを話している。
「でもなんでソフィアはあの魔法を使っても平気なの?」
「ソフィアは体が常人ではありえないほどに柔らかい。特に手首なんか曲げると指先が腕に付くほどだからな」
ベスの質問に対し後ろにいたカグラがそう答える。
「ソフィアはジュラやオルガのような大きな体も筋肉もない。しかし奴は体の間接、それにわずかについている筋肉も酸素を多く吸収させたことによりまるでモチのように柔らかい。
その間接のしなやかさで敵の魔法の勢いを吸収し、柔らかい筋肉と間接をうまく使うことによりバネを生み出すことにより魔法を跳ね返すことができる。
そして柔らかい体のお陰で体の疲労、ケガのリスクを極端に減らすことにも繋がっている」
カグラはソフィアが返し魔法を使えることについてそう説明する。
「まぁ返し魔法っていうくらいだから相手が攻撃を仕掛けてこないと発動できないのが難点だけどね」
「何を言う。ソフィアには相手に攻撃をさせるあの魔法があるではないか」
リズリーの心配に対してカグラがそう返す。
「あの魔法って・・・戦闘に向いてなくない?」
「確かに挑発には持ってこいだけど・・・」
「あれの本来の使い方はそういうのじゃないからねぇ・・・」
「でも私はあれ好きだけどなぁ」
ソフィアのもう1つの魔法についてアラーニャ、ベス、リズリー、ミリアーナがそう言うのであった。
ウェンディside
「あれ~?まだやるの?」
立ち上がったセムスさんに対しソフィアさんは首を傾げながらそう問いかけます。その仕草が少し可愛いと思ってしまったのは内緒です。
「当然だ」
セムスさんはソフィアさんの問いにそう返します。
「そうだぜセムス!!魂はいつでもワイルドォ!?」
「「「「フォー!!」」」」
絶対に諦めないセムスに四つ首の仔犬の皆さんが声援を送ります。
「よーし!!じゃあ受けてたたないとね!!」
ソフィアさんも腕をグルグルと回し気合い十分。
「これで逆転してやる。ワイルドスピン2倍速!!」
セムスさんはさっきまでの攻撃よりもさらに回転数を上げてソフィアさんに迫ります。
『四つ首の仔犬セムス!!ここで一気に勝負に出ました!!』
『先ほどまでよりも倍近くある回転。これを返すのは至難の技ですよ』
セムスさんの攻撃を見たチャパティさんとラハールさんがそう言います。
「甘い甘い!!ソフィアの魔法はどんな魔法も跳ね返せるんだよ!!」
ソフィアさんはそう言うと上半身もブリッチでもするのではないかというほど反らせます。
「ワイルドォ!!」
「それぇ!!」
高速回転するセムスさんと反らせた上体を一気に戻しながら対抗するソフィアさん。2人の魔法がぶつかり合うと闘技場が見えなくなるくらいの砂煙が巻き起こります。
『互いの魔法が衝突!!果たしてどちらに軍配があがったのか!?』
静かに闘技場を見つめる観客たち。その砂煙の中から高速回転する黒い影が現れ、闘技場の壁へとめり込む。
「わ・・・わ・・・ワイルド・・・」
そのぶつかった黒い影はセムスさん。セムスさんは壁にめり込んだまま動けなくなってしまいます。
「全然ワイルドじゃねぇぜ」
「「「「フォー・・・」」」」
立ち上がることができないセムスさんを見て応援していた四つ首の仔犬の皆さんはがっかりと肩を落とします。
『セムス選手戦闘不能!!勝者は人魚の踵ソフィア選手です!!』
勝敗がついたのを確認するとドムス・フラウにいる観客全員が一気に騒ぎ出します。
『ソフィアくんの圧勝だったね』
『あんな魔法を使う者がいたとは・・・いいものを見せていただきました』
試合が終わり花吹雪が舞い踊る中手を振って歓声に答えるソフィアさんを見ながらヤジマさんとラハールさんがそう言います。
「中々のバトルを見せてもらったな」
「どんな魔法も跳ね返す魔法って、あんなの当たったらまずいことになりそうね」
「どれだけ攻撃しても自分に返ってくるんですもんね」
エルザさんとルーシィさん、私がそう言います。
「なーに、そんなの魔法を使わないで攻撃すりゃあいいってことだろ?」
「何言ってやがる。格闘技もカウンターしてくるに決まってんじゃねぇか。そんなこともわかんねぇのか?」
「んだとコラァ!!」
ナツさんとグレイさんはケンカを始めそうになってしまいます。しかしエルザさんご睨みを効かせると2人ともすぐにケンカをやめてひきつった笑顔で笑っています。2人ともエルザさんが怖くてしょうがないんですね・・・
「ヤッホー!!カグラさーん!!ミリアーナさん!!勝ったからご褒美にムニュムニュさせて―――」
「「「「「いいから早く帰ってこい!!」」」」」
ソフィアさんが人魚の踵の中でもスタイルのいい2人に入場の際に蛇姫の鱗のシェリアさんにしていたボディタッチをお願いしようと大声で話していたらギルドの皆さんに怒られてしまってました。
ただ、ミリアーナさんの名前が出た時エルザさんの表情が一瞬曇ったように見えましたが・・・どうしたのかな?エルザさんは何か気になることでもあるんでしょうか?私は1人、心の中でそんな心配をしていました。
後書き
いかがだったでしょうか。
ソフィアは一時は気の迷いで天空の滅悪魔導士にしようかとも思っていたのですが、仮にそうした場合『天使に滅LOVE』に参加できないことを踏まえ却下しちゃいました。
でも歌って踊るのはなぜか奇数人数の方が私は好きなんだよなぁ・・・
もういっそシリルに天空の滅悪魔法を覚えさせて『天使に滅LOVE』踊らせようかな(笑)
次はラクサスvs.アレクセイです。
次回もよろしくお願いします。
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