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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another58 揺るがぬ誠実

 
前書き
イッカクモン進化 

 
ビッグサイトから人々を助け出し、太一達が隠れている場所に連れて行く。

太一「父さん、母さん!!」

裕子「太一!!」

心配していた息子の無事な姿に感極まった裕子は太一を力強く抱き締めた。
ヤマトとアインスは微笑ましそうにそれを見つめていた。

ヤマト「大輔、光子郎と丈はどうした?」

大輔「ビッグサイトにはいなかったから、多分。どこかで逃げ延びているかもしれません」

ヤマト「そうか…」










































一方泉家では、ゲンナイから指示で張ったデジタルバリアにより、バケモン達からの襲撃を逃れていた。

光子郎「お父さん、お母さん。バケモン達がいつ戻ってくるか分かりません……ひとまずここでじっとしてて下さい。デジタルバリアの中なら安全ですから」

佳江「光子郎……あなた、どこへ?」

光子郎「ゲンナイさんが言っていたお台場を包む結界の中心のテレビ局に行ってみます」

この状況を打開するには結界の中心であるテレビ局に行って調べるしかない。

佳江「どうしても行くのね……」

光子郎「すみません……」

政実「信じよう光子郎を、私達の息子を!!今までそうして来たじゃないか」

謝罪する光子郎に政実は佳江を安心させるように笑みを浮かべながら言う。
息子を親である自分達が信じないで誰が信じるのだ。

佳江「あなた……」

光子郎「じゃあ、行ってきます」

佳江「……気をつけて、必ず無事に戻って来るのよ。私達の所に」

光子郎「はい!!」

光子郎は結界の中心地であるテレビ局に向かう。





































そしてパートナーと共にテレビ局の中に侵入し、結界の中心を探す。

光子郎「このテレビ局のどこかに、結界の中心があるはずです。そこさえ叩けば……」

テントモン[ワテらだけで大丈夫ですやろか?]

結界の中心には恐らくそれなりの警備がされているはずだ。
それを自分達だけでどうにか出来るのだろうかとテントモンが不安を口にする。

光子郎「……確かにそうですが……あっ!!」

見張りのバケモンがいることに気づいた光子郎。

光子郎「……まずい、戻りましょう」

しかし振り返った場所にも見張りのバケモンがいた。

光子郎「っ!!しまった、挟み撃ちだ!!」

その時、扉が開いて何者かが光子郎とテントモンを中に引きずり込んだ。

光子郎「うぐぐっ!!」

テントモン[あっ!]

裕明「しっ!静かに……」

光子郎「…あなたは!?」

光子郎とテントモンを中に入れたのはヤマトとタケルの父、裕明であった。


































その頃水上バス乗り場では丈が頭を抱えていた。

丈「水上バスで帰ろうと思ったら、出港見合わせか……」

タケル「丈さん!!」

聞き慣れた声に反応して振り返ると、そこにはタケルの姿があった。

丈「タケル君!!もしかして1人で来たのかい!!?」

タケル「ううん、お母さんも一緒だよ。途中ではぐれちゃったけど……」

丈「そうか、この人だかりじゃあな……」

タケル「丈さん、お台場じゃなかったの?」

丈「それが塾に言っている間にこの騒ぎさ」

タケル「ねえ、あの霧ってやっぱり……」

丈「ご多分に漏れず、ヴァンデモンの仕業だろうね」

こんな異常な現象を作り出せるのはヴァンデモンくらいしかいないだろう。
それ以前にこんなことをするのも。

タケル「お兄ちゃん……」

丈「僕は何としてもお台場に行くつもりさ。みんなが危険な目に遭っているかもしれないのに、自分だけ安全な場所にいるなんて出来ないしね」

タケル「僕もそうだよ!!でもどうしよう……ペガスモンじゃあ、お台場まで飛べないし……」

出来ることならヴァンデモンとの戦いに備えて力を温存しておきたい。
ペガスモンもエンジェモンもヴァンデモンには絶大な力を発揮するからだ。
丈もそれが分かっていたからこそ頷いた。

丈「ここはゴマモンの出番ってわけだね。」

丈は自らが持っているスポーツバッグをタケルに見せるとゴマモンが飛び出てきた。

タケル「ゴマモン!!」

ゴマモン[ふぁー、苦しかったー]

長時間バックに押し込められていたゴマモンは深呼吸をする。

丈「頼むよゴマモン。イッカクモンに進化して、僕達をお台場に連れて行ってくれ」

ゴマモン[OK、任せといて!!ゴマモン進化!イッカクモン!!]

ゴマモンがイッカクモンに進化すると、タケルと丈はイッカクモンに乗り込んだ。
その時である。

奈津子「タケル!タケル!!」

タケル「ママ……」

丈「えっ?」

桟橋から1人の女性がイッカクモンに向かって走ってくる。
そう、タケルとヤマトの母、奈津子だった。
タケルとはぐれた後、突然桟橋の近くで大きなアザラシのような怪獣が現れしかもその怪獣の背中に自分の息子が乗っているのだから、心配しないわけがない。

奈津子「危ないから早く降りてらっしゃい!!」

タケル「大丈夫だよ、ママ。これはイッカクモン。友達だよ」

丈「あの、初めまして。僕は6年の城戸丈といいます。タケル君は責任をもって僕が面倒を見ますから!!」

奈津子「タケル!!」

タケル「ママ、心配しないで、僕大丈夫だから」

奈津子「タケル!!」

タケル「お兄ちゃんやパパの所に行ってきまーす!!」

奈津子「あなた……あの子達を守って……」

手を振りながら遠ざかっていくタケルの姿を見て、奈津子はお台場にいる元夫に息子達を託した。


































海上ではイッカクモンに乗り、海からお台場を目指していた丈とタケルはまもなくレインボーブリッジに差し掛かるところまで来ていた。

丈「タケル君、酔ったりしてないかい?気分が悪くなったら直ぐに言うんだよ」

タケル「何だか丈さん、お母さんみたい」

丈「日の出桟橋に残してきた君のお母さんに約束したからね……僕が責任を持って預かるって。それに君にもしものことがあったらヤマトに殺されちゃうからね」

タケル「アハハ!!丈さん、冗談が上手だよね」

丈「いや、冗談じゃなくて本気なんだけど…って、あれ?今何か動かなかった?」

丈は霧の漂う海の向こうに何かが居た気配を感じた。

タケル「えっ?どこ?」

丈「ほら、あの辺り……」

丈が気配を察知した方に視線を向けると、そこには赤い大きな海蛇のようなデジモンがいた。

[ギャオオオッ!!]

丈「うわっ!!」

タケル「あっ!!」

パタモン[メガシードラモンだ!!]

[ギャオオオ~~~ッ!!!!]

メガシードラモンはレインボーブリッジに体を巻きつけており、締め付ける力を強める。
すると、その力に耐えられなくなり、レインボーブリッジは崩壊し始めた。
そしてその瓦礫が真下を通っているイッカクモンに降り注ぐ。
丈、タケル「「うわっ!!?」」

パタモン[大丈夫、タケル?]

タケル「うん……」

丈「頑張ってくれ、イッカクモン!!」

イッカクモン[ハープーンバルカン!!]

イッカクモンが誘導ミサイルを連射し、メガシードラモンの頭部に命中する。

丈「やった、命中だ!!」

丈は頭部に命中した事により、メガシードラモンを倒したと思ったが、爆煙が収まると、そこには無傷のメガシードラモンがいた。
そして、メガシードラモンは怒り、必殺技のサンダージャベリンを放ってきた。

タケル「うわあああっ!!!!」

丈「タケル君!!僕の手に掴まれ!!」

イッカクモンから落ちそうになるタケルの手を掴み、イッカクモンの身体に乗せるが、イッカクモンがメガシードラモンから更に攻撃を受け、身体が大きく揺れ、丈は海に落ちた。

パタモン[大変だ!!丈が海に落ちた!!]

タケル「丈さん!!どうして……!?」

丈「君のお母さんに……約束したからね……君を守るって……」

徹夜で酷く体力を消耗していた丈はそう言うと、海へ沈んでいった。

タケル「丈さん…!!」

タケルは必死に呼びかけるが、丈は浮いてこなかった。
海へ沈んでいく丈。
沈んでいく中、突然、丈の紋章が光り始めた。

イッカクモン[イッカクモン超進化!ズドモン!!]

ズドモンは左手で丈を海から引き上げるとタケルの隣に乗せた。

丈「助かった…ようやく完全体に進化出来たんだ。頼むよズドモン!!」

メガシードラモンは再びズドモンに必殺技のサンダージャベリンを放ってきたが、ズドモンは頭に生えている角で電撃を弾いた。

タケル「凄い!!」

丈「行け!!ズドモン!!」

タケルはズドモンの力に驚き、丈はメガシードラモンを倒すよう、ズドモンに指示を出す。

ズドモン[ハンマースパーク!!]

クロンデジゾイド製のトールハンマーをメガシードラモンに叩き込む。
海に沈む寸前に丈がD-コネクションを翳してメガシードラモンをデジタルワールドに強制送還させた。

丈「やった!!」

パタモン[あ、ねえ!!丈の紋章の光で霧に穴が開いたんだよ!!]

タケル「本当だ!!」

丈の紋章は未だ光を失っておらず、お台場までの道のりをその光で指し示していた。

丈「よし!!穴が塞がる前に霧の中に突入だ!!行け、ズドモン!!」

ズドモンに乗った丈とタケル、パタモンは紋章に導かれ、お台場に。
お台場にようやく選ばれし子供全員が揃ったのだ。 
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