ランス ~another story~
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第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
~マルグリッド迷宮2層・木村エリア~
第1層を超え、更に奥へと脚を踏みれるユーリ。
どうやら、第1層のモンスターの強さが異常だったようだ。この先の敵はいつも通りの、以前来た時と然程変わらない強さ、そして難易度となっているようだ。
「……まぁ、面倒な敵はいるがなっ!」
「オペレーションビーームっ!!」
目の前にいるモンスターは《ゲイツ95》
服の上にマントを羽織っている金髪の男の子モンスターだ。脳がコンピュータのCPUに利用されているらしいが。そして、この男の子モンスターは、その強さよりも、厄介な能力を持っているのだ。
「封印系……。技を封じられるのが一番厄介だ」
「封いn「だからって、やらせるかっての!」ぎゃあああっ!!」
ゲイツ95は、ユーリの剣の前に斬られた。
厄介だと言わしめたモンスターだったが……なーんと、ものの数秒で仕留めてしまっていた為、まるで説得力がないだろう。
「やれやれ……マルグリッド2層。純粋な強さとは違う技能を持った敵が多いな」
単純な力じゃない。
状態異常攻撃を主体とする敵が多い為、一概に言えない。だからこそ、油断は絶対にしないのだ。毒系を受ければ、有無言わさずにダメージを受け続ける。攻撃手段の全てを封じられてしまえば、まさに死活問題だろう
「さて……お次はなんだ?」
ユーリはニヤリと笑って剣を構えた。
これでは以前に真知子が言っていた通り戦闘狂だ。そう言われても、思われても無理もないのである。
「……へっくしょんっ!!」
図星だったのか、ユーリは戦いの最中なのにくしゃみをしていた。
そして、次々出てくるのは まる、ポリマン、それにイカまんまるに関しては、先ほどにもあった毒攻撃もしてくるからこれまた厄介なのだ。
「姿が明らかに手抜きなんだよ まるは! いい加減引っ込め!」
「ひゃ~~!!」
「イカイカイカ~~!!」
「墨を飛ばしてくるなぁ!!」
「いかぁぁ~~!!」
「シュ~ティングパワーポリゴンup!!」
「もうお前だけなのに、意味も無いだろ!!」
「10万ポリゴンパンチ!!」
「攻撃の意味判らんわ!! このっ!」
「きゃーー!!」
何だかんだと、文句を言いつつも、あっと言う間にモンスター達の群をやっつけていくユーリ。こんな感じで、第1層と大して変わらず暫く無双状態が続いていくのであった。次第に、モンスター達がユーリを避ける様になったのは言うまでもないだろう。
幾らモンスターとはいえ、自分の命の方が大切だから。
~マルグリッド迷宮2層・田中エリア~
それはユーリが、丁度モンスターを蹴散らし続け、無双をしている時だった。
「はぁ……はぁ……っ な、なんで、私、私、こんな目に……あうの……っ」
息を切らせながら 只管通路を走る姿がそこにあった。その姿を追いかけるのは複数の人影。
「追いかけろ!! ひゃっはー! オレ達はついてるぜぇぇ!!」
「まさかこんな所で、アイツに合えるとは思ってもいなかったなぁ!!」
目を血走らせながら走る複数の人影。
身なりから考えたら冒険者だろう。レンジャー・ガンナー・ファイター……回復役のヒーラーがいないが、それなりにパーティメンバーとしては、揃っているようだ。
「喰らえ!!」
ガンナーが、弓矢を撃ち飛ばした。走りながらだった為、比較的狙いやすい、その胴体を狙う。
「ぁっ!!」
矢が飛んでくるのが判った、感じ、横っ飛びでその矢を避け、迷宮の横道に、何とか免れる事が出来た様だ。
「ちっ……避けやがったか」
「しかし、本当にアイツ、なのか?」
「姿を見たら判るだろ! 間違いねえって。んでもってやっちまえば大幅レベルアップだ!」
「……だが、きゃんきゃんはこんなに逃げたりしなかったんじゃないか?」
「ま、普通のきゃんきゃんなら見逃すんだが、あいつは見逃したら流石に勿体無いだろ!」
そう言いながら逃げた横道に入っていった。
彼らが追いかけているのは、《幸福きゃんきゃん》
きゃんきゃんの上位種であり、出会うものを全て幸福にすると言われている。そう、彼女達を狩れば幸福……ではなく、異常なくらい経験値が入るのだ。レベルによるが、桁違いの経験値である為下手をしたら2~3程上がるのだ。そして、そのきゃんきゃんの戦闘力は皆無であり、全く危険も無い。
「っ……!! い、痛ッ……」
逃げたところで、痛めた脚のせいでバランスを崩して倒れてしまっていた。何より、ここから先はもう逃げ場は無い袋小路だった。
「わ、私が、何を……何をしたの……? 何も、わるいこと、してないのに……」
自然に涙が目に溢れてしまった。流石の冒険者の男達も驚いている。何故なら、きゃんきゃんが泣いている姿は見たことないからだ。彼女達は基本的に誰とでも友達になりたいと誘惑している。
攻撃をされたとしても、必死に誘惑してくる程だった。
なのに彼女は涙を流している。だけど、その程度で止まる筈もなかった。
「こ、んな所で……死ぬの? 死んじゃうの……?」
死を意識しだし、今度は身体中が震えてしまう。
「よーし! 追い詰めたぞ! オレの経験値!」
「覚悟しろよ~~!!」
「はは、イタズラしちゃおうぜ!」
じりじりと迫ってくる男冒険者達。その目は欲望のままに生きている者の目だ。かつて、人間だった時に何度も見てきているんだから。
「(いやっ……だ、だれか……)」
手をぎゅっと握り締めて 懇願しようとする。折角、安息の場所が見つかって 静かに平和に暮らしていたのに。モンスター達がいる事自体は怖かったが、害は無かった。
なのに……。
「お、お願い……誰か……誰か助けてっ……!!」
そう叫んだ瞬間だった。
いきなり、この場が閃光に包まれたのだ。
「うおっ!!」
「な、なんだぁぁ!!」
「ま、まぶしっ! め、目がぁぁっ!!」
男達は目を血走らせて見開いていた為、まともに光を見てしまい、目が眩む。目が眩むどころじゃなく、耳もやられ、難聴に陥り見当識失調を発生させてしまったようだ。
「ほら、こっちだ。今の内に」
「っっ!?」
きゃんきゃんは目を瞑って叫びを上げていた為、その光を見ないですんだのだ。だが、音響は響いてきたから軽いパニックに陥ってはいた。突然、手を握られてしまい驚いてしまったのだ。
驚く間もなく、手を引かれ、抱かかえられる。
「えっ? ええっ??」
「ちょっと我慢してくれ」
「え? きゃっ!!」
凄まじい速度で走られてしまい振り落とされるかと思ったが、とりあえず必至にしがみついていた。その力強い身体を、しっかりと抱きついていた。
ユーリが気づいたのは更に進んだ先のエリア。
~マルグリッド迷宮2層の佐藤エリア~
その場所に着いた時だった。
何やら、騒々しいのに気がついた。通路を覗いて見ると、きゃんきゃんを追いかけている冒険者達が見えたのだ。別に相手はモンスターだから、そこまで意識してなかったのだが、ユーリも彼ら同様におかしいと思ったのだ。
「……きゃんきゃんって……あんな感じだったか?」
その事が、気になったのだ。ユーリ自身もきゃんきゃんについてはよく知っているから。
そこで、ユーリは気づかれないように後をつけていた。
袋小路に追い込んだ彼らは、きゃんきゃんを蹂躙しようとしていた。幸福きゃんきゃんだから、経験値を大幅にくれる極めてレアなモンスターだから躍起になる理由は良く判る。
だが、泣きながら助けを請う。……そのきゃんきゃんの姿を見て、ユーリは きゃんきゃんの姿が以前に盗賊団に捕まっていた少女に被って見えたのだ。
「………助けるか」
他者から見れば異常な光景なのかもしれない。だが、自分の心に従ったまでだ。流石に冒険者達を打ち倒すわけにはいかないから、以前にランに使った技を使用し目を晦ました後、きゃんきゃんを助け出したのだった。
~マルグリッド迷宮2層・前原エリア~
ここが、2層エリアの最奥。
この曲がり角先がスタンプエリアであり、ゴールだ。
「………」
「大丈夫か?」
ユーリはとりあえず、腰を降ろし 抱かかえていたきゃんきゃんを離した。……まだ、混乱しているようだ。いや……怯えていると言ったほうが正しいだろう。
「そ、それで……あなたは、わたしを、どうするんですか……?」
涙目で見つめてくる少女。
もう完全に、この子を、モンスターとしては、見れなくなってしまっている自分が確実にここにいる。そうユーリは思っていた。
幸福きゃんきゃんに関しては、過去片手で数える程しか遭遇した事ないが、皆一様に最後の瞬間まで笑っていた。一般には知られていないが、気絶させただけでも経験値がくれる為(その後は普通のきゃんきゃんに戻っていた)ユーリはいつも殺す様な事はせずに気絶させて経験値を得ていたのだ。
だが、目の前のコはどうだ? 姿こそ、幸福きゃんきゃんのそれだが、今は人間にしか見えない。
「どうもしない」
「え……? なら何で私をあそこから……」
「見ていられなくなってな? ああ言う光景、いつ見ても嫌気がさすんだよ。女の子モンスターでそう感じたのは初めてだ」
ユーリはそう言って笑っていた。
過去に女の子モンスターに対してイタズラをした連中は見たことはある。だが、それは女の子モンスター達も命がけで戦い、人間の命をとろうとしていた事もある。そして、戦いに負けた以上は、とやかく言うべきではないのだから。
逆に殺されないだけマシだと言えるかもしれない。幸福きゃんきゃんは、じっとユーリの目を見つめていた。まだ 震えていて怖がっているようだが、決して目を逸らせる様な事はしなかった。
「し、しんじても……良いんでしょうか?」
そう、口を開いた。ぎゅっと手を握り締めている。本当に怖かったんだろう。ユーリはその手を包み込むように握り締めてあげると。
「ああ。大丈夫だ。オレは、君には何もしないよ」
笑顔のままに、そう言っていた。それを見て判った。
そもそも、生け捕りにする意味など殆ど無いのだ。経験値を異常にもらえると言う特性が色濃く出ているのだから。 そして、何よりも安心出来る笑顔だったから。
「あ……ありがとう。ありがとうございます……」
涙を流し、何度も何度も頭を下げていた。涙を流し続ける彼女を見て、ユーリは軽く頭を撫でながら訊いた。
「キミは……本当に女の子モンスターなのか? オレは、きゃんきゃん自体は沢山見てきている。幸福きゃんきゃんも少ないが見てきている。だが君の様なコは、これまでの冒険で見た事がないな」
「あ……、はい。私は一応女の子モンスターに分類されてます。ですが、少し……色々とありまして。その……前世の記憶があるんです」
「前世の……」
ユーリは表情を強張らせた。その感覚は、他人事とは到底思えないからだ。
「細かい所までは思い出せません。私は、ある里でいました。名前は判りませんが、そこでは病が蔓延してて……私と同じくらいの歳のコが沢山いて皆同じ病気でした」
「病……、それも沢山のコ達がか……」
ユーリは心当たりがあった。
それは10代の娘達に感染する現代では不治の病とさらえている難病の一つだった筈だ。今は何処かに隔離されていると言う事も知っているから。
「はい。……それでも、私達はがんばって暮らしていました。皆で励ましあいながら暮らしてて……。でも、ある日……ある人達に連れられてしまって……皆で逃げ出したんですが、」
表情を落としていた。
苦しい、辛い過去の話を無理に話をさせることは無い。
「止めろ。……思い出したくなかったら無理に言わなくて良い」
「あっ はい ありがとうございます、大丈夫です。……それで私の人としての生は終わりました。そして、今はこうして女の子モンスターになってしまってて……」
幸福きゃんきゃんは涙を再び浮かべた。
「人としても、モンスターとしても、追いかけられて、殺される運命……なんでしょうか? 私は……いつも、きっと人として生きてる前も同じかもって思えて……悲しくて、苦しくて……」
「………」
ユーリは心をグッと抉られた感覚に見舞われた。どう転んでも殺される運命。
その抗えないレールの上を走らされ続けた悠久の時代の記憶が彼の目の前で薄っすらと浮かび上がってきたのだ。
「運命なんかない。……未来は自分の手で掴み取るものだ」
「っ……」
その言葉に心を動かされそうになった。だが、まだ首を左右に振る。
「私は……力もありません。……それに幸福きゃんきゃんは経験値を沢山くれるから、いつも狙われる。だから……無理……なんです私には力なんか……」
「なら、オレが手を貸そう」
「……えっ?」
「これはただの切欠。君がこの手を掴むか、掴まないか。……オレを信じるか、信じないかは、君の自由だ」
ユーリは手を伸ばした。
直ぐに手を伸ばせば掴める距離に、先ほどの温かかった手が見える。これまで、ずっと呪われた生と思ってきた。転生しても、終わらなかった。人だったときも人から逃げ、モンスターになっても人から逃げた。運命なんだって諦めていたのに。
「あ……っ、ああっ……」
「……どうした?」
目の前の男が、光に見えた。或いは、神か……?
「神……様? ですか?」
だからこそ、そう思ったのも無理はないだろう。この迷宮は薄暗い。そんな中で、2度も光をみたんだから。それを訊いたユーリは首を振った。
「生憎だが、オレは神が嫌いでな。……悪いが違うよ」
「わ、私にとっては、貴方が神様、です。わたしを救ってくださった神様、なんです……」
手を伸ばして、ユーリの手を掴んだ。それは、先ほどと同様。抱かれ、連れられた時に感じた温もりと同じだった。本当に、この温かさはもういつ以来だろうか。
「……うーむ。神、か。正直 神って単語を聞くだけで毛嫌いしてたが。……止めた方が良いかな」
ユーリはそう言って?まれていないほうの手で頭を掻いていた。これまでも、それが理由で専属のレベル神と契約をしていないのだ。不憫じゃないとは言ったが……、確かに専属のレベル神がいた方が良いだろう。
「ん。神にも色々いるってことだな」
「え? どういう意味です?」
「いや、こっちの話さ。じゃあ、一緒に来るか?」
ニコリとユーリは笑った。その笑顔に応える様にきゃんきゃんも笑った。
「は、はい! え、えっと……ユーリ、お兄ちゃんっ!」
「ん? お兄ちゃん?」
「私、こう見えてもとても幼いんです。それにずっと、兄が欲しかったので。その、駄目……ですか?」
「いや……良いよ。久しぶりだな、と思ったから」
「はいっ! お兄ちゃんっ!!」
きゃんきゃんはそう言って腕に抱きついた。
――魔物使いと呼ばれる職業はある。だが、普通の人間がモンスターを仕えるような事、これまでにも殆ど前例が無い。
彼女の心を動かしたのは、彼だからなのか……?
共感するところがあったからなのか……?
或いは……その全てなのだろうか。
それは判らない。だが、繋がっているその手、絆はとても固いものだと思えた。
ユーリの新しい家族がここに出来たのだった。
~マルグリッド迷宮2層・前原エリア ゴール前~
ユーリは幸福きゃんきゃんを仲間にしたのは良かったのだが……。ここは危険な迷宮なのだ。
彼女は戦えないから、一緒に連れて行くにはかなり危険が伴う。
「え? 私の事??」
「そうだ。オレはこの迷宮の先にようがあるからな。きゃんきゃんである君を連れて行くのはちょっと心配だな、と思っただけだよ。まぁ、一旦ここから出るのも手だが」
そうなれば、依頼遂行の時間が大幅にかかってしまうだろう。
期間があるわけじゃないからその点は大丈夫だが、依頼品がなくなっている可能性は否定できないのだ。
「私は大丈夫だよっ!」
「何が大丈夫なんだ……? きゃんきゃんが戦ってる所なんて、オレは見た事ないんだが」
「大丈夫だって、じゃあ、いっくよ~~!!」
「ん? ……ん??」
ユーリは目を凝らした。
前にさっきまでいた筈なのに……眼を凝らして確認しなければならない程、その姿が判りづらくなった。そう、《認識》しづらくなっていたのだ。
「……何をしたんだ? 急にいなくなったのか? と思ったくらいだぞ?」
「えへへ、幸福きゃんきゃんがなんで中々遭遇しないのか、って言うのは実はここにあるんだよ! 普通のきゃんきゃんは かなりフレンドリーなんだけど、私達の固体は必ずしもそうじゃない。シャイなコだっているみたいだし、恥ずかしがりやさんだっているの。だから、皆 自然とこのスキルが身についたんだ。諜報とステルスかな? 完全に姿を消せるわけじゃないから、100%ってわけじゃないけど、ユーリお兄ちゃんが、誰かと戦っていたら、絶対に、そのヒトは 私には気づかないよ! 勿論、認識出来る、出来ないのONとOFFも自由自在! 指定する事だって出来るんだ!」
「へぇ……それは知らなかったな。多分人類全員が知らなかった事実じゃないか? そもそも幸福きゃんきゃんは世界に10体といないと言われてるんだし、知らない事実があっても不思議じゃないか」
「ん? 私達はもっといるんだよ?」
「……へ?」
ユーリは再び驚く事になってしまった。驚く事に、広く周知されていたことが覆されていると言う事なのだ。
「認識しづらいって事は発見しづらいって事なのっ。統計で私達の事を出したんだと思うんだ。私も同属に沢山あった事があるわけじゃないけど、10体以上は会えたからね?」
「成程な。認識しづらいか。それはどんな冒険者でも探すのは困難って事だろう。それに運だって、皆は認識してる筈だから意図的に探す者も普通はい無い筈だし」
「そう、そう言うことだよ♪」
ニコリと笑って頷いた幸福きゃんきゃん。ユーリはまだ聞きたい事、確認したい事があるのだ
「そうだった。後もう1つあった」
「ん? なーに? お兄ちゃん」
「名前だよ、君の。名前は何かないのか? きゃんきゃんはモンスターの名称だし、ずっとそう呼び続けるのも、あれだからな」
「あはっ、そうだね? それに私のは長いし……」
舌をぺロリと出して片目を閉じてウインクした幸福きゃんきゃん。そのくりっとした大きな目をいっぱいに開くと。
「私はヒトミって呼んで! きっと、前の私の名前……だったと思うんだ。凄く気に入ってるから」
「そうか、判ったよ。宜しくな、ヒトミ」
「うんっ! ユーリお兄ちゃん!」
2人は再び、ぎゅっと手を握っていた。でも、それはほんの数秒。ここは危険地帯なのだから。
「さて、ならヒトミは大丈夫そうだな。危なくなったらオレの後ろに隠れるんだぞ? ちゃんとオレには認識出来るようにしててくれ。危険な目に合ってる最中に判っても遅いからな」
「うんっ! がんばってね!」
ヒトミは手を振っていた。ユーリの目の前の通路の先にいるのはこの層のモンスター。
《アカメ》が2匹、《オッズ》が3匹だ。
アカメは、手も足もない肉の塊。だが知能は高く炎の魔法を使うのが得意の一つ目のモンスター。因みに目と口はあるので喋る事は出来る。
《オッズ》は、鬼の遺伝子が混じっているモンスターであり、かなり乱暴。
人間であろうと女の子モンスターであろうと、犯してやろうとしか考えていないある意味ランスの様なモンスター。
~アイスの町 ランス宅~
それは、アイスの町にある一軒家での事。
「へくっしょんっっ!!!!」
「ら、ランス様!?大丈夫ですか??」
「むぅ、……よし! シィル、ヤるぞ!!」
「ええっ!?」
いつもと変わらない光景が繰り広げられていたのだった。
~マルグリッド迷宮2層 前原エリア ゴール前~
……とまぁこんな感じのモンスタ-なのである。
「ま、さっさと片付けるか」
「お兄ちゃんがんばれー!」
後ろで手を振って応援してくれる。こんな機会滅多にない事だ。以前、激励に来てくれた事はあったが。
「よし、頑張ってみるか」
ユーリは、妃円の剣の柄を握り、ゆっくりと前に歩いていった。その行動にヒトミは驚いていた。無防備に進んでいっているから。それに、剣も抜いていないのに。
だから、思わず声を上げてとめようかと思ったが、もうモンスターの傍に行ってしまった為遅い。それにあまり目立ちすぎたら自分も見つかってしまい、更に迷惑を掛けてしまうのだ。
そしてもう1つ。止めなかった決定的なものがあった。
「(……でも、なんでだろうお兄ちゃん……まるで隙が……)」
女の子モンスターとして、様々なエリアを逃げ回っていた為、色んな人間を見てきたけれど、その中でもトップだと、ヒトミは直感した。
「! 敵を発見しました。燃えていただきます」
アカメは早速魔法を唱えてきた。炎の矢。初級の魔法だが技の出の速度は随一。ここに挑戦しようとする冒険者にとっては難易度が高いだろう。
……あくまで初級冒険者の話。
「あまい!」
ユーリの一閃がアカメの身体を切り裂いた!
「ぎゃああ!! しつ、しつれい……しました……」
「許しません、ぶっ殺して差し上げますよ!!」
「口調は紳士出来だが、内容があれだな。まぁ、良い 来いよ相手になってやる」
「ぐふっ! オデもいるぞ? かかってきなさい!」
「そうだったな。デカブツもいたんだ」
背後からオッズの唸る声が聞こえてくる。
その巨体から繰り出されるパンチをユーリは掻い潜りながら、一閃。
「居合」
「ぐぎゃあああっ!!!」
オッズの巨体を2つに切り裂いた。血を噴出しながら倒れるオッズ。
残りは、アカメが1匹にオッズが2匹。
「面倒だ。一掃する」
ユーリは抜刀し、刀身に力を、煉獄を込める。
「……凄い、お兄ちゃん」
ヒトミは息を飲んで見つめていた。確かに、強いとは思ったし直感もした。でも、ここまでとは思っていなかったのだ。あれだけの数を相手にかすり傷ひとつつけてないのだから。
「私のもうひとつの力……、お兄ちゃんには必要ないかな? あ、でも そう言うわけでも無いかな! よーし……」
ヒトミはユーリの方を見て、拝むように手を組んだ。
「お兄ちゃん……がんばって……」
願うように、そう言うヒトミ。
――……願いはきっと届く、無駄にならないから。今日だって、助けてと願って、助けてくれたんだから。
「おっと!」
ユーリは、オッズの2体を煉獄の力で薙ぎ払ったが、巨体故にアカメにまで攻撃が届かなかった。
「焦げカスにしてあげましょう。炎の嵐!」
即座にアカメが魔法を放ってくる。
先ほどの炎の矢より強力な魔法であり、更に今の自分は技後硬直となってしまっている為、回避が出来ない。
「ん、気合で乗り切るか……ッ!!」
何度か過去に魔法を無力化した事はあるが、それは防御の体制をとっていた時の話だ。不意を突かれるタイミングでの攻撃は流石に無理なのである。炎の嵐がユーリに迫ってくるその時だった。
突然、天井にヒビが入ったと思えば、ユーリとアカメの間、丁度炎の嵐の軌道上に崩れた天井の一部が、ごしゃあっ と音を立てて落ちてきたのだ。
それで、魔法攻撃を遮る壁となった。
「よし。運が良かったな。居合!」
「ぎゃっぁ………まいり……ました……」
アカメはそう言いながら、完全に絶命していた。敵を一掃できたユーリは剣を鞘へと仕舞って戻ってくる。
「お待たせ、さあ行こう」
「うんっ! お兄ちゃん凄いっ! とっても強いんだ!」
「まぁ 多少は経験をしてきているからな」
「あははっ!」
ヒトミは腕にしがみ付いた。
その姿は兄妹と言うより、親子に見えてくる。ヒトミの身体はそれだけ小さく幼い感じがするからだ。若旦那と言った所だろうか、……容姿的にも。
「っ……」
「お兄ちゃん? どうしたの?」
「あー、いや、なんでもないよ。気にするな」
ユーリは頭をブンブンと振りながらスタンプ台の方へと向かった。相変わらず、《声》を聞き取る事が出来る人なのである。
そして、その後スタンプ台の前に立ち、踏破完了の証のスタンプを押そうとしたその時だった。
「見つけたぜ!! 幸福きゃんきゃん!!」
「きゃあっ!!」
「なんだ……??」
突然、通路の方で男の声が聞こえてきた。どうやら、先ほど撒いた連中の様だ。だが……疑問に思うところもある。
「認識逸らしをしていなかったのか? ヒトミ」
「い、いや……普通にしててもある程度は出てる筈だから。ひょっとしたら、一度見つかっちゃったら同じ人にあまり効果がないのかも……」
ヒトミはそう言うと、ユーリの後ろに隠れてぎゅっと服を握っていた。本当に怖いようで身体をふるふると震わせている。その姿を見たら守ってあげたくなると思うのは誰でもそうだろう。
「……ひょっとして、さっきのはお前か! オレたちのレベル上げを邪魔しやがったのは」
「?? 何のことだ?」
「惚けるな!その幸福きゃんきゃんはオレ達が見つけたんだぞ! 1つの迷宮で2体もいるわけねえから、明らかにさっきのヤツだ!」
男は怒りながらそう言っていた。彼はファイターのようで、先ほどの連中のリーダーなのだろう。
「ん……かもしれないが、悪いが彼女は仲間なんだ。さっき知り合って仲間になった。な?」
「あ……ぅ……、ぅん。そうだよ? お兄ちゃん」
「ああ゙? 幸福きゃんきゃんを仲間にするヤツなんざいるわけねえだろ! 魔物使いでもそんなヤツいねえよ」
そう言い争っている時に、残った仲間の2人がこの場に現れた。
「おおっ! 見つけたのか! って、誰だ? コイツは」
「ったく……罠だって少なくねえのに、無理に突っ走るなよ。……ん?どういう状況だ?これ?」
ガンナーの男とレンジャーの男。
2人とも先ほどヒトミを襲っていた連中の仲間だ。……そう書くと酷く見えるが、別に彼らはそこまで間違った事をしているわけでは無いとも思える。……心情的に納得が出来ないと言うだけだ。
「コイツだ!オレらが見つけた幸運を掻っ攫って行ったヤツは!」
「「なにっっ!!??」」
「いきなりだな。あ~、ん……」
この手の連中は、何を言っても無理だろう。
そもそも、個体が少ないと言われている(厳密には違うらしいが)幸福きゃんきゃんを一緒に連れてる時点でもう無理だとは思える。
「悪いがこのコはオレの仲間になったんだ。因みに名前はヒトミと言う、宜しく」
「何が宜しくだ!! だから言ってるだろ! 幸福きゃんきゃんは俺ら冒険者にとってボーナス見たいなもん! 仲間なんてありえねえし、持ってかえって虐めるんじゃねえのか!? てめぇ!!」
自分の事を棚に上げてそうわめく冒険者。だけど、それだけは認めたくないのはヒトミだった。
「お、お兄ちゃんはそんな事しないもんっ!!」
助けてくれて、そして抱きしめてくれたんだ。あの温もりは嘘なんかじゃない。だからこそ、ヒトミは勇気を振り絞って訴えた。だけど。
「てめぇは黙ってろ! 取り返して、後でたっぷり犯した後 殺してやるからよ!!」
「ひぃっ……!!!」
向けられたのは、明確な殺意。そして、その身を汚そうとする欲望だけだった。まさにユーリとは正反対だったんだ。
「おい、……口には、気をつけろよ。オレの仲間に、いったい何言ってんだ?」
ユーリは冒険者を睨みつけるようにそう言った。
その気迫と殺気にたじろいでしまったようで、一歩後ずさるが踏み止まる。後ろのメンバーも同じようだ。
「お、お前が奪ったんじゃねえか!! 何正義面してんだよ! それに、そいつはモンスターだ」
「そうだ! オレたちのレベル上げを邪魔すんじゃねえ!」
「さっさと渡せ!」
そう言うと男達はジリジリと詰め寄ってきた。
一応、それなりに脅かしてやるつもりで殺気は放ったのだがある程度の実績がある冒険者の様だ。たじろぐ事も怖気づく事も無く立ち向かってきた。ユーリは男達を見て軽くため息を吐くと。
「なら、やるか? 互いに冒険者だ。冒険の過程で依頼やアイテムを奪い合う事だって珍しくない。あの段階でお前達が油断をしていたからこうなったんだろ? ……欲しいのなら奪い返して見せろよ」
ユーリはそう言うと、軽く柄を握った。その言葉、仕草を聞いた男たちは一気に奮起した。
「おーおーおー!! そのつもりなら、殺ってやんよ!! 泣いても知らねえぞ!」
「一発で射抜いてやる! 覚悟しろよっ!」
「オレの速度についてこれるのか!?」
三者三様に臨戦態勢に入ってきた。
この方がわかり易いだろう。この世界も悪く言えば弱肉強食とも言えるのだから。
「……まだ仕事があるんでな。もう、斬って良いか?」
ユーリは、態々セリフを1人ずつ言っている3人にそう言うと。
「「「ふざけんな!!」」」
3人が飛び掛ってきた。
「お、お兄ちゃん……」
「大丈夫だ。オレから離れるな?」
「う、うんっ……」
ヒトミがぎゅっと服を握り締めているが、彼女は重くないから大丈夫、と言うか寧ろ軽いのだ。それに、この相手は腕が動くだけで十分の相手だ。
「フンッ!!」
「ッ!!」
「うわぁ」
「なっ……!!」
ユーリは剣を引き抜くと、連中に向かって振った。その勢いと風圧で、思わず男達は驚いて、後ろに下がるが、身体はなんともない。それを確認すると、笑い声を響かせながら言う。
「だ、だははは!! 遠近感もわからんのか? お前は! てきとーに剣を振ってるだけじゃあたんねーよ!!」
と、言った瞬間だった。
突然、轟音と共に背後の壁、高さ的には頭2個分くらい上の壁に斬り込みが入ったのだ。
「…………」
「…………」
「…………」
まるで、この世のものとは思えない何かを見たかのように、顔を青ざめている男達。ユーリはその3人を見つつ剣を肩に担ぐ。
「おや? 位置を間違えたか……、もう少し下だったな。だが、お前ら良かったな?」
「っ……!!」
「オレに遠近感が無かったおかげでお前ら……斬られずにすんだんだぞ?」
ユーリは目を細めつつ剣を水平に構えながら目線近くにまで持っていった。灯籠の光を剣が反射させ、まるで悪鬼の様に見えてしまうその姿。
「は……ははは」
「く……くくっ!」
「ははははは!!」
今度は突然笑い出した。
怒ったり慌てたり笑ったり、随分と忙しい連中の様だ。
「それで、まだヤルか? 今度は修整してやるから外さないかもな?」
ユーリが再び剣を構え直したその時だった。
「い、いやー、お強いですね~~ま、参りました!!」
「そ、そう、旦那には敵いませんよ~、それがよ~くわかりました」
「お、オレなんてさいっしょっから判ってやしたぜ? 旦那がお強いのを!」
今度は、ゴマをするようにそう言ってくる。
この手のタイプの連中も初めてでは無い。所謂、勝ち目のない相手には絶対に逆らわないタイプだ。力をつけてやり返してやろう!と言う気概は無く、完全に降参をしている男と言うこと。
「はぁ、それで? どうしても、このコを連れてくのか?」
「い、いやっ! 滅相もありやせん! レベルなんかより、命の方が……とと、旦那の得物を奪うなんて命知らずでさぁ!」
「そう、そうさ!元々旦那が先だったんじゃねえ?? オレ達が横取りしそうになったかも……」
「そうですそうです!! きゃんきゃんくらい連れてって良いですぜ! 旦那が楽しんで下さいうや!」
「だから、このコは仲間で名前はヒトミだって言ってるだろ? ……変な事を言うな」
「「「へい!!!了解しやした!!!」」」
少し怒りながらそう言うと、まるで敬礼をせんばかりにビシッと背筋を伸ばして頭を下げていた。……普段から顔の事を色んなヤツに言われてるから、こう言う扱いをされるのは何気に好きなのはこっちの話である。
「ま……、お前らこっから先に行くのか?」
「い、いえ……、俺らの実力じゃ、第3層はきついので、脱出装置を使おうかと」
「そうですそうです。一応そのきゃんきゃん、じゃなくヒトミちゃん以外にも功績はありますし!」
「十分十分で、これから帰ろうかな、と思ったところでさぁ!!」
「ん、判った。まぁ気をつけろよ? あの程度の太刀筋、見えないレベルなら間違ってもまだ3層には降りてくるな。……何も得られず無駄死にする可能性が高い。冒険に出るのなら、危機感もしっかりと養って置けよ」
「は、はい!! わかりました!!」
「ご教授、ありがとうございやす!!!」
「ど、どうもありがとうです!!!」
またまた、敬礼をしちゃう3人。もう、プライドも糞もない様子だ。それ程の衝撃なのだろう。
「やれやれ……、さ、行くか? ヒトミ」
「う、うんっ!! お兄ちゃんっ!」
さっきまで震えていたヒトミだったが、彼らの変貌振りを見て目を丸くさせたかと思えば、もう怖くなくなったようなのだ。だから、すっかりと震えも止まっていた。
「じゃあな。気をつけて帰れよ?」
「「「行ってらっしゃいませー!!」」」
3人がハモるように挨拶をしていた。
さっきまでは、所謂舎弟っぽかったのだが、今は召使の様だ。一応背後から襲ってきても無駄だと言わんばかりに、殺気、闘気を出しながら進んだ。だが、そんな事はしなくても、大丈夫なのである。
戦う気は、あの一撃で根こそぎ折れてしまっているから。
~残された男達~
あの幸福きゃんきゃんと男の2人が消え去ったと同時に、
へなへなへな……と、地面に座り込んでしまっていた。どうやら、緊張感が一気に解けたようだ。
「こ、怖かったぁよ~~……」
「な、なんなんだよアレ? あんなヤツ、見た事ねぇよ」
「ここのモンスターの方が可愛く見えたのは俺だけじゃねえよな??」
互いに生きている事を喜び合っているようだ。だが、彼らは本当に九死に一生を得ていたのである。なぜなら……。
「最初見たところ、メチャクチャガキだって、思えたから楽勝って思ったのに……」
「あ、それオレも思った。生きててなんぼの世界だが……流石にショックだぜ、あんなガキにあそこまでやられるのは」
「Japan出身とかじゃないのか……? あの国は今は戦国らしいし、ガキでも力がありゃ戦うらしいし……なら納得できるし、これからJapanに行く選択肢は無しにした方がいいよな?」
「ああ……」
彼らの会話がもしもユーリがいた時にあったら?
彼らの会話の中の≪ある単語≫がユーリの耳に届いていたら??
万が一、≪その単語≫を使って挑発なんかをした時には???
――……どうなっていたのか、判らないのである。
後書き
〜人物紹介〜
□ ヒトミ(ゲスト)
人物と言うより、女の子モンスターなのだがユーリが認めないと思うのでこちらのカテゴリーで説明する。彼女は幸福きゃんきゃんであり、世界に10体しかいない(とされているが、実際は違うらしい)幸福きゃんきゃんの1人。
通常であれば、遭遇できただけで運がかなり良く、倒せばメチャクチャに経験値をくれる存在。
普通のきゃんきゃんと同じで、攻撃もせず仲良くしよう!と甘える仕草をする……筈なのだが、
彼女は前世の記憶を保有している為か、人間の様な仕草も見せ 恐怖も嫌悪も感じているようだ。
技能として、認識逸らしと言う幸福きゃんきゃん固有の力を持っている為、普段は見つかりにくいらしい。
名前はFLATソフト「リベリオンズ」より(下の名前だけ)
□ ジュン・コンコーボー・アセゴノマン (ゲスト:左からファイター、ガンナー、レンジャー)
ユーリにケンカを売った冒険者の皆さん。
元々はユーリの方が幸福きゃんきゃんを奪った事が事の発端だが、当の本人は後悔はしていない。
ユーリの強さを見てしまった為、舎弟ポジになってしまった哀れな冒険者達でもある。
一人一人のレベルや技能は勿論あるが、紹介するのも面倒なので、省略である。
人物紹介でも、雑な扱いをされるかれらだが、ここから先登場するのであろうか……?
名前は≪ジュン≫ FLATソフト「ひこうき雲の向こう側」より
≪コンコーボー≫FLAT Group Bland Loseソフト「ものべの-happy end-」より
≪アセゴノマン≫FLAT Group Bland Loseソフト「ものべの-happy end-」より
〜モンスター紹介〜
□ ゲイツ95
ゲイツ系のモンスターであり、コンピュータのCPUとして脳が使われているとか。
95系列に関しては普通の服の上にマントを羽織った金髪男の姿をしている。
□ まる
肌色の球体に点目が付いただけの簡素な生き物。(手抜き?)大きさが30cmで重量が2kg
嘘か真か、嘗ては重要な存在だったとか。今は恐らく誰も知らないと思われる。
□ ポリマン
赤青黄のトリコロールカラーのポリゴン人形のモンスター。分類的にはその他生成生物。
全体攻撃付加も出来る為、サポート役とし後方より現れる事が多い。
近づくと、〜ポリゴンパンチが飛んでくる。
よく判らない……。
□ オッズ
本編で紹介したとおり、鬼の遺伝子が混じったモンスターであり、かなり乱暴。
戦う・食べる・犯すの3択しか常に感じていない為、某冒険者がモンスター化?したかのようなモンスター。
□ アカメ
本編でも紹介した通り、手も足も無い肉の塊のモンスターだが、知能が高い為魔法が使える。
予断だが、アカメは紳士的な喋りをするが、闇の魔法を得意とする同属モンスターのクロメは喋りが凶悪である。
……見た目がまるで逆なのが売りだとか。
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