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ランス ~another story~

作者:じーくw
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第2章 反逆の少女たち
  第18話 鏡の御指示

 シィルが脱出に向けて動き出していたその頃ランス達はと言うと。


~迷宮≪地獄の口≫ ピラミッド迷宮~


 場所は、迷宮の地下三階。
 普通であれば、同じような光景が広がっていく筈なのだが、今正にシィルたちと同じ様に、風景が違っているのだ。

「随分と様子が変ったようだな……、洞窟、と言うより……遺跡だな」

 ユーリは、周囲を警戒しつつ探索を続けた。
 そして、結局帰る事をかたくなに拒んだマリアを渋々と、引き連れた3人。渋々、と言うよりマリアがランスのマントを離さなかったから……と言うのもあるだろう。そして、明らかに人工的な迷宮を進んでいく。

「ユーリさんの言うとおり、ここからは遺跡、ピラミッド迷宮になってるわ」
「ふむ。そうだな、嫌に砂っぽいと思ったがそうだったのか」
「突然に迷宮内部の風景が変るって事は、空間と空間を無理矢理捻じ曲げてつなげてる……ってことなのか」

 ランスは、脚で砂を蹴っ飛ばしつつ、進み。ユーリは、ピラミッドの作りの基礎である石部分を触りつつ確かめている。

「これまで、突然に景色が変る……って言うのは無かったわけじゃないが……自由都市では初めてだな」
「ん、そこには理由があるのよ」

 マリアが答えてくれる。
 よくよく考えたら、マリアは当事者だ。本人に聞いたほうが確実だろう。

「ここの迷宮は、元々第2層まで。場所的には私が支配していた研究室風の場所までしかない小さな迷宮だったの。で、ラギシスを殺した後にこの迷宮を拠点にすることにしたんだけど、それには少し小さかったから魔法で迷宮を拡張したの」
「なるほど……」
「では、ここは貴様らの誰かが作ったと言うのか? 随分と趣味が悪い残り3人の中で輩がいるのだな。砂っぽいし埃っぽい。ピラミッドと言えば、ミイラとかでそうではないか」

 ランスは、辺りを蹴っ飛ばし、乱暴に進みながら文句を口にしていた。だが、マリアは首を横に振って否定する。

「違う違う。一から作り出したわけじゃないの。他の場所から魔法で持ってきて追加した迷宮なのよ。だって、一から構成しようとしたら、途方も無い時間だってかかるし、何より大魔法に位置される力だから。ちょっと難しくて……」
「別空間と別空間を繋げてるんだ。それ自体で十分大魔法じゃないか。それも、その指輪か?」
「ええ、そうよ。フィールの指輪のおかげ。私達の中で一番魔法の才能があるのは、志津香だけど……、流石に志津香を入れた皆でやっても素の状態じゃ、こんな真似できないわ」

 マリアはそう説明する。元々あった迷宮を改造する。それ自体は、多少の才能と腕に覚えがある魔法使いならば可能だ。……だが、無から有を作る。一から迷宮を手がけるのは話は別。構成から材質まで、全てを手がけなければならない為、それこそ、伝説に名を残すような魔法使いくらいの資質は必要だろう。
 《魔法大国ゼス》でも、出来るものがいるかどうか……、ああ、資質だけで言えばいると言えばいるだろう。こんな繊細な真似が出来るか?と言われればわからないが。

「そうか。……志津香か」
「ん? 志津香がどうかしたの?」

 ユーリがふと呟いた名前にマリアが反応した。志津香はマリアの親友だ。名前が出れば気にもなるんだろう。

「いや、確かラギシスが魔法の才能が一番と言っていたからな……。マリアが言っている事と合致するし、納得してただけだ」
「あ、成程……、まぁ短気な性格じゃなかったら、もっと上にいけそうな気もするんだけどね……」

 マリアはやれやれと苦言を呈していた。

「……マッドサイエンティストがそう言っても説得力が乏しいぞ?」
「う、うるさいわね! でも、このチューリップは凄いの! 絶対に後で驚くんだから!」
「やかましい! ただのこんぼうと変らんでは無いか。偉そうに言うんじゃない」
「むぐっ……」

 ランスに一蹴され、何も言えなくなったマリアは口を噤んでいた。ユーリは、上手く誤魔化せたようで、苦笑いをする。その名前を聞いただけで、僅かながら動揺を隠せない自分。
 だが、文字通り一瞬の油断が生死に直結してもおかしくない。

 迷宮ならそれは更に増すだろう。
 だから、ランス達が言い合っている間に、軽く頬を挟みこむように叩いた。

「……この件、片を付ければ全て判るんだ。……集中しろ」

 自身に言い聞かせつつ、奥へと脚を進めた。そして、ピラミッドの迷宮に入って数10分後、

「このピラミッドはね、リンゲル王のピラミッドを改造した物なの。そして、ここ第3層の支配者はミル」
「……幻獣魔法を得意とする四魔女の一角か。それで、マリアから見ての印象はどうなんだ?」
「ああ、多分2人も判ってると思うけど、戦いにくさから言えば下手したら一番ね。2人とも戦士タイプだし、広域攻撃手段がないのなら、一体一体戦うしかないし、普段なら兎も角、今は指輪の力で幻獣を無尽蔵に呼び出せる状態だから、長期戦になるのは必至。……間違いなく先にこっちがを音を上げるわよ」
「面倒臭そうだ。短期戦だな! がはは! ひぃひぃ言わせてくれるわ!」

 ランスは笑いつつそう答える。
 その考えで間違いないが、その卑しい顔を見たら、マリアはさっきの事を思い出しつつ嫌悪してしまうようだ。

「それで、ミル戦のプランだが、何か裏を掛ける手段はないのか? っと言うか、ミルはどこにいるのだ?」
「ごめんなさい。それなんだけど、私はずっと研究室に閉じこもっていたから、他の迷宮の事は詳しく知らないのよ」
「ちぃ、役にたたん奴め。戦闘が出来んうえに情報面でもか。応援しか出来んなら、いない方がマシと言うものだ」
「なな、むっかーー!! 親切で教えたのよ!!」
「はいはい。さっさと進むぞ」

 ケンカをしてはいるが、そこまで険悪な雰囲気と言うわけでもなく、仲良く口喧嘩という印象が強い。だから、ユーリは仲裁には入るが、殆ど放置していた。

 迷宮では光りが必要不可欠だが、杞憂だった事も良い点だ。なぜなら、あちこちに燭台があり全てが灯っている為迷宮の探索はしやすい環境なんのだ。人によれば、おどろおどろしい光景だと、思わなくも無いが、こちとら冒険者。そんな事にビビッていては勤まらない環境にいるから問題が無いのだ。

「……だがそれでも灯りがつき過ぎの様な気もするが、灯りの間隔が短くないか?」
「あ~それなんだけど、しょうがないのよ。ミルってば暗いのが苦手なの。自分の部屋を暗くするとかだったら大丈夫なんだけど……、こう言う迷宮の通路とか、ね?」
「暗いのが苦手? まるでガキではないか! がははは!」
「誰を見ながら言ってるんだよ。別に暗いのは苦手じゃないぞ!」
「がはは、誰も貴様の事を言ってるわけではないのだがな!」
「確信犯だろうが!!」

 今度はユーリとランスが……、仲良さそうに口喧嘩をしていた。
 マリアは、ミルについて言おうするが……、口を挟めずに飲み込んだ。どうやら、顔の事、相当に気にしている様子だから。

「ユーリさん。……流石に そこまで悲観する必要、無いんじゃない?」
「……ほっといてくれ」
「そう? よく見てみると、素材としては全然悪くないって思うんだけどなぁ……」
「余所見してると怪我するぞ? こんぼうしか持ってないんだから」
「むっ!!」

 今のユーリに何言っても駄目だろうと判断したマリアだ……。フォローしていたつもりなのに、攻撃の的にされそうだったから。
 そして、ユーリの忠告が的中しそうになる。

「おっ! 高そうな宝石発見! いただきだ!」

 ランスが目の前においてある宝石を発見し手を伸ばした。こういう遺跡系迷宮には高価なものはよく置かれているが、十中八九罠も仕掛けられている。と言うか、冒険者なら無闇矢鱈に手を出すな、と言いたかったが一歩遅かったようだ。

「あんぎゃっ!!! なんだこれは!!」

 まず、ランスの手をがっちりと固定される。そして天井部が開き、ヤリやら剣やらが降り注いできた。

「きゃああ!!」
「ったく、言わんこっちゃ無い」

 ユーリは、天井に向かって剣を振るった。
 すると、迷宮では不自然な風、突風の様なモノが生まれ、次々に振り落ちてくるトラップ武器を弾き飛ばして、直撃を防いだのだ。

「がはは、さすがはオレ様の下僕一号! ……って、ぬがあぁぁ!! 抜けんではないか! 何とかしろ!」
「折角助けてやったのに……、ま お灸をすえると言うのもたまにはいいが、時間を取らせるのもあれだ」

 ユーリは渋々ランスの手を固定しているものを調べる。

「これは、魔法か何かで固定しているな。まぁ、在り来たりと言えば在り来たりなトラップだ。ほら。外れたぞ」
「オレ様の手が怪我をするではないか。しかしマリア、そうなのか? ここのトラップは魔法で発動するのか? お前の時は機械仕掛けだったが」
「さぁ? ぜーんぜんわかりませーん」
「ほほう、そうかそうか、そら、帰り木だ。もうとっとと帰れ。役立たずな上に案内役にもならん」
「むきぃぃ!!」
「と言うか、しれっとオレの道具袋から盗るな」

 ランスに苦言を呈してはいるが、とりあえずあまりツッコミは程々にして、台座を調べなおした。特にこれと言って変化は無く、仕掛けもない。どうやら発動は1人目のみ、もしくは、宝石をとってしまえば、発動しないようだ。

「このスケベ男っ! さいってい!!」
「がはは!!」

 ランスは、マリアの身体を弄くりまわしながら、大笑いをしていた。
 マリアは抵抗を見せるが、大して効果はないようだ……、しょうがないだろう、魔法の力が無い以上、マリアは一般人と大して変らないのだから。

「おお!! こ、これは!!」

 突然、ランスが大きな声をあげていた。

「今度はなんだ……」
「見てみろ! 絶世の美男子が目の前に! オレ様以外にもこんな美男子がいたとは……」
「って、なんだよ。鏡じゃないか、鏡」
「本当、……大きな鏡」

 そこにあったのは、壁に埋め込まれていた巨大な鏡だった。どうやら、ランスは鏡に映り込んだ姿を見たんだろう。マリアは自身の身長よりも遥かに高い鏡を見上げながらため息を漏らし、そして、ランスは……。

「むふふ!」

 鏡の前で様々なポーズをとっていた。

「遊ぶなって」
「でも、凄いよね。こう言うのって、高いんだよね……なんでこんな所に?」
「がははっ! 流石オレ様 鏡に映っても格好いいぞ!」
「やれやれ、……ん? 石板?」

 部屋の隅に堂々と置かれている石板を拾い上げた。どうやら、文字が刻まれているようだ。ユーリは、表面を手で擦り汚れを散らしながら文字を見た。古い物のようだが、読めないほどではなさそうだ。

「ふむ……、以前、真知子さんに訳して貰った文字と同系統だな。オレでも出来そうだ」
「む? ならさっさと読め」
「へぇ~、凄いわね! 流石冒険者。どっかの誰かさんとは大違い」
「誰の事だ、コラ!」

 マリアはユーリが読める事に驚き、そしてランスはいつも通りだった。でも、マリアの一言で更に騒がしくなりそうだったから、ユーリはさっさと続けた。

「判った判った。ええっとな……『迷えし仔羊……』っと、定番名謳い文句があるだけだな。重要な部分は……」
「おっ!? 迷えしってことは奥へ進む方法が書いてありそうだな?」
「ほんと、ユーリさん。何か判りました?」

 ユーリが腕を組みつつ、何度も目線を動かしながら読んでいるのを見たマリアは期待しつつそう聞いてくるが……、先に石板の文字を解読したユーリは、呆れた表情になっていた。ここを作ったの奴がどんな奴なのか、はっきりと目に浮かぶようだ。……ランスの様な男だろう。

「とりあえず、読む。断っておくが、俺は読むだけだぞ? 他意はない」
「良いからさっさと読め」
「あーおほん。『梅式ワープ装置の作動方法。 鏡の前で少女のパンティを披露すべし』……だ、そうだ」
「何よそれ! エッチな機械ね!! もう、本当にふざけてるわ!」

 マリアは、何故かユーリの方を見つつ、怒っていた。最初に注意事項! を言った筈なのに。

「がはは。と言うわけだ! マリア、宜しく頼むぞ?」
「いやよ! そんなの!」
「良いのか? そんな事を言っていては、マリアの大事な仲間も救うことが出来ないぞ?」
「うぅ……ユーリさんの馬鹿」
「だから、オレは読むだけと言っただろうに……。はぁ、真知子さんに頼まなくて良かったな」

 こんな変な依頼するのは、気が引ける。ランスならそうは思わないだろうが……。

「さぁ、マリア。この鏡の前でパンツを見せるのだー」
「も、もう、わかったわよ。やるからむこう向いててよ」
「良いだろう。オレ様は紳士だからな」
「全く当てにならん」
「うひひひ……」
「うぅぅ……なんで私が……」

 マリアは渋々とスカートを捲くり上げ、鏡の前で下着を曝した。
 水色の紐付き下着。ランスはニヤニヤと見つめていた。最初の紳士発言は如何に……。

『ぴんぽんぱんぽーん♪第一のワープ装置が解除されました』

 マリアが下着を見せた数秒後。突然声が鏡から訊こえてきた。

「……鏡の中に誰かがいるみたいに反応したな」

 マリアは羞恥から、顔を かぁぁ! っと赤くさせる。
 そして、鏡の前にまで言ったと思ったら、チューリップ1号を両手で持ちながら振りかぶる!!

「さいってい!! 女の子に何させるのよ! こんな鏡、叩き割ってやるわ!!」
「がはは! 中々、良い趣味の鏡ではないか! おいマリア。鏡を割ろうとするんじゃない!」
「はーなーしーてー! 割らせてーー!!」

 チューリップを握り締め、鏡を必至に割ろうとしているが、流石にそれは同意できない。

「……我慢してくれ。この解除をしないと先に進めないみたいだ」
「でも! もう終わったでしょ!!」

 マリアはそう強引に言うが……、マリアも察しが付いているはずだろう。

「さっき、第一って言ってただろ? それに、宝石も4つある。……後は、言わなくてもわかるよな?」
「やーーめーーてーー!!」
「がはは! 要求は後3回あるようだな! 良かったではないか、マリア3変化と言った所ではないか! そして、初めて役に立ったぞ!」
「ぜんぜん うれしくなぁぁい!!」

 マリアは、頭を振りつつ狂乱してしまった。それほど、嫌なのだろう。普通はそう思うが、そもそもこんな迷宮でそんな要求をする鏡と言うのも珍しいと言う物だ。だが、そんな時。

「……おい。聞こえたか?」
「うむ。この奥で誰かが戦っているな。ミルかも知れんぞ!」
「あ、ちょっと……! あれ? あれは……」

 駆け出した2人の後を追うようにマリアも駆け出そうとするが、そちらとは別の部屋を見た。どうやらそこは発掘場のようだ。と言う事は……。

「発掘場!? そうよ!ここなら、きっとヒララ鉱石があるわ!」

 マリアはしめた! とそこへと急いで入っていった。




~迷宮≪地獄の口≫ピラミッド迷宮深部 小部屋~


 ピラミッド迷宮にある小部屋。
 そこには薄紫の髪に、軽装の鎧を身に纏った1人の女戦士がいた

「くそ……!! オレはミルのとこに行くんだ……! こんな所でぇぇっ!!!」

 吼えつつ、剣を振り上げ接近してきたグリーンハニーに一撃を入れる。パリンッ!と、音を立てて崩れ落ちるハニー。だが、敵は複数だ。次々と接近してくるラーカイムの群。構図は多勢に無勢だろう。
 否、彼女には仲間がいたのだが……、今の戦闘で失ってしまったのだ。

「きっしゃあああ!!」
「ぐあっ!」

 鋭利なラーカイムの鋏が彼女の脇腹に突き刺さり、血が噴出してくる。血の色は赤と言うより黒い。……決して浅くは無い傷だが。

「こ、このぉおぉ!!」

 それは、精神力だった。
 もう既に満身創痍の彼女を支えていたのは、強靭な精神力。自分にはしなければならない事があると言う意識1つが、彼女を奮い立たせていたのだ。激痛の走る身体だが、咆哮と共に剣を振り下ろし、頭頂部の岩ごと、ラーカイムを粉砕した。

「はぁ……、くっ……」

 女戦士は、荒い息を吐きながら周囲を視渡した。
 まだ、モンスターは大量に部屋におり、もう四方八方取り囲んでいる為逃げ出すことも出来ない。そして、刺された脇腹の傷を空いた方の手で抑え……出血を止めようとするが、止まらず流れ出てしまう。
 血圧が下がり、意識が朦朧としてくるのだ。そして、彼女の傍では仲間だった女戦士たちの亡骸が横たわっていた。

「すまない……、オレの我が侭に付き合ったばっかりに……」

 3人の女戦士。血だまりの中に倒れ伏している亡骸。
 自分が巻き込んでしまったのだと、後悔に打ちひしがれているが、自分にはしなければならない事があり、死んでいった彼女達の無念も晴らさなければならない。

「……こんな所で、死ねない。死ねないんだ!!」

 囲まれている一点を狙って、突破を図る女戦士。立ちふさがっているのは複数のハニーたちであり、突貫攻撃で、二体の上体を割り、動きを止めつつ、そのまま勢いを殺すことなく駆け抜け、奥の壁を背にした。背後からの攻撃を防ぐ為。……自身の背中を任せていた彼女達はもうこの世にはいないのだから。

「はぁ、はぁ……これで、ちったぁマシになるってもんだ……」

 剣を構えなおし、モンスター達に向き直る。だが、間違いなく体力は減り続けている。もう、自分の命も後僅かしかないと、自分でも判っているんだ。

「死ぬ前に……ミルに……絶対にッ!!」
「こんにちわぁぁ!!」

 剣を横に薙ぐ。その一撃はこんにちわの身体を両断するが、こんにちわは、絶命せず、逆にこんばんわとなって襲い掛かってくる。

「ちぃ!! さっさと死ねぇぇ!!」
「ぎゃーー! ……こんばんわぁぁ……!!」

 何とか撃退する事に成功した。だが、まだまだ敵は減らない。まるで、順番待ちをしているかのように佇んでいるのだ。人間を嬲るのを楽しんでいるように……。女戦士の傷から血が更に流れ、動きが鈍ったのを見た瞬間に、モンスターが二方向から飛び掛るその時。まるで、部屋事態が震えたかのような衝撃とけたましい爆音が響き渡ったのだ。

「っ……!なんだ!?」

 女戦士だけじゃなく、モンスターの群も、一斉に爆音がした方向に振り返る。どうやらその根源は入り口のようで、白煙が立ち昇っていた。入り口を固めていたグリーンスライムがその爆撃で周囲に飛び散っていた。

 その白煙の先に見る影は三つ。

 町からの援軍か、もしくは魔女達の、敵の増援か。後者ならば、もう命運が尽きたも同然だ。今でも風前の灯だったのだから。
 それにあの入り口を吹き飛ばすかのような武器を使われては流石にもうひとたまりもないのだ。女戦士は、緊張感のあまり、生唾を飲み込み、冷たい汗が頬を、背中を伝っているのを感じていた。だが、その緊張していた自分を嘲笑うかのような声が響く。まるで今の状況にそぐわない声だ。

「きゃーーっ! やったーー! ね、見た? 見たよね? これが歴史を変える武器、チューリップの威力よ!」
「確かに圧巻だな……。溜め無しでこの威力か」
「まさか、ピラミッド内にヒララ鉱石が見つかるなんてね! ね? 私が言ったとおりでしょ? 持ってないものは冒険で手に入るってね?」
「がはは、これもオレ様の強運をもったがこそだ!」

 白煙が晴れ、現れたのはマリア、ユーリ、ランスの3人だった。
 マリアが手に持っているチューリップ1号の砲身からは煙が立ち昇っていた。つまり、あの轟音と爆撃を生み出したのはその武器からなのだ。ワープ装置で飛んだ先で、マリアが発見したのは採掘場。そこで、大量のヒララ鉱石を手に入れたのだった。マリアはそれにより、一気に戦力として申し分の無い戦員となり グリーンスライム達をチューリップで吹き飛ばし、戦闘音のする部屋へと踏み込んでいったのだ。

「普通は無いんだぞ? こんな展開は。……多分だが、3人の誰かが迷宮を改造して、採掘場をワープさせておいてくれたんじゃないのか?」
「あー……、確か私が頼んだような気が……」

 マリアは手のひらに拳をぽんっ!と叩いて思い出すようにそう言う。

「不幸中の幸い、だな。他の魔女達を助け出したら礼を言った方が良いだろ」
「あはは、そうだねぇ」

 マリアは頭を掻きつつ苦笑いをしていた。こんな無理難題をしてくれるのは志津香だと自分の中で、結論付け マリアは必ず助けると決意を新たにしていた。

「はぁ……はぁ……、どうやら、敵じゃないみたいだ。……でも、聞き覚えが……」

 女戦士は、安堵感からか ついに腰を落としていた。
 腰を降ろしてしまった為、もう当分は起こす事が出来ないだろう。もし、このまま目を瞑ったら……。

「(だ、駄目だ……、あいつらがもし負けたら……まだ、寝てられない!!)」
「むむ! 部屋の奥に傷だらけの美女を発見!」

 ランスが一気にロックオンをしたようだ。モンスターがまだ複数いて、取り囲んでいる状況。
今は急いで助けた方が良さそうだ。ユーリは、剣の鞘を握り締める。

「おい! 他の雑魚を片付けておけ、オレ様はあの美女を助ける!! 困っているときにはお互いに助け合う事こそが、正しい冒険者の姿だ!」
「はいはい。女限定と付け足しとけ、誤解を生むぞ」
「そんなもん、周知の事実だろ。一文の得にもならん。死体から金を取れるかもしれんが、汚くて触りたくも無い」
「知らないわよ……。そんなの!」

 ランスは自分が格好良く助けて、更にお礼(身体で)をゲットする為、ユーリに周囲のモンスターを任せていた。マリアは、その砲撃力を活かして、周囲に近づけないようにする。前衛2人と後衛1人。即席とは言え、構成的には悪くない。

「どりゃああ!!」
「ふんっ!!」
「いっけぇ! チューリップ!」

 3人は一気にモンスター達を蹴散らした。数は確かに多いが、一体一体の力は大してない。だが、ユーリは横目で今の今まで戦っていた女戦士を見た。その満身創痍の身体でよく此処まで持ちこたえたものだと。

「………」

 だが、その彼女の傍で横たわっている3人の女戦士の姿がユーリの目に入った。もう少し早くにここへ来ていれば、彼女達も……。

 だが、もう過ぎてしまった事だ。悔やむ前にせめて、生き残ってる彼女だけでも必ず助けると、ユーリは剣に込める力を挙げた。この程度の相手に使わなくても良いのだが。

「煉獄……!!」

 殺気を漲らせ、彼女達の命を奪ったモンスター達に向き直る。まだ……複数いるようだ。

「お前らは、運があったようだな。……一瞬で息の根を止めてやろう」
「ッ……」

 ユーリの傍に比較的傍にいたマリアはその殺気を当てられて、思わず萎縮してしまいそうになってしまっていた。遠距離からの攻撃の為距離は多少、離れているのにだ。あの容姿からは、考えられない!と思ってしまった。

「(これは…、からかってたの、危なかったかも……)」

 マリアはそう思わずにはいられない様子だった。だが、きっとそれは間違いである。


 そして、モンスターも全て撃退したあと。


「大丈夫か? お嬢さん」
「ああ、大丈夫、だ。……だが、他の仲間は死んでしまったようだ……」

 ランスが前言通り、格好良く?傷だらけの女戦士を抱えがげる。

「君の名前は?」
「ミリ、ミリ・ヨークスって言うんだ。助けてくれてありがとう。宜しくな」

 ランスは、美人の顔から、乱暴な言葉使いをする彼女を見て、紳士仮面を即座に投げ捨てる。もう、本当に死にそうな感じだったから、下手にいい子ぶっている暇はない、と考えていた様だ。

「おい 死ぬなよ! これだけの美女でありながら、オレ様とヤル前に死ぬなんぞ、許さんぞ! 死んだら死体に悪戯するからな」
「はは、突然変ったな……アンタ。大丈夫だ、死にゃしない。……ちょっとばかし、疲れただけだ。瞼が……重いだけだ」
「寝るな! 寝たら死ぬぞ?? って、思い切り死ぬ直前の奴が言うセリフでは無いか!」

 ランスが珍しく、慌てながらそう言っていた。流石のランスも死体をどうこうする趣味は無い様だ。

「世色癌と血止め、元気の薬だ。見た所、確かに重症だが大丈夫そうだな。自分で出来るか?」
「ああ……、それくらいはな。悪いね……」

 ランスはぎゃあぎゃあ騒いでいるが、アイテムを持っていないため、アレ以上は出来ない。だから、ユーリは渡した複数の回復アイテムを渡した。それを受け取ると、即座にミリは使う。元気の薬で、喉の渇きと体力を戻し、更に世色癌で更に上乗せをする。その後、血止めを最も傷の深い腰に当てた。

「まって、ミリって……、ミリ・ヨークス!? ミリじゃない!!」

 名前を呟きながら、顔を確認したマリアは、驚きの声を上げながら腰を落とし顔を近づけた。ミリもその姿を確認した瞬間。表情を引き攣らせた。目の前の女こそが、自身の敵として、乗り込んだのだから。

「お、お前はマリア・カスケード!! お前、オレの妹を何処にやりやがった!! ミルを返せ!!」

 極限の状態だったから上、流れた血の量から朦朧としていた為最初はマリアだと気づかなかったが、ここまで傍に近づいたら嫌でも判るのだ。

「ミルが、妹……成程、ヨークスと言う性、ミルの姉と言う事か」
「そ、そうだ! お前らも仲間なんだな!? 妹を……妹を返せ! っ!! げほっ……げほっ……!」

 ミリは叫びをあげるが、直ぐに堰込んでしまった。
 それは当然だろう。幾ら世色癌が優秀な体力回復のアイテムとは言えそこまでの即効性はないのだから。

「無理をするな。多少、回復したとは言え、重傷者には違いないんだ」
「そうだ。傷が開いたらどうするのだ! 言っただろ、オレ様とヤル前に死ぬなどゆるさんぞ」
「う、うるさい……! オレは、姉として、あんだけの事をしでかした妹の始末をオレ自身がつけなきゃならないんだ! オレが……あの馬鹿の始末をつけなくちゃいけないんだよ!」

 ミリはまだ興奮をした状態だった。体力がまだ減っている今を考えたら良い状況とはいえない。

「……落ち着け、今説明する。マリアは、敵じゃないんだ」
「そうなの。ミリ、落ち着いて聞いて。事の真相……今から全部話すから。私は……敵じゃないの。」
「げほっ……、な、なに……?」

 マリアは今回の事件の全貌をミリに説明した。
 真の元凶であるのは、ラギシスだと言う事、そしてこんな事態を引き起こしてしまった原因は、指輪の影響で、悪の心に染まってしまった為だと言う事、ミルはまだ悪に染まったままだと言う事、その全てを。ミリ自身は、ガイゼルの時と同様に初めこそは鵜呑みに出来ず疑いの眼差しで見ていたが、ユーリやランスもその話が真実だと口を揃えた。

 町へ帰れば証明できると帰り木も渡された。

 この迷宮から抜け出せるアイテムを渡した以上は、話が真実なのだと思えるようになり……、その目に希望が生まれ、そして安堵する表情へと変わって言った。

「そう、か……妹は、ミルは指輪の魔力に操られているだけ……なんだな?」
「ええ……。そうなの。私達のした事は決して簡単に許される様な事じゃないのは判ってる。ラギシスに反逆する前に、真実を話していればって、後悔してる。でも……ミルは、今も真の意味でラギシスに囚われているも同然の状態なの。だから……殺すなんて悲しい事、もう言わないで」

 マリアの目から一筋の涙が流れ落ちた。そして、その表情。嘘を言っているようには到底見えないのだ。ミリは大きくため息を付く。妹が自分の意思でこの大惨事を引き起こしたわけではないと言う事が判って安心したんだろう。
 自分が死ぬ以上に……妹を殺すという事が怖かったのだから。

「事情はわかったよ。だが、する事が変っただけだ。このまま手を引くわけにはいかないな。馬鹿な妹の始末をつけると言う事から、操られている妹を救出するって言うのにな。ふふ、後者の方が、力が入るってもんだよ」

 何処か嬉しそうな表情のミリがそこにはいたのだ。

「がはは。オレ様たちが、さくっと連れ戻して着てやるから安心しろ!で、ミル・ヨークスの居場所はわかったのか?」

 ランスはそうミリに聞いていた。自分達よりも遥かに長くこの迷宮に潜っていた彼女だ。だから、有益な情報があると思ったようだ。

「………1つだけ、手がかりがある。教えてやっても良いが、条件があるんだ」
「条件?」
「教えるかわりに、オレも仲間に加えてくれ、オレのパーティはこの通り、全滅なんだ。死んでいったあいつらの為にも、今回の件オレの手で……」
「その怪我で……? 無理をするな。幾ら回復アイテムを使ったとはいえ、そんな簡単な怪我じゃないんだぞ?」
「いや……それだけは、聞けない。ミルはオレのたった一人の家族なんだ。大切な、な。……たとえ連れて行ってくれなくても、俺は1人ででも行く。絶対に!」

 ミリの瞳は真っ直ぐだった。だが、ユーリも……共感できる。家族を救う為に。妹の為に。……家族を救えるのなら……。

「オレでも、同じ……だな。……ランスはどうだ」
「オレ様は構わないぞ。マリアと言うお荷物を背負った状態でも楽勝だったのだ。ミリであれば大丈夫だろう」
「ちょっと! 私にはこのチューリップがあるじゃない!」
「……まあ、手に入れたのは結構最近だろ」
「ぶーー!!」

 マリアはヒララ鉱石を入手する前は、戦闘が来れば、後ろで応援をする!だけだった……。敵も、前からばかりとは限らないから、結構危ない所もあったが、ユーリとランスで難なくフォローする事は出来たのだ。だが、やっぱりマリアは納得がいかないようだったが、ユーリの言葉に一蹴されてしまいぶー垂れてしまっていた。

「……ありがとう。ユーリ、ランス、話の判る奴は好きだぜ!」
「がはは! そのままオレ様に惚れてしまっても良いぞ? いつでもオールOKだ!」
「……でも、ミリ。無茶だけはしないでよ?」

 マリア自身は複雑だった。
 彼女はまだ怪我をしているし、この先に何が待っているのかもまだわからない状況だ。これ以上……誰も傷ついて欲しくないと思っているんだ。あの3人の亡骸を見て……更に強く思ったのだ。
 でも、それ以上に彼女の強い想いを聞いてしまったから。無下にする訳にもいかないだろう。
 
「さぁ、探索をするよ」
「……待て。一先ず町へ戻ろう。あのワープ装置を動かせるようにした今なら、ものの数分でここまで戻ってこられるんだから」
「なんだよ、ユーリ!? ……オレの怪我に気を使ってるのなら、そんなのはいらないよ! もうすっかり大丈夫だからね!」

 確かにミリは先刻よりは顔色も良く、喋りも問題ない。重傷者なのは間違いなかったが 多くのアイテムを使ったのが功を成した様だ。
 ミルの状況を知った事が精神的にも大きく働いたようなのだ。だが、そういった事では無いんだ。
確かに全く無いか?といえば、首を振るが……今は。

「……彼女達を このままにして先に行く訳にもいかない、だろう? ……手厚く葬ってやらないとな。冒険の過程で命を落とす。それは定めとは言え、大事な仲間なんだろう?」
「ッ……」

 ミルは、思わず言葉を失ってしまっていた。
 今、倒れ伏している彼女達がいたからこそ、ここまで来れたんだ。なのに、その彼女達をこのまま放置して行こうとした事を、恥じていた。

「……すまない。ああ、大切な、大切な仲間だったよ。弔いは……必ず」

 ミリは首を縦にし、彼女たちを手厚く抱え上げ、帰り木で外へと脱出した。その後、町で町長に事情を説明した後、3人の亡骸を丁重に埋葬したのだった。







~迷宮≪地獄の口≫ 鏡の間~


 ミリを含めた一行はワープ装置がある鏡の間へと戻ってきていた。

 第二の封印を解く為には……。

「あー……、言っていいか?」
「い・や!」
「馬鹿言うな。先に進めんではないか!」
「オレも早く妹を助けたいからな。早めに頼むぜ」

 とりあえず、多数決の結果。マリアの案は却下される。

「おほん。……本当に作った奴はアレだな。……今度は『鏡の前で少女が胸を見せる』だと」
「いーーーーーやーーーーー!!」

 鏡の間どころじゃない。まるで迷宮の全てにマリアの絶叫が響き渡っているかのようだ。
 実を言えば、先ほどワープした先は行き止まりと言う事をミリに聞いていた為、第二のワープ装置を起動させたのだ。

 ……その結果、マリアに不幸が訪れようとしているのだった。だからこその大絶叫なのだ。モンスターに襲われるよりも性質が悪い出来事のようである。

「いったいなんなのよ! この装置! ここ、作った人って馬鹿何じゃないの! アレどころじゃない!! ……っと、そうだ! 一つ目は私だったんだから、次はミリが!」
「あー辞退するぜ。ばかばかしいし、それに一つ目はオレ達もしっかり起動させたんだぜ? だからこし、あの場所にいたんだしな」
「ぅぅ……そう言われてみればそうだけど……」

 マリアの提案を一蹴するミリ。
 実の所、胸を見せるくらい何でもないと思っているミリだったが、マリアの事を見てみたら苛めてみたい……という衝動に駆られてしまった為、あえてそう言っていたのだ。

「がはは! 全くをもって良い鏡……っと、けしからん鏡だな? だが、これも3人を救う為なのだ。頑張れ、マリア!カスタムの平和は、お前のおっぱいにかかっているのだぞ!!」
「ぜぇぇぇったいに、い・や!! なんで私ばっかり!!」
「えーい! まどっころしい! さっさとしないコは……こうだっ!!」

 ランスはマリアを羽交い絞めにしつつ、ブラを剥ぎ取って鏡の前に曝した。

「ちょぉぉ! きゃああああああっ!! いや、いやぁ!!」
「ふふ、可愛い胸だな……、そそるぜ、マリア」
「あーーーーーんっ! ミリまで楽しんでるっ!? いーーーやーーーー……。」
「……頑張れ、としか言えないなオレは」

 マリアの叫びを訊きながら、唯一ユーリだけが、マリアに気を使ったのか、彼女の痴態を見ないようにしていた。それが救いだったかどうかは……不明である。

「ほれほれ、上下に揺すって、乳揺れサービスだ!」
「いやーー!! 何するのっ!! わーーんっ 酷すぎるーーー!!」
「ちょっと、揉んでもいいか?」
「やーーめーーてーーー!!!」
                            
 そうこうしている間に。
                               
『ぴんぽんぱんぽーん♪第二のワープ装置が解除されました』

 再びマリアの活躍?により、ワープ装置が解除されたのだった。

「そして、残ってるのは後2つ、か……過激になってきてるし、まさに、『マリアの運命や如何に』だな」
「ユーーリさーーーん!! 不吉な予告しないでーーーっっっ!!」
                               
 マリアの絶叫は今後も途絶える事は無いのだろうという……マリアにとっては迷惑極まりない予告であった。




 
 

 
後書き
〜人物紹介〜



□ ミリ・ヨークス

Lv15/27
技能 剣戦闘Lv1

カスタムの四魔女の一角、ミル・ヨークスの実姉。腕は確かで仲間達が死んだ後もたった1人で戦い続けた。そして、戦いの腕より、Hの腕が立つ。その性豪ぶりはかなりのものであり、ランスが躊躇する程のものである。町を沈めた妹にその責任を取らせる為に、青年団として仲間達と共に迷宮に潜っていた。

そして、自身も気づいていないが、先天性の重い病を患っている。



〜モンスター紹介〜


□ グリーンハニー

茶色のハニーが基本型であり、そのはにーの上位種。最も代表的なハニー、右手にはトライデンを持ち、勿論何故か魔法は無効で、ハニーフラッシュも使ってくる。
所詮はハニー。パリンと割って終わりである。

□ グリーンスライム

緑のねばねばしたモンスターであり、物理攻撃を防ぐ。その点だけを見ればハニーと対照的なモンスターである。
膨れて破裂を繰り返す厄介なモンスターでもある。

尚、マリアのチューリップの試し撃ちの相手として使われ、無残にも消滅していった。


□ こんにちわ

人と出会うとつい「こんにちわ」と言ってしまう人たちの怨念が集合して発生したモンスター。
生殖機能がなく絶滅に瀕しているので保護モンスターに指定するらしい。……なのだが、守る者は誰一人としていない、ある意味可哀想なモンスターである。


□ こんばんわ

殺されたこんにちわが、死の淵から蘇り、骨と手足を生やしてパワーアップしたもの、はっきり言ってしまえば、ゾンビみたいなものである。こんにちわの死体が腐敗すると周囲に溢れるこんばんわの怨念が効きにくい等、生前より遥かに強い為、冒険初心者を大いに悩ませている。

尚、こんばんわになった時点で、保護モンスターの分類から外れる為、結局は可哀想なモンスターである。
 
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