リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another57 奪還
前書き
ビッグサイトに向かう大輔達
ビッグサイトではバケモンがあちこちと飛び回り、捕らえた人々を見張っていた。
その捕らわれた人達の中には空の姿があった。
ミミ「空さん」
空はこれからどうしようと、顔を俯かせ考えていると、背後から聞きなれた声がした。
空「ミミちゃんも捕まったの?」
空が声のした方を振り向くと、そこには寝巻姿のミミがいた。
パルモン[私進化したほうがいい?]
ミミの腕の中には毛布に包まれたパルモンがいて、空に尋ねた。
空は一度周りを見渡しながら言う。
空「周りは敵だらけだし、もう少し様子を見ましょう」
ミミ「ええ」
パルモン[残念……]
本当に残念そうに呟くパルモンであった。
ビッグサイト内を歩き回っていると、太一とヒカリの母親の裕子が泣きながら太一とヒカリの身を案じていた。
裕子「子供達が……子供達が……」
進「落ち着きなさい」
太一とヒカリの父親の進が落ち着かせようとするが……。
裕子「今頃、あの子達がオレンジ色の恐竜に食べられているかもしれないのに……」
空「安心して下さい」
裕子「空ちゃん……」
空「その恐竜なら私達の味方です。きっと私達を助けに来ますよ」
その頃、外では大輔達が探し回っていた。
淑子「空は何処にいるのかしら?」
ピヨモン[今度は中を探しましょう]
ブイモン[あんたもそれでいいか?]
淑子「ええ……」
ブイモン[みんな、待ってろ。必ず助けてやるからな]
決意新たにブイモンは拳を握り締め、大輔達も頷いた。
その頃、ビッグサイト内で捕らわれていた人々は意を決し、ビッグサイトからの脱出を敢行した。
進が先頭に立ち、男性陣は皆、鉄パイプや資材などでビッグサイト内にいる見張りのバケモン達に殴りかかり、バケモン達が怯んでいるその隙に裕明の部下の1人、ユキが女性と子供達を外へ避難させる。
玄関ホールを出た直後に外の見張りをしていたバケモン達が人々に襲いかかってくるが、そこを空がラジカセを掲げた。
空「これでも聴きなさい!!!」
空が掲げたラジカセの中に入っているテープにはお経が録音されていた。
これは裕明の部下の1人、櫻田がストレスや疲れが溜まっている時によく聴いているもので、かつてデジタルワールドで丈と共にバケモンと対峙した時に丈がお経を読んでバケモンを弱らせた経験から、バケモンはお経に弱いと判断し、実行したのだ。
お経を聴いたバケモン達はバタバタとその場に倒れた。
ミミ「すっごーい……!!」
空「早く、早く逃げて!!」
ミミ「転ばないようにね!!」
玄関ホールを無事に出た人々であったが、そこへダークティラノモンが姿を現した。
すると、ミミの父ケースケが電動カートに跨り、ダークティラノモンへ突っ込んでいったが、あっさりと跳ね返された。
ミミ「パパ!!」
父が跳ね飛ばされた光景を見たミミが叫び、デジヴァイスが光った。
パルモン[パルモン進化!トゲモン!!トゲモン超進化!リリモン!!]
トノサマゲコモン戦後から久しぶりの超進化だ。
ミミ「リリモン、そいつをやっつけて!!」
リリモン[駄目よミミ。怒りに流されてはいけないわ。トノサマゲコモンの時を思い出して。私を進化させたのは、あなたの純真な心……それを忘れないで…戦わなくても相手を無力化することは出来るわ。花の首飾り!!]
ダークティラノモンの首に花で出来た首飾りを取り付けた。
リリモン[ダークティラノモンの悪質なウィルスを花の力で除去したの。だからもうこの子は敵じゃなくなったわ。いい子ね、坊や]
リリモンは自分に懐いたダークティラノモンの頭を撫でる。
ミミ「凄い…」
あんなに凶暴だったダークティラノモンを手懐けたリリモンの実力を見て、ミミは改めてリリモンの力に驚く。
エクスブイモン[流石だなリリモン。蒼雷!!]
上空から降り注ぐ蒼い雷。
リリモンに懐いたダークティラノモン以外のバケモン達を撃破する。
大輔「ギリギリセーフだな!!」
ヒカリ「お父さん!お母さん!!」
ミミ「大輔君!!ヒカリちゃん!!」
エクスブイモンに乗ったヒカリはテイルモンにしがみついて地上に降り、エクスブイモンは空の隣に淑子とピヨモンを下ろすと、ファントモンをパンチ3発で沈ませた。
淑子「空!!」
ピヨモン[空、無事で良かった…]
空「お母さん、ピヨモン!!」
助けに来てくれた母とピヨモンに駆け寄る空。
淑子「良かったわ、無事で…ブイさんとピヨさんもありがとう…」
ピヨモン[ううん]
エクスブイモン[なあに、気にするな。]
エクスブイモンは地上に降りると全員の無事を確認する。
するとヒカリを抱き締めている裕子と進の前に歩み寄る。
進「ま、また怪獣が……」
ヒカリ「大丈夫だよお父さん、お母さん。私の友達だから」
エクスブイモン[ヒカリと太一のお母さんとお父さんですね?俺はエクスブイモン。あなた方を助けに来ました]
裕子「太一、太一は無事なの!!?」
太一の名前を聞いた裕子はエクスブイモンに尋ねる。
エクスブイモン[はい、ここから大分離れていますけど、ここよりは安全な場所にいます。まずはここを離れましょう]
大輔「ブイモン、敬語出来たんだな」
空「意外ね」
ミミ「明日は隕石が降るんじゃない?」
リリモン[隕石どころか、明日地球が滅亡したりして]
ピヨモン[リリモン、それちょっとシャレにならないかも]
エクスブイモン[聞こえてるぞこら]
大輔「そりゃあ、聞こえるように言ってるし……日頃を省みて見ろ日頃を」
D-コネクションでデジモン達を強制送還させながら緊張感が全くない大輔達であった。
ヴァンデモン[小賢しい真似を!!]
テイルモン[ヴァンデモン!!?]
ヴァンデモン[ブラッディストリーム!!]
紅い電撃の鞭がダークティラノモンに迫るが、エクスブイモンがそれを弾く。
エクスブイモン[自分の部下に何するんだ?]
ヴァンデモン[何の役にも立たん粗大ゴミを処分しようとしたまでだ!!]
エクスブイモン[へえ、自分だけじゃ何も出来ない雑魚の分際でか?]
冷ややかに笑いながらヴァンデモンに言うエクスブイモンにプライドを傷つけられたヴァンデモンはエクスブイモンに攻撃を繰り出す。
ヴァンデモン[許さんぞ侮辱は!!私は闇の王、ヴァンデモンだ!!]
エクスブイモン[闇の王?能無しの王がいいとこだな。今すぐぼろ雑巾のようにしてやるよ]
ヴァンデモン[成熟期風情が!!]
エクスブイモン[その成熟期風情にお前はこれから負けるんだ]
ヴァンデモン[ほざけ!!ナイトレイド!!]
獰猛な蝙蝠がエクスブイモンに迫る。
ヴァンデモンは残酷な笑みを浮かべたが、次の瞬間、驚愕に変わる。
エクスブイモン[エクスレイザー]
腹部のX字から放たれた強烈な閃光。
ヴァンデモンの必殺技はあっさりと無力化された。
ヴァンデモン[ば、馬鹿な……]
エクスブイモン[もうちっと強いのかと思ったがな。頼むから俺に出させてくれないか?本気を?]
ヴァンデモン[……っ!!!!!]
心底馬鹿にしたような言い方にプライドを刺激されたヴァンデモンはこめかみに青筋を浮かべた。
エクスブイモン[マッサージ代わりにはなるかもな?ほれほれ、もう1発撃ってみ?ん?]
ヴァンデモン[ふざけるなあ!!]
電撃の鞭を構えて突撃するが、エクスブイモンのパンチが顔面に突き刺さり、踵落としで地面に沈んだ。
エクスブイモン[受けてみな!!俺の全パワーを込めたエクスレイザーを!!]
地面に倒れ伏したヴァンデモンにエクスレイザーが炸裂した。
ヴァンデモン[ぐああああああ!!!?]
錐揉み回転しながら吹き飛ぶヴァンデモンを嘲笑すると、全員に指示を飛ばす。
エクスブイモン[みんな、早くここから離れるんだ!!大輔達はその人達をあの場所に]
大輔達に連れられ、ビッグサイトに捕らわれた人々は太一達がいる場所へと避難された。
エクスブイモン[さて…お前の相手は後回しだ。後でゆっくり相手をしてやる]
翼を羽ばたかせ、ビッグサイトから去るエクスブイモン。
それをヴァンデモンは憤怒の表情で見上げていた。
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