転生とらぶる
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1081話
G弾。正式な名称は五次元効果爆弾。まぁ、色々と小難しい理屈の兵器だが、分かりやすく言えば重力技術を使った爆弾だ。
威力に関してはかなりのものが期待されていて、シャドウミラーがこの世界に干渉して戦術機だけでハイヴ攻略が出来るようになるまでは、ハイヴ攻略唯一の手段であるとアメリカが主張していた爆弾。
だが、そもそも1997年という時点での技術しかないマブラヴ世界だ。
いや、1997年の時点で戦術機を開発したんだから、その技術に関しては俺の知っている1997年と比べものにならないというのは理解しているが……それでも、重力制御技術に対して手を出すような程にまでは育っていなかった。
それでも無理をして作った結果、かなり不安定な兵器として完成してしまった。
……広範囲破壊兵器が不安定って、どんなんだよ。そんなの危なくて、とても使えない兵器だろうと思うが……実際シャドウミラーが来ていなければ、確かにG弾がこの世界の希望になっていたのかもしれない。
だが……シャドウミラーが来てしまった以上、G弾の不安定さというのは致命的な問題となっている。
更には、使用した場所に重力異常を引き起こして植物が生えてこなくなったり、他にもどんな欠点……いや、この場合は後遺症と表現した方が正しいか。その後遺症があるか分からない。
シャドウミラーの存在と、実際に俺達が連続してハイヴを陥落させたという実績。そして数多くの欠点により、G弾に関しては下火になっていった筈だった。
だが、アメリカには起爆実験の時に見せた威力により、G弾信者とも言うべき者達もいる。
自分達の国で開発した兵器だというのを考えれば、そんな思いを抱く者が出てきもおかしくはないのだが……それでも強い世論により、G弾の製造と研究は凍結されていた。
……そう。凍結されて『いた』のだ。今は過去形で話さなければならなくなった訳だ。
「ビル、どういうつもりだ? G弾はお前達の技術で手が出せるような兵器ではないというのは、既に知らせてあった筈だな? なのに、何故今のような事態になっている?」
俺の睨み付けるような言葉に、ビルは言いにくそうにしながらも口を開く。
『G弾は確かに危険なのだろう。だが、我が国が独自開発した最強の兵器であるというのは変わりないんだよ。それにこう言ってはなんだが、最強の兵器であるが故に多くの利権も関わってくる』
「なるほど、アメリカ大統領としてその判断は正しいのかもしれないな。だが……技術が足りないと分かっているのに手を出すというのは、危険が過ぎるだろう。それこそ、アメリカとの付き合いを考え直さないといけないくらいにはな。……残念だ」
溜息と共に呟くと、ビルにしてもそんな風に言われるくらいは理解していたのだろう。苦々しげな表情を浮かべつつも口を開く。
『シャドウミラーとアメリカの付き合いに関しては、この件が終わってから詳しく話し合うとしよう。今の問題は、そのG弾がアラスカ近くに集結している部隊に持たされているかもしれないという事だ。G弾を使おうものなら……下手をすれば、アラスカにいるソ連の人間は纏めて消滅してしまう可能性すらもある』
纏めて消滅。そこまではちょっと言い過ぎだと思うが、それでも多大な被害をソ連が受ける事になるのは間違いないだろう。
シャドウミラーの中でも広範囲殲滅兵器として有名な――特にマブラヴ世界では幾度も使っているので、その威力もあってシャドウミラーの代名詞的な存在になっている――フレイヤ程ではないが、その威力は非常に高いと言わざるを得ないのだから。
「アメリカとの関係も色々と考えなきゃいけないんだろうな」
『……その話は後で、と言っただろう? とにかく、今はアラスカ周辺に集結している部隊を何とかしないと』
呟き、チラリとこちらへと視線を向けてくるビル。何を考えているのかは分かるが……そもそも、何だかんだでアメリカ軍はマブラヴ世界では最強の軍隊なのだから。
「コーネリア、実働班としての意見は?」
「そうだな、戦力的に考えれば問題はない。だが、G弾を運用する以上は恐らく地上ではなく海上の軍艦からの攻撃になる可能性が高い」
コーネリアの言葉を聞き、レモンがコンピュータを操作する。
すると、確かに北大西洋をアメリカ軍の軍艦と思しき数隻が進んでおり、そのまま真っ直ぐに進めばアラスカ湾に到着するのは間違いない。
「G弾運用を阻止する以上、下手をすれば軍艦は沈める事になるが?」
確認の意味を込めて向けられる視線に、ビルは苦々しげな表情をしながらも頷く。
自分達が血を流してもこの件を止めたいと思っているのは事実か。その辺は評価出来る。
「レモン。G弾が発射された場合に止める方法は?」
「……ラザフォード力場を貫通出来るだけの威力があれば。それかアクセルの能力なら」
ビルや俺の能力の細かいところを知らない者がいる中なので誤魔化しているが、具体的には精神コマンドの直撃だろうな。
あらゆるバリアの類を無効化出来る直撃は、ぶっちゃけ俺の持っている幾つもの能力の中でも最上級に使いやすく、凶悪な代物だ。
何しろ、それだけの性能でありながら消費するのはSP30だけというのだから、コスト的にも威力的にも凶悪なのは間違いない。
「ただ……」
微妙に言いにくそうなレモンが、そのまま言葉を続ける。
「余程に上手く破壊しないと、G弾を破壊した瞬間にその衝撃で起爆する可能性は十分にあるわ。技術班としての立場から言わせて貰えば、G弾が発射される前に止めるのが最善の選択ね。幸い軌道上からのG弾発射に関しては心配しなくてもいいし」
「だろうな。その辺は助かる。……まぁ、今回の件を見る限りでは完全に安全とは言えないが」
G弾を軌道上に上げるとなれば、当然目立つ。
シャドウミラーが来てからそんな真似をすれば、間違いなく露見しただろう。
シャドウミラーが来る前に上げている可能性もあるが……G弾の保全を考えれば、その可能性は少ない筈だ。
「それに、もし私達が今回の鎮圧に参加するのなら、シロガネを宇宙に向かわせてメギロートを射出。アラスカに攻撃可能な衛星全てに張り付かせておくというのを提案するわ。幸い、シロガネにもシステムXNは搭載されたんだし」
念には念を入れたレモンの言葉に、確かにそっちの方がいいかと俺以外の者達も納得の表情を浮かべる。
「エザリア」
「そうね。今回の件はアメリカの大きな失態よ。それを私達の手でどうにかするというのなら、相応の報酬は必要でしょうね」
薄らと笑みを浮かべるエザリア。
整った顔立ちのエザリアだけに、その笑みを見ると思わず息を呑む。
それは俺だけではなくビルも同様だろう。……いや、俺以上に背筋に冷たいものを感じている筈だ。
エザリアがどれだけ手強く容赦のない人物であるのかというのは、これまでエザリアと幾度となく交渉を行ってきたビルが一番よく分かっているのだろうから。
……まぁ、実際に交渉してきたのはアメリカの外務省。つまり、先程の映像で演説をしていた国務長官であるベンが率いる国務省なのだろうが。
『出来ればお手柔らかにお願いしたいんだけどね』
「そうね。まずはアメリカが所有しているG元素の全てをシャドウミラーに譲渡。同様に保有しているG弾やその研究資料も譲渡して、以後、G弾についての研究は禁止。そんなところでどうかしら」
アメリカをG元素研究から完全に撤退させるつもりか。
実際それはある意味しょうがないんだろう。こんな騒動を引き起こしたのだから。
寧ろシャドウミラーとしては大幅に譲渡していると言ってもいい内容だ。
何しろ、今のアメリカから……より正確にはマブラヴ世界から資金や資源の類を奪いすぎると、BETAとの戦いどころか人類そのものが致命的な被害を受ける可能性すらもある。
それを考えれば、どうしても資金や資源以外のものを貰わなければならない。
まぁ、G元素も資源と言えば資源だが……その辺は納得して貰うしかないだろう。
ただしシャドウミラー側の俺の考えと、実際にG元素等を提供しなければならないビルの考えは別な訳で。
『それは……さすがに……』
映像の向こう側では、素直に頷けずにいるビルの姿があった。
正直な話、G弾の現物やデータは資料以外の要素がないから妥協してもいいんだが、妥協した結果、また今回と同じような騒動を起こされても困る。
G弾がいらないというのは、ぶっちゃけG弾よりも高性能で広範囲に攻撃が可能なフレイヤを所有しているからだ。
フェイズの高いハイヴを攻略して少数入手出来るG元素でどうにか作れるG弾と、無限とは言わないけど、サクラダイトが尽きるまで量産出来るフレイヤ。どこからどう考えても、前者のG弾を選ぶ必要はない。
更に言わせて貰えば、G弾の原料となるグレイ・イレブンそのものがシャドウミラーとしてはブラックホールエンジンの触媒として有用で、それを使い捨てるなんてとんでもないという感じだ。
グレイ・シックスはホワイトスターと融合させた時の指輪の件で完全に不老になる状態まではまだかなり必要だし。
グレイ・ナインにしても夕呼との取り引きに使えたり、将来的に何かに使えるかもしれない以上、こっちで確保しておくのに越した事はない。
「今回のような騒動を起こしたんだから、このくらいのペナルティは受け入れなさい。それとも、私達の力を借りずにどうにか出来るの? ……まぁ、自由になるアメリカ軍を使えばどうにか出来るかもしれないけど、もしそうなったら間違いなくアメリカ軍そのものに大きな被害が出るわよ? 他にも軍や政治家、一般市民にまで動揺が広がるでしょうし」
エザリア……とことんビルの足下を見る気だな。
それでいながら、アメリカがこの世界を引っ張っていく上で重要な資源とかには手を出していない辺り、色々と強気だ。
まぁ、完全にこっちが有利な状況だし、それもしょうがないか。
にしても、ちょっとやり過ぎなような気がしないでもない。
お仕置き的な意味もあるんだろうが。
「……さぁ、どうするの?」
どこの女王様だと言いたくなるくらいに、サドっ気の強い笑みを浮かべるエザリア。
それも、どちらかと言えばクール系の女王様と呼ぶべき風格がある。
スティングやアウル辺りはそんなエザリアの姿に見覚えがあるのか、微妙に頬を引き攣らせているように見えるが……恐らく過去に何らかの悪さをして、この状態のエザリアと遭遇したんだろう。
そんなエザリアとビルは、映像モニタ越しに視線を交わす。
それでも視線を逸らさない辺り、大統領という立場を勤めているだけはある。
そのまま数十秒。あるいは数分が経ったのか、やがてビルが絞り出すような声で口を開く。
『分かった。そちらの条件を全て呑もう。だから、アラスカに攻め込む前にどうにかして欲しい。それと、ソ連に被害が出たら条件に関しては多少考えて貰っても?』
「そうね。その辺に関しては検討しましょう」
応じるんじゃなくて、あくまでも検討か。
この辺、向こうにも色々と思うところがあったんだろうが、今は少しでも早くこの事態を解決しようとしているのか、ビルはその辺には突っ込まずに改めて俺の方へと視線を向けてくる。
『この件に関しては、全権をシャドウミラーに委譲する。向こうが何を言ってきても、大統領から直接の依頼を受けていると言って欲しい。そうすれば、向こうにしても迂闊な真似は出来ないだろう』
アメリカ軍の最高指揮官が大統領である以上、その言葉には納得出来る。
出来るんだが……その辺を本気で考えているような奴だったりした場合、きちんと受け入れるか?
俺としてはちょっと信じられないんだけどな。
だが、頼むと小さく頭を下げているビルにそれを言うつもりはない。
大統領という立場にある者が、公の場ではないにしても頭を下げたのだ。シャドウミラーとしてはその心意気に応じるのは当然だろう。
「コーネリア、出撃の準備を。実働班は地上の部隊と軍艦への対処で部隊を分けろ。俺は……」
地上の方を担当する。そう言おうとしてすぐに気を取り直す。
もし本当にアメリカ軍がG弾を使おうとしているのであれば、それに対処出来るもっとも確実な手段は俺だろう。
正確にはニーズヘッグに搭載されているフレイヤだ。あれでG弾を積んでいる軍艦諸共消滅させるという手段がある。
フレイヤという意味ではニヴルヘイムもあるが……時間との勝負である以上、今回は休みだな。
「海の方は俺が行く。人数の方は地上部隊を多くしてもいい」
「分かった」
「マリュー、さっきも言ったように軌道上でメギロートの展開を頼む。もし地上に向けて何かを発射しようとしている人工衛星がいたら、それがG弾であるなしに関わらず沈めていい。ただし、シロガネが宇宙に行ったらその旨を各国へ通達するのを忘れるなよ」
「ええ、問題ないわ」
マリューも俺の言葉に頷き、早速とばかりにその場にいる者達でそれぞれ出撃の準備を始める。
……G弾、か。色々な意味で厄介な兵器だ。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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