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ガンダムビルドファイターズ ~orbit~

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最悪の入学式

よう。俺はカグラ レイ。ただいま絶賛記憶喪失という状態に陥っている中学三年生だ。

中学校を卒業間際、俺はそのまま適当に孤児院の近くの高校に入ろうと考えたりしたら、レイナが

「皆ー!引っ越しするわよー! 」

「はあっ!?何でこのタイミングで!? 」

「レイ君…これには一言では説明出来ない事情があるのです。分かってください」

「いやいやいや!お前前もそんなこと言ってたけど、実際に一言で説明出来る事情だったよな!?面倒だからってそんな言い訳するんじゃねぇ!! 」

「ではあなた達はそれぞれ荷物をまとめてここに置くようにね。レイ君も分かりましたか? 」

「分からねえよ!てか俺が言った事は無視かよ! 」

そのままレイナは子供達と一緒に荷物等をまとめ始めたので、俺はもう諦めて自分の荷物をまとめ始める。
この玲奈孤児院に引き取られてから一年。俺はしばらくの間中学校には行かず(まず自分がどこの中学校出身か分からないけど)、ひとまず日中は子供達の遊び相手をしたりレイナの手伝いをしたりしてた。
そこから約二ヶ月ぐらいたったあとに、レイナが『よく考えたら、レイ君は中学生ですよね?なら学校に行きましょう。とりあえず手続きは済ましたから明日から学校に行ってくださいね』と唐突に言われた。
『こんな時期に言うのかよそれ!?タイミングが悪すぎだろ! 』と返すも、既に手続き済みなので行くしかなかった。しかし、時期が中学生三年生の六月という微妙な時期だった。

とりあえず渋々そこに通い、まあほとどおりなく過ごして今に至るわけだ。

「てか引っ越しったって、いったいどこに行くんだよ?てかこの孤児院から離れて問題ないのか? 」

「そこは心配ありません。施設なら既に用意出来ているので、そこに場所を移すだけです」

「こんな時は準備いいなあんたは!何で俺の時はあんな大雑把なんだよ!? 」

「気にしないでください。それと、場所は宮城県です」

「遠っ!何でわざわざそんな所に移すんだよ!? 」

「分かってください。これには一言で…」

「そのセリフはもういいわ! 」

レイナにツッコミを入れ続けて疲れたせいか、肩で息をする。この約一年間で俺のツッコミスキルが格段とはねあがってしまった。これも何もかもレイナのせいだ!

「あ、後高校は私があなたの名前で受験届けを出したので、そこに通ってくださいね」

「もう嫌だこの人! 」

ーーー--

「…………ここが天之川学園か」

一週間後宮城県に引っ越しをし、その後三日かけて道具やら家具やらを新しい孤児院に運んだ。スペース的にはというか、東京の孤児院と全く同じ構造になっていたので呆気なく済んだけど。
その後、なんと受験が三日後だとレイナからいきなり告げられ、俺はツッコミ余裕も無く、文字通り寝る間も惜しんで勉強し、その結果見事に合格したのであった。

「にしても意外に普通の所だな。なんかもう少し変わったイメージを持ってたんだけど……まあいいか」

鞄を背負い直し、通学路を歩く。そのまま入学式を軽く終え、部活動見学可能らしいが、興味のあるものが無かったのでそのまま孤児院に帰った。

「いや、あんまり帰りたくねえな…」

孤児院から出るとき、レイナがしつこく写真を撮るなど、一緒に行くなど言ったりしたので、俺は朝早くから孤児院の裏門から出て来たのだ。帰ってきたらなんと言われるか…。

「ただいま」

玄関の扉を開くと、予想外にレイナが立っていなかった。……なんか玄関の所で仁王立ちして待ち構えているのを想像したんだけど拍子抜けだな。

「てか他の皆も居ねえし…。あ、小学校か」

そのまま靴を脱ごうとすると、下駄箱の上に紙が置かれていたのに気づいてすぐに手に取って内容を確認する。

「レイナの奴、用があるならメールとか電話とかしろよ………はっ? 」

レイナの字ではないことをすぐに分かり、書かれていた内容は

『午後五時半までに、〇〇の廃工場まで孤児院の金を全部持ってこい。警察にでも言ったら、女がどうなるか分かってるよな? 』

頭の中が真っ白になる。俺は紙を握り潰して示された場所へと走って向かった。

くそっ!入学当日にトラブルに巻き込まれるのかよ!無事でいろよレイナ!

孤児院から十分後に、廃工場にたどり着いた。肩で息を整え、工場の入り口に置いてあった鉄パイプを持って中に入っていった。

「レイ君……」

「無事だったか……。おいお前ら!レイナから離れろ! 」

レイナは手足をガムテープ等で拘束されており、その側には三人の男が立っていた。

「別にいいよ~。その代わりちゃんと金を渡したらだけどね~」

「てかオメェ、金を持ってこいって言ったよな?何で鉄パイプなんか持ってきてんだガキ? 」

「うるせえ……いいから離れろ!離れねえならぶっ飛ばすぞ! 」

鉄パイプの先を男達に向けて叫ぶと、何が面白いのか三人は笑いだした。

「威勢がいいガキだね~。いいよいいよ~。やれるもんならやってみろよ」

男三人組の内二人がナイフを持って俺に襲ってきた。さすがに刃物相手は危険だが……

「けど悪いな。その程度でやられねえよ」

俺は一人を真下から鉄パイプを振り上げてナイフを男の手から弾き、すぐさまこめかみに降り下ろした。背後からもう一人がナイフを突き立ててきたが、俺はしゃがみこんで男だけの急所に鉄パイプを振り上げる。
男一人は気絶し、男一人は悶絶しているが動くことは出来ないだろう。

「さあ、次はお前の番だクソ野郎」

「一瞬でやったのか~。強いね君は~。けど、出来るのかな? 」

男は胸ポケットに手を伸ばすと、その手には拳銃が握られていた。

「なっ!? 」

「はい動かな~い。動いたら即撃ち抜くからね~。ただしこの女をだけど」

「ぐっ……! 」

男はレイナに拳銃を向けながら襟を掴んでレイナを持ち上げ、鉄パイプが届かないギリギリの所まで歩いてきた。

「はい、チェックメイト~」

男は俺に向けて拳銃を向けてきた。
こんなところで……………。

「や、止めてください!お金は払いますから!どうか! 」

「と言ってもね~。こちらは仲間が二人やられてるんだよね~。ならせめて仇とかとりたい思わな~い? 」

「…………レイ君!私の事はいいから、やっつけちゃってください! 」

「えっ? 」

「おっ?言うね~。なら最初はあんたからでいっか~」

男がレイナを床に叩きつけ、拳銃を向けて引き金に指をかけた。

「や、め、ろぉぉぉぉぉぉぉ!! 」

そこで俺の意識は遠くなり、視界が真っ暗になった。

ーーー--

「…………ここは!? 」

目が覚めると、俺は病院のベッドの上にいた。

「なんで俺は病院にいるんだ?痛って! 」

身体中から痛みが走り、よく見るといろんな所に包帯が巻かれていた。

「なんで俺こんなケガしてんだ? 」

「レ、レイ君!目を覚ましたんですね! 」

病室の扉から声がし、入り口にはレイナと子供達がいた。

「レイお兄ちゃーん!! 」

子供達全員が泣きながら俺に飛び込んできた。ちょっ!?なんでか知らないが俺ケガ人なんだけど!?傷口が開いちゃうんだけど!
と言いたかったが、子供達はずっと泣いていたので止めた。

「ううぅ…死んじゃったかと思ったよ…」

「生きててよかったよ~。わーーん!! 」

「ああ。生きてるぞ。だからもう泣き止め」

子供達の頭をポンポンと撫でて、レイナの方を見る。

「んで、俺は何で病院にいるんだ?てかどんくらい俺寝てたの? 」

「えっ?覚えてないんですか? 」

「全く持って覚えてない」

「そうですか……。とりあえず、レイ君は約十ヶ月寝ていました」

長ぇっ!!そこは二週間とかそういう定番な数字にしといて欲しいんだけど!

「ん?待てよ……となると、今って二月? 」

「はい」

「なんでこんな事になったんだよー!? 」

「え~と。レイ君が私を助けに来てですね……」

あっ、そこは思い出した。確かそのあと二人やっつけたんだっけ?

「そこから先は私が話そう」

「タカナシ先生! 」

レイナの説明を遮るように、男の医師が現れた。なんかどっかで見たことあるよーなないよーな気がするんだけど。

「久しぶりだなレイ少年。二年振りくらいか? 」

「……あーー!あの時の院長! 」

「思い出したか。だが続きを言わせてもらおう。君はレイナさんを救うも、男に頭を強く打たれ寝込んだんだ。打ち所が悪かったのか、昏睡状態になった」

「マジか…」

「というわけだ。ケガが酷すぎて治るのにかなりの時間がかかったが、明後日には退院できるだろう。後、レイナさんにはこのあと話があるので来てください」

「あ、分かりました。今日のところはこれで帰りますねレイ君。皆行くわよ」

院長はすぐに説明を終えると、レイナと子供達と一緒に病室から出ていった。

ーーー--

「それじゃあ皆はここで大人しく待つのよ。いい? 」

「「「「「はーい!」」」」」

タカナシ先生に呼ばれ、子供達を部屋の外に待機させて部屋に入る。

「………タカナシ先生。あれはどういうことなんでしょう? 」

「真実を知らない方が幸せの事だってあるって事です」

「しかしあの時の豹変っぷり……それに傷なんて生優しいものでは…」

「確かに私も驚きました。まさか腕をくっつける手術なんて初めてなもので。しかしレイナさん。この出来事は他言無用でお願いします。それがレイ少年のためです」

「……わかりました。では失礼します」

部屋から出ると子供達が怒られていた。騒がしくでもしていたのでしょうか?

「迷惑をかけてすいません。ほら皆、帰るわよ」

「「「「「はーい! 」」」」」

子供達と手を繋いで、病院から出る。その時にレイ君がいるであろう病室を外から見る。

「…『殺してやる』…か。レイ君、道を間違えてはいけませんよ」

 
 

 
後書き
……かなり時間が飛んでるけど、まあ仕方ない…。そんなこんなで、いまだにガンダムの『ガ』の字すら始まってないのは問題だな~。近いうちにはすぐにガンダム出すんで、よろしくお願いします! 
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