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ランス ~another story~

作者:じーくw
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第2章 反逆の少女たち
  第13話 彷徨える親心




 因みにアイテム屋での騒動は終わった訳ではなく、まだ続いている。それ程までの威力のある言葉だったからだ。……ユーリにとっては、だが。

「ご、ごめんなさいですかねー?」
「謝ってんのか? それとも バカにしてるのか? いったいどっちだよ!」

 多大なるダメージを受けているユーリだったが、辛うじて立ち上がる!なんと言う気力!なんと言う精神力!
 例え、才能技能Lv200でも、極論 全生物を含めた最強の300以上でも、技能 童顔Lv2持ってる男には相当なダメージ。……メチャ効くのだ。無慈悲の一撃、どんな堅牢の防御も貫く一言。……いや、Lv3かな?

「って、誰が童顔Lv2だぁぁ!! Lv3!? 伝説級だと言うのかぁぁぁ!!!」
「んなーー! 私何にも言ってないですかねーー!!」

 こんな感じで、かれこれ、10分程続いていたのだ。
 
 最初の発端でもある、ランスはランスで欠伸をしつつ、シィルを弄っている。もう、装備は買い揃えているし準備も万端なのだから。言い争っている間にも、ちゃっかり済ませるものはすませていた様だ。

「おい。そろそろオレ様は行っていいか?」
「って、それオレのセリフだっただろっ!」
「うるさい! 貴様が悪いのだ! そんなだから、ガキガキ言われるのだ! たまには我慢と言うヤツを覚えてみろ」
「例え、誰に言われようとも、お前にだけは言われたくないわ!」

 今度はランスとぎゃいぎゃい言い出すユーリ。最初の凛々しさが何処かへ行ってしまったようだった。

「ったく……ワカッタ。もう行く」

 ユーリは、ぎゃーぎゃー、騒いでいたら、幾らか発散できた様であり、少なからず頭も冷えた様だ。背を向けて出ていこうとしていた時。

「ま、待ってくださいですかねーっ!」

 ユーリを引き止めるトマト。
 今度は、語尾に≪?≫が付いて無いようだから、本当に何か用事があるのだろう。

「わ、私が間違えたことは謝りますかね……。でも、アナタの事、好みって言ったのは嘘じゃないですかねー? 本心ですかねー!?」
「……途中で疑問系になってる。まだ《?》付いてるし。 も、いい。もう、気にしてないから」
「(絶対嘘だ)」
「(無理してますね……)」

 構わない、と言っているのだが、絶対に気にしている、とそう思っている2人。
 それは、間違いなく正解である。

 とまあ、それはそれとして、ユーリも熟練の冒険者。これくらいの事でいつまでも、取り乱してる筈もなく。

「まぁ、それよりもオレとしては、今だに大事に抱えているその剣の事が気になるがな。そんなに大事な剣だったのか?」

 ユーリは表情を元に戻していた。
 どうやら、いつもの様子に戻ったようだ。……ま、特大ダメージとは言え、何度か言われている事だから、耐性は少なからずあるようだから。

「はいです! 店を受け継ぐ時に 頂いた代物で、家宝にするつもりなのです~。それに、私は、いつか自分で冒険をしたいって考えてるんですー。その時は、この剣一本でどこまでも突き進んでいくんです~……かね?」
「アイテム屋さんなのに、冒険者志望って凄いですね? ぱちぱちぱち~ 頑張って下さいね」
「うむ。……だが、全く鍛えているようには見えんな。オレ様の下で修行を積むのを進めるぞ? 勿論、三日三晩だ! お前を開発をしてくれるわ!」

 トマトの夢に感銘を覚えたのだろうか、感激しているシィルと、途中からおかしな話になっているランス。

 とまぁそれは置いといて、ユーリはトマトを見ていた。

 確かに、大ダメージのきっかけの人物だが、容姿を褒められたのは数少ない経験だから、そこまで怒れなかったのだ。だからこそ、ちゃんとその夢に対して冒険者として言おうとしたのだ。

「ふ……ん……。鍛えてなくて その感じか。……悪くはなさそうだと思えるな。それは勿論今後次第だが」
「えーー!? 本当ですかー? ユーリさんっ! わ、わわっ! もし、冒険者になったら、トマトと一緒に冒険して下さいね? 約束ですよー!」

 キャラを忘れてはしゃぐトマト。どうやら、素で喜んでいるようだ。これは、世辞ではなく本心で言った為、だろうか。だが、肝心な事を返してない。

「あくまで、見た感じ、初見で だ。実践でモノを言うのは、全て積み重ねてきたモノ。……つまりは鍛錬は不可欠だという事だぞ? 舐めていると《痛い》じゃ済まされない場合だってあるんだからな?」
「その辺は、気合で何とかなるです!」
「……その気合も、鍛錬の結晶から出てくるものだからな。まぁ、空回りはするなよ」
「がんばりますです!」
「はぁ……、強くなったらな。冒険に出られるくらい」
「わぁ~~、すっごい力が漲るです! がんばりますかねー!」

 苦言を呈するユーリとはしゃぎまわるトマトだった。そして、そろそろ本当に行こうとした時だ。

「あれ? ランスはバカみたいに買ったのに、なんでシィルちゃんは、そのままの装備なんだ?」
「だれがバカだ! 下僕が主人に貢ぐのは当然の勤めだろう! シィルについては、追加装備は却下だ。露出が減る」
「んな、バカな事言うんじゃない。これから行くのは迷宮なんだぞ……。それに、ランス以外にも、見られていいのか? シィルちゃんを」
「む……」
「あ……」

 ランスはシィルをじっと見る。
 シィルの事自体は少なからず絶対に思っている事もあり、何より他人にシィルの身体を見られるのは、我慢ならないようだった。多分、今日だけだろうが。

「それは、我慢ならんな! よし! この店で一番高い装備をシィルに渡せ!」
「はいはーーい。これが当店で一番のものですかねー?」

 トマトは、店のレジの直ぐ傍にあるマネキンに着せていたローブを手に取った。
 店に並んでないものだから、恐らくは非売品。名は≪ルースローブ≫だが、通常のそれよりも防御力・魔抵力は上だとの事。以前売れたルースローブ。それを更に改良しつつ作ったからとの事。つまり、正式名称は≪ルースローブ②≫という事らしい。
 この店で一着しかないらしい。

「ん。じゃあ、オレはそっちのもついでに頼む。……ランスの分が多かったから自分のをすっかり忘れてたよ」
「ああ~、それは仕方ないですかねー」

 トマトとユーリがぎゃいぎゃい言い合ってた時にさっさと、会計を済ませていたのだ。
勿論ユーリの金で。……今シリーズのユーリは仕事を休んでいない為、金銭的には大分余裕があったのだが、ちょっとタイミングがあってなければ不味かった。

「こっちとしてはホクホクなので、すっごく嬉しいですかねー。あ、合わせて1450GOLDになりますです! いつも、ニコニコ、現金払い! でお願いしますかねー!」
「はいよ」
「あ……、本当にありがとうございます。ユーリさん」
「大丈夫大丈夫」
「そんなに、金が余って仕方ないのならまわせ。ユーリ。オレ様が使ってやろう」
「却下」

 ……ランスが今持ってる武器防具では飽き足らず、まだ集って来るのだから相変わらずの傍若無人である。


 そして、3人が店を出たときの事のこと。
 店内で佇んでいるのは、トマトだ。

「あう~……。それにしても、本当にミスだったですねー。久しぶり来たコレ! って この胸にズキュンと来たですのに~……」

 トマトはユーリの事を思い出していた。
 歳下が好みのようだ。だが、歳と顔は違うということを改めて知った瞬間でもあった。

「ユーリさん……ですかねー。あれはきっとリップサービス入ってると思うですが、剣の鍛錬……、してみようですかねー?」
「グキャッ! ウキャッ!」
「おおっ、ミミちゃんもそう思うですかねー? これは、善は急げです! ユーリさんの隣に立てるようにがんばるですよー!! ……でも、ユーリさんってどれくらい強いんですかねー? メチャ強いなら、本当に反則級ですよねー? 好みな上強いのなんてー」

 剣を胸に抱えつつ、タイミングよくペットであるミミちゃんのナイスタイミングの言葉に喜ぶトマト。元々は、冒険じゃなく宝箱が好きで、冒険に行きたかったのだが、それが冒険自体に行ってみたいという夢に変わり……、そして実行する段階にまで踏み込んできたようだ。だが、勿論今のままじゃ、死にに行くのも同じ事なのはわかっている。

「よーし、がんばるですかねー!」

 トマトは、そのまだ扱えないであろう、大きな剣をぐっと上に上げて高らかにそう言っていた。







~カスタムの町 ラギシス邸跡~


 そして、ランス達一行は目的地へ向かい、そこに到着した。

「こ、これは……」

 その場所を見た瞬間、シィルは唖然としていた。
 なぜなら、ここはもう家とは言えず、戦闘の激しさがその家を見ただけで判るのだ。……物語っているのだ。所々の支柱が崩れ落ちていて、この沈没で崩壊しなかったのが不思議なくらいだった。

「……成程な、ここまでの破壊をしたとなれば、その少女達の力の具合がわかるといったものだ」

 ユーリもその残骸を見てそう呟く。そして、柱の一つを手で触った。綺麗な円を描く後。ヒビが入っているわけでもなく、まるで 丸い型で、柱を抜いた。と言うイメージに近い。
 無駄な破壊を一切せず 一点に集中、凝縮された恐るべき力。それが、連なって出来ている事から、恐らくは光線状の力を出したと言う事だ。そして、これを受けてしまえば人間であればどうなってしまうのかも……。

「成る程、白色破壊光線……か。」

 傷跡と、そして僅かだが、光の波動の気配がしていた。……魔力の残り香を仄かに感じるのだ。

「白色って……、それは」
「ああ、魔法Lv2の技能が必要な力だな。……随分と厄介な魔女だ」

 シィルは、驚きつつユーリを見て、ユーリも頷いた。
 技能Lv2と言う事は、魔法に関しては天才である事、マスタークラスの力である。

「ふん! そんなもんたいした事ないわ! と言うか、このまま探索をしてて生き埋めになったら洒落にならんぞ! とっとと、探索したら切り上げるぞ!」

 横で聞いていたランスは、興味はさほど無い様子で、そう言っていた。
 ……自分より強いとか、強力なものなど、存在しないと言うのがこの男の持論だからだ。基本的に、魔法を避けることは出来ない為、これだけの高威力の魔法を使えると言うことは頭に入れておかなければならないだろう。

 ランスは置いといて。

「はいはい」
「わ、わかりました」

 ユーリはいつも通りに、簡潔に調べており、シィルはまだ、驚きを隠せないでいるようだった。

 そして、一番奥の部屋へと脚を踏み入れる。

 その場所は床に巨大な魔法陣が刻まれており、これまでの部屋とどこかが違うと直感した。空気からして、違うのだ。

「ら、ランス様……、この場所、なんだか怖いです。……変な気配みたいなのを感じませんか?」
「む? シィル。貴様亡霊がいるとでも言いたいのか? がはは。バカが。ビビリすぎだ。オレ様の奴隷が情けない顔をするんじゃない」
「は、はぃ……」

 シィルは、身体を震わせていた。
 廃墟だと言う事、そしてLv2級の力の魔法が放たれたと言う事実。そして、この場の異質な魔法陣。全てが禍々しく感じてしまうのだ。

 それは、自分自身が魔法使いであるからこそ、感じてしまうのかもしれない。そして、その直後“ペシーンッ!”と言う乾いた音が部屋に響き渡った。
 直後にシィルが悲鳴を上げる。

「ひゃ、ひゃああああっ!!」
「がはは! ただ尻を叩かれたくらいで情けないな。がはははは!!」
「何遊んでんだよ……。真面目にやれ。ランス」

 ユーリは、周囲を調べていた為、2人の会話には気がつかなかったが、乾いた音、ランスがシィルを叩いた音には気づいた為、苦言を言っていた。そして、ランス達の方を見て見ると……、シィルがペタリと座り込んでしまい、下着も見えている。そして、ランスの目。…何度も見ているが、どうやら、ランスはスイッチが入ってしまったようだ。

「ひんひん。ひ、ひどいですよぉ……ランス様ぁ……」
「がはは! よし、ここでヤるぞ!シィル。ここでなら、色んな虐めプレイを楽しめる」
「ええっ! いえ……この場所は怖いので、せめて場所を……ぁんっ!」
「はぁ……、相変わらず、お盛んなことで」

 ランスは早速シィルの胸を弄りだした。
 シィルは、怖いようだが羞恥の方が勝った様で、頬を赤く染めていた。

「生き埋めになってもしらんぞ」
「馬鹿者! おい、ユーリ! 貴様は外に出ておらんか! ガキにはまだ早い!」
「ガキ言うな! お前のほうがガキだろっ!」

 シィルを虐めつつ、ユーリとケンカするランス。そして、シィルはランスの手で感じてしまっており、場の空気をまるで忘れてしまっていたようだった。その時だ。


「……こらこら、ここは学び舎。神聖な屋敷だぞ? 不埒な行為をするんじゃない。そこの男も、煽ってケンカするんじゃなくもっと止めないか」

 突然現れた青白い光。
 そこから声が聞こえ2人に苦言を言っていたのだ。

「な、なんだぁ!? 亡霊がマジで出たと言うのか?」
「ひ、ひぃっ! ら、ランス様っ!」
「……ランス、シィルちゃん。そこを離れろ。今すぐだ。……何かいるぞ」

 ユーリは鞘に手を掛け、抜刀の構えを取った。
 初速においては、自身がある技であり、相手がどんな攻撃をしてきても 合わせられる技であるから、奇襲も通用しない。が、それは勿論相手の技量の高さに影響するものでもあるし、集中力にも左右される。
 ましてや、アストラル系モンスターには物理攻撃は通用しにくいと言う点も考えての警戒だった。

「私は亡霊ではない。……怯える必要も、警戒も必要はない。私こそが、この屋敷の主であり、この町の守護者であるラギシスだ……」
「っ……!!!」
「何だと!??」
「や、やっぱり、オバケですぅ……、嫌な感じがしてたんですよ~」

 シィルはランスのマントをぎゅっと握り締めつつ、ランスの背後に隠れて震えた。
 ランス自身も、流石に動揺したのか、抱きつくシィルに何も言わずそのまま、その青白い男から目を離さなかった。

 そして、ユーリは警戒はしなくていいとは言われても、そんな簡単に警戒を解くわけにはいかず、剣を持つ手に力を入れる。アストラル系のモンスターとは何度も戦っているが、この奇妙な部屋でいきなり背後から出てきたから、警戒しても不思議じゃないだろう。

 ラギシスは、確かに死んだ筈なのだ。町の住人も言っているし、町長もそう言っている。

「幽霊……と言うわけか。リーザスの屋敷で見たラベンダーとよく似ている」
「なにぃ!! ラベンダーちゃんとこんなむさ苦しい中年男を一緒にするんじゃない!」
「……いや、外見じゃないって」
「むさ苦しくて悪かったな……」
「あぁ……オバケと普通に話、してるです……」

 シィルは、まだ怯えているようだが、ランスとユーリはもういつもに戻っていた
 この世に未練を残した人間が現世に留まり霊体となってしまうのは、珍しいことではあるが、ありえない事例でもない。現に、ユーリ自身もラベンダー以外にも経験はあるし、ランスもラベンダーの事をはっきりと覚えている。

「まあ、ラギシス氏の顔写真を見たわけじゃないがな。状況から考えてその可能性が高いようだ。お前が4人の魔女に殺された本人、間違いないんだな?」
「いかにも……、お主達は、このカスタムの住人ではないのだな?」
「ああ」

 ユーリは、そのままラギシス?に問いかけると、直ぐに返答が返ってきた。
 嘘を言っている様にも特に見えないし、何よりも言う意味が無いとも思えるのだ。

「成程……、となれば、選択肢は限られてくるな。お主達は雇われた冒険者……ということか?」
「その通りだ! オレ様こそが超英雄。史上最高にして、最強の戦士、ランス様だ! こっちが「じょ、助手のシィルです。〝ポカッ!!〟ひんひん……」誰が助手だ、誰が! ええい、いい加減 離れんか!」
「やれやれ……、この男は基本こうだ。こいつの行動制限など、出来ないと考えてくれないか?」
「む、むぅ……」

 ラギシスは何処か、納得のいかない様子だが……、行動については実は、家に入った時から見ている。……その言葉に嘘は無いだろうと、ランスの事はとりあえず置いといて、話をはじめた。

「……頼む。どうかこの町を救って欲しい。私にはもう、身体がない。……力もないのだ」

 最初の苦言が嘘の様だった。
 他人に頼むしかない申し訳なさと悔しさと無念。その全てが彼の表情に出ていた。そもそも、幽霊となって留まるほどだ。並大抵の未練じゃないのだろう。
 だが、幽霊に出来るのはただ、思いの強い場所に留まる事くらいなのだ。そして、時間があけば、察知したAL教等に強制的に成仏されることだってある。

「真実を頼めるか? 彼女達について。……一応依頼書は目を通したが、本人の口から聞きたい」

 ユーリは静かにそう口を開いた。
 4人の魔女達の事は、町では最悪だと言う事ばかり聞いている。その中でただ1人だけ、彼女達を庇う人もいた。多数決であれば、圧倒的に前者であろうが、そう物事は簡単ではないのだ。
 ユーリの目を見たラギシスは何かを感じたのか、深いため息をした。

「……そうだな。どこから話したら良いものだろうか」

 そうは言いつつも、自身の中で決意を固めているようだった。考えを纏め、己の思いを言葉へと変え、語り始めた。

「……私は、守護者として、この町を長い間守ってきた。それが町への恩返しだと信じてな。……が、寄る年波には勝てん。衰えが見え 先行きが不安になった私は、私の知識を、魔法の力を受け継がす為に、魔道塾を開いた。その生徒達の中で、魔法の素質がある4人の少女達を集め、後継者として、育て始めた。……私の変わりに、老い、そして死ぬ私の後を継いでもらおうと、そう考え、私の全てを彼女達に伝えたのだ。……彼女達に魔法を教えている時間は、我が人生の中でも幸福で、安息に満ちた時間であったよ。……彼女たちも日に日に魔力が増し、そして美しく成長して行く。……これが親の気持ちなのだろう」

 ラギシスは、遠い目をしつつ、訥々と語る。
 恐らくは、これは序盤だが、勿論そんな話をこの横にいる男が許すはずも無かった。

「長い!! 要点だけを話せクソジジイ! オレ様は、お前の思い出話を聞きたいんじゃない。そんなに話したいというのなら、壁とでも話していろ!」
「………」

 まさに、バッサリだ。
 確かに、ラギシスの事は同情に値するが、こちらとしてもランスの意見に同調した。この手の輩は、自分の昔話に酔う傾向が強い。……真に内に秘めている言葉なら、多くは語らない筈だから。
 それも、会って間もない連中には少なくとも自分は話さない。
 ラギシスもそこまでストレートに言われるとは思ってなかったようで、呆気にとられていたようだが……、数秒後 咳払いを1,2回ほどした後。

「あいわかった。……要点だけを纏め、話そう。……あの運命の日。奴等は、私の大事なフィールの指輪を奪っていったのだ」
「馬鹿者! 今度は簡潔すぎるだろ! 指輪奪ったからどうしたと言うのだ!」
「フィールの指輪か……。オレも記憶にない名だな」

 ランスは鋭い突っ込みをいれ、ユーリも指輪について考える。
 確かに、町の住人は勿論だが、チサたちもその指輪。妖しく光指輪については少なからず聞いていた。恐らくは、なんらかの補助アイテム。……この場で考えられるのは魔力の向上だろう。それも、町ひとつを沈める事が出来る程のもの。

「その指輪は、以前にゼスのとある魔法使いから譲り受けたものでな。……指輪を身に着けた者の魔力を、数倍にも増幅させるマジックアイテムだ」
「……何? 数倍……!?」

 ラギシスの言葉から出てきたのはとんでもない事実だった。
 魔力アップの装飾品は確かにある。カラーのクリスタルも然りだ。……が、どんなにカラーのクリスタルの魔力を増幅させた所で、倍に届くか届かないか程度だと言う事は聞いている。

 それだけでも、強力なマジックアイテムだ。

 その中でも杖へと加工されたクリスタルを施された武器、最早伝説とされれ 魔法大国ゼスでさえ、それは無いとされている武器のクリスタルロッド。その伝説の武器でさえ、このフィールの指輪と言うのは、魔力向上を考えたら足元にも及ばないだろう。

「奴等が私に反逆をしたのも、その指輪を自分達のものにしたかった為、であろうな」

 その言葉には、納得するものは勿論ある。
 強大な力と言うのは、人の心を蝕むものだ。それは、どんな難病よりも、性質が悪く。どんな犯罪者でよりも、冷酷なのだ。そんな力を前にして、自我が崩壊しないとはどうしても言い切れない。

「指輪を奪った奴等は、それだけでは飽き足らず、こともあろうに私に挑みかかってきたのだ。……いくら年老いた私とは言え、ただの未熟者であれば、負けはしなかったのだが」
「何を言っているのだ。負けた上に殺されているではないか。そう言うのを負けわんわんの遠吠えと言うのだ。大口叩きのクソジジイが」

 これまた、ランスはバッサリと切って捨てた。
 本当に感情を逆撫でするのが上手い。それが全て本当だから、何も言えないのもんだからなんだかな……と思う。

「……そう言われても仕方ないが、フィールの指輪を装備した奴等は、絶大な魔力を手にしたのだ。特にリーダー格であった娘は、私をも凌駕する実力に魔力が膨れ上がっていた。彼女は、元々Lv2の才能に加え、力を増し、そして他の娘達も、それに近しい力を得ていた。……死闘の末に私は破れこのような姿になってしまったのだ」

 自身の事を認める事が出来るのは大人な証拠……だが、年の功だろう。ラギシスは認めつつも会話を繋げていた。

「待て。……≪他のメンバーも≫だと? ……つまりは、指輪は1つじゃなく、全員だ。と言う事なのか?」
「……その通りだ。指輪は全部で4つ。……魔女と同じ数だけ存在しているのだ。そして、あの魔力。……全員がそれを装備しているのだ」

 ユーリはその言葉に、今回ばかりは驚きを隠せなかった。
 伝説の装備を凌駕する指輪が4つも存在し、魔法の素質のある魔女達が装備しているのだ。

 まだ、自由都市内の、カスタムと言う町の中だけで収まっていて、規模こそはまだ小さいものの、放っておけば国を巻き込む大事件へと発展しかねないのだ。

 それを考えれば、首謀者がリア、そしてその側近2名しかいなかった、あのリーザスの一件より遥かに難易度が増したといえるだろう。

「このまま奴等を野放しにすれば、カスタムどころか、この世界その物が が危うくなるのだ! そんなことはさせてはならんっ!?」
「ふん! 自分の弟子に負ける情けないジジイめ、……が 魔女達については詳しく教えてもらおうか? 名から身体の特徴……ぐふふ、スリーサイズまでだ!」
「奴等のスリーサイズなどは知らんから答えようが無いが、答えれる範囲で答えよう」

 戦士だからだろう。
 魔力の増幅などに興味の無いランスは指輪の異常さなど、さっぱりなのだ。シィルは、自分自身も魔法使いであるが故に、まだ若干震えていた。ラギシスは、魔女達についての説明を始めるが。ユーリだけは違う。
 ……腑に落ちない点が多すぎる。

「(何よりも、其れほどの強大な力を……、なぜ本人がつけなかったのか?だな。……)」

 その点だった。
 己の魔法の力に加えて数倍の魔力を授ける指輪。
 ならば、元々の魔力容量の高いであろうラギシスが装備すれば、下手をすればLv3にもなれていた可能性が十分にある。なぜなら、指輪を装備した4人相手に、敗れたとは言え戦えているからだ。

「(今は……何も聞かないほうがいいな。……この件にも≪闇≫が隠れていそうだ。……それも、もっと禍々しい何かが)」

 これはただの直感だった。
 以前ほど確信も、微塵も無い。だが、これこそが、長年自分を支えてきた冒険者としても技能と言っていいもの。この直感に救われたことも幾度と有り、信頼できるものだから。

「まずは、《マリア・カスタード》 彼女は氷雪系の中でも、水の魔法を得意とする少女だ。……いや、魔法以外でも発明・開発の素質もあった筈。……魔の道ではなく、そちらの道へ向かっていれば、開花したかもしれないな」
「ほほぅ……。だが、もっと重要な点があるぞ? その娘は可愛いのか?」
「………」

 ランスの言葉はぶっちゃけ真面目に言ってるとは思えない。
 ……が、この言葉には自身の心に残っている何かに語りかけられているんだ。いくら、反逆をしたとは言え、……自分自身を殺した相手とは言え。

「……私の娘だ。たとえ殺されようとも……4人とも我が娘。可愛い娘達だ」
「ぐすっ……。ら、ラギシスさん……。」

 その言葉に感動したのか、シィルは涙目になっていた。
 子を想う親の気持ちに触れた事が……彼女の心に触れたようだった。シィル自身は、奴隷商人に売られていたところをランスが買い取ったと言う壮絶な経緯がある。
 ユーリはその事は、シィル自身から聞いていた。だからこそ、自分の親の事を頭の中に想い描いたのだろう。
 今、生きているかどうかも判らない親の事を。

「話しを戻そうか。……2人目に《ミル・ヨークス》 他の3人よりも弟子入りしたのが遅く、年齢も一番若い。……が、魔法使いとしては珍しく稀少部類に入る使い手。幻獣魔法の使い手だ。……素質も上々。あの指輪を装備しているのならば、幻獣を無尽蔵、無限に近しい程呼び出せるだろう」
「厄介だな。ふむふむ。可愛いのは既に判ったから、対策はまた考えるとしよう。次だ次」
「3人目は、《エレノア・ラン》と言う。彼女は魔法だけではない。剣の腕にも特化している。故に剣と魔を扱える者。魔法剣士だ。魔法に関しては初級レベルのものを幅広く学んでいる。中でも厄介なのが幻惑系の魔法だな」
「幅広く? がはは! 違うだろ! それは器用貧乏タイプと言うのだ! 中途半端中途半端。一番攻略するのが早そうだ!」

 ランスは笑いながらそう続けた。
 確かにランスの言う事も一理あるだろう。初級を幅広く学んだと言うのなら、指輪の力で増したとしても、全体的に能力が上がるだけで、特化したものは出ないだろう。仮に剣の腕があったとしても、指輪が上げるのは魔法のみだからだ。

 ランスの言うように、今現段階で厄介なのはミルだろう。

 ……戦いで絶対的有利になるといえる力の1つが、多勢に無勢。……数の暴力と言うものだ。如何に一体一体が弱くとも戦えば体力が奪われ、徐々に力も奪われ、最後には殺られてもおかしくない。

 そして何より。

「(組まれるのが一番脅威だ。……遠距離・近距離。バランス良く攻められるのが一番……な)」

 そうなのだ。
 バランスよく攻めてこられるのが、一番厄介。魔法使いが苦手とするのが力。……所謂接近戦だ。だが、そのに剣士が加わればカバーできる。そして、一瞬の隙でも見せれば、魔法の餌食だ。その上、無限の軍勢を操る魔法使いもとなれば、構図としては最悪なのだ。

「(開発……か。武器関連だと、益々未知数になるな)」

 1人目の魔法使い。マリア・カスタード。

 彼女に着目した所は魔法の力ではなく、開発の力。どの国でも、科学力が強い所は強い。なぜなら、魔法であれ、剣士であれ、使い続ければ、体力・魔力が尽きていくものだが……。それを補える開発をしたとしたら……?
 尽きることの無い≪何か≫を生み出したとしたら?

 いろいろと、推察は出来ることだが、流石に一朝一夕で出来るものじゃないから、とりあえず置いとく。

 つまりは、今の所は幻獣魔法使いの魔女がトップに入る。

 ……が、まだいるのだ。ラギシス曰く魔法の天才が1人。

 そして、ユーリが、最も気になっている人物。

「そして、最後の1人。……彼女には特に気をつけるんだ。指輪などなくとも、将来的には、間違いなく人類最強クラスの魔法使いになるであろう素質を持っている」

 これまでの説明で出てきた魔女達の頂点。つまりは実力は最強だという事だ。

「そんなに……凄いのですか?」
「ああ、魔法大国ゼスでも、これ程の才能の持ち主は限られるであろうな。……彼女が望むのならば、四将軍。……四天王でさえも夢では無いと私は考えている」
「っ……」

 シィルは、その言葉を聞き思わず生唾を飲んでしまっていた。逆に、ユーリは思い出してしまう事があった。

 四将軍では、2人。そして、四天王では1人。


 ……中でも強烈だったのが四天王の1人である。

 曰く歩く厄災、曰く最強にして最狂のへっぽこ、曰く味方殺し。

 考えれば考えるほど、苦笑いが、ため息が こみ上げてくる。とあるギルドの依頼で出向いていた場所で出会った少女の事を。

「はぁ……」

 思わず笑ってしまっていたユーリ。一番インパクトのある相手だったからだ。彼女の前では後の2人も陰って見えると言うものだ。とは言っても 将軍の内の1人はこれまた難癖があるが。

 ……いや、面識が浅いと言う意味ではなく、それを補って余りあるのが彼女なのだから。
その話は置いとくとしよう。……後の話。近い未来で嫌でも出てくる筈だから。


「名を、《魔想志津香》 高火力の攻撃魔法を連発してくる少女だ。指輪の力で更にその魔力も計り知れないものになっている。……幼少期も攻撃系の魔法を好んでいた。これが私が知っている全てだ。そうだな、勝機があるとすれば、ヤツの集中力を欠かせる事だな。どんな強力な魔法であっても集中力が切れていればおそるるに足らない。性格も短気だから、魔法連発する前に悪口を連発すれば……或いはな」
「魔想……。魔想……」

 ユーリは、その言葉を呟く。
 確かにあの四天王と四将軍の名が出てきて多少思い出に浸っていたが、彼女の名が出てきた所で、完全に意識をそちらに向けた。そして、限りなく間違いない事も悟っていた。

「(彼女は……アスマーゼさんと惣造さんの……)」

 ユーリは、一瞬だが穏やかな瞳になっていた。今はそんな場面じゃない筈なのに。
 強大な魔法使い4人が相手と言うときなのに。

「……いッ! ……らっ!!」

 それは、もう随分と昔の話。自分の記憶、ユーリの記憶の中では 年々薄れてきている。だが、数少ない思い出の品。写真を見ているから思い出を忘れずにいられるんだ。

「しろっ! ……てるのか!!」

 ……でも、だからこそ、判らない。なぜ、彼女がこんなことを?そもそも、なぜ彼女がラギシスの下で弟子に?……あの写真の彼女はいい笑顔だった。歳は……2,3歳だろうか。ユーリは、思い出の中を揺り起こしながら考えているときだ。

「こらぁぁぁ!! オレ様を無視し続けるんじゃない!! このガキがっ!! 人の話を聞かんのはガキだからだぞ! このガキ~~ガキぃ~~!」
「っ!! だ、誰がガキだ!!」
「貴様だ!」
「お前にだけは言われたくないわ! この世の誰よりも!!」
「なにぃぃ!! 下僕の癖に!!」

 ……にらみ合っているランスとユーリだった。そんなユーリを見てシィルが言う。

「あの……大丈夫ですか? ユーリさん。心此処にあらず、でしたが」
「ッ……。あ、ああ大丈夫だ。ちょっと考え事をしててね。問題無い」
「なんだと!? 貴様、まさか魔女達を狙っているのでは無いだろうな!?」
「だから、お前と一緒にするなっての。」
「……む? がはは! そういえばそうだな! お前さんは、女に興味が無いのだな?」

 ランスは、今度は突然笑いながらそう宣言する。

「何?」
「がはは! オレ様がヤる時は基本的に男など、締め出すのだが 貴様は運良く美少女達の裸体を拝める事が出来ていた。……が、それでも何も思わんとは確実だ。貴様ホモだな! 確定だ。がーーーっはっはっは!!」
「はぁ?」

 ランスの決めつけに、思わず声をあげてしまったユーリ。
 確か、以前に経験も済ませている事を言っているはずだが?

「成程。以前言ってたのは男か? ケツ穴と言うわけだな? がーっはっはっは! これは、傑作だ! すまなかったな? ガキ扱いして、貴様は大人だ。ホモの」


 この廃屋の中、ランスの大声が、響き渡っていた。






――丁度その頃、別の場所で。

「っ……」

 修練に励む少女に悪寒が走っていた。

「ん? どうしたの?」

 共に少女と剣を交えている少女がいて、何処か震えていたのを察したのか、剣を収めてそう聞く。もう、何合打ち合ったか、判らないほどしているのだから。

「い、いや……、何かとても嫌な感じがして……」
「嫌な感じ? 何それ? 虫の知らせみたいな?」
「うん……、必死に頑張ってるけど、その思いが根底から崩れちゃうみたいな衝撃的な真実? を打ち明けられたみたいな……」
「何それ……」

 首を傾げる。彼女の言っている意味がわからない様子だった。

「ううんっ! そんな事無い無い! 私を救ってくれた人だもん! 絶対」
「……嫌に具体的だね。何でまた?」
「ぁ~/// 頭の中に思い浮かべてた時に悪寒がきたから///」

 顔をやや赤らめている少女。
 誰とは決して言わないが、こんな話を打ち明けるのは親友であるこのコだけだ。

「ふぅ~ん……。僕も会って見たいな。かなみがそこまで想ってる相手」
「っ/// さ、さぁ! 休憩終わり!! 続き! 続きだよ!」

 そう、少女事、かなみは 慌てて忍者刀を取り出し構えた。
 
 ……彼女の悪寒は幸運な事に勿論外れである。
 ランス・ボイスは遠くに離れた少女の心に突き刺さる威力があるようだった。

 そして、この時のかなみには、知る由もなかった。

「(想ってる相手、かぁ……。ユーリは、どうしてるかなぁ……)」

 かなみの親友。修練相手はメナド。
 彼女もまた、かなみと同じ人を想っていることに。


 そして某情報屋の2つ。教会でも。

 似たような感覚が走ったとの事。
 だが、教会での主だけは、その知らせに笑いが何故かこみ上げてきたようだった。盛大に、悪魔と性交を繰り広げている中で、喘ぎ声ではない、大笑い声が響き渡っていて、悪魔をぎょっ! と させていたのだから。






 ~カスタムの町 ラギシス邸~

 話は元に戻る。

「そ、そんな……、ユーリさんに、そんな事が?」
「こら……コラコラコラ! いつも通りのランス明後日方向の推理だろう! シィルちゃんも本気にするな!」

 段々シィルにも何か遠い目で見られている様な気がして 急ぎ足で否定をしたユーリ。そんなアブノーマルな趣味は持ち合わせていないことを宣言していた。
 ……ちゃんと、納得してくれたかどうかは、わからないが、シィルと言えば、突然であり、まだショックを隠しきれない様子のようだ。
 ランスは兎も角、シィルにあらぬ疑惑を残されるのは嫌のようだ。


 別の遥か離れた場所でも、あらぬ疑いが持たれかけたことをユーリは知るヨシも無かった。


                            
 ………。
 ………。
 
 あ、忘れていましたね。

「あの~……、まだ話、終ってないんだけど……」

 存在そのものを忘れられてしまっているラギシス。
 ……もう少しで、本気で書くの忘れそうになってたから(じーくwが)本当に不憫な扱いを受けてしまっていたのだった。
 
 

 
後書き
〜人物紹介〜

□ ラギシス・クライハウゼン

Lv23/30
技能 魔法Lv2

カスタムの町で魔道塾を開いていた魔法使いであり、故人。
過去に、偉大なる大魔女の弟子として魔法の才能は高くその知識を語り伝えようと、4人の少女を弟子にするが……少女達に反逆された上に死体は跡形も残らない程に吹き飛ばされて死んだ。
まだ、未練が残っているようで、死後は幽霊として、カスタムに留まっている。
……最後のは本当に不憫である。(他人事♪)



〜装備品紹介〜


□ イナズマの剣

ランスがユーリの金でちゃっかり購入した名の通り雷の属性を纏っている魔法剣。
うっかり自分を切っちゃったら痺れるから注意。

□ 異陣の鎧

ランスがユーリの金で……略、 作りは完璧であり、田舎のカスタムでも高級品に位置する一品。年団も1,800GOLDと、中々。

□ ルースローブ?

シィルに購入してあげたローブ。以前、売れてしまい在庫が無かったのだが運良く入り購入。性能も増しており魔法の防御力には勿論、通常防御力も上がる優秀なローブ。
布なのに、鎧とさほど変わらない金額が物語っているだろう。

□ クリスタルロッド

カラーのクリスタルを加工し作り上げたロッド。
魔力の向上は全武器の中でNo1を誇るがその存在は最早 何処にも確認されていない。
話によれば、とある空間である事が発覚すれば、手に入るらしいが……現段階では誰も知らない。 
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