イナズマイレブン~クロスライジング~
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破れ!無限の壁!千羽山戦後編!
前書き
ついに千羽山戦決着です!
雷藤たちは無限の壁を崩せるのか…!?
俺たちは前半を無得点のまま終了し、駆け足でベンチに戻った。
「雷藤さんのライトニングアローが完璧に止められるなんて…」
呟いたのは宍戸だ。
「ああ、あれは渾身の一蹴りだったんだがな…」
俺もショックとまではいかないが、少し動揺してるみたいだ。
「無限の壁をどうにか出来ればな…」
風丸が呟くと、鬼道が俺たちに向かい話し出した。
「後半は染岡のワントップで行こう」
「え、ワ、ワントップで!?」
円堂も思わず声を出す。
「確かに無限の壁は脅威だが弱点がある…それは3人の連携技であることだ。染岡、攻撃すると見せかけて、出来るだけ5番のDFを4番のDFから引き離すんだ」
「その手があったか…!」
俺も鬼道の意見に賛成だ。こうでもしなきゃ、無限の壁を破るのは難しいだろう。しかしその時、半田が叫んだ。
「ちょっと待てよ!豪炎寺と雷藤を下げるって、本当にそれでいいのかよ!そんなの俺達のサッカーじゃない!豪炎寺と雷藤と染岡のスリートップ、それが俺達のサッカーだろ!」
「分かってないな」
そんな半田の叫びを冷たい声で遮ったのも鬼道だった。
「なに…?」
半田も思わず呟く。
「いいか、ここはフットボールフロンティア!全国の強豪が雌雄を決する全国大会、そのピッチにお前たちは立っている。もうお仲間サッカーなどしてる場合じゃないお前たちは全国レベルなんだ!」
鬼道は半田に向かい厳しいことを言い切ると、ハーフタイムが終了し、俺たちはフィールドに戻った。
選手の交代は無い。
ただしフォーメーションは大きく変わった。
FW 染岡
MF 雷藤 豪炎寺 鬼道 半田 マックス
DF 風丸 壁山 土門 栗松
GK 円堂
鬼道の作戦通り、染岡のワントップで後半に挑む。
《さあ後半戦が始まったぁ!雷門は無限の壁を破ることができるのか!》
そして千羽山からのキックオフで始まった後半戦。しかし開始早々にパスコースを読んだ鬼道がボールをインターセプトした。
鬼道はドリブル、ディフェンスに関して本当に凄い。俺も鬼道にディフェンスを教わらないとな…。
そのまま俺たちはすかさず攻勢をかけ、いきなり囮作戦を仕掛けるチャンスが来た。
《染岡が上がったぞぉー!》
「そうは行かないっぺ!」
相手のDF5番が、DFの4番から離れた。このチャンスは逃さない!
「かかった!」
俺が叫ぶと同時に豪炎寺からボールが渡る。
「頼んだぞ雷藤!」
俺は豪炎寺に頷き、後ろから上がってきていた壁山を使った。
「壁山ぁ!」
「はいっス!」
俺は壁山の腹に乗り、オーバーヘッドキックを繰り出す。
「「イナズマ落としR!!」」
紫の雷を帯びたシュートが、千羽山のゴールを襲う。イナズマ落としRならまきわりチョップくらい簡単に崩せる…。
俺がそう思ったときだった。
「「「無限の壁!!」」」
ギュュュンンンン シュゥゥ…
「豚のハナクソずら」
これには流石に驚きのあまりに声が出なかった。
「ふぃ~危なかったぺ~」
「あのディフェンスの奴、いつの間に…!?」
俺が呟くと、風丸も呟く。
「速い…!」
風丸が舌を巻くほどの瞬足…、これはかなり予想外の出来事だ。だが今の俺たちには、この方法で攻めるしかないんだ。
その後も俺たちは怒涛の攻めを見せるが無限の壁に阻まれる。
「豪炎寺!風丸!」
俺が2人にボールを大きく蹴り上げると、シュート体勢に入る。
「「はぁっ!!炎の風見鶏!!」」
「「「無限の壁!!」」」
ギュュュンンンン シュゥゥ…
「炎の風見鶏でも駄目なのか…!」
風丸が唇を噛み締めながら呟く。
だが俺たちは負けられないんだ!
相手キーパーが大きく蹴ったボールを俺が空中で止める。
「染岡ぁーっ!」
俺は染岡にパスを出した。
「ナイスだ雷藤!豪炎寺行くぜ!」
「ああ!」
「「ドラゴントルネードォォ!!」」
俺が繋いだボールは染岡に渡り、豪炎寺と染岡の合体シュート、ドラゴントルネードが千羽山のゴールに向かう。
「「「無限の壁!!」」」
ギュュンンン シュゥ…
「くっ…!」
ドラゴントルネードも完璧に無限の壁によって止められてしまう。
「牛のフンずら」
相手キーパーは、余裕と言わんばかりに、鼻をほじながら呟く。
バシィーン!
相手キーパーは大きくボールを蹴った。しかも俺たちは、壁山、風丸も含め8人で前線に攻めあがっていたため、ピンチになった。
「ヤバい…!皆、戻るぞぉ!」
俺が叫んで後ろを向いた時だった。
「だぁぁぁぁぁぁ!!」
「え、円堂!?」
なんと円堂が上がって来ていたのだ。
円堂はそのまま相手からボールを奪うと豪炎寺に叫んだ。
「豪炎寺行くぞ!」
「決めるぞ!」
「「イナズマ1号!!」」
グォォォ!!
2人が放ったシュートは、大きな音を立てゴールに襲いかかる。このシュートはあの杉森ですら、手に負えなかったシュートだ、これなら!!
「「「無限の壁!!」」」
ギュュュンンンン キィィィン!!
イナズマ1号は無限の壁に阻まれ、完璧に止められた訳ではないが、弾かれクリアされた。
「イナズマ1号でも駄目か…!」
風丸がそう呟くと、チームが暗い雰囲気になっていた。
「やっぱり無理だったんだ…いきなりワントップだなんて…」
「このまま、負けちゃうのかな…」
「お、おいみんな…!どうしたんだよ!なにヘコんでんだ!」
今回ばかりは円堂の檄にも反応しないほど、今回はチーム全体の雰囲気が良くない。俺も口を開いた。
「まさか諦めたなんて言うんじゃないだろうな!まだ試合は終わってねぇぞ!」
「でも、無限の壁が破れないんじゃ…」
「やっぱり必要なんだよ、必殺技が…」
俺の檄も意味なく、この状況はヤバいな…と思っていると、円堂が叫んだ。
「必殺技ならある!」
「「「………!?」」」
円堂の叫びにみんなが、円堂に振り向いた。
「 俺達の必殺技は炎の風見鶏でもイナズマ1号でもない!本当の必殺技は、最後まで諦めない気持ちなんだ!帝国と戦った時からずっとそうだった!尾刈斗中の時も、野生中の時も、御影専農の時も、秋葉名戸の時も、戦国伊賀島の時だって!諦めなかったからここまで来られたんだろう!俺は諦めない!諦めたらそこで終わりなんだ!俺達のサッカーは、絶対に最後まで諦めないことだろ!?だったらやろうぜ最後まで!俺達のサッカーを!」
最後まで決して諦めない俺達のサッカーをやろうと仲間たちに訴える円堂…。俺もこの言葉には勇気を貰った。
すっかり闘志を失っていたみんなも、円堂の熱い言葉に突き動かされて、もう一度戦う気力を呼び起こした。
鬼道はこの時、雷門のサッカーの強さを知った。
(はっ…これだったのか…円堂と一緒に戦うということは…雷門の本当の強さとは…!)
円堂を中心にして一つになっていく雷門イレブンを見て、鬼道は仲間の絆が生み出す強さをひしひしと実感していた。
「ようし…!残り5分!全力で行くぞォォッ!!」
「「「おお!!」」」
完全に一丸となった俺たち…、試合再開はゴール前のコーナーキックからだ、円堂を含めた全員が敵陣に乗り込み一斉攻撃を仕掛ける。お互いに一瞬の油断もできないゴール前の大乱戦になった。
そして俺にボールが渡ったその時、千羽山DF陣はまたもあのかごめかごめを仕掛けて来た。
「「「かごめ、かごめ、かーごめかごめ、 かごめ、かごめ、かーごめかごめ」」」
「鬼道ぉぉぉぉーーッ!!うおぉぉ!!サンダーキャノン!!」
俺は鬼道の名前を叫びながら、サンダーキャノンを放った。
「うおおおおおっ!!」
鬼道もそれに合わせてボールを強く蹴り上げる!そして鬼道の横に豪炎寺と円堂が走り込んで来た。
「「「でええあああああああああああああ!!」」」
鬼道が空に蹴り上げたボールは、空中で雷雲のようになり、ボールが雷として地面に降り注いでくる。そしてそのボールを鬼道、円堂、豪炎寺の3人で蹴り込んだ。
「「「イナズマブレイク!!」」」
ズガァァァァァァン!!
ものすごいシュートが千羽山ゴールに雷鳴と共に襲いかかる。
「「「無限の壁!!」」」
ギュュュンンンン!!
イナズマブレイクが無限の壁に衝突する音がフィールドを包む。
「「「いっけぇぇぇぇ!!」」」
俺たち全員が一体になったように、叫んだ。
ビキビキ… グワシャァァァン!!
「「「ぐわぁぁぁぁぁ!!」」」
ピ──────!!
《ゴォォォォール!!ついに雷門、追いついたぁぁぁぁ!!》
「「「よっしゃぁぁぁ!!」」」
3人が放ったイナズマブレイクは、無限の壁を砕き、相手キーパーごとゴールに叩き込んだ。
「よし!このまま逆転するぞぉぉぉぉ!!」
円堂の叫びに俺たちは全員で応える。
「「「おおおっっっっ!!」」」
──────────
「雷藤ぉーっ!」
鬼道から俺に綺麗なパスが通った。時間もない…、これで決めさせて貰うぞ!
「豪炎寺!決めるぞ!」
「おう!」
2人で炎の渦を纏い、回転しながら空中に上昇し、そのままツインシュートを放った。
「「ファイアトルネードDD!!」
グオォォォォォ!!
火力全開のファイアトルネードDDがゴールに突き進む。
「「「無限の壁!!」」」
ギュュュンンンン ビキビキ…
「チェックメイトだ…!」
俺が呟くと同時に砕ける音が響き渡った。
グワシャァァァンンンンン!!
ピ────────!!
そして─────
ピ ピ ピ───────!!
《ここで試合終了のホイッスルゥゥ!!2対1!雷門の逆転勝利だああああ!》
「や…やったああああ!!勝ったんすね!?俺たち勝ったんすね!?勝ったんですよね!?う…うう…!うっうっう…!」
「宍戸…!」
勝利のホイッスルを聞いた俺たちがベンチに帰ると、感動のあまり涙を流していた宍戸が迎えた。
「ああ!勝ったぞ…!」
その後は半田と鬼道も和解し、握手をし合っていた。
このチームなら…、いやこのチームで優勝したい…絶対に…!
俺はこの時、そう思った。
雷門中対千羽山中
2対1 雷門中の勝利。
全国大会準決勝進出。
──────────
ピリリリリピリリリリ
「電話…?誰かしら」
そしてその日の晩。秋が自分の部屋でくつろいでいると、携帯に誰かからの電話がかかって来ていた。心当たりがないまま、とりあえずその電話に出てみる秋だったが…
「えっ…………嘘でしょ…?一之瀬君…?」
その相手は、もうこの世に居ないはずの一之瀬からの電話だった。
後書き
雷藤「ついに次は準決勝だ!」
円堂「ここまで来たら優勝しかないぜ!」
鬼道「お前たちの強さが分かったいい試合だった」
円堂「そのお前たちに鬼道も入ってるんだぜ!?」
鬼道「ふ…そうだったな」
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