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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第1章:平穏にさよなら
  第1話「プロローグ」

 
前書き
自己満足として書いていく話になると思いますが、大目に見てください。何かアドバイスをくれたら嬉しいです。

 

 




       =???side=





「……あれ?ここ…どこ?」

 ふと気が付くと、辺りが一面真っ白の世界だった。

「確か…普通に家に帰って…それで…」

 さっきまで何をしていたのか思い出そうとしても、靄がかかっているみたいに思い出せない。

「…あ~、こう思い出せないと少しイライラするな」

 そんな事を言っても結局思い出せないので記憶をもう一度探りなおす。

「……えっと…あ、思い出した。…のか?これ」

 何とか思い出す事はできたけど、その記憶は少し不自然だった。

「寝た訳でもないし、ただ晩飯を食べようとしただけなんだけど…」

 もしかして、記憶に何か異常をきたしているのか?こんな状況なんだし、ありえないとは思えないんだけど。

「…う~ん……」

 僕はその場で唸るように考え込む。とりあえず、思い出せるだけ思い出そう。





「…あの~…」

「あー、やっぱり心当たりないな。ホント、どこなんだここ?」

 少し考えてみたけど、ちっとも思い出せない。…って、あれ?

「…誰?」

 ふと視線を現実に向けると、ピンクの髪をした幼い女の子がいた。

「あの…ごめんなさい!」

「……え?」

 なぜかいきなり謝られた。なんでだ?

「…あなたは、私のせいで死んでしまいました」

「え…?どういう…事…?」

 いきなり言われた事実を、僕は上手く呑み込めなかった。なにせ、僕より圧倒的に幼い…それこそ、小学生低学年程の女の子がこんな事を言い出すのだ。信じる方がおかしい。

「…私は、あなたの世界でいう神です。それで、以前に起きたこの神界での戦いの事後処理に追われていた私は、誤ってあなたを含めた複数の人たちの書類を破いてしまったんです」

「書類...?」

「...神界にある個人の情報が書かれた書類は、その個人の生命そのものでもあるんです。ですから、それが破られたのなら、それに書かれていた人物は死んでしまうんです」

 そう説明されて、僕は絶句した。神という存在にも驚いたけど、死んでいた事の方が驚いた。

「……つまり、僕は本来まだ死ぬわけじゃなかったの?…いや、僕だけじゃない。その破られた書類の人たちは」

「…そういう…事です…」

 肯定され、僕は怒りが湧いてきた。

「…なんだよ…なんだよそれ!なんで僕達の命がそんな紙切れ一枚で左右されなきゃならないんだ!」

 実際、破いてしまった事にはそこまで怒っていない。だけど、僕達の命が紙切れ一枚に左右されること、そしてそんな大事そうなものが誤った程度で破れるほどぞんざいな扱いなのが許せなかった。

「…それについては、本当にごめんなさい。それで、お詫びと言ってはなんですが、あなたを転生させる事にしました」

「てん…せい…?」

 いきなりそんな事を言われて少し困惑する。

「はい。記憶はそのままに、生前とは違う世界に転生するんです。アニメやマンガなどの世界にも行けますし、三つまでなら要望に応えられます」

「は……?」

 そこまで言われて、少しばかり心当たりがある事があった。

 …“神様転生”。それは、大抵が神様にミスによって主人公が死に、お詫びとして空想上の世界に特典と呼ばれる…まぁ、一種の願い事だな。それを持って転生するというモノだ。

 今まさに自分の状況がソレなのだろう。でも、僕は先程の怒りが治まってないから素直に受けいられなかった。

「…まさか、もう一度人生を謳歌させてあげるから許してくれとか、そんな訳じゃないだろうね?」

「…っ、その事は、本当にすいません…」

 …別に、そういうつもりではなさそう…か?

「それと、聞きたい事がひとつある」

「な、なんでしょうか?」

「…どうして、こんなお詫びをしなければいけないような事態になるほどの書類が、そんなうっかりした程度で破けるんだ?」

 お詫びをしなければいけないというならば、それほど重要な書類なはず。なら、うっかりした程度で複数人分が破けるはずがない。…ぞんざいな扱いでなければ、だが。

「…まさか、普通に放置してるような感じとかじゃないよな?」

「っ…その、通りです…」

 …本当にぞんざいな扱いだった…だと?

「…っ!お詫びする事態になるぐらいなら、もっと大事に保管しろよ!なんでそうしてないんだ!?」

「それは…」

 …っと、いけない。冷静にならないと。怒ってばかりじゃダメだ。そう思って一旦心を落ち着けようとする。

「っ、ぐ…!?」

 しかし、いきなり僕の体が動かせなくなる。

「な、なにが…」

「全く、どうして人間はこう、自分勝手なのかねぇ?」

 女性の声が聞こえる。

「あ、お姉ちゃん」

「まったく…手間かけさせるんじゃないよ」

 現れたのはオレンジ色よりの金髪の女性だった。

「うちの所に来るのはどいつもこいつもすぐにキレて…」

「…怒らないでいてくれたのは“彼”だけです…」

 僕の前に来ていた人たちの話だろうか?そんな話をしている。

「そうだねぇ。あいつはいい奴だったね」

「はい」

 …なんだろうか。その“彼”とやらの話をしてる二人の雰囲気に違和感が…

「…その“彼”とやらは、一体どんな奴だったんだ?」

 僕と同じように事情は聞かされたはずだ。なのに、許したって言うなら余程のお人好しか、状況が分かってないバカだな。…というか、いきなり死んだのに家族とかはいいのか?

「“彼”は、事情を説明しても決して怒らずに、すぐ許してくれたんです」

「他の奴らと違ってね」

 やっぱりだ。二人の雰囲気が何かおかしい。…いや、神様相手に雰囲気がどうとか関係ないかもしれないけど。

「ふーん…。で、そいつは家族とかいたのか?余程人生に色々あって達観してるような奴しかそういう事は言えないぞ。普通は。でなければ、家族とかに何とも思わない薄情な奴か、事の重要さを良くわかっていないバカだな」

 未だに身動きはできないけど、口は動くので思った事をはっきり言う。

「っ…!“彼”の事を悪く言わないでください!」

「がっ…!?」

 体中が締め付けられるように苦しくなる。

「あいつの事をバカにするなら、今ここで消してやろうか?」

 二人して僕を睨んでくる。…やっぱりだ。何か、おかしい。

「っ…、随分と入れ込んでるみたいだけど、神様が人間一人をそんな贔屓していいのか?」

「“彼”は特別です!」

 …なるほど。何か理由があって二人は“彼”とやらに妄信的になってるな…。“彼”とやらを思う彼女達の目が濁って見える。

「そうか…。お前らもだいぶバカだな。神様がそれでいいのか?」

「…その状態で随分と減らず口を叩けるねぇ」

 彼女がそう言うとさらに締め付けのようなモノが強くなる。このまま押しつぶされそうだ…!

「余程人生に色々あって達観してないと言えないとか言ったな?なら、お前はどうなんだ?」

「ぐ…が……!」

 締め付けが強すぎてなかなか言葉が口にできない…!

「淡々とグチグチ言ってさ。達観してるくせに言いたい放題言ってさ。…どうなんだよ!」

「が…!く…、あぁ、色々あったさ!自他共に認める分にはな!」

 僕は、中学の頃に両親を亡くした。兄弟もいなかったし、遺産でお金とかはあったとはいえ、生きて行くことだけでも苦労した。割と裕福だったから親戚の奴らはこぞって遺産目当てにやってくるし、天涯孤独だからっていじめを受けた事だってある。高校に上がってからは、生きて行く上で社会の闇も垣間見た。数少ない友人がいたからこそ、僕は心が壊れずにここまで生きてきたんだ…!

「ぐ…、だからこそ、言わせてもらう!人を何人も殺してしまっておいて、怒られないとでも思ったのか!?僕が怒ったのは、至極当然の事だ!転生とかそんなの関係ない!なのに、怒らずにただ赦すだけなんて、事の重さが分かってないただのバカだ!!」

「いい加減にしろよお前!」

 言いたい事をはっきり言ったら、女性の方に殴り飛ばされた。普通なら死ぬはずの吹っ飛び方と威力だったのに、意識がはっきり残ってるのはもう死んでるからか。

「あぐ…!」

「あいつをバカにするのも大概にしろよ?消すぞ?」

「はっ…!関係…ないね…!」

 もう既に死んでるんだ。“消す”って事が何か分からないけど、何も怖くないね。

「…お前らは“彼”に対して妄信的になってるだけさ…!さっきから違和感があると思ったら、お前らは神様のくせに正気じゃないんだよ…!洗脳でもされたか…!?なぁ!」

 神の威圧相手にも決して折れずにはっきりと言葉にし続ける。…人生で培ってきた度胸がこんな所で役に立つとはな…。人生、何があるかわからんもんだ。















「―――もういい。消えろ」













   ―――瞬間、僕は宙を舞っていた。

「……え?」

「その魂ごと、消え去れ!」

 視界に移るは光の奔流。…無理だ、宙で避けられるはずがない…!















   ―――光の奔流に飲み込まれる瞬間、僕は―――――











 
 

 
後書き
元々は自己満足のために、メモ帳とかで自分だけの小説として作ってたんですが、友人にせがまれたのでせっかくだから作ってしまおうと思って出来上がったのがこの小説です。テンプレばかりの展開で読む人を絶対に選びますが、できるだけエタらないように頑張って行きます。

感想、待ってます! 
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