ウィピル
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第五章
「それでもね」
「幾ら何でもですか」
「というか牧子ちゃんはそっちには興味ないのね」
「語学ですから」
牧子の専門はとだ、自分で答えた。
「文化とかにはありますけれど」
「それ言ったら私も考古学よ」
恵美も自分のことを言う、二人で今も巨顔を見ている。
「アマゾンは専門じゃないけれど」
「それでもですか」
「アマゾンについての本とかは読んでるわよ」
「そうなんですね、先輩は」
「まあ確かに仮面ライダーでもないと生身ではいられない場所ね」
あまりにも危険な生きものが多いからだ。
「あそこは」
「そうですよね、相当に」
「とはいっても牧子ちゃん仮面ライダーアマゾン好きなの」
「面白いですよ」
「結構えぐい演出とかあるけれどね」
仮面ライダーのシリーズの中でもだ。
「血が噴き出たり怪人食べたり首飛んだり」
「凄かったですよね」
「それがまたワイルドでいいけれどね」
「まあ今回はグアテマラで」
「アマゾンじゃないけれどね」
「先輩アマゾンに行かれるつもりは」
「それはないわ、行くとしたらアステカかインカね」
考古学を学ぶからだ、そこは変わらないというのだ。
そうした話をしながらだった、二人はツアーの中でマヤ文明の遺跡を見て学び楽しんだ。そしてその中で。
グアテマラの首都グラテマラの市場にも行った、グアテマラは首都が国と同じ名前なのだ。その市場を見て回ってだ。
まずはその市場の中の食材、魚や肉、野菜に果物を見た、その中には花や土産ものもあった。
その土産ものの中にある仮面の店に二人で入ってだ、牧子は恵美に尋ねた。
「これもマム族のものですよね」
「そうよ、インディオのね」
「仮面ですね」
「面白いわよね」
「私仮面好きなんですよ」
微笑んでだ、牧子は恵美に話した。
「実は」
「あっ、そうなの」
「はい、日本の能面とか京劇のお面も」
「じゃあ仮面舞踏会とかも」
「はい、好きです」
欧州の貴族の間で行われていたそれもというのだ。
「面白いですよね」
「じゃあメキシコでも」
「メキシコのプロレスのですね」
「ルチャ=リブレもなのね」
「プロレスは元々好きですけれど」
これも牧子の趣味だ、実はそうなのだ。
「あれが特に」
「好きなのね」
「あれはアステカの神様に捧げるとか」
「そういう格闘技を復活したのがね」
「そう言われてますね、それで跳んだり跳ねたりする技を使って」
「派手なコスチュームでね」
「仮面を被るんですよ」
ここでまた出るのだった、その仮面が。
「そうしますよね」
「そうよね、あれもね」
「スペイン語の勉強してて怪傑ゾロ見て」
アラン=ドロンが演じていた。舞台はそのメキシコであり要するに悪い奴等と戦う正義のヒーローである。
「いいなって思いまして」
「元々はアメリカから生まれたけれどね」
「はい、メキシコが舞台なので」
それでというのだ。
「観て好きになって」
「仮面もなのね」
「そのせいかインディオは仮面もってイメージがあります」
こう恵美に話す。
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