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ラバラバ

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第三章

「ここではね」
「そうだね、いい感じだね」
 オーフェルも笑顔で応える。
「これならね」
「暑い思いしなくていいね」
「そうだね、それじゃあね」
「ここにいる間はずっとこの格好でいようか」 
 ラバラバで、というのだ。
「サモアの服だしね」
「この服でいてもいいしね」
「それじゃあね」
 こう話してだ、二人は実際にサモアにいる間はずっとラバラバで過ごした。そうして楽しいバカンスを過ごした。
 しかしだ、そのバカンスが終わてリバプールに戻る時にだ。
 二人はホテルを出る際に着てきた服に着替えてだった、一気に汗をかいて言った。
「暑いね」
「全くだね」
「これまでラバラバで過ごしていたけれど」
「快適にね」
「それが急に暑くなった」
「そんな気がするね」
 ここに来た時の服に着替えると、というのだ。
「いや、暑いよ」
「ちょっと困るよ」
「飛行機の中はクーラーが効いてるから」
「早くその中に避難しよう」
「いや、早くリバプールに戻って」
 そしてとだ、ウィッグストンはオーフェルに笑って言った。
「快適に過ごしたいね」
「ラバラバを着てかい?」
 オーフェルも笑って彼の言葉に応えた。
「そうしてかい?」
「いや、流石にリバプールでラバラバでいたら」
「風をひくね」
 寒いリバプールで上半身裸で下は布だけでいると、というのだ。
「部屋の中でもね」
「そうだね、じゃあね」
「リバプールでは厚着だよ」
「開放的な時間はこれで終わりだね」
「さて、生まれ育った町に帰ろう」
「名残惜しいけれどね」 
 それでもだった、彼等はラバラバからイギリスに帰る服に着替えてイギリスへの帰路についた。ラバラバはバカンスを楽しんだ自分達への土産としてそこで買った他のものと一緒に持って帰った。楽しい思い出と共に。


ラバラバ   完


                         2015・8・30 
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